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「製造・物流のIoT体験フェア」~IoT活用で始める製造業の業務改革~
製造・物流業界が抱える4つの課題―解決に導くソリューションを一挙紹介

「製造・物流のIoT体験フェア」~IoT活用で始める製造業の業務改革~

当社では、2015年より東京・大手町にセミナールームを設置。定期的にイベントを開催し情報発信を行ってきた。2020年1月に当該施設のリニューアルを行い、ソリューションを実体験できる場として進化した。デバイスを実際に手に取り、ソリューションを実感してもらうことが可能だ。1月29日リニューアルのこけら落としとして「製造・物流業界に役立つIoT」をテーマとしてイベントを開催した。その模様をリポートする。

DX実現の近道は、パートナーとの共創

イベントは2部構成で行われ、前半はKDDI 営業企画部ビジネスイノベーションセンターの山中紀昌が登壇。「IoT/AI時代にKDDIが支える製造・物流のDX」をテーマに講演を行った。

「DX実現のカギは、本質的な課題を見出すことです。自分たちに何がつくれるのかではなく、ユーザーや社会にどのような課題があり、それをどう解決すべきなのか。2018年9月にオープンした、5G時代のビジネス開発拠点『KDDI DIGITAL GATE(以下、DIGITAL GATE)』では、デザイン思考を用いたワークショップを通じて、ユーザーを起点に課題仮説を考え、サービス開発につなげていきます。そこでは、さまざまな技術領域に強みを持つパートナーと共創することも重要です。当社には無い技術や発想を持つパートナーとの協業を積極的に行っています」(山中)

DIGITAL GATEは、顧客企業のDXを推進するための要素が集約された場だ。デザイナー、エンジニアなどで構成されたチームが、顧客企業およびパートナー企業とのワークショップなどを通じ、ビジネス課題を見える化する。そして、パートナー企業とKDDIのテクノロジーを融合しながら、新たなソリューションを開発していく。オープン以来、350社を超えるパートナー企業が参加し、実際に新たなバリューも生まれている。
「製造・物流業界のお客さまとビジネスを進めていく中で、主に4つの課題が見えてきました。『装置の正常稼働』『在庫管理・発注』『安全管理』『職人芸とその技術承継』です。先述したとおり、私たちは多様なパートナー企業との共創で開発したソリューションによって、これらの課題を解決してきました。本イベントでは、これまでに生み出されたさまざまなソリューションを実際に体験いただけます。ぜひ、タッチアンドトライしてみてください」(山中)

見て、触れる体験ブース ―複数のソリューションを展示

イベント後半では、企業の課題解決を実現してきた数々のソリューションを体験。展示されたソリューションは、IoTクラウドを中心に7つ。参加者はソリューションごとのブースに立ち寄り、デバイスを間近で見たり触れたりしながら、担当者の説明を受けた。ここでは、会場で特に高い注目を集めていた4つのソリューションを紹介する。
 

① KDDI IoT クラウド ~工場パッケージ~【可視化、故障予知】

工場内の機器にセンサーを設置し設備改善につなげるソリューション。センサーから取得したデータをAIが搭載されているクラウドに集約し、データを分析して正常な動作を定義する。その後監視し続けることで、現在の稼働状況の把握(見える化)はもちろん、故障の予兆検知やメンテナンスの効率化を実現できる。

測定対象は、電流、温度、振動など。設備の規模が大きく、複雑になると、数十個のセンサーを設置することもある。ブースでは振動計と温度計を展示し、作動中のモーターから取得したデータがパソコン上で可視化される様子が紹介した。

「KDDI IoT クラウド ~工場パッケージ~」は、先に山中が述べたとおり、KDDIとパートナー企業との共創によって実現したソリューションだ。センサーからネットワーク・クラウドまではKDDIのアセットだが、そこから先、データの収集・分析は、同分野で国内トップクラスの技術を誇るARISE analyticsが担った。
 

② KDDI IoT クラウド ~作業員みまもり~【作業者の安全対策】

連日の猛暑日や、ゲリラ豪雨の発生、近年こうした急な気候変動が多くなっている。その影響で、現場作業者が体調を崩したり、最悪の場合には命を落とすような事故が少なくない。作業員みまもりは、それらを未然に防ぐソリューションだ。

スマートウォッチ型のウェアラブルデバイスで、温湿度や脈拍が測れるほか、加速度センサーも内蔵。製造現場、特に屋外で単独作業する作業員の健康状態や熱ストレス、転倒といった異常をパソコンやスマホの管理画面から確認できる。管理者が巡回する手間を軽減するだけでなく、タイムリーに作業者の状況を確認し、事故の発生や事態の悪化を防ぐことができる。

センサーは他にも2種類あり、用途により使い分けることができる。いずれも位置情報を検知できるため、異常があった際にいち早く現場へ駆け付けることもできる。ブースでは、実際にウェアラブル端末を腕に巻いてみる参加者の姿が見られた。デバイスを床に落とすと、管理システムに「転倒」とアラートが通知される。
 

③ KDDI IoT クラウド ~マットセンサー~【効率化、コスト削減】

測定した重さを無線で発信することができる重量計にクラウド・分析システムをパッケージしたソリューションだ。重量計・無線ルーターは、パートナー企業2社の技術を採用している。

ブースでは、ネジを模した部品が用意され、3つのネジを2つに減らすと、管理画面で「2」と表示されるでもを行った。

製造・物流業における利用用途としては、原材料や物品の管理が想定されている。例えば、広大な倉庫の片隅に置かれた原材料の在庫状況を、その場に行くことなく遠方から把握できる。それだけではなく、一定以下の重さ(量)になったら、自動発注する仕組みも備わっている。

コードレスであるため、製造・物流業以外にも幅広い用途が想定できる。例えば、銭湯や温泉などの施設で、使用済みタオルが一定量まで溜まったら通知をする。シャンプーが減ったら同じく通知し、さらには発注する。さらには屋外に置かれたゴミ箱の状況を把握するといったことが可能となる。
 

④ KDDI IoT クラウド Standard ~位置情報パッケージ「ここルート」~【位置情報の可視化】

GPSを内蔵したセンサーにKDDIが持つネットワークを連携させることで、車両や人が今どこにいるのかを検知・通知するパッケージだ。携帯電話に搭載されているGPSと基本的な性能は同じだが、計測頻度が5秒に一度と頻繁に行うため、特に自動車・列車といった移動速度が速い動体の位置情報検知への活用が見込まれる。

ブースでは、大阪市内から列車に乗って郊外に行き、再び戻ってくるまでの測位結果のデモを行った。パソコンの管理画面にマップが表示され、移動履歴ならびに測位場所がプロットされていた。

「エリア設定機能を使うと、ある特定エリアに指定した車両が入った際に、管理者に通知できます。例えば大都市間を走る大型トラックが、首都圏に入ったタイミング。子どもを送迎するバスが家の近くに来たことを利用者に通知することなども可能です」(担当者)

電源は車両のシガーソケットから取ることができるほか、モバイルバッテリーにも対応。そのため車両のみならず、コンテナなどに取り付けて盗難防止に役立てることもできる。既に導入実績もあり稼働している。

AIを用いて最適ルートを提案する機能を、これから実装していく予定。この機能が加わることで、利用用途や活用する産業の拡大が見込んでいる。

スモールにスタートできるKDDIのIoTパッケージ

展示されているソリューションはあくまで「入口」。各種ソリューションは、パッケージそのままの状態で導入される例は少なく、お客さまニーズに合わせてカスタマイズした上で導入されている。
例えば「KDDI IoTクラウド ~工場パッケージ~」。生産設備は、業界によって、また各工場によっても全く異なる。測りたいパラメータは当然異なるし、UIをカスタマイズしたいというニーズもあるだろう。

今回展示されたソリューションは、いずれも比較的少額から導入できるものが多く、IoTプロジェクトをスモールスタートさせるのに最適。まずはライトに試してみて、ユーザーニーズや現場の運用状況に合わせてカスタマイズを重ねていく。この最適化にとことん寄り添うのが当社IoT活用支援の特徴だ。

先進テクノロジーと、それを活用したソリューションは、それ単体では効果は限定的だ。ビジネス課題の解決につなげるためには、お客さま、KDDI、そして時にはパートナー企業が共創して最適なソリューションをつくり上げる必要がある。前述したDIGITAL GATE、ここにIoT技術と知見を合わせれば、DXは構想から現実へと進める事が出来る。当社の今後に期待していただきたい。


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