2019年4月10日から12日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「Japan IT Week春」には国内外の企業が多数出展し、最先端の技術を駆使したソリューションが展示されていました。
今回は、KDDIの出展ブースに展示されていた4つのソリューションについて詳しくご紹介します。
IoTの技術を活用してグローバルな事業を展開しようと検討したとき、主に以下の3つのポイントが参入障壁として考えられます。
事業アイデアやビジョンがあったとしても、それを実行するためには乗り越えなければならない課題も多く、すべてをクリアすることは決して簡単なことではありません。
そこで、KDDIが提供しているのがKDDI「IoT世界基盤」です。これは、通信回線とデータ蓄積のプラットフォーム、そして各国の法規制や認証取得に関わる部分までをKDDIが一つのパッケージとしてサポートします。
KDDIは通信事業者としての強みを生かし、世界120カ国以上の通信事業者と接続が可能です。また、データ蓄積のプラットフォームにおいては日立製作所とも提携。同社が提供しているデータ利活用の技術「Lumada」の知見を生かし、IoTで収集したデータをどのように活用するかを協創しサポートしていきます。また、各国でIoTサービスを展開する際に必要な法規制の調査、認証の取得についてもKDDIが代行可能。グローバルなIoTソリューションの提供実現に向けてKDDIは心強いパートナーとなってくれることでしょう。
今回の展示ソリューションの中で最も身近な例として分かりやすかったのが、「無人レジ」の活用事例です。無人レジの基本的な仕組みは以下の通りです。
従来のように人間の手による作業ではないため、瞬時に価格が認識され、すばやい会計処理が可能になります。限られた人員の中でも店舗運営が可能で、コスト削減に役立つことでしょう。
無人レジを実現するためには、カメラで撮影された画像が高精細なものでなければなりません。AIによる画像認識の精度を担保するためには、4Kレベルの超高精細な画像である必要があるためです。当然のことながら画像データの容量も大きいため、高速なネットワーク回線が必要不可欠。KDDIが提供を予定している5Gネットワークが大きなポイントとなります。
今回のKDDI展示ソリューションの中でも人気が高かったのが、「ガイドVR 12K」というものです。これはVRのヘッドマウントディスプレイを装着し、周囲360度を見回せる没入感のあるリアルな映像を体験できるソリューション。
不動産の内見や旅行の案内など、実際に現地に行かなければ体験できないようなことがらを伝える際に有効です。また、会議や研修などにおいても臨場感があり集中できるのではないでしょうか。
ガイドVRによって流し出される映像は、12Kという超高精細で大容量のデータです。そのため、会議や研修などリアルタイムで映像を送受信する場合は、5Gの超高速ネットワーク回線が必要不可欠となるでしょう。
KDDI展示ブースの中で一際目立っていたのが「インタラクティブディスプレイ」というサービスです。一見するとただの大型ディスプレイですが、じつは複数人による同時タッチ操作が可能で、テーブルのように横置きで利用することもできるという特徴があります。
イベントや展示会においてプレゼンテーション用に使用したり、自動車ディーラーなどではテーブルのように配置してカタログを表示させたりと、多彩な使い方ができます。55インチのマルチタクションタイプのディスプレイは、従来のタッチパネルに多く採用されている静電式ではなく、赤外線カメラを使ったタッチ検出技術を採用。パネルの裏に赤外線カメラを搭載することで、同時に複数のポイントがタッチされても検出を可能にしています。
インタラクティブディスプレイは超高精細画像を使ったプレゼンテーションや商談に最適ですが、画像データのダウンロードには高速なネットワーク回線が必要不可欠。ダウンロード時間短縮のためにも、5Gネットワークの技術は重要となるでしょう。
KDDI出展ブースでは今回紹介したソリューション以外にも、「ドーム型VRスペース」や「KDDI IoTクラウド ~作業員みまもり~」、「KDDI スマートドローン」、そして5Gエミュレーターを使った「触覚デバイス」などが展示されていました。
IoTによる新たなソリューションは、今後あらゆる産業を再定義するほどの大きな可能性を秘めていると言われています。しかし、それらを実現するためには5Gの超高速ネットワーク回線も必要不可欠な存在です。今回のJapan IT Week春 IoT/M2M展に出展されたソリューションの数々は、IoTはもちろん5Gの重要性についてもあらためて認識させられるものばかりでした。
(文:西村広光)