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急速に進化するドローン技術は、産業の在り方や社会構造そのものを大きく変えつつある。通信技術やAIとの融合によって、従来の限界を超えた活用が広がり、業務効率化から社会課題の解決まで、その可能性は無限だ。本記事では、驚異的な成長を続けるドローン市場の動向や、ドローンが切り拓く未来の可能性を具体的な事例とともに紹介する。
ドローン技術の急速な進化が、私たちの生活や産業に大きな変革をもたらしている。AIやセンサー技術の向上により、ドローンの性能は飛躍的に進化し、今や空撮ツールの域を超え、多様な業務を効率化し、新たな価値を生み出す革新的なツールへと成長している。また、ドローンがもたらす業務革新は、単なる効率化にとどまらない。新たなビジネスモデルの創出や、従来は解決が困難だった社会課題への対応など、その影響は多岐にわたる。
KDDIは、この技術革新の最前線に位置し、さまざまな分野で先進的な取り組みを展開している。通信技術と融合させることで、ドローンの可能性を最大限に引き出し、さらなる社会価値の創出を目指している。
近年、日本国内のドローンビジネス市場は飛躍的な成長を遂げており、その成長率は極めて高く、将来的にも大規模な拡大が予測されている。特に、ドローンを活用した業務を提供するサービス市場は市場全体において重要な役割を果たしており、機体市場、周辺サービス市場 (人材育成・メンテナンス・バッテリーなどの消耗品を含む) もそれぞれ堅調な成長が期待されている。このような市場拡大の背景には、農業や土木・建築分野でレベル2飛行を伴うドローンの活用が進んでいることが挙げられる。
例えば、農業では農薬散布やリモートセンシングが普及しつつあり、土木分野では測量や進捗管理でドローンの活用が始まっている。2022年12月には、機体認証、無人航空機操縦者技能証明、運航に関わるルールが整備され、有人地帯での補助者なし目視外飛行 (レベル4) が可能となった。レベル4飛行には第一種機体認証を取得したドローンの利用が必須である。現時点では認証取得済の機体は1種類しか存在しないというのが実情だ。
ドローンレベル | 操縦 | 自動・自律 | |
---|---|---|---|
目視内 | 目視外 | ||
無人地帯 (離島や山間部等) | レベル1 目視内で操縦飛行 |
レベル2 目視内で自立飛行 |
レベル3 無人地帯での目視外飛行 |
有人地帯 | レベル4 有人地帯での目視外飛行 |
その一年後、2023年12月、国土交通省よりレベル3.5飛行を可能とする審査要領が改正、追加された。
中山間地域における無人航空機を活用した配送サービスの事業化を推進するため、デジタル技術を活用 (機上のカメラによる歩行者等の有無の確認) することで、補助者や看板の配置といった現在の立入管理措置を撤廃するとともに、無人航空機の操縦ライセンスの保有および保険への加入により道路や鉄道などの横断を伴う飛行を容易化したのだ。
このように柔軟な改正は物流のラストワンマイル問題 (顧客引渡の最終プロセスにおける配送人員不足) の解決だけでなく、インフラ点検などでの活用にも期待できる。
通信環境が悪く、新たな通信回線の引込みが困難なエリアでは、ドローンを用いたインフラ点検が難しい。しかし、Starlinkを活用した「Satellite Mobile Link」と上空LTE対応ドローンを組み合わせることで、通信の問題は解決し、効率的な点検が可能になる。
例えば、ダムなどの通信不感エリアでも「Satellite Mobile Link」で構築したエリア圏内の点検飛行が可能となり、遠隔地からリアルタイムにダムの状況を把握できる。これにより、作業員の安全確保と設備保全の両立が可能となる。
2024年9月、能登半島地震の影響で通行止めとなった石川県輪島市の国道249号啓開工事に、自動充電ポート付きドローンを常設。現場状況を日々デジタルツイン化することで、迅速な状況確認と効率的な復旧作業を実現している。
KDDIスマートドローン社は、自治体や企業と連携し、さまざまな実証実験を通じて全国各地で物流課題の解決を図っている。例えば、自治体運営によるドローン配送事業、宿泊施設への荷物運搬、また、「買い物弱者」や災害時の孤立地域への食料品や日用品の配送を想定した取り組みなどが進められている。
ドローンを活用した「スマート農業」の実証実験では、傾斜20度以上・2,000平方メートルの畑に対し、自動飛行ドローンを用いた農薬散布を実施した。その結果、従来の手作業では約2時間かかっていた作業が、ドローンの活用によりわずか8分に短縮され、作業時間を約93%削減することに成功している。
これは、農業従事者の高齢化や後継者不足、労働力不足といった深刻な課題に直面する日本の農業界に、新たな解決策と大きな可能性を示している。
KDDIの強みである通信技術を活かしたドローンの遠隔操作が、建設業界に革新をもたらしている。KDDIスマートドローン株式会社と大林組は、石川県輪島市の国道249号啓開工事において、自動充電ポート付きドローンを活用し、遠隔操作による現場のデジタルツイン化を実現した。
現場に常設されたドローンを東京都内のKDDIオフィスで遠隔運航し、Starlink経由でクラウドに写真データをアップロード。これにより、3次元モデルとパノラマ写真が生成され、広範囲の計測が効率化された。従来は不可能だった全長3kmの工事現場の土量計算や出来高管理が、迅速かつ正確に実施可能となり、現場監理業務を80%削減する効果も確認された。一般的なドローン測量と比較し、現場準備やデータ処理時間を1日当たり約75分短縮する成果が出ている。
このほかにも、ドローンとAIを融合させることで、業務の精密化を進めている。例えば農業分野では、ドローンに搭載されたAIが上空からの映像データを解析し、作物の生育状況や土壌状態、果実の実り具合、葉の色のわずかな変化まで詳細に把握することができる。これにより、データに基づいて肥料や農薬の最適な使用量を管理し、農作業の効率化とコスト削減を実現する。
また、これまで「職人技」とされてきた農業のノウハウも、データとして蓄積・共有することで次世代へ継承が可能になる。科学的根拠に基づく技術共有が進むことで、農業全体の効率化や品質向上がさらに加速すると期待されている。
ドローンの活用は、さまざまな分野で社会的な変革をもたらしている。特に少子高齢化が進む日本においては、労働力不足が深刻な問題となっているが、ドローンを活用することで、人手不足が顕著な建設業や農業、物流業などで作業の自動化や効率化が進み、労働力不足の解消と生産性の向上が期待される。また、ドローンは高所作業や危険地帯での業務など、人間にとってリスクの高い作業を代替することができるため、作業員の安全性も大幅に向上する。
2024年12月、太陽光発電施設での銅線盗難対策など警備人材不足の対策として、1人の遠隔操縦者がドローン3機を同時運航する実証に成功した。山間部など目立たない場所にある発電所では、夜間に銅線ケーブルの盗難が頻発し、再生可能エネルギー供給への影響が懸念されている。ドローンを使えば、夜間や立ち入りにくい場所でも監視することができ、広範囲の警備が実現可能だ。さらに、ドローンポートを利用することで、現地に常駐する必要なく遠隔から迅速に監視ができ、人材不足の解決にも貢献が見込まれる。
関連記事:遠隔操縦者1人が3空域における夜間のドローン3機同時運航実証に成功 | KDDI News Room
さらに、環境負荷の低減という点でもドローンは有効だ。従来のトラック輸送に比べ、ドローンによる配送はCO2排出量を大幅に削減できるため、環境への貢献が期待されている。KDDIは環境省の事業に採択され、ドローン配送によるCO2排出量削減の実証実験を進めている。このように、労働力不足の解消、安全性の向上、そして環境負荷の低減という3つの側面から、ドローンは社会的インパクトをもたらし、新たな可能性を広げている。
ドローン技術の未来は、さまざまな分野での革新を通じて大きな展望を見せている。AIと自動運転技術の進化により、完全自動化が現実のものとなりつつある。
2024年10月、1人の操縦者が、気象条件など運航環境が異なる全国4地点で計5機体のドローンを同時に運航する実験に成功した。これは将来的な完全自動化への重要なステップとなるだろう。
関連記事:遠隔操縦者1人が全国4地点のドローン5機体同時運航に成功 | KDDI News Room
また、ドローンはIoTデバイスと連携することでさらなる可能性を秘めている。例えば、スマートシティの実現に向けてドローンがセンサーネットワークの一部として機能すれば、都市全体のモニタリングや管理が効率的に行えるようになるだろう。
さらに、ドローン技術の進化は既存産業の効率化だけにとどまらず、新たな産業の創出にもつながっている。例えば、空飛ぶタクシーや大型ドローンによる物資輸送など、これまで想像もしなかった新しいサービスが次々と現実のものとなりつつある。
このように、ドローン技術は未来社会の基盤として、さまざまな形で私たちの生活や産業に変革をもたらす可能性を秘めている。
ドローンの導入プロセスは、慎重な計画と段階的なアプローチが必要である。
まず、企業のニーズに合わせた適切な機材の選定が重要だ。
商品名 | メーカー | 概要 | こんなニーズにおすすめ | 主な利用ケース | 外観 |
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Matrice 350 RTK | DJI | 拡張性が高く、幅広い用途に対応するエンタープライズ機 |
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測量、点検、監視 | |
Matrice 30 | DJI | 複数カメラを標準搭載した、ハイコストパフォーマンス機 |
|
測量、点検、監視 | |
DJI Dock2 | DJI | 効率的で高品質の自動オペレーションを実現 |
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自動点検、監視 | |
Mavic 3 Enterprise | DJI | 測量やマッピングも行える産業用ドローンのエントリー機 |
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測量、点検、監視 | |
Skydio X10 | Skydio | 暗闇での自律飛行を可能にしたAI搭載のドローン |
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屋外設備の点検 | |
Skydio 2+ | Skydio | 狭い場所や屋内点検など、小型で自律飛行可能なドローン |
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屋内設備の点検 | |
Skydio 2+ & DockLite | Skydio | 遠隔地の自動巡回飛行や撮影に |
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屋内設備の点検 屋内空間の自動巡回 |
導入に際しては、機種選定だけでなく、運用支援や必要なインフラ・システムの構築まで総合的なサポートを受けることが望ましい。本格的な導入前には、トライアルやレンタルで効果を検証し、潜在的な課題やリスクの洗い出しをすることが推奨される。
実際のドローン導入プロセスは、一般的に以下のステップを踏む。
特に、安全運用のための研修やトレーニングは重要であり、座学と実技を組み合わせた包括的なプログラムを受講することが望ましい。また、導入後の継続的なサポートも重要である。定期的な点検や、必要に応じた運用コンサルティング、オペレーションサポートなどを受けられる体制を整えることで、長期的かつ安全な運用が可能となる。
ドローン導入は、業界や用途によって最適なアプローチが異なるため、専門知識を持つ企業のサポートを受けながら、段階的に進めることが成功の鍵である。
KDDIでは、さまざまな業界における運用支援や課題解決に向けた実証実験の支援など、豊富な運用支援実績があり、ドローンの導入から運用支援までをトータルにサポートしている。
ドローン技術の進化は、私たちの生活や産業に革命的な変化をもたらす。労働力不足の解消、安全性の向上、環境負荷の低減など、社会課題の解決に大きく貢献する可能性を秘めている。
KDDIは、通信技術とドローン技術を融合させることで、この革新的な技術の可能性を最大限に引き出している。遠隔操作や自動充電ポートの活用、AIとの融合など、先進的な取り組みを通じて、人々の暮らしの中でドローンが活躍する社会の実現を目指す。
今後、ドローン技術はさらなる進化を遂げ、完全自動化の実現やIoTデバイスとの連携、新たな産業の創出など、私たちの想像を超える可能性を秘めている。ドローンが切り拓く未来社会は、効率性と創造性に満ちた、誰もがワクワクするような世界になるだろう。
ドローンが飛び交う未来。それは、もはや遠い夢物語ではない。KDDIの挑戦が示すように、その未来はすでに私たちの目の前に広がっているのだ。