- ・企業内の多様なデータを横断的に検索し、文書間の関連性を考慮した高精度な回答を提供。
- ・構造化データだけでなく、PDFや画像ファイルなどの非構造化データにも対応でき、必要な情報をより迅速かつ的確に取得可能。
- ・対話形式で検索結果を深掘りできるため、従来の情報検索に比べて業務効率の大幅な向上が期待できる。
KDDIは、2025年3月4日から7日まで開催された国内最大級の展示会「リテールテックJAPAN 2025」に出展。「データ活用」を軸にリテール業界の未来を変える先進的なソリューションを展示し、データドリブンな店舗運営に関心を寄せる多くの来場者からの注目を集めた。
本記事では、KDDIブースの展示内容について、詳しくレポートする。
今回のイベントにて、KDDIブースでは、AIとデータ分析を融合させた「KDDI Retail Data Consulting」、デザイン思考によるDX支援、生成AIを搭載した「Conata Data Agent」を中心に展示した。
「KDDI Retail Data Consulting(外部サイトへ遷移します) 」は、流通・小売業界が抱える労働力不足や多様化する消費者ニーズに対応するためのソリューションだ。このサービスは、位置情報、興味・関心、決済情報などのKDDIデータと顧客データを組み合わせて、店舗開発やマーケティングの業務効率化を支援する。
当日の展示では生成AIアシスタント機能を紹介。この機能は「カフェの出店候補地を知りたい」といった簡単なプロンプトを入力するだけで、AIが最適な出店候補地を町丁目単位で提案する。例えば「お子さん連れのお客さまが多い場所」といった条件も設定可能だ。AIによる提案では日中の滞在人口や居住者数、周辺の競合状況などのデータも参照しており、その根拠も明示される。
「Conata Data Agent (外部サイトへ遷移します) 」は、KDDIグループのフライウィール社(外部サイトへ遷移します) が提供する生成AI搭載のデータエージェントだ。企業内の膨大なデータを活用し、直感的な対話を通じて的確な回答を導き出す。高度な自然言語処理技術やRAG (Retrieval-Augmented Generation) を活用し、社内の異なるデータソースを横断的に分析・活用することで、業務の効率化と意思決定の迅速化を実現している。専門知識がなくても質問を入力するだけで、企業データに基づいた回答を得られる点が特長であり、まるで専属のデータアナリストのように機能する。
「Conata Data Agent」の主な機能とメリットが紹介されていた。
本ソリューションの導入により、社内の異なるシステムやフォーマットのデータが横断的に統合され、ユーザーは一元的に活用できるようになる。また、AIが継続的に自動学習を行うため、利用を重ねるほど分析精度が向上し、より的確な回答を得られるようになり、社員誰でも高度なデータ分析を手軽に行えるようになることが期待できる。
加えて信頼性の確保も重要な要素だ。回答の根拠を明示し、情報不足があればその旨を適切に伝える仕組みを備えている。例えば、過去の類似案件の資料抽出や、特定商品の正確な情報を基にした回答生成も可能だ。他にもコールセンター業務では、FAQや契約書から該当する回答を瞬時に提示することで、対応の迅速化と品質向上に寄与している。
展示会で注目を集めていたのが、「KDDI DIGITAL GATE」の紹介コーナーだ。「KDDI DIGITAL GATE」は、企業のデジタル変革 (DX) や新規ビジネス創出を支援するためのKDDIならではのビジネス開発拠点であり、多くの来場者から「現場に即したアプローチが参考になる」との声が寄せられた。特に、デザイン思考やアジャイル開発を取り入れた迅速なアイデアの具体化が特徴だ。
デザインワークショップでは、ユーザー起点の課題発見から解決策の創出、プロトタイピング、検証までを一貫して実施する。KDDIのファシリテーターやデザイナーが伴走し、デザインスプリントを基にした5ステップのプロセスで、お客さまとともに価値を創出する。このアプローチにより、仮説段階での迅速な検証を行い、効果的なサービス設計が可能となる。
また、サービス開発においては、1日から1週間という短いサイクルでアイデアを実現するアジャイル開発の実例が紹介された。KDDIのエンジニアがチームに加わり、豊富なノウハウを活かしながらクライアントと共創していくスタイルは、来場者に大きなインスピレーションを与えたようだ。
こうした取り組みを通じて、KDDIは企業のDXを加速させ、流通・小売業界における新たなビジネス創出を促進。データ活用と柔軟な開発手法が、企業の競争力向上につながるだろう。
KDDIブースではKDDIグループとなったローソンの「MACHI café」のコーヒーがアンケート回答者に無料提供され、来場者がリラックスしながら最新技術の説明に耳を傾けられる場を提供。
ローソンとKDDIは業務提携を進めており、リアルとデジタルを融合させた「未来のコンビニ」の実現に向けて革新的な取り組みを推進している。
KDDIは展示会を通じて、データとテクノロジーの融合を通じて小売業のスマート化と持続的な成長を支援していく姿勢を提示。今後も企業と新たな価値を共創し、社会課題の解決とビジネスの進化を両立させる「未来のリテール」の実現に向けて挑戦を続けていく。