このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、または対応ブラウザでご覧下さい。

フィッシング詐欺や不正利用を防ぐeKYCとは? 導入事例もあわせて紹介

フィッシング詐欺や不正利用を防ぐeKYCとは?
導入事例もあわせて紹介

本人確認は、個人情報を扱うサービスにおいて欠かせないプロセスです。
これまでの本人確認は、窓口での対面郵送主流でしたが、近年ではオンライン上で本人確認完結できる「eKYC」が企業に多く導入されています。本記事では迅速かつ効率的本人確認ができる「eKYC」の概要導入事例について詳しく解説します。

  • ※ 2020年4月3日公開


eKYCの概要

eKYC (electronic Know Your Customer) とはオンライン上で本人確認完結するための技術で、読み方はそのまま「イー・ケー・ワイ・シー」と読みます。従来対面郵送での本人確認を「KYC」と呼びますが、オンライン上で行う意味を表す「electronic」を追加したものがeKYCです。

従来本人確認窓口での確認書類郵送一般的でしたが、スマートフォンやPCなどのデバイス活用することで、短時間での本人確認可能になりました。

eKYCの認証方式は大きく分けて、セルフィーアップロード型とフェデレーション型の2種類があります。

eKYCの2つのタイプ:運転免許証など本人確認書類と本人の写真を同時に撮影し確認するセルフィーアップロード型、携帯電話契約時や銀行口座開設時など本人確認した際の顧客情報を事業者が提供し、確認するフェデレーション型。

セルフィーアップロード型は利用者スマートフォンを使い、運転免許証などの本人確認書類自身写真 (セルフィー) を同時撮影して提出します。アップロードされた本人確認書類顔写真セルフィー写真システム照合し、同一人物であることを確認します。撮影からアップロードまで、デバイス上で簡単完結するため、利用者にとっても手軽方式です。

フェデレーション型は携帯電話会社金融機関過去確認した本人情報を、別の事業者ユーザー同意のもと確認利用する方法です。スピーディー本人確認完了するためユーザー負担も少なく済むうえ、携帯会社銀行などの契約時確認された情報使用するため、信頼性確保されやすい点も特長です。


eKYC導入の背景と普及の理由

eKYCの導入が進んだ背景として、2018年11月に「犯罪収益移転防止法施行規則」が改正されたことが挙げられます。それまで本人確認窓口郵送などでの実施基本でした。しかし、この法改正により、オンライン上での本人確認法律的に認められるようになり、フィンテック (注1) 企業などを中心にeKYC導入ニーズ急速に高まりました。

犯罪による収益移転防止に関する法律 (以下犯収法) 」は、マネーロンダリング (資金洗浄) や反社会的勢力への資金提供防止する目的制定され、金融機関をはじめとする特定事業者本人確認取引記録保持義務付けています。しかし、対面郵送での本人確認時間がかかる上、利用者にとっても負担が大きく、効率的手段需要が高まっていました。こうしたニーズに応える形で、eKYCはより簡便迅速本人確認手段として、多くの業界活用されるようになっています。

また、犯収法は、オンライン本人確認方法に関する基準を定めています。一般的利用されてきた「ホ方式」(身分証明書撮影容貌撮影)に加え、近年マイナンバーカード普及により「ワ方式」(ICチップの読み取りで容貌撮影不要) の利用増加傾向にあります。総務省も「ワ方式」の利用推進しているため、数年以内主要方式になる可能性も少なくありません。

  • 注1) フィンテック (Fintech)金融 (Finance) と技術 (Technology) を組み合わせた革新的な動きのこと

容貌の画像



写真付き本人確認書類の
画像

容貌の画像



写真付き本人確認書類の
ICチップ情報

写真付き本人確認書類の
ICチップ情報


銀行等への顧客情報の
照会など

マイナンバーカードの
公的個人認証サービス利用

eKYCのメリットとデメリット

eKYCのメリットデメリットについて解説します。eKYCの導入検討している事業者さまはぜひ参考にしてみてください。
 

eKYCのメリット

eKYCのメリットは次の4点です。

  • 迅速本人確認対面郵送での手続きと比べスピーディー即日対応可能
  • 利用者利便性向上書類郵送窓口訪問不要になり、簡便手続完了
  • 業務効率向上書類受領内容確認保管などの業務負担軽減
  • 不正利用防止:成りすましやフィッシング詐欺など、不正アクセスリスク軽減

eKYCを導入する最大メリットは、本人確認スピード格段向上する点です。本人確認書類受領内容確認整理保管などの手間大幅軽減されるため、利用者利便性向上するとともに、事業者にとっては業務効率化が図れます。企業手続きを簡略化他社との差別化を図るという意味でも、eKYCの導入は大きな意味を持つでしょう。また、利便性以外メリットとしては、成りすましによる不正アクセス不正利用防止できる点が挙げられます。

これまで数週間程度かかっていた本人確認も、eKYCの場合、即日確認できることもあり、業務効率が向上

eKYCのデメリット

eKYCにはさまざまなメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。

まず、本人確認には運転免許証などの写真付きの書類必要なため、該当書類を持っていない利用者はeKYCの利用はできません。また、専用アプリインストールして設定する必要があるため、特にデジタル機器不慣れな高齢者層にとっては手続きが負担となる場合があります。さらに、写真撮影の際には照明ピント調整必要になるため、状況によっては認識エラー発生し、スムーズ確認完了しないケースも考えられます。

eKYCには、運転免許証など写真入りの書類や対応アプリのインストール作業、手ブレや反射による認識不良があり、本人確認に対応できない利用者も出てきてしまう

eKYCサービスの導入事例

eKYCは金融業界フィンテック企業以外にも、さまざまな業界導入が進んでいます。

KDDIでは、auの回線契約本人確認プロセスにeKYCを取り入れ、安全迅速確認手続きを実現しています。モバイル管理業務効率化できる法人向サービスMy KDDI Biz」では、回線追加申し込みの際にもオンライン上で本人確認完結できるため、管理者業務負担軽減しつつ、契約プロセス効率化を図っています。

本人確認書類の撮影、容貌撮影のイメージ
  • 写真提供:Liquid社
  • 画像イメージです。

「LIQUID eKYC」では本人確認書類のICチップを読み取る機能が加わるうえに、画像処理技術により撮影画像品質リアルタイム判定し、不備があればその場で通知する機能が備わっています。不鮮明画像による申請ミス軽減できることで、審査業務負担軽減とより高精度本人確認可能になります。


まとめ

eKYCはオンライン完結する本人確認手段として、業務効率化不正防止実現する効果的技術です。金融系企業フィンテック企業をはじめさまざまな業界導入が進んでおり、サービス信頼性向上ユーザー利便性向上につながっています。

eKYC導入検討する際には、自社ニーズ提供するサービス特性に応じて、適切なeKYCサービスを選ぶことが重要です。
また、デジタル操作不慣れなユーザーへの配慮や、導入時コスト対効果についてもあわせて検討する必要があるでしょう。
ぜひeKYC導入を通じて、より安全効率的運用体制構築してみてください。


関連記事


関連サービス