北海道江差観光みらい機構
今谷 好志 様
仕組みは非常にシンプルですが、観光で訪れた人の役に立つと思います。
ニシン漁で繁栄を極めた江差町
370年以上前の伝統を持つ13台の山車 (ヤマ) が練り歩く
江戸時代から明治時代にかけて「江差の5月は江戸にもない」とうたわれるほどニシン漁で繁栄を極めた北海道・江差町。その繁栄の中で育った夏祭りが「江差・姥神大神宮渡御祭」です。
北海道最古の祭りといわれ、北海道無形民俗文化財に指定されているこの祭りは、江差町の町内を13台の豪華な山車 (ヤマ) が2日間かけて笛や太鼓の音とともに練り歩く壮大なもの。当日には人口7,000人の町が30,000人の観光客でにぎわい、当時の繁栄を思い起こさせる2日間となります。
多くの観光客は、現在どこに山車がいるのか知りたくて観光案内所に訪れます。巡行コースには道の入り組んだ住宅街も多く、場所の説明に苦慮することも多くあったようです。地元の人であれば「今○時ぐらいだから、あの辺りにいるだろう」と想像がつきますが、観光客には見当がつきません。
また、各家で振る舞われる接待を受けながら進むため、巡行時間が予測不能になることもあります。それらの問題を解決するために、山車の現在位置を通知できるサービスが提供できないかと考え、IoT導入の検討を始めました。
GPSで測位した山車の位置情報をWebサイトやデジタルサイネージで地図上に表示
同じ北海道のIoT企業、エコモット株式会社の位置情報デバイスを用いて、クラウド上に位置情報をアップロードします。その位置情報を地図上にマッピングするという仕組みで「非常にシンプルなのですが、観光で江差を訪れた人の役に立つと思います」と言うのは今谷氏。
巡行時、先頭を行く山車と最後尾の山車の二台に位置情報デバイスを取り付けて、GPSやWi-Fiの位置情報を5分間隔で取得しながら進みます。
手軽に始められるコスト感で開発が可能に、自治体サービスに関するアイデアも
地方自治体において、年に数日のイベントに莫大なコストをかけることが難しいのも現実です。今回、既存の位置情報デバイスと「KDDI IoTクラウド Standard」を使うことで安価なサービス開発が可能になりました。
「この仕組みを流用すればバスの運行状況なども比較的簡単に視覚化できそうです」と言うのは今谷氏。そのほか、位置情報デバイスを用いてのアイデアは役場内でも多く出ているようで、江差町からの自治体サービスにおける新しいIoT活用方法の発信に期待が膨らみます。
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