生成AIや大規模言語モデル (LLM) の活用、ビッグデータ解析が進む中、AI時代を支える計算基盤としてGPUの重要性が急速に高まっています。ビジネスにおいてもAI活用が本格化する今、GPUは企業にとって業務効率や事業高度化・他社との差別化を左右する重要なインフラとも言えます。本記事では、GPUの基礎知識から選定・導入のポイント、運用時の注意点について詳しく解説します。
GPU (Graphics Processing Unit) は、画像処理に特化したプロセッサのことです。元々は画像や映像のグラフィックを滑らかに描画する目的で開発されました。
GPUの大きな特徴は、数千もの演算ユニットを同時に動かす「並列処理構造」にあります。画像や映像などのデータを一括して高速に処理できるため、長年にわたりゲーム、映像編集、CG制作などの分野で活用されてきました。
CPU (Central Processing Unit) とGPUは、どちらもコンピューターの処理装置として欠かせませんが、それぞれには明確な違いがあります。
CPUは少数の高性能なコアを使い、複雑で多様なタスクを1つずつ処理するのが得意です。 OSの制御、アプリの起動などあらゆる操作を統括する「コンピューターの司令塔」として機能します。
一方、GPUは数千もの小さなコアで同じ処理を同時に実行する「並列処理」に特化しています。そのため、画像処理やAI学習のような反復的で膨大な演算が求められる場面では、GPUはCPUよりも性能を発揮できます。
近年GPUが注目されている理由は、生成AIや大規模言語モデル (LLM) の普及により、膨大な演算処理を支える計算資源としてGPUが必要になっているためです。
現在、ChatGPTのような対話型のAIツールや、画像・動画生成AIツールなどの活用が個人・法人問わず急速に広がっています。これらのAIモデルは、数億〜数千億に及ぶパラメータを高速かつ大量に処理する能力を必要とするため、大量の演算を同時にこなせるGPUの並列処理性能が不可欠となっているのです。
また、日本政府も国家戦略の一環としてAI基盤の強化を重要視しており、例えば経済産業省が主導する「クラウドプログラム」では、計算資源の安定供給確保を図るため、国産クラウド事業者によるGPU基盤整備を支援しています。
AIの進化が加速するなか、GPUはAI開発・運用における「中核インフラ」としての機能を果たします。生成AIや大規模言語モデルの導入を検討するうえで知っておきたい、GPU活用の3つの代表的なメリットを紹介します。
先述したとおり、GPUは数千もの演算ユニットを同時に動かす「並列処理構造」を備えているため、大量の演算が求められるAIモデルの学習と推論において、CPUよりも高速な処理が可能です。
例えば大規模言語モデルでは、1回の処理で数十億単位の演算が発生します。GPUで演算処理を高速化することで、生成AIの学習フェーズなどの時間短縮が実現できます。
また、ChatGPTのようなリアルタイムでの応答や処理スピードが求められる対話型AIツールにおいては、GPUによる推論処理の高速化によってリアルタイム性やアウトプットの質が向上します。
生成AIを業務で活用したいと考えたとき、どのGPUを選ぶかは重要なポイントです。AI活用に適したGPUの選び方のポイントを紹介します。
自社でGPUを導入するときは冷却・電力・コストの3点について注意しましょう。
AIツールのニーズが急増していることに合わせて、多くの国内企業がAIインフラの基盤強化に取り組んでいます。KDDIもAI時代の社会基盤を支えるべく、さまざまな取り組みを推進しています。
生成AIや大規模言語モデルの拡大に伴い、GPUはAIを動かすための基盤技術として不可欠な存在になっています。AIの導入や活用を推進する企業にとっては、GPUの選定や運用方法は事業の競争力を左右する重要な要素になるでしょう。
KDDIはAI時代に対応するため、今後もクラウドGPUの整備を推進しながら、ビジネスの現場で安心して生成AIを活用できるインフラの提供に取り組んでいきます。