そこで、生成AIを活用してはいかがでしょうか。
本資料では貴社内に存在するデータを組み合わせ、活かすデータにするための知識と方法をご案内いたします。
真のデータ活用とは、データを分析することで得られたファクト (事実) やインサイト (洞察) を、日々の業務に組み込んで意思決定やアクションに生かすこと。残念ながら、現在の日本企業において、そのレベルまで至っている企業が少ないのが現状だ。
2023年にKDDIグループ入りした株式会社フライウィール (以下、フライウィール) は、データ活用プラットフォーム「Conata(R) (コナタ) 」(以下、Conata) の提供を通じて、持続的なビジネス成長を実現するためDXやデータ活用の推進をサポートする。「Conata」導入による成功事例を紹介しながら、KDDIグループとフライウィールの協力体制と取り組みについてみていく。
現在、日本企業が直面しているDX (デジタルトランスフォーメーション) の課題は、PoC (概念実証) 段階で頓挫してしまう状況から抜け出せないことにある。
横山 直人 氏
この現状に対して、フライウィールの代表取締役 CEOである横山 直人 氏は「『データを人々のエネルギーに』をミッションにデータでお客さまの事業を成長させるご支援を続けていますが、まだ多くの企業がPoCで立ち止まっており、データ活用のPDCAサイクルをまわし、改善し続けている企業は多くはありません。この現状は、AI活用にもあてはまります。チャットGPTの登場で企業での生成AIの活用が一気に広がりました。日本の大企業の約半数は、生成AIを導入しているという調査結果がありますが、その一方で、商用に至らないデータ-AIプロジェクトが87% (注1) もあるというデータが示すように、PoCの先に進むには、大きな壁があります」と語る。
KDDI 執行役員であると同時に、KDDI Digital Divergence Holdings株式会社 (以下、KDH) 代表取締役社長を務める藤井 彰人は、「日本企業は省力化・効率化にデジタルを活用している企業は多いが、収益向上に活用したり、ビジネスモデルを変革するステージに進めない企業が多く、危機感を感じています。AI活用・データ活用はDXのコアとなります。ところが多くの企業は、データアナリストやデータサイエンティストを育成、または採用すれば何とかなると思い込んでいるようにも見受けられます。 もちろんデータ分析は大切ですが、より重要なのはその先の『実務で何をするのか』であり、そこまで踏み込めていないことが課題の根本にあります」と述べる。
藤井 彰人
AI・データ活用のモデルを実務に落とし込む段階で立ち止まってしまい、費用対効果が見いだせないまま立ち消えになってしまうケースも少なくない。実際、モデルの運用・保守は容易ではなく、実務を通じて学習を重ね、効果を検証し、精度を高めていくサイクルを繰り返すことで、ようやくコスト削減や収益向上などのインパクトをもたらす。
藤井は「実務でのPDCAサイクルを確立できないため、依然として役職の上位者や発言力の大きいベテラン社員の意見に頼ることになり、“勘と経験”の世界から脱却できずにいます」と日本企業の現状を説明する。
2023年3月にKDDI、KDH、そしてフライウィールは資本業務提携を締結し、グループで連携してこの課題を打破しようと挑戦を続けている。KDDIをはじめとする通信キャリアは、もともとネットワークを通じて企業の拠点や人をつなぐことを使命としてきたが、スマートフォンの普及とともに人とサービスをつなぐ役割へと拡大した。そして今後のDXに向けては企業と人、サービスだけでなく、さらにネットワークを通じてデータとデータを有機的につなげていく存在へと進化させていく。
藤井は「フライウィールがグループに加わったことで通信を核としながら、複数の業界を横断した企業間データ連携をサポートできるようになりました」と語る。
横山氏は「KDDIが保有しているスマートフォンユーザーの人流情報や位置情報、決済情報などのauビッグデータを、個人情報保護を大前提としつつ『Conata』上で利用することで、より高精度な需要予測モデルに基づいたシミュレーションを今後可能にするとなるような取り組みを行っています」と述べる。
これに対し、藤井は「これまでもKDDIグループでは、位置情報ビッグデータ分析ツール『KDDI Location Analyzer』の提供や人流分析を行うGEOTRA社の設立など、auビッグデータを活用したお客さまの価値向上を目指してきましたが、これらのソリューションと『Conata』が融合することで、より広範なデータ活用領域でシナジーが発揮されます」と説明した。
単にデータを蓄積するだけでなく、実務に直結するインサイトを引き出すための強力なツールである「Conata」には大きく2つの特長がある。
1つ目の特長は、データのインポート機能だ。従来のデータ分析プラットフォームが正規化・構造化されたデータのみを扱っていたのに対し、「Conata」はお客さまからの問い合わせやクレーム内容、SNSのレビューなど、非構造化データも独自技術で取り込み、価値に変えることができる。横山氏は「これにより、データの整備、前処理に多くの時間を費やしていた担当者が、本来重点をおくべきデータ活用や効果検証、精度を高めていくサイクルに時間を費やせるようになるのです」と説明する。
2つ目の特長は、データ活用の柔軟な汎用化による負荷軽減だ。従来のデータ活用ではECサイトのレコメンド機能やマーケティング活動のキャンペーンなど、特定の目的に応じてデータを整備する必要があったが、データの“持ち方”を変え、迅速なデータ活用が可能になる。実際に「Conata」を利用しているお客さまからも「他社と比べてデータの整備が必要なく、短期間で次々にデータ活用が実現できる」といった驚きの声が寄せられているという。
また、横山氏は「お客さまの業務データをはじめとする多様なデータを『Conata』に投入し、ビジネス上の制約条件も取り込んだうえで、リアルタイムにデータの処理や活用が可能なAI/シミュレーション技術により現実のビジネス活動をシミュレーションすることで、その結果をアクションに反映できるようになります」と説明する。例えば、小売業では欠品率や過剰在庫率といった複数の指標を「Conata」のダッシュボード上で最適化させ、店舗の売上と利益を最大化する戦略を簡単に立案できるという。このシミュレーションは現在庫との差分を自動的に補充発注することやキャンペーン施策のコスト効果の判断など、メーカー・卸との調達活動やマーケティングにも応用することが可能だ。
横山氏はさらに、「意思決定やアクションにデータを活用するためには、PDCAサイクルを回すことが本当に重要です。 フライウィールでは、『Conata』とともに、データ活用を策定するコンサルティングやユーザーインターフェース (UI) 、管理コンソールの開発、既存システムとの接続などもご支援し、企業がデータ活用を行い、PDCAサイクルを回すためのトータルソリューションを提供しています」と続けた。
実際にフライウィールは、KDDI物流センターの自動化された業務システムに「Conata」を導入している。その結果、倉庫内のピッキング、仕分け、キッティング、封かんといった業務が最適化され、スマートフォン出荷量が従来の約1.4倍に増加した。
まず人員とリソースの過不足を分析し、シミュレーションを基に最適なシフトを作成した。また、設備の使用計画においても、稼働率を最大にするための最適化を実施し、設備の性能を向上させたという。さらに、設備設計時に想定されていた一日あたりの処理数に対しては、阻害要因を解消し改善することで、約2倍程度の処理数を消化できることがわかった。
また、シミュレーションを通じて業務に必要なリソースや人員の配置が可視化され、最小限の人員で対応できる体制が整えられたという。繁忙期と閑散期における人員配分が最適化され、それぞれの時期に最適な倉庫運用が可能となったため、人員や設備の余剰を減らすことでコストを削減しつつ、生産性を高めることが可能となった。この取り組みは、物流倉庫の運営全体をデータ活用によって改善できたよい事例と言える。
今後も、物流倉庫運営の最適化を通じて、物流2024年問題や2030年問題といった社会課題の解決に寄与していく考えだ。
生成AIの登場により世の中は非常に速いスピードで変化している。生成AIのIQは120を超え、Retrieval Augmented Generation (以下、RAG) を導入した企業独自のデータ活用は、もはや未来の話ではなく、すでに多くの企業で、業務効率化や新たなビジネスモデルを生み出している。
藤井は「企業での生成AIの導入が増えているが、実際日本企業においては、十分に使いこなせていない現状があります。AIの知見がない、やりたいこと・目標がはっきりしていない企業が多いのではないでしょうか」と指摘する。導入に際しては、明確な目標設定とAIの有効な活用方法の理解が鍵を握る。
横山氏は「お客さまからの相談が多いのは、生成AIをどう業務に組み込み、実際の業務改善に役立てるかという点です。そこで誰でも簡単に使えるように『Conata Data Agent』を2024年6月から提供開始しました。導入企業からは、今まで社内の情報収集などの事前調査で対応していた時間が削減でき、本来の業務に使える時間が増えたとの声をいただいています」と語る。
藤井は「今までは、データアナリストにダッシュボードを作ってもらうスタイルでしたが、生成AIを活用することで、現在では、特別な知識を持たない人も、こんなデータが欲しいと言葉で入力するだけで簡単にインサイトが引き出せるようになりました。まさにデータ活用の民主化の時代がやってきます」と話す。
「Conata Data Agent」は、生成AI技術と高度な情報検索技術を駆使した、AIエージェント搭載のデータ活用アシスタントである。あらゆるデータソースをそのまま連携し、発展的な RAG (検索拡張生成) を活用している点が特長の一つだ。RAGは、外部知識を参照してAIが回答を生成するのを支援する技術であり、「Conata Data Agent」はその RAG の機能に加えて、計画、ツールの利用、検証といった自律的な行動や目標達成のための AI エージェント機能を備えた、より高度なプロダクトである。
従来、多くの企業は膨大なデータを保有しているものの、その情報から価値あるインサイトを得るためには高度な専門知識や多数の担当者の連携が必要だった。また、点在するデータの統合にも多大な手間と労力がかかっていたが「Conata Data Agent」を導入することで、企業内に眠る膨大なデータから価値あるインサイトを引き出し、企業の迅速かつ正確な意思決定を支援する。
利用者が「プロンプト (指示文) 」をユーザーインターフェース (UI) に入力すると、その指示に基づいて社内の知見を活用し、チャット形式で回答を生成する。このAIアシスタントは、複雑な質問や意図にも対応し、まるで会話をするかのように迅速かつ精度の高い回答を提供するという。
さらに、「Conata Data Agent」は利用を重ねるごとに精度が向上する自動学習機能も備えており、まるで専属のデータアナリストがいるかのように、企業独自の知見を踏まえた分析結果を提供できる。
今後、「ビジネスプラットフォームであるWAKONX」を通じて、KDDIが築いてきた通信ネットワークとビッグデータを活用し、AIの力でビジネスの可能性を加速させていく。これによって、生産性向上を図り、業界横断での価値提供を通じて、産業や社会の活性化にも寄与できると考えている。
新時代のデータ活用と管理の在り方をKDDIグループが一丸となってお客さまと共に探求し、企業の成長を力強く後押しすることを目指す。