株式会社 長大
経営企画本部 財務・法務部 部長補佐 笠原 拓郎 様(中央)
事業推進本部 事業企画部 専門技師 海野 邦夫 様(左)
事業推進本部 事業企画部 専門技師 舘 辰正 様(右)
インドネシアでの小規模水力発電事業を、IoTを活用して効率のよい運用体制に
新興国でのエネルギー事業における地域発展のための最善策はIoTの活用による運用の最適化
瀬戸大橋をはじめ国内外の大規模橋梁を数多く手掛けたことでも知られる建設コンサルタントの株式会社長大 様。
株式会社長大 様では新興国での新エネルギー事業をこれからの成長戦略に掲げて事業展開をしています。これまでにフィリピンなど東南アジアを中心に、計画から設計にとどまらず、運営・管理まで総合的にコンサルティングするサービスを提供してきましたが、地域の発展につながる効率的なエネルギーの発電には、運用時のデータ収集や分析の自動化など、IoTの活用は欠かせないと感じていました。
1.広大な発電施設内を安価でつなぐネットワーク
2.発電施設の効率的なマネジメント
水力発電は小規模といっても山間部に設置することが多く、携帯電話の電波が届かない場合がほとんどです。かろうじて電波が届いた場合でも利用料金が高価ではコスト的に導入は難しく、導水管なども含めると全長で5kmにも及ぶ広大な施設のため、低価格でセンサーからの情報を安定して送ることができる技術を探していました。また、効率的な発電のために、データや画像を見ながら、水位をコントロールしたり未然に施設の故障や障害を防ぐ管理体制も必要でした。
LoRaを使うことで低価格かつ信頼性のあるリアルタイムのネットワークが実現
データは日本でも管理可能に
低消費電力で広域通信可能なLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークのLoRaを利用することで、安価なランニングコストでの運用ができるようになったことが導入の決め手となりました。
現地の無線許認可はKDDIが担当し、インドネシア国内であれば同じ免許で設置が可能で、他の施設での導入も容易となりました。事前に実施した実証実験の結果も満足のいくもので、取得したデータは発電所の管理施設や、インドネシアのオフィスだけではなく、日本からもリアルタイムで閲覧することができるようになり、より効果的なコンサルティングを行うことができるようになりました。現地の管理会社にとっても優秀な管理者が一名常駐すると思えば、決して高くない費用感でのサービス提供が可能になったことは、大きなアドバンテージです。
クラウドのデータを見て遠隔地からの指示が可能になり効果的な発電施設のマネジメントにつながる
これまでは水量や水位などは、紙に定期的に書き込んでいたり、タブレットに入力したりすることで記録をしていたのですが、時間のズレや誤記など信頼性に欠けるデータも散見されました。
このシステムの導入で、指定した間隔でのデータ取得が24時間365日、可能となり、クラウドにアップされているデータを見て、遠隔地から水位や水量の状況を把握することが可能になりました。効果的な発電施設の運用管理につながり、将来的には地域の発展にもつながると期待しています。
構成図