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ドローンをビジネスに利用する理由とは?~通信会社が得意とする活用事例~
【スマートドローン 連載コラム 第1回】

ドローンをビジネスに利用する理由とは?
~通信会社が得意とする活用事例~

ドローンといえばエンタメ要素が強いものというイメージがありますが、じつはKDDIが「スマートドローン」という名称ビジネスへの実用化に向けて取り組んでいるということをご存じでしょうか。

全3回にわたり、スマートドローンについて紹介していきます。
今回は、スマートドローンとは何なのか、どのようなビジネスへの活用期待されているのかも含めて解説します。


スマートドローンとは?

スマートドローンとはドローンにKDDIの通信ネットワーク対応させることで遠隔制御による、より安全長距離飛行可能にするものです。従来ドローンとの決定的な違いは、携帯電話基地局からの遠隔制御可能にし、飛行可能エリア劇的拡大するという点です。

現在市販されている一般的ドローンの多くは2.4GHz帯などのアンライセンスバンドによる制御を行っており、操縦者から一定範囲内でしか飛行させることができません。そのため、操縦者ドローンの間に障害物などがあると飛行距離も短くなってしまいます。

しかし、スマートドローンアンライセンスバンドによる通信ではなく携帯電話ネットワーク活用します。操縦者との直接通信によって制御する従来ドローンと、全国に張り巡らされた携帯電話ネットワーク活用できるスマートドローン比較したとき、通信可能範囲圧倒的な差があることは明らかです。

ちなみに、ドローンのもうひとつの問題点である連続稼働時間については、「ドローンポート」と呼ばれる充電基地のような設備を作ることで課題解消します。


KDDIがドローンに取り組む理由

なぜKDDIはスマートドローン提供するのでしょうか。そこには「ドローン広域自律飛行可能にする」ということと、「大容量データリアルタイム共有できる」という2つのポイントがあります。

従来ドローン訓練を受けた操縦者でしか高度操作ができず、さまざまな業務活用する上で大きな参入障壁となっていました。その場に操縦者がいないとドローンを飛ばすことができないということは、ドローン導入できる場所時間も限られてしまいます。
しかし、携帯電話ネットワーク活用遠隔制御によって自律飛行可能になることで、これまでドローン活用を諦めざるを得なかった多くの業界にも浸透することになります。このように、広範囲での完全自律飛行実現するためには、現在KDDIが提供している4Gの携帯電話ネットワーク必要不可欠存在です。

スマートドローン インフラ

また、KDDIが今後サービス開始予定している「5G」をスマートドローン活用することで、大容量映像データ瞬時クラウドアップロードすることも可能になります。5Gは4Gに比べて通信可能範囲が狭いという現状がありますが、高精細映像データ収集必要とされる業種において5Gネットワーク活用したスマートドローン必要不可欠存在になると期待されています。また、今後は4Gから5Gへの本格的移行が進んでいくため、5G対応エリアは徐々に広がっていく予定です。

このように、4Gと5Gのそれぞれの特性を生かしてドローン活用することで、これまでにない新たなドローン活用方法見出されることになります。


実証実験で見えてきた活用方法

KDDIでは国や自治体企業合同スマートドローン実証実験を行っており、いくつかの具体的活用方法が見えてきています。その中から、今回は「広域監視」と「精密農業」に関する活用事例紹介しましょう。今回紹介するのは、いずれも5Gネットワークによるスマートドローン活用事例であり、今後幅広産業応用されることが期待されています。

広域監視

橋や鉄塔ダムなど、高所での危険が伴うインフラ点検ではドローン活用有効的です。しかし、人の目による点検同等精度実現するためには、超高精細映像撮影しなければなりません。亀裂ヒビ割れ、ボルトの緩みなどは細かな部分まで確認しなければ発見することができないためです。
そこで5Gのスマートドローン活用することで、超高精細な4K映像瞬時クラウドアップロードし、異常早期発見することが可能になります。また、高所作業による危険緩和されるため作業員負担大幅軽減することにもなるでしょう。

精密農業

農業における生育監視スマートドローン活用事例のひとつです。田畑上空からドローン映像撮影し、果実の実り具合や葉の色、土壌状況など、微妙な違いを見極めます。このとき、農作物生育状況を細かに確認するためには超高精細映像データ必要となります。また、田畑全体映像が見られることによって生育状況の違いを一目瞭然把握することも可能
スマートドローン農作物状況が分かると、肥料農薬の量を適切管理することが可能になると期待されています。また、これまで長年経験や勘に頼ってきた農作業におけるノウハウも、データによって蓄積していくことができます。緻密計算に基づいた科学的データがあれば、高度農業技術後世に残していくことも可能になるはずです。

このように、KDDIが推し進めているスマートドローンはさまざまな分野において実用化期待されています。近い将来上空スマートドローン自律飛行しているという光景は決して珍しくないものになっているかもしれません。

(文:西村広光)