御殿場市
産業スポーツ部 勝俣 昇 様
富士登山の安全性や利便性の向上に、登山者数の把握が欠かせません。今後の整備計画にも役立つでしょう。
効率的に登山者数を把握し、今後の施策に生かすために、IoTセンサーの有用性を検証
登山者数を把握することは、登山者の安全性・利便性を高めていく上で極めて重要なデータとなります。
御殿場市では、登下山道に加え、複数あるハイキングコースの利用者数の把握を効率的に行うとともに、KDDIと「データの見える化」の実現を目指しました。
これまで登山者数の計測は、登下山道を中心に行っており、ハイキングコースの把握まではできていませんでした。また、計測データを収集するためには、担当者が計測場所まで登山する必要があるため、データをリアルタイムに取得し、登山者へ情報公開を行うといった手段もありませんでした。
省電力で広域エリアをカバーでき、過酷な自然環境にも耐えられるIoTセンサーが必須
本プロジェクトでは、御殿場口の登下山道とハイキングコースという広いエリアにおいて、約1カ月にわたり登山者数のカウントを行うため、省電力で広域エリアをカバーする仕組みが必要でした。また、富士山の過酷な自然環境に耐えられるように、防水性や耐久性に配慮した作りでなければなりません。
そこで、IoTの通信規格であるLoRa WANを用いて、通信エリアの検証と、IoTセンサーの電力消費量と電源耐久性の確認を行い、その結果を踏まえて今後の実運用を検討することになりました。
また、Webサイトで公開するアプリケーションを構築するために、「KDDI IoTクラウド Creator」を利用し、アジャイル開発手法を用いて、短期間でサービスの提供を実現しました。
登山者数の把握のみならず、登山者・ハイキングコース利用者の分析を通じて
整備計画やツアー企画の立案も可能に
市の担当者や登山者自身が、いつでも、どこからでも、登下山道やハイキングコースの混雑状況をWebサイトで確認できるようになりました。見える化の結果、新たな事実として、山頂を目指さず、散策をして新五合目に戻る観光客やハイキング客が全体の8割ほどを占めることが分かりました。御殿場口の新五合目付近はハイキングコースが整備されているので、その周辺を散策したり、山小屋でお茶を飲みながら美しい山容を仰ぎ見るだけでも十分楽しめると考えている方が予想以上に多いといった分析も可能となりました。
また、約1カ月にわたる検証の結果、通信エリアやIoTセンサーの電力消費量・電源耐久性の実用性も確認できました。
「LoRa PoCキット」
※ 2024年3月をもって、サービスの提供を終了いたしました。