KDDIエボルバでは、未来に目を向け、
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KDDIグループの一員として、コンタクトセンターをはじめとするビジネスプロセスアウトソーシング (BPO) 事業を手がけ、成長・発展を続けているKDDIエボルバ。その成長の原動力と今後の展望について、同社代表取締役社長である若槻 肇 氏に話を聞いた。
――KDDIエボルバの成り立ちと事業内容をご紹介ください。
若槻 弊社は中核事業としてコンタクトセンターのBPOサービスを手がけ、1兆円規模とされる国内コンタクトセンター市場においてトップ3 (注1) に数えられる地位を確保しています。
また、コンタクトセンター事業に加えて、エンジニア派遣、ITアウトソーシング、システムインテグレーションなどを手がけるITソリューション事業や人材派遣・電報サービスなども展開しており、社員数は2022年6月時点で約2万8,000人に上っています。
――KDDIグループの中で、どのようなミッションを担っているのですか。
若槻 肇 氏
若槻 KDDIグループでは現在、
「コーポレートDX」「ビジネスDX」「事業基盤サービス」の3つを “NEXTコア事業” と位置づけています。弊社は、その中の「事業基盤サービス」の一部を担っています。すなわち、コンタクトセンターやITインフラといった事業基盤の運営・運用を支えるサービスをクライアント企業様に向けて提供し、DX (デジタルトランスフォーメーション) をバックアップするのがミッションです。
――KDDIエボルバは、2021年に「すごくいいふつうを、つくる。」というコーポレートメッセージを打ち出しました。ここには、どのような意味が込められているのでしょうか。
若槻 BPOサービスは、クライアント企業様の日々の事業活動に欠かせない業務を代行するものです。これらは空気や水のような「ふつうに存在するもの」であり、そうした当たり前の存在であり続けることがBPOサービスの基本です。
ただし、単に「ふつう」を追求しているのでは、弊社の価値を高く保つことはできません。大切なことは、クライアント企業様の事業運営に不可欠なサービスを「最高のかたち」で提供することです。例えばコンタクトセンターであれば、お客さまへ感動的な体験を提供し、クライアント企業様の市場競争力強化に貢献することが重要だということです。
この「すごくいいふつうを、つくる。」というメッセージは、KDDIエボルバの社員がボトムアップで策定したものです。そこにはBPOサービスのベンダーとして、お客さま、クライアント企業様双方にとって特別な存在であり続けたい、という現場の想いが込められています。
――KDDIグループ以外のクライアント企業様との取引も多いのですか。
若槻 製造、通信、金融・保険、官公庁などKDDIグループ以外のクライアント企業様とも広く取引しており、売上比率としては、4割を超えています。過去5年間の売上高も伸び続けており、2022年3月期も前年度比12%増の1,190億円となっています。背景要因としては、クライアント企業様の裾野が拡大していることに加えて、DXに関する取り組みが、新型コロナウイルス感染症の流行を機に加速したことが挙げられます。
例えばコンタクトセンターは、新型コロナ禍によって人同士の接触が厳しく制限されたことで、多くの企業が
「お客さま対応」「接客」のデジタルシフト、ないしは非対面化を急ぐ必要に迫られました。それが結果的に、コンタクトセンターの拡充、増強につながり、弊社のコンタクトセンターソリューションの需要を大きく押し上げるかたちになりました。
――クライアント企業様の選択肢としては、自社でコンタクトセンターの拡充、新規立ち上げを行うという手もあると思います。そうした中で、BPOサービスを選択するベネフィットはどこにあるのでしょうか。
若槻 自社でコンタクトセンターを増強、あるいは新たに立ち上げて運営していくのは簡単なことではありません。人材を確保するだけでもかなりの手間とコストがかかります。しかも、今日のコンタクトセンターは、電話だけではなく、メールやチャット、SNS、Webなど、さまざまなデジタルチャネルを通じた対応も充実させなければなりません。そのための設備構築や運用にも、相応の投資と工数が必要とされます。
一方で、企業が真に欲しているのはコンタクトセンターそのものではなく、問い合わせしてきたお客さまにもたらす良質な体験 (CX) であるはずです。それを提供する効率的で合理的な方法が、人、設備、ノウハウをすべて有するBPOサービスを活用することです。これによってクライアント企業様は、自社の人的リソースを、より戦略的な業務に集中的に投入することが可能になります。
――KDDIエボルバのコンタクトセンター事業の強みをお聞かせください。
若槻 auを使用する約6,000万IDの個人・法人さまへの対応実績や、数多くのノウハウを有していることです。また、全国40拠点、約1万6,000席の豊富なリソースを擁している点も、弊社の強みとなっています。
加えて、高品質なコンタクトセンターサービスを構築・運用するための独自のガイドライン「エボルバ・スタンダード」を確立し、目標指標数値の分析と改善、最適な人材マネジメントを展開しています。それによって実現される「人」の対応力と、
AI (人工知能) チャットボットやボイスボット (自動音声応答システム) 、ビジュアルIVR (注2) 、RPA (注3) といった先進テクノロジーを駆使した広範なソリューションによって、コンタクトセンターの品質向上・業務最適化を支援し、顧客体験 (CX) 価値向上と市場での競争力強化に貢献できる点が、弊社の特色であり、差異化のポイントです。
言い換えれば、コンタクトセンターを従来のコスト (経費) センターからプロフィット (利益) センターへと転換できることが、弊社ソリューションの強みと言えます。
――プロフィットセンター化を実現するサービスとは、具体的にどのようなものですか。
若槻 代表的なものは、コンタクトセンターを通じて収集されたVOC (Voice of Customer : お客さまの声) を分析し、サービスの品質向上や商品の改善、新規開発に生かすサービスです。また、先進テクノロジーを活用し、コミュニケーションデザインを最適化する「アセスメント・コンサルティングサービス」です。
アセスメント・コンサルティングサービスでは、「カスタマーサポート適正化診断」「コンタクトセンター品質アセスメント」「FAQナレッジアセスメント」「AIチャットボット品質アセスメント」「業務プロセス自動化アセスメント」といったサービスを提供しており、それらを通じて、クライアント企業様のコンタクトセンター運用の現状を評価・数値化し、品質向上と業務最適化に向けた課題を明らかにします。そのうえで、先進のテクノロジーを使った業務の自動化など、幅広いアウトソーシングサービスを提供しています。
――KDDIエボルバが提供するソリューションを活用し、大きな成果を手にしたクライアント企業様の事例をご紹介ください。
若槻 多様なソリューションを組合せた成功事例の一つは、東日本旅客鉄道 (JR東日本) 様のケースです。同社では「モバイルSuica」の会員数増加に伴い、電話窓口のみで対応していたコンタクトセンターへの問い合わせが増加していました。
そこで呼量の削減や応答の効率化・自動化を実現するためにセンターオペレーション全体のアセスメントを実施し、そのうえで「AIチャットボット+ヒューマンチャット」によるノンボイス対応のソリューションをご提案しました。
結果として今日では問い合わせの約80%がノンボイス対応で完結できるようになり、コールからノンボイス化へのスムーズなシフトが成功しました。
また、カゴメ様 通信販売の『健康直送便』では、先進のテクノロジーを活用してコンタクトセンターのDXを推進し、成果を上げていらっしゃいます。弊社はボイスボットとビジュアルIVRを提供しており、音声応答の効率化・自動化を支援しています。その効果として、カゴメ様 通信販売の『健康直送便』が展開している一部サービスの問い合わせについては、人で対応すべき点と自動化の仕分けを進めることに成功し、サービスのレベルを落とすことなく呼量の削減を実現しています。加えて、ボイスボットは24時間365日稼働可能であり、時間や場所に捉われることなく問い合わせができるため、CX向上にも貢献しています。
このほか、VOC分析サービスも、先進的なクライアント企業様の間で活用が進んでいます。
――「共創」という言葉がでましたが、クライアント企業様との共創は今後も重要になりそうですね。
若槻 コンタクトセンターのDXによって何を実現したいかは、クライアント企業様によってさまざまです。そうした多様なニーズに対応するためにも、クライアント企業様とともに先進テクノロジーを使った新しいオペレーションのあり方、顧客体験 (CX) のあり方を共創していくことがとても大切です。
その観点から、2022年5月にコンタクトセンター / バックオフィスセンターDXの共創施設「Evolva Next Digital Labo」を開設しました。
この施設は、DXに必要とされるテクノロジーを体感していただき、PoC (概念検証) や試験運用、そして導入へとスムーズに進めていただくための場です。また、既存ソリューションの検証を通じて、新たなサービスをクライアント企業様とともに創り上げる場としても機能しています。
若槻 こうしたオペレーションの高度化や効率化、自動化も大切な取り組みですが、優れた人材の確保、育成も同時に重要だと認識しています。テクノロジーの発展は目覚ましいとはいえ、コンタクトセンターなどのBPOサービスは人中心の事業であることに変わりありません。
弊社の価値観に共感し、働く意欲とスキルをもった方ならば、誰でも快適に働けるというスタンスで、優れた人材の確保と持続的な事業の成長につなげていく考えです。
――本日はありがとうございました。