本セミナーでは、製品に通信を部品として組み込むことを実現する「ConnectIN (コネクティン) 」のご紹介を通じて、発想法から導入方法、メリット、障壁の超え方を事例を交えて解説します。
IoT化により、あらゆるものが繋がる・見える世界へ、どこから足を踏み入れて良いか迷われている方は、ぜひ、このセミナーを一歩目としていただければと思います。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
現代のデジタル社会において、企業のIoT活用が新たな価値創造の重要なカギとなっている。
KDDIは2025年3月に、IoTを活用した新たなビジネスモデルに関するセミナーを開催。
KDDIのIoTを採用している「株式会社コムテック様」「株式会社日本HP様」が最新のIoT導入事例を紹介し、KDDIは2025年1月に提供開始した新たなビジネスモデル「ConnectIN」について説明した。
本記事では、デジタル時代にIoTがもたらす未来の可能性と具体的な導入事例を解説する。
AIの進化とデジタル技術の発展による新しい価値創造の時代において、通信の役割はこれまで以上に重要になっている。
クラウドやエッジコンピューティングが普及する中、企業にとってはIoT (Internet of Things) の活用が競争優位性を確立する手段としてますます重要視されている。
データドリブン経営やAI活用を目指す企業にとって、自社の製品やサービスにIoTを組み込むことはデータ集積のための第一歩ともいえる。株式会社コムテック様、株式会社日本HP様がIoTを活用して事業にどのような価値を生み出しているのか、ぜひビジネス変革の参考としてお読みいただきたい。
愛知県愛知郡東郷町に本社を置く株式会社コムテック様は、自動車用電子機器の開発・設計・製造・販売を手掛ける企業だ。
「移動する人々の『安心・安全』で『快適』なモビリティライフの実現」をパーパスに掲げ、ドライブレコーダー市場では8年連続No.1のシェアを誇っている。また、オゾンを発生させることで除菌・消臭を行う「オゾンサーバー」を展開し、コロナ禍の2020年には空気清浄や消毒のニーズに応える製品として注目を集めた。さらに、企業の安全管理や業務効率化を支援するアルコールチェッカーや社用車の車両管理など、BtoB領域においても社会課題の解決に向けて取り組んでいる。
同社の革新的なソリューション開発には、IoT技術が積極的に活用されている。KDDIと連携し、2020年には「通信型ドライブレコーダー」、2021年には社用車運転管理システム「C-Portal」の開発を開始。従来の「記録装置」としてのドライブレコーダーの枠を超え、安全管理や利便性向上を実現するソリューションへと進化を遂げた。
株式会社コムテック 執行役員 営業/マーケティング担当の横井 真也 様は、「ドライブレコーダーは従来、万が一の保険のような役割でした。しかし、お客さまが抱える課題を徹底的に調査した上で、ドライブレコーダーをIoTデバイスとして進化させることで、従来以上の価値提供が可能となりました」と語る。
横井 真也 様
IoT技術の導入により、事故時の映像記録にとどまらず、当て逃げや盗難防止、駐車位置の可視化、運転者の見守りなど、より安心・安全をサポートする機能をスマートフォンやアプリで簡単に利用できるようになった。例えば、衝撃を検知するとスマホへ通知が届く機能や、大型施設の駐車場で車の位置をアプリ上で確認できる機能が搭載され、利便性が大幅に向上している。
「C-Portal」では、クラウドを活用することで社用車の運行状況をリアルタイムで可視化できるようになった。
また、従来の紙ベースの管理をデジタル化し、業務負担の軽減にもつなげている。さらに、危険運転の可視化による安全運転指導の支援や、社員のスマートフォンにアルコールチェックを促すポップアップ通知することで、企業のコンプライアンス強化にも貢献している。
横井様はIoTデバイス導入のメリットについて、「商品ラインナップの拡充につながりました。遠隔での車両確認や見守りといったニーズに応える新サービスや製品を提供できるようになったことは大きな変化です。また、これまで手がけてこなかった通信型IoT機器の開発ノウハウを獲得できたことで、市場のニーズに即した製品開発が可能になりました」と語る。
さらに、KDDIと技術連携して提供する社用車運転管理システム「C-Portal」導入のメリットとして、「SaaSサービス開発の充実化」「運用の安定化」「事業領域の拡大」などの効果を挙げている。
今後もKDDIとの協力を深め、IoTを活用した新たなモビリティサービスを創出していきたいと締めくくった。
株式会社日本HP様は、デバイス事業とプリンティング事業を中心に展開しており、法人向けPC市場において四半期ベースで13回連続 国内シェアNo.1を獲得している。
近年、リモートワークやビジネス用のモバイル端末の普及が加速する中で、「セキュリティ対策」「運用管理の負荷軽減」「通信の安定化」といった課題が浮き彫りになっている。
このような課題に対応するため、同社は2023年11月にKDDIとの共同製品「HP eSIM Connect」を発表した。
このノートPCにはSIMが内蔵 (eSIM) されており、LTEや5Gが容量無制限で5年間利用可能である。Wi-Fiが不安定な状況でもバックアップ回線として機能し、安定した通信環境を実現できる。物理的にSIMカードを抜き差しする必要がなく、初期段階のキッティング工数の負担がないため、数百台~数千台規模のPCを管理する企業にとっては、大幅な負荷軽減が期待できるだろう。さらに、SIMカードの故障や紛失、誤配といったリスクがない点もメリットだ。
松本 英樹 様
株式会社日本HP エンタープライズ営業統括 営業戦略本部 本部長の松本 英樹 様は、「コロナ禍を機にテレワークが定着し、ハイブリッドな働き方が一般化しました。しかし、自宅やマンションでは複数人が同時にWi-Fiを利用することで回線が不安定になりやすく、セキュリティ面での懸念も指摘されています。リモートワーク環境において、従来のエコシステムでは補いきれない部分があったのです」と語る。
「LTEや5G搭載型のノートPCの需要が潜在的にあることはわかっていましたが、まだ顕在化はしておらず、ステークホルダーを説得するのは難しいと感じました。実際、社内でも導入に反対する声は少なくありませんでした」と松本様は検討初期の状況を振り返る。
一方で「スマホのテザリングはバッテリー消費が激しい」「Wi-Fiはセキュリティ面でリスクがある」といった課題も明確であった。そこで、日本HP様はスマホとPCビジネスのモデルの違いを分析し、提供すべき価値を再定義したという。
「新しいサービスを提供する際には、ビジネスモデルを俯瞰し、その違いを見極めることが重要。その上で、議論を深め、実行に移していくことが大切です」と松本様は語る。そして、運用体制や販売モデル、通信サポートといった領域においてもKDDIと綿密な協議を重ねながら、「HP eSIM Connect」提供に向けた確固たる基盤を築き上げていったという。
同社は今後の展望として、ローカル生成AIとクラウド生成AIの“架け橋”を目指すという。
「現在、生成AI処理はクラウド側で行うことが主流ですが、今後はPCの処理能力が向上し、ローカル環境でもAI処理が可能となる時代が訪れます。それぞれの特性を生かしたハイブリッドな利用へとシフトしていくでしょう。『HP eSIM Connect』は、AI時代の新たなデジタル活用を支える役割を担っていきます」と松本様は締めくくった。
姥山 俊樹
KDDIはIoTを活用したビジネス変革を支援し、企業の製品価値向上や市場競争力強化をサポートしている。
IoT回線の導入実績No.1を誇るKDDIは、2024年3月時点で4,550万回線を突破 (注1) し、IoTのトップランナーとしての地位を確立。さまざまな業界に向けてIoTソリューションを提供している。
KDDIは、IoTを通じて「製品価値の向上」「顧客接点の強化」「事業モデルの転換」を支援する。
ビジネスデザイン本部 IoT営業推進部長の姥山 俊樹は、「KDDIはIoTを提供して『見えなかったものを可視化する』
『製品を遠隔で制御する』『サービスを拡張する』『運用管理をサポートする』など、お客さまの事業にこれまでにはない付加価値を提供します」と語る。
具体的には、先に紹介した株式会社コムテック様の取り組みが挙げられる。同社のドライブレコーダーに通信機能を組み込むことで、映像データの遠隔管理やトラブル時のリアルタイム通知が可能となり、安全性と利便性を大幅に向上させた。そのほか、建設現場向けの鉄筋結束機をIoT化し、遠隔管理やリモートロック機能を導入することで、盗難防止に加えて効率的な運用を可能にした事例や、ガスメーターをIoT化することでメーター情報が遠隔で取得可能となり、検針業務の自動化を実現した事例もある。
これらの事例からもわかるように、製品に通信を搭載することで、製品やサービスの改良、業務品質や効率の向上に成功した事例があり、企業の事業モデルそのものを変革する可能性を秘めている。しかし従来、IoT導入に関しては「IoTシステムなどの初期投資を回収・マネタイズできるのか」「システムの運用管理や顧客管理が必要となる」「エンドユーザーのサポート体制やノウハウを持ち合わせていない」といったさまざまな課題があり、導入に踏み切れないお客さま企業も多かった。
これらの課題を解決するために、KDDIは2025年1月に「ConnectIN」をリリースした。
姥山は「ConnectIN」について、「形のない通信サービスを、あたかも一つの部品のように製品やサービスに組み込むことができる、新たなビジネスモデル」と説明する。
製品やサービスには一定期間の通信料が内包されているため、エンドユーザーは月額の通信料を支払う必要がなくなる。また、IoT導入時に必要なシステム開発は「ConnectIN」のビジネスモデルとしてKDDIが提供し、お客さまのビジネスモデルに合わせて製品やサービスを販売した際に利益分配する「レベニューシェアモデル」を採用しているため、お客さま企業はIoT導入時の初期投資リスクを軽減しながら、事業を拡大することが可能になる。
「KDDIはお客さまとともにビジネスモデルを創るパートナーです。お客さまのご要望に寄り添いながら、『ConnectIN』を通じて最適な製品・サービスを一緒に作り上げます。運用負荷やキャッシュフローの課題を両社で低減し、お客さまとその先のエンドユーザーさまをつなぐサポートを行っていきます」と姥山は語る。
KDDIのIoT支援は、単なる技術提供ではなく、企業とともに事業を成長させる「伴走型」のスタイルが特徴だ。構想段階から開発・運用まで、企業ごとにカスタマイズされた支援を行うことで、お客さま企業それぞれの課題解決に寄り添い、新たなビジネスモデルの創出を目指す。
KDDIは今後の展望として、防災・決済・広告・不動産管理など、これまでIoT導入が難しいとされてきた領域に対しても「ConnectIN」の利用を想定している。
例えば、防災分野ではIoTを活用することで洪水や災害のリスクを早期に検知し、安心・安全な社会づくりに貢献できる。また、決済端末をIoT化すれば、Wi-Fiや有線通信環境を事前に準備する必要がなく、どこでもスムーズな決済が可能となる。
「通信は、業界やサービスを選ばず、アイデア次第であらゆるビジネスに溶け込み、その価値を高めていく可能性を秘めています。ぜひ、この講演を皆さまのビジネス変革のきっかけとしていただきたいです」と姥山は講演を締めくくった。
KDDIは、IoTを活用したビジネス変革をお客さま企業とともに推進し、新たな価値創造に貢献していく。