2023年2月21日・22日の2日間、オンラインイベント「KDDI SUMMIT 2023」が開催された。
この記事では、お客さまのDXをご支援するKDDIの2つのDX――働き方改革や生産性向上のためのIT基盤の整備をご支援する
「コーポレートDX」と、事業の成長や創出をご支援する「ビジネスDX」について、最新の取り組みを紹介する。
サステナブルな企業活動を支えるコーポレートDX
KDDIのコーポレートDX部門を率いるソリューション事業本部 ソリューション推進本部長 村山 敏一はセッションの冒頭で「KDDIのコーポレートDXは、経営の意思決定スピードに
遅れをとらず、お客さまのビジネスを止めないIT環境を
ご提供していきます」と説明。
そのITラインアップを紹介した。
このあと村山は、KDDIの環境に対する取り組みを紹介。
2026年度までにデータセンターの電気を再生可能エネルギーに変え、2030年までに全社のカーボンニュートラルを
実現するという目標に向け、3G停波→5G移行、基地局制御、データセンター液浸冷却などの省エネルギー化に向けて
取り組んでいくというものだ。
村山 敏一
「KDDIの法人お客さま向けプロダクトをすべてグリーン化することで、お客さまのカーボンニュートラル、ひいては社会貢献、企業価値向上、顧客ロイヤルティ向上をサポートするソリューションをご提供していきます。
お客さまのサステナビリティ経営をご支援し、持続可能な社会の実現に貢献していこうと考えています」(村山)
グリーントランスフォーメーションに向けた取り組み
梶川 真宏
続いて登壇したKDDI ソリューション事業本部 ソリューション推進本部 サービス企画部長 梶川 真宏は、
「グリーントランスフォーメーションに向けた取り組み」を紹介した。
梶川は、カーボンニュートラルをめぐる環境の変化、それに対する企業の対応状況、対応不足による経営リスクなどを説明。気候変動問題の解決のためには、まずは可視化による現状把握、どのような取り組みで削減していくのかを計画。その上で、再エネ設備導入やカーボンクレジットによる代替/オフセットを、トータルに行っていく必要があるとし、
KDDIが提供する3つの分野「グリーンICT/通信」「グリーン電力ソリューション」「グリーンDXソリューション」の法人お客さま向けソリューションを紹介した。
「3つの分野でどのように戦略的に取り組んでいくのか、その活動をどう効果的にアピールしていくのか、そういったコンサルティングサービスのご提供も進めています」(梶川)
「KDDI Green Partners Fund」でスタートアップ企業を支援
KDDIでは、社会のカーボンニュートラルの実現に
貢献するために「KDDI Green Partners Fund」を設立。
現在5つのスタートアップ企業に出資している。
このファンドに一緒に取り組んでいるSBIインベストメント株式会社 CVC事業部 部長 別所 隆之 様をお招きし、
梶川が話を聞いた。
「KDDI Green Partners Fundでは、『CO2排出量削減』
『新たなエネルギービジネス創出』『循環型社会の実現』に資するスタートアップ企業への出資を想定しています。
SBIインベストメントがデューデリジェンス、スタートアップ企業の情報収集、投資後のモニタリングといった業務を
担当し、KDDIがアセット・機会の提供、スタートアップ企業との共創を担当しています」(別所様)
別所 隆之 様
別所様は、スタートアップ企業がパートナーに求めることとして、
イノベーティブな技術を使いやすいソリューションにできること、他のサービスと組み合わせてワンストップで提供する
ノウハウがあること、エンジニアの不足を補ってくれるデジタル上の強みを提供できることの3点を挙げた。
これを受け梶川は、「法人のお客さまがサービスとして使いやすくするために、KDDIが強みとしている通信やDXを用いて、スタートアップ企業の技術と法人のお客さまとの間をつなぐ役目をKDDIが担っていきたいですね」と、今後への思いを語った。
お客さまと歩むDXの実践スタイル
コーポレートDXが、お客さまが本業に注力できるように社内業務の生産性向上をご支援するのに対し、ビジネスDXはお客さまの事業そのものをデータやデジタルの力で変革するご支援をするものだ。
本セッションの前半では、KDDIのビジネスDX部門の責任者であるソリューション事業本部 DX推進本部長 上村 幸夫と、ノンフィクションライターの酒井 真弓 様が対談。
KDDIがお客さまとともに取り組んでいる、DXの実践スタイルが紹介された。
KDDIは20年以上前からIoT/DXに取り組み、現在では3,000万を超えるIoT回線のご契約をいただいている。
通信からデータ分析、アプリ開発、メタバースやドローンといった最先端の技術、さらにはビジネス構想やコンサルティングまで、お客さまとともに課題を
解決するためのアセットを順次拡充している。
上村 幸夫
酒井様の「KDDIをうまく活用しているなと思う会社にはどんな特長がありますか」という質問に対して上村は、
「チームビルディングが上手」という共通点を挙げる。
これは、いわゆる発注と受注という関係を越えて、1つのチームとして一緒にチャレンジし、諦めることなく取り組むということだ。
DXを進めようとするとき、まだ実現したいことが明確に
なっていないケースでは、「模索する作業を課題の
明確化からお手伝いさせていただきます」と話し、例えば「KDDI DIGITAL GATE」(注1) という施設を
活用することで、新たなデジタルビジネスの探索・創出を
ご支援できることを説明した。
酒井 真弓 様
最後に酒井様から、「変われる会社と変われない会社の一番の違い」について尋ねられた上村は、
「変われない会社はないと思います。成功する会社はしっかりと課題を認識していたり、課題がはっきりしていなくても
現状に対して危機感を持っている会社だと感じます」と話し、「課題を解決・改善しようと考え、チャレンジを続けることが
できる会社は、結果として変わっていきます。KDDIも常にそうありたいと考えています」と続け、事業を取り巻く環境が
常に変わり、変化のスピードが年々早くなるなか、DXのチャレンジを続けることの重要性を訴えた。
DX実践企業とともに紐解くDX成功のカギ
山田 達也 様
後半では、上村に加え、マツダ株式会社の山田 達也 様、株式会社オプティムの菅谷 俊二 様をパネリストに迎え、酒井様がモデレーターとなってDXを推進していくために
必要なポイントなどをディスカッションした。
マツダ株式会社 MDI&IT本部 コネクティッドシステム部 部長 山田 達也 様からは、コネクティッドカーの取り組みが
紹介された。
コネクティッドカーは、クルマと所有者をつなぐIoTサービスで、KDDIの「IoTサービスプラットフォーム」が
活用されている。
オプティムは、AI、IoT、クラウド、ロボットなどを使い、
あらゆる産業のDXを実現し、すべての人々にサステナブルな未来を提供することをめざしている。KDDIとともにジョイントベンチャーDXGoGo株式会社を設立しさまざまなサービスを提供するなか、
特に「KDDI Video Management Service (KVMS) 」を活用した映像プラットフォームサービスに注力している。
菅谷様は、ビジネスDXを成功させるカギとして、
「お客さま接点をデジタル化することから
スタートするとよい」という。例えば、スマートフォンのアプリを作ることで、お客さまが接したいと思うときに
いつでも接してもらえるようになり、お知らせの通知も可能となる。また、お客さま接点をデジタル化してデータのインプットがデジタルになることで、残りのシステムもデジタル化が必要になると説明する。
菅谷 俊二 様
また、山田様はプロジェクトから学んだこととして、「失敗を恐れずに挑戦する、失敗したら何がいけなかったのか振り返る」「互いの強みを結集する」「段取り八分、標準化・共通化の視点」「新たなパートナーとの知見や経験の共有」「パートナーとの徹底した擦り合わせ」「基本を徹底・継続、新しいことは身に付けるしかない」といったことを挙げられた。
上村は、「マツダ様もオプティム様もいろいろと試行錯誤しながら仕上げていったのだと思います。失敗して諦めるのではなくて、目的を達成するためにどうするかを自分の中で落とし込んで、それを周りと共有しながら進めることが大切です。私自身もこれからそうしていきたいと思います」と、セッションを締めくくった。