900カ所の電力検針の自動化へ向け、
現場負担の軽減と新しい顧客価値を創造

お客さまに新たな価値を提供するため、IoTへの取り組みを進めているNECファシリティーズ。その第1弾としてKDDIとの共創のもとで実現したのが、半導体工場における電力量データの自動収集だ。KDDIの『KDDI IoT クラウド Standard』を活用し、約900カ所にわたる検針の一部を自動化。工場の使用電力量を可視化することで、現場負担の軽減に加え、新しい顧客価値の創造を見据えている。

自動化・無人化・遠隔化を推進し、低コストで魅力あるサービスを

今後のビジネス成長には、「人でなくてもできること」は自動化・無人化・遠隔化していくことが不可欠です。
NECファシリティーズ株式会社
FM事業部
施設管理部長
兼 エネルギーマネジメント部 IFMシニアプロデューサ
添田 浩二 氏

NECファシリティーズは、顧客の持つファシリティ価値を最大化する「IFM(Integrated Facility Management:統合施設管理)」を提供し、顧客がコア事業に専念できる環境を構築する企業。その最大の特長は、工場などの建設から改修工事、施設の運用保守、セキュリティや環境対策、さらに土地・建物の取引やリスク対応に至るまで、顧客ニーズに合わせたソリューションを、シングルウィンドウ(ひとつの窓口)で提供できる点にある。

「当社には施設管理に関して50年以上蓄積してきた実績とノウハウがあります。この下支えする実績やノウハウと最新のテクノロジーを融合し、ファシリティ全体の課題をお客さまの立場で一緒に解決していける会社として、これからも成長していきたいと考えています」と語るのは、同社のFM事業部で施設管理部長を務める添田 浩二氏だ。しかし、いかに魅力のあるソリューションでも、従来のものと比較してコストが高ければ、顧客に受け入れてもらうことは難しい。「コストを下げながら魅力あるソリューションを実現していくには、『人でなくてもできること』の自動化・無人化・遠隔化を推進していく必要があります」(添田氏)。

そのために同社では、IoTを活用したデータ収集の自動化を推進。その第1弾として国内の半導体工場を対象にした電力量データの自動収集を行っている。

「この工場ではお客さまから施設管理を委託されています。屋内外に電力量メーターが約900カ所設置されており、以前は当社の現場社員3人で、2~3日かけて目視で確認をしていました」と、同社 IT戦略部長の郡司 貴志氏は振り返る。定型フォームの用紙にデータを記入し、事務所に戻ってからその値をExcelに入力、集計を行っていたという。「そのため、検針を行えるのは月に1回程度が限界で、計測期間のばらつきも生じていました。また数値の読み間違いや転記ミスも起こりやすい状況でした」。

このような問題を解決するため、すでに数年前からさまざまな実験を試みてはいたものの、技術的課題や導入コストがメリットを上回るなどの理由で、いずれの実験も本格的な導入には至らなかった。しかし最近ではIoTの利活用が増えたこともあり、実現可能性が高まったと判断。導入に向けた取り組みが本格化したのである。

IoTを扱う複数の企業にコンタクトを取りながら、情報収集を開始。最終的に2017年11月にKDDIの「『KDDI IoT クラウド Standard』による電力の見える化」の採用を決定した。

採用理由は一気通貫のサポート、徹底した現場目線も高く評価

KDDIはセンサーからネットワーク、クラウドまで一気通貫でサポートするため、責任の所在が明確です。
また、徹底した現場目線も高く評価しています。
NECファシリティーズ株式会社
IT戦略部長
郡司 貴志 氏

このソリューションは、電力量メーターにセンサーを設置し、そこで計測されたデータをクラウドに集約、グラフなどで可視化した内容を管理画面に表示するもの。「KDDIをパートナーとして選んだのは、豊富な知見とスピーディーさ、そしてセンサーからネットワーク、クラウドに至るまで一気通貫な提案があったからです」と郡司氏は語る。センサーやネットワーク、クラウドを自社で個別に選定して導入する方法もあったというが、これでは各ベンダー間の責任の所在が曖昧になり、トラブル発生時に問題が起きやすい一方、一気通貫の提案であればそのような心配もない。それだけでなく、「KDDIにすべて任せることで、機器購入や設置コストも抑制できました。自社構築に比べ、トータルコストを数千万円は抑制できる見込みです」と郡司氏は説明する。

これに加え、KDDIが現場ニーズにきめ細かく対応したことも、高く評価されている。

「今回はセンサーを無線で接続しています。これはお客さまの工場にご迷惑をかけないためです」と語るのは、このプロジェクトに参画したKDDIのイ ウル主任。工場は遠隔地にあったが、5回にわたって現地を訪問。さらにテレビ会議も開催し、現場の声を集めたという。「現場の方々の声を聞くことで、初めて分かったことが数多くあります。現場目線の重要さを、改めて学ばせていただきました(イ主任)。

KDDI株式会社
ソリューション営業本部 営業1部
営業4グループ 主任
イ ウル

2018年4月から実運用を開始。これによって電力量に加え、配電盤内の温度や湿度、騒音も、自動的かつリアルタイムに把握できるようになった。まだ導入して間もなく、導入箇所も多くはないため定量的な効果は算出されていないが、これによってさまざまなミスがなくなり、現場社員の負担も大きく軽減すると期待されている。またデータのリアルタイム収集で工場全体の可視化も容易になったため、電力のムダがどこで生じているのかといった情報など、新たな顧客価値を提供することも視野に入っているという。

「今後は電力量だけではなく、現場でしか読むことができないさまざまな機器の、リアルタイムな稼働状況や現場社員の作業環境の把握などもこの仕組みで可視化したいと考えています」と郡司氏。また無線接続であれば導入も容易なので、顧客の要望にあわせてほかの施設への展開も進め、予兆・予防保全についても、ドローンやスマートグラス、AI(人工知能)といった最新技術の導入も視野に入れて推進していく考えだ。「エクセレントIFMカンパニー」を目指し、新たなビジネスモデルに挑戦するNECファシリティーズ。今回のシステム構築はそのための重要なマイルストーンとなっていくはずだ。

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