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CEATEC 2019「5Gスペシャルデー」で語られた 大手通信キャリアの5G戦略とは?

CEATEC 2019「5Gスペシャルデー」で語られた 大手通信キャリアの5G戦略とは?

2019年10月15日(火)から18日(金)までの4日間幕張メッセ開催された「CEATEC 2019」。「つながる社会共創する未来」を開催テーマに、超スマート社会実現するためのさまざまなテクノロジーソリューション展示が行われました。
今回記事では、16日(水)午前の部で開催されたカンファレンス「5Gスペシャルデー」の様子を詳しくレポートしていきます。


大手通信キャリアのトップが集結した 5Gスペシャルデー

セコム株式会社 企画部 担当部長 寺本 浩之 氏

今回の5Gスペシャルデーは、先般台風15号および台風19号の爪痕が残る中での開催となったため、初めに1分間黙祷がささげられました。また、重要インフラを預かる通信キャリアとしての責務を果たすべく、懸命復旧作業が行われたことも各社から報告されていました。

総務省主催開催された5Gスペシャルデーには、NTTドコモソフトバンク楽天モバイル、KDDIの経営トップ集結総務省 総合通信基盤局 電波部長 田原 康生 様開会あいさつによってスタートし、5Gの現状今後展開について各社プレゼンテーショングループセッションが行われました。


KDDIが提唱した「UNLIMITED WORLD」と
「AUGMENT (オーグメント) 」

基調講演の後に行われた4社トップによるプレゼンテーションの中で、KDDIは「UNLIMITED WORLD」のキーワードのもと、アンリミテッド料金プラン「auデータMAXプランPro」、「auデータMAXプラン Netflixパック」の提供開始したことを紹介しました。

また、もう一つのキーワードとして挙げたのが「AUGMENT (オーグメント)」です。AUGMENTとは拡張という意味を持つ単語ですが、5Gによってスポーツエンタメ、さらには街そのものに対して新たな体験価値提供する事例紹介しました。

KDDI株式会社 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品第1グループ 課長補佐 杉田 博司

たとえばスポーツ分野においては、野球サッカー使用されるボール内部にIoTセンシングデバイス搭載し、科学的フォーム改善戦術に生かせることを紹介エンタメ分野ではドローンレースに5Gを活用することによって高画質映像中継やYouTuberのLive配信など、新たなライブ・エンターテインメント体験可能にする事例紹介されました。
そして最も象徴的事例として挙げたのが、渋谷の街に拡張現実サービス提供するというもの。スマートフォンカメラを向けると、街のなかに天気情報電車遅延情報、さらには飲食店情報まで、あらゆる情報リアル表示されます。
このように、5Gを活用した具体的な取り組みや実証実験事例多数紹介されました。

KDDI株式会社 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品第1グループ 課長補佐 杉田 博司

また、このような5G/IoT時代におけるビジネス開発拠点として、KDDIは2018年9月に「KDDI DIGITAL GATE」(東京・虎ノ門) を開設しています。すでに利用企業は250社を超え、2019年9月には新たに「KDDI DIGITAL GATE 沖縄」、「KDDI DIGITAL GATE 大阪」を開設したことも取り上げました。KDDI DIGITAL GATEでは単純に5Gを体験できるだけではなく、さらにそこから一歩進んで5Gを活用したビジネスモデル企業一緒に考えることができます。ここから多様企業とのさまざまなコラボレーションが生まれてくることでしょう。


多様な業界と共創しながら 5Gのキラーコンテンツを生み出す

キャリアプレゼンテーション終了した後は、それぞれのトップが同じステージ登壇グループセッションが行われました。
最初テーマは、「4Gと5Gで何が変わるのか?」ということ。これに対してKDDI 高橋社長は、コンシューマー向けにはマルチアングル観戦を例に出しながら「スペシャル場所スペシャル体験価値」を提供できると紹介しました。

セコム株式会社 企画部 担当部長 寺本 浩之 氏
KDDI株式会社 商品・CS統括本部 商品戦略部 商品第1グループ 課長補佐 杉田 博司

一方で、携帯電話ネットワーク歴史を振り返ってみると、3Gはメールなどのコミュニケーション、4Gは動画といったキラーコンテンツがあったものの、5Gでは今のところそのようなキラーコンテンツが生まれているとはいえない現状もあります。
通信キャリアはあくまでもインフラ構築することがメインであり、さまざまな業界と手を組み、共創しながら新たなキラーコンテンツ模索していくことが大きな課題でもあるとしました。また、それに合わせて通信キャリアビジネスモデルも1回線ごとに料金徴収するといった従来のものから、新たなビジネスモデル転換されていく可能性もあります。

5Gはデジタルトランスフォーメーション (DX) の時代でもあります。DX時代になると通信可能サービス商品が新たに登場し、販売後企業ユーザーとつながることが可能になります。単に商品サービス販売して終わりではなく、持続的収益につながるビジネスモデルである「リカーリングモデル」へ転向する流れが加速していくとも考えられます。


5Gによってあらゆる産業が大きな変革を迎える

セコム株式会社 企画部 担当部長 寺本 浩之 氏

5Gと聞くと単に4Gの延長線上にあるものと考えられがちですが、じつはスマートフォンタブレットといったデバイスに限らず多様なものがその恩恵を受けることになります。
たとえば自動運転技術も5Gを活用した代表的事例です。自動運転実現されると物流に関わるコスト大幅削減されると考えられます。物流業界に限らず多くの産業の在り方が変化し、ビジネスモデル変革され働き方も変わっていくことでしょう。

インターネット登場、そしてスマートフォン普及によって私たちの生活一変しました。
しかし、5Gによって産業変革実現されると、これまで私たちが体験したことのないような大きなインパクトが訪れることでしょう。

(文:西村広光)