2017 11/17

IoTソリューション

お客さま導入事例「あったらいいね」をトイレ×IoTで実現

2017年6月7日より小田急電鉄が提供を始めたスマートフォン向け公式アプリ「小田急アプリ」は、運行状況が分かるだけでなくユニークな試みとして個室トイレの空き状況が分かる機能も搭載されている。このプロジェクトに伴走し、ICT面でサポートしたのがKDDIだ。

個室トイレの空き状況をアプリで見える化

「小田急アプリ」は、列車の運行状況や接続案内のみならず、列車の走行位置情報や駅改札付近の混雑状況のリアルタイム表示、震災時支援マップなど、ユーザーの利便性向上を追求した多様な機能を取り揃えている。中でも特長的な機能が、個室トイレの空室状況のリアルタイム表示だ。

小田急電鉄株式会社
IT推進部  課長代理

山田 聖

これはKDDIが開発した「KDDI IoTクラウド 〜トイレ空室管理〜」により実現したもの。個室トイレのドアにセンサーを取り付けることで開閉状況を検知し、そのデータをクラウドに吸い上げ、連携する同アプリで表示する仕組みだ。プロジェクトを主導した小田急電鉄IT推進部の山田聖氏は、導入にいたる背景をこう説明する。

「当社のIT推進部はこれまで、会計や人事といった社内向けのシステム開発の企画業務などを担ってきましたが、今回はエンドユーザーである当社線をご利用されるお客さま向けの施策です。IT技術が急速に進展する今、IT推進部としてもITを活用してお客さまに新たな価値を提供できないか考えようという機運が高まっています。そうした経緯で、ITを活用したアイデアを私たちのチームで考え、多くのICTベンダー様から情報を提供していただいていました」

そんな中でKDDIのソリューションを導入した決め手は、顧客満足度につながるアイデアとしての確信だけでなく、スモールスタートで始められる点だったという。

「前例のない取り組みでしたので、万が一お客さまの反応が悪ければ、センサーを撤去する可能性があることも含めて導入方法を検討いただき、始めることができました。実施が決まってからは、KDDIソリューション営業本部の宮川様には、毎週のよう当社にお越しいただき、具体的な内容を詰めました。アプリのリリースに間に合うように限られた時間の中で開発を進めたこともあり、実現のためにかなりのお力添えをいただきました」(山田氏)

利用者視点に立つことでサービスを検討

サービス検討段階で焦点の1つは、駅構内のトイレは不特定多数の方がご利用になるプライベートな空間であること。空室情報の表示に対して不快に感じる方もいるかもしれないという懸念があった。そこで、できるだけ抵抗感をなくすための工夫を施した。

小田急電鉄株式会社
IT推進部

鈴木 毅

例えば、センサー端末はトイレの内側からは見えないよう、ドアの外側に設置。また、クラウド側では各個室の開閉状況を確認することが可能であるが、小田急アプリ上では詳細な情報を伏せており、男性・女性トイレの個室数と、その中に空きがあるかどうかが「満」と「空」の文字で示される。「個室ごとの空き状況ではなく、空いているか否かという大枠の情報でご提供することで、心理的な抵抗感を軽減しようと考えました」とIT推進部の鈴木毅氏は振り返る。「新しいサービスを議論する中で、強く意識したのはご利用される方の視点です。私たち自身が小田急電鉄の社員である一方、鉄道利用者の1人でもあります。その経験を振り返ることが、サービスのベースになりました」

結果として、当初の懸念は杞憂に終わり、新宿駅へ導入した個室トイレの空室情報表示は、現時点で前向きな評価をされているという。「SNSなどを見ると、ポジティブな反響をいただいています。社内でも同様で、サービス前には『なぜ、トイレにセンサーを付けるの?』という意見もありましたが、最近は『〇〇駅には付けないの?』と聞かれるようになりました」と鈴木氏は語る。

小田急電鉄では複数の場所にトイレのある駅を中心に、IoT化を検討する考えだ。また、「トイレが複数ある駅に導入することで、現地まで行かなくてもどのトイレが空いているかを把握することができ、お客さまにとってさらなるメリットになるのではないか」と山田氏は考える。この小田急電鉄の事例は、エンドユーザーの視点に立ったIoT導入の成功例として、1つのモデルケースと言えるだろう。より良い顧客体験を提供するために、IoTによるソリューションはアイデア次第で大きな可能性を秘めている。

KDDI株式会社
ソリューション営業本部 
エネルギー・運輸営業部 営業5グループ 
課長補佐
宮川 洋平

KDDIとしても実験的な取り組みであり、トイレに付いていて違和感のないようなセンサーを特注するなど、小田急電鉄様とご相談を重ねながら工夫を凝らしました。IoTの仕組みとしては一般的なものですが、当たり前だからこそ気付けない、見えないニーズを掘り起こせたと感じています。

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