データ活用で重要とされる3つの視点「経営・事業」「データアナリティクス」「データ処理 (コーディング) 」。この卓越したナレッジと豊富な実績をもとに、戦略計画からアプローチの策定、分析基盤の構築、システム運用・保守まで包括的なサポートを行っているのがDATUM STUDIO株式会社 (以下、DATUM STUDIO) だ。KDDIグループと連携しながら牽引している最先端のデジタルマーケティングの取り組みについて事例を交えながら紹介する。
データはヒト・モノ・カネと並ぶ重要な経営資源と叫ばれるようになって久しいが、そうした貴重なデータをしっかり分析・活用できているかというと、ほとんどの企業が十分とは言い切れないのが実情だ。
殿内 界 氏
そもそも企業が入手するデータは数年前とは比較にならないほど膨大な量となり、加えてその種類や内容も多様化している。データの取り扱いに精通した人材も不足しており、特に中小企業ではわずか1~2名の担当者にすべての業務が集中しているケースも散見される。
そうした中で存在感を高めているのがDATUM STUDIOである。もともとはAIや機械学習などに特化したベンチャーとして2014年に設立したデータサイエンス企業だが、現在ではデータ活用のライフサイクル全般をサポートする企業へと事業を発展させてきた。
DATUM STUDIO 殿内 界 氏は、「データを活用した課題解決の企画・戦略立案からコンサルティング、データの蓄積・管理、DMP (Data Management Platform) /CDP (Customer Data Platform) の構築、AIモデルの開発および分析、システム保守まで、お客さまの取り組みを一気通貫で支援しています」と語る。
これらのノウハウをもっと大規模に生かし浸透させるため、2018年10月に経営面での大きな決断があった。KDDIのグループ会社としてデジタルマーケティング事業を手掛けるSupershipホールディングス (以下、Supership) によるM&Aを経て、同社の連結子会社となったのである。
これに伴いKDDI、Supership、DATAUM STUDIOの3社が緊密に連携・協働しながらシナジーを発揮し、お客さまの課題解決にあたる体制が整った。
KDDIでサービス戦略を担当する山口 昌志は、「これまで社内に不足していたデータサイエンスやデジタルマーケティング分野に、高度なケイパビリティと専門ノウハウを有するDATUM STUDIOが加わったことで、私たちがお客さまのDX実現に向けてご提案できるソリューションは大きくパワーアップしました」と語る。
ちなみにSupershipとDATAUM STUDIOの間でどのような役割分担が行われるのかというと、Supershipは主に多様なサードパーティーデータを活用したビジネスに強く、一方でDATAUM STUDIOはお客さま自身が所有するファーストパーティーデータを活用するプロジェクトに数多く携わってきた強みがある。
例えば、昨今データの一元管理が可能な高い拡張性と柔軟性を持った「Snowflake」というクラウドベースのデータウェアハウスが注目されているが、DATAUM STUDIOはこの技術を活用したデータ基盤構築でも国内で先行して実績を上げてきた。
「こうした各社各様の強みを生かしながら、お客さまの課題や目的に応じて柔軟にチームを編成して案件にあたります」(殿内氏)
実際にKDDIとSupershipが連携したさまざまな案件において、DATAUM STUDIOは大きな役割を担っている。あるプロスポーツチームに対するデジタルマーケティングの支援もその1つだ。
このプロスポーツチームはKDDIが以前よりパートナリングを組んでいるお客さまで、KDDIはスタジアムを来場されるサポーターの観戦体験向上を目指し、5G環境の整備と活用を提案・支援していた。
そうした中でチームから寄せられたのが、「スタジアムを常に満員にしたい」という強い思いだった。もともとチームとしての集客力は悪くなかったのだが、この2〜3年はコロナ禍による開催制限や観客数の上限設定などの影響を受けて集客が伸び悩み、従来の勢いを盛り返すことを課題としていたのである。
「さらに詳しくお話を伺ってみると、以前から観戦チケットの売り上げやグッズの販売実績など、データの収集・分析を行っていたものの、そのほとんどを一部のご担当者様の手作業に依存しており、集計作業に時間を要し、効果的な施策につなげることができていませんでした」と山口は語る。
これがきっかけとなり、DATAUM STUDIOをメンバーに加えたKDDIグループとして課題解決の提案が採用され、デジタルマーケティングの取り組みが始動した。
プロジェクトの主担当に抜擢されたDATUM STUDIO 内田 青吾 氏は、「スタジアムを常に満員にする」という目標を達成するために立てた基本方針を以下のように語る。
内田 青吾 氏
「たしかに観戦チケットの売上やグッズの販売実績、あるいはファンクラブの会員データなど、すでにチームが所有しているデータを詳しく分析することでも新たに見えてくることはあります。ただ、それだけではファンがチケット購入に至るまでのジャーニーをつかめていないと感じたのです。このプロセスを明らかにすることで、ファンのエンゲージメントを高める施策を実施することが可能となり、ひいてはスタジアムにより多くの観客を集めることができます」
具体的には、チームとファンとを結ぶ新たなスマートフォンアプリの展開をKDDIと共同で提案するほか、Web上での行動履歴などSupershipが得意としているサードパーティーデータに関するノウハウを活用することで足りなかったデータを集め、多角的かつ複合的な分析を行い、どのような点が大きな要因となってファンがチケットを購入するのか因果関係を解き明かそうとしている。
「チームからは『これまで把握しきれていなかった1人ひとりのファンの“顔”や“意思”が少しずつ見えてきた』という評価をいただいており、目標達成に向けて関係者が一丸となって進んでいます」と内田氏は語る。
山口 昌志
あらためて考えてみれば、上述したようなプロスポーツチームにおけるデジタルマーケティングの取り組みは決して特殊な事例ではない。
「コロナ禍からの復活および新たな成長を目指した同様の課題はプロスポーツチームだけに限らず、エンターテインメント業界や旅行・観光業、サービス業、小売業など幅広い業界・業種の企業に共通しています。したがってKDDIグループとしても、今回の案件で培ったノウハウを基にしたソリューションの積極的な横展開を図っていきます」と山口は、今後のビジネスに向けた意気込みを見せている。
これを受けて殿内氏は、次の3つの視点が非常に重要であると語っている。
さらに、「DATUM STUDIOはKDDIグループの一員として、常に“課題ありき”の姿勢でお客さまの取り組みに寄り添っていきます」と、将来のDXを見据えたデジタルマーケティングの実現に貢献していく考えだ。