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コロナ危機でも、なぜKDDI DIGITAL GATEにはDX案件が殺到するのか

コロナ危機でも、なぜKDDI DIGITAL GATEにはDX案件が殺到するのか

5G(第5世代移動通信システム)/IoT時代の企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)や新規ビジネス創出を支援するKDDI DIGITAL GATE。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済危機が進行する中において、KDDI DIGITAL GATEはDX支援を止めないために、そのプロセスをオンラインに移行した。結果、DX案件は飛躍的に増えているという。その理由はどこにあるのか。KDDI DIGITAL GATE センター長の山根 隆行氏に聞いた。

ダイヤモンド・オンライン 20200717公開 <PR>

コロナ危機を変革のチャンスと捉える企業が増えている

新型コロナウイルスの感染拡大は社会・経済に多大な影響をもたらした。政府の緊急事態宣言によって外出自粛要請がなされ、多くの企業がテレワークを導入する一方で、臨時休業を余儀なくされた施設や店舗も少なくない。個人の生活レベルでは、インターネット通販の利用が増えたり、店舗ではキャッシュレス決済が積極的に利用されたりするなど、行動様式が変化した。

KDDI株式会社 経営戦略本部 KDDI DIGITAL GATE センター長 山根 隆行
KDDI株式会社
経営戦略本部
KDDI DIGITAL GATE
センター長

山根 隆行

テレワークやネット通販、キャッシュレス決済などは、いずれもコロナ危機の前から企業にとってデジタル化対応の最優先課題であった。コロナ危機によって、その対応をさらに加速させることを企業は迫られているといえるだろう。

顧客企業との共創により、DX推進や新規ビジネス創出を支援してきたKDDI DIGITAL GATEでは、デジタル化対応に対する企業の姿勢の変化をどのように感じ取っているのだろうか。

「緊急事態宣言の発出前と解除後の現在とでは状況が大きく変わっています」と話すのは、KDDI DIGITAL GATE センター長の山根 隆行氏だ。

「新型コロナの感染拡大が始まった当初は、新たな投資を控えようとする企業が多く見られました。しかし、終息までには時間がかかり、しばらくは新型コロナと共存せざるを得ないことが明らかになってくると、むしろこの危機を変革のチャンスと捉え、新たな取り組みを進めようと考える企業が増えてきたと感じます」

2018年夏に開設されたKDDI DIGITAL GATEでは、KDDI DIGITAL GATEスタッフと顧客企業、場合によってはKDDIグループ企業のメンバーがワンチームとなり、デザイン思考型(注1)のワークショップやアジャイル開発(注2)によるソフトウェア開発などを通じて、課題解決や新規ビジネスの創出を行っている。

  • 注1)モノやサービスをつくる前に、人を中心に課題を発見して、そのソリューションを探索する。イノベーション創出や新規ビジネス開発の手法として用いられる。
  • 注2)市場が変わり続けることを前提に、顧客価値の高い製品やサービスを小さく素早くつくって、市場に合わせてより良いものに磨き続ける企画開発の在り方。
  •  KDDI DIGITAL GATEではアジャイル開発の中でも、スクラムと呼ばれる手法を採用している

山根氏によると、KDDI DIGITAL GATEにおいてはコロナ危機が顕在化した後、相談案件はむしろ増えており、今年4月からのわずか1カ月半ほどの間に8月末までのチームの稼働予定がほぼ埋まってしまったという。案件の数が増えているだけでなく、案件の規模も大きくなった。さらには、コロナ危機の前には、デジタル技術を活用した業務改革と新規ビジネス開発に関する相談がほぼ半々の割合だったが、現在は新規ビジネス開発の方が圧倒的に多くなっている。

「DXに取り組まなくてはならないという課題感はもともと多くの企業が持っていたわけですが、新型コロナの影響で従来の収益モデルの持続可能性に懸念が生じる事態となり、新規ビジネス開発を加速させなくてはいけないという機運が高まっている印象です」と山根氏。

ウィズコロナの時代を乗り切るには、既存事業を守るだけでは不十分であり、“勝てる”事業創造が不可欠だ。そのためにも、今こそDXにアクセルを踏む必要がある。そう考える企業が増えているようだ。

KDDI DIGITAL GATEの全プロセスを素早くオンライン化

ウィズコロナの中でも、KDDI DIGITAL GATEへの相談案件が増え続けている大きな理由の一つとして、「体験ツアーからワークショップ、スクラム開発までのプロセスを全てオンライン化した」(山根氏)ことが挙げられる。

最初のステップである施設の体験ツアーは、バーチャル空間で行えるようにした。案内役を務めるKDDI DIGITAL GATEのスタッフはVR(仮想現実)ゴーグルを装着してバーチャル空間に再現された施設「VIRTUAL DIGITAL GATE」の中を歩き、概要を説明していく。その映像が専用のツールを通じて顧客企業に配信され、離れた場所にいても体験ツアーに参加できる仕組みだ。VRシステムの企画・開発に当たっては、KDDIが出資するテクノロジーベンチャー、Synamon(東京都品川区)と協業した。
 

バーチャル空間を活用した体験ツアーのイメージ

バーチャル空間を活用した体験ツアーのイメージ

「VIRTUAL DIGITAL GATE自体は、遠隔地の顧客企業や展示会の来場者向けにKDDI DIGITAL GATEを紹介する目的で、もともと開発していたのですが、今回のコロナ危機で体験ツアーにも使えそうだというアイデアが出て、3週間ほどで体験ツアー用の機能を新たに追加し、検証を経て実用化しました」と、山根氏は振り返る。

2つ目のステップは、デザイン思考をベースにしたワークショップだ。エンドユーザーが持つ課題やニーズの深掘りを行うこのワークショップをオフラインで行う場合は、付箋紙を用いてアイデアや意見などを書き出していくが、現在はオンライン上にホワイトボードツールを用意し、デジタル付箋を貼り付け、議論を進めている。

「単にオフラインの会議をオンライン上に再現しようとするのではなく、オンラインならではのメリットを生かすことが議論を活性化させるポイントです」と山根氏。

例えば、会議のメンバーが出したアイデアへの人気投票を行う場合、誰がどのアイデアに投票したのかが分かってしまうと、後から投票する人に心理的なバイアスが生じることがある。オンラインならばウェブ会議システムの機能を使って、誰がどのアイデアに投票したのか分からないようにできるので、そうしたバイアスを回避できる。その他にも、オンラインなら場所の制約から解放され、複数の拠点に散らばる担当者が同時に参加できるなどのメリットがある。

そして3つ目が、アジャイル開発によるソフトウェア開発のオンライン化だ。「アジャイル開発は、その日にチームが何をやるのかといったタスクが明確で透明化されており、もともとオンライン対応がしやすいので、この機会に開発は全てオンラインで行うことにしました」(山根氏)。

朝の計画会議や夕方のレビューなどのミーティングは、ウェブ会議システムで行う他、会議以外の時間帯でも開発チームのメンバー同士がいつでもコミュニケーションを取れるようにしている。オフラインでの雑談の中から創造的なアイデアが生まれるとよく指摘されるが、KDDI DIGITAL GATEではオンラインで雑談する時間を意図的に設けている。

顧客企業からは、「オフラインと同じクオリティーの活動ができている」と、高い評価を得ている。

Back view of female employee speak talk on video call with diver

このように、コロナ危機という未曽有の環境変化に対して、KDDI DIGITAL GATEが迅速に適応することができた背景には、スタートアップと大企業が共創するオープンイノベーションの場を提供することを通じて、そのエコシステムに参画する企業と強固な信頼関係を築いてきたことがある。

先述のSynamonは、KDDIがスタートアップ向けに立ち上げたインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」(ムゲンラボ)に参加しており、KDDI DIGITAL GATEがKDDI ∞ Laboと緊密に連携してきたからこそ、スピーディーにプロジェクトを遂行することができた。

さらに補足すると、今年4月以降にKDDI DIGITAL GATEに相談を持ち込んだ企業の多くはリピーターだった。つまり、KDDI DIGITAL GATEでのプロセスを実際に体験したことがある企業が、その体験価値の質の高さと、そのときに実感した信頼に基づいて再度相談を持ち掛けたということだ。これは、あらゆる危機的状況においては、企業同士の信頼関係こそが迅速な意思決定と行動につながるという事実を物語っているといえるだろう。

「いきなりオンラインのプロセスを体験してもらっても、お互いに対等なパートナーと認識できるような信頼関係がないと、KDDIとお客さまがワンチームにはなれません。KDDI DIGITAL GATEとしても、お客さまと信頼関係を築くことを最も重要視しています」と山根氏は語る。

小さく、素早くサイクルを回し、短い時間軸で成果を出す

コロナ危機の前からDX推進と新規ビジネス創出に対する課題感があったにもかかわらず、日本ではまだ、その成功事例が少ないといわれる。成功確率を高めるためには、何が必要なのだろうか。その疑問に対して山根氏は、「小さくかつ素早く、構築、検証、改善のサイクルを回して、短い時間軸で成果を出すこと。そのためには、自社だけで考えるのではなく外部の力もうまく組み合わせながら、プロセスを加速させることが重要です」と答える。

日本の大企業の多くは、企画、開発、設計、運用などを担当する組織がそれぞれ縦割りになっており、ベルトコンベヤー式で開発が進められる。しかし、変化の激しい時代にそうしたやり方を続けていては、世の中のスピードに付いていけない。

「新しい製品・サービスの開発をプロセスごとに分割せず、スモールチームが1日単位、1週間単位の短期間でサイクルを回しながら、試作とテストを繰り返していくことが大事です」(山根氏)ウィズコロナの状況下においても、企業がDX推進や新規ビジネス創出で素早く成果を出すことを支援するために、KDDI DIGITAL GATEでは「新規ビジネス創出特別プログラム」を無償提供することを決めた。

コロナ危機によってプロジェクトが凍結されてしまった企業や、新たなプロジェクト立ち上げのために本格的な予算獲得が必要な企業などのために、KDDI DIGITAL GATEが提供しているプロセスのうち、ワークショップとプロトタイピングを約1週間で実施するものである。これらのプロセスは全てオンラインで提供される。

「約1週間と短い期間ではありますが、目に見えて動くソフトウェアを実際に開発できると、社内を説得しやすいはずです。担当部門の“スモールサクセス”がきっかけとなり、全社的なDXの推進、新規ビジネスの創出につながることを願っています」。山根氏は期待を込めてそう語る。

特別プログラムの提供期間は2020年7月から9月までで、実行案件の数は限られるので、興味のある方は一度、問い合わせてみてはどうだろうか。

さて、ウィズコロナの先、アフターコロナを見据えたとき、既存のビジネスモデルが立ち行かなくなると不安を抱える企業も多いだろう。それに対して、山根氏は次のように話す。

「ビジネスモデルとは、企業が生み出した顧客価値を持続的に提供するための手段ですから、誤解を恐れずに言えば、後からどうにでもなる部分があります。つまり、ユーザーにとって本当に価値あるものをつくり、ユーザーがそれを使い続けている状態を構築できれば、それを軸としてビジネスモデルは変化させることができます」

KDDI DIGITAL GATEでの共創によって、ユーザーの真の課題をしっかりと定義し、課題を解決するための革新的な価値を創出することができれば、ビジネスとして成り立つことを山根氏は確信しているのである。

今後は、KDDIグループとしての強みをさらに生かして、顧客企業をサポートしていきたいという。「KDDIは、ビジネスの根幹である”通信”を最大限に生かした『リカーリングモデル』の構築を支援していくことで、お客さまのDX実現にともにチャレンジしていきたいと考えています。お客さまとよく議論した上で、お客さまの事業に最適なリカーリングモデルを共創していきたいですね」と山根氏。

昨年6月に開催された「KDDI 5G SUMMIT 2019」において、KDDIは5G時代の社会ではデジタル化が加速し、企業がユーザーのニーズに合わせて継続的・循環的に価値を提供するリカーリングモデルが広がるとした。リカーリングモデルに進化させた新規ビジネスの創出に当たっても、KDDI DIGITAL GATEは共創の場として注目の存在となるに違いない。

KDDIが考えるリカーリングモデル
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