日本初の、通信サービスを提供するまでのCO2排出量を実測値 (一次データ) で開示する「グリーンモバイル」の提供など、サプライチェーン全体のカーボンニュートラルに取り組むお客さまを支援します。
日本でも多くの企業が本格的に取り組み始めた 「SDGs (エスディージーズ)」。
言葉は耳にしたことがあっても、具体的に何を意味しているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、SDGsとは具体的に何なのかを解説するとともに、KDDIが取り組んでいる事例もあわせて紹介します。
SDGs(エスディージーズ)は「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語に直訳すると「持続可能な開発目標」という意味を表します。SDGsには2030年までに達成すべき17の目標が掲げられており、これらは2015年に開催された国連サミットにおいて採択されました。
SDGsが採択される以前には「MDGs(ミレニアム開発目標)」が存在していたのですが、2015年に達成期限を迎えたことによって新たにSDGsが採択されることになりました。MDGsは主に途上国を対象に貧困や教育格差の是正、疾病対策などへの目標が中心となっていましたが、SDGsではさらに先進国も含めたサステナブル(持続的)な社会を実現するために、産業や経済成長、防災、地球環境に関する目標も追加されました。
SDGsで掲げられている目標は、貧困やジェンダーの問題、地球環境の保護、経済成長といった幅広いジャンルに及びます。地球環境の保護は、毎年のように発生している自然災害のリスクを低減することに直結し、命を守る意味でも重要な取り組みです。また、多様性のある社会を目指す上では、ジェンダー間の不平等や経済的な格差を是正するためにもSDGsの取り組みは極めて重要であり、日本を含めた世界の多くの企業が積極的にSDGsに取り組んでいます。
SDGsで掲げられた目標を達成するために、日本では「Society5.0」の実現が提唱されています。内閣府ではSociety5.0のことを「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義しており、情報社会(Society4.0)の次に到来する新たな社会と位置付けています。
これまでの情報社会では、必要な情報を自ら調べないと手に入れることはできませんでした。しかし、Society5.0の社会が実現すると、必要なタイミングで必要な情報が瞬時に提供されるほか、AIや5G、IoTなどの次世代技術の活用によって社会変革(DX=デジタルトランスフォーメーション)が期待できます。
たとえば、 自動運転技術やドローンによって、地方創生や環境に優しい魅力的なまちづくりにも貢献でき、多くの地方自治体が抱える社会課題の解決につながると期待されます。自動運転技術やドローンの自律飛行には、AI・5G・IoTなどの次世代技術が不可欠な存在です。
また、自治体が先進的な取り組みを行うことで若い世代の都心部への人口流出を防ぎ、将来的に地方の担い手として活躍できるほか、女性のエンパワーメントにおいてもSociety5.0は重要な役割を果たします。
このように、さまざまな社会課題を解決する上でSociety5.0は重要な要素であり、SDGsで掲げられた目標を達成するためには極めて関連性の高い要素といえるでしょう。そして、目標達成のための手段としてAI・5G・IoTなどの次世代技術は極めて重要な役割を果たします。
通信ネットワークはときに命に関わるライフラインでもあるため、KDDIが果たす社会的責任は極めて重大であり、SDGsが掲げている目標とも関連性が高いものです。また、通信ネットワークは人命に関わる要素以外にも、人間同士の心をつなげる役割や、日々の暮らしを陰で支える役割も果たします。
KDDIではSDGsへの取り組みとして、「命を、暮らしを、心をつなぐ」ことを大きな使命としています。
命をつなぐ
平時はもちろんですが、災害時にも強靭な通信基盤を提供することは通信キャリアとして最大の責任であり、命に直結する取り組みです。万が一重大な災害が発生し通信基盤に影響が及んだ場合、復旧作業が遅れてしまうと命に関わることも予想されます。
また、携帯電話端末のマテリアルリサイクルを実現し再資源化するといった取り組みは、地球温暖化を防止する環境負荷低減につながり、間接的に命をつなぐ役割を果たすと考えています。
暮らしをつなぐ
都市部や地方の社会課題の解決に向けて、5GやIoTといった次世代通信技術は重要な役割を果たします。特に過疎化が進む地方では、住民の暮らしを守るために最先端の通信技術は不可欠な要素です。
また、日本国内にとどまらず、海外の途上国に向けても通信インフラ整備のノウハウを提供し、さまざまな国際貢献を行っていくことはSDGsが掲げる目標に直結する取り組みです。
心をつなぐ
高齢化が進む日本において、また長期化が想定される新型コロナウイルス感染症の現代において、社会から孤立することなく充実した人生を送るためには、人間同士の心のつながりをデジタル技術によってサポートしていくことが求められます。多様性が認められる社会の実現に向けても、お互いが理解し心をつなぐために、デジタル技術を活用したコミュニケーションは不可欠といえるでしょう。
KDDIが取り組んでいる事例の中から、特にSDGsとの関連性が深いものを解説します。
【暮らしをつなぐ】遠隔操作の無人建機で災害復旧!建設業界の課題を解決する『au 5G通信』の実力
KDDIと大林組では2017年から、危険を伴う建設現場や災害復旧の現場で働く作業員の安全を守る取り組みとして、無人建機による遠隔操作の実証試験を行っています。
建設業従事者の高齢化と深刻な人手不足により、作業員にかかる負担も増加しています。建設業界では作業効率化と省人化に向けた対策が急務となっているのです。
KDDIはこのような建設現場の問題を解決するため、5Gを活用した実証試験を開始。建機1台とオペレーター1名による1対1の遠隔操作から始まり、2019年には4台の建機を連携させた遠隔操作と施工管理データのリアルタイム伝送・解析も実現しました。
安全性の高い作業環境によって作業員を危険から守る効果が期待できるほか、災害時の復旧作業も迅速に行えるようになり、地域住民の暮らしをつなぐ地方・都市の持続的発展も果たします。
【暮らしをつなぐ】沖縄国際通りに設置された『絶対あふれないごみ箱』 店員も笑顔にするその仕組みとは
2017年9月、沖縄県の定番観光スポットである沖縄国際通りにおいて「IoTごみ箱」を設置する実験が行われました。多くの観光客でにぎわう沖縄国際通りでは、ごみ箱があふれて景観を損ねてしまう懸念があることから、ごみ箱が設置されていませんでした。
そこで、ごみ箱の内部にIoTセンサーモジュールを取り付け、常時モニタリングを行い、ごみがあふれそうになったら通知が来る「IoTごみ箱」を設置。これによって最小限の人員でも効率的にごみの回収が可能になり、ごみ箱があふれて街の景観を損ねる心配もなくなりました。
設置する人も、街を歩く人も、観光地の人々が笑顔になる。ごみの量が通知される”あふれない”ごみ箱
KDDI × 沖縄セルラー
【暮らしをつなぐ】ドアを通れば別世界!アウト オブ キッザニアで未来の社会見学を体験
2020年1月、岩手県滝沢市において「アウト オブ キッザニア in 滝沢」が開催され、KDDIは「XR Door」ブースを出展しました。アウト オブ キッザニアとは、子どもたちにリアルな職業体験をしてもらうためのイベント。KDDIでは「5GやIoTなど先端技術を子どもたちに体験してもらうことを通じて地方創生を実現すること」をテーマにブースを出展しました。
「XR Door」ブースは、アプリを起動するとスマートフォンの画面内にバーチャルのドアが出現し、ドアをタップするとバーチャルな世界に足を踏み入れることができるというもの。XRを体験した子どもたちは、「将来、この技術を使ってもっと楽しいことができると思うとワクワクする」「もっと新しい技術について知りたい」といったように、最先端の技術に対して大きな興味を抱いていました。
ドアを通れば別世界! アウト オブ キッザニアで未来の社会見学を体験
【暮らしをつなぐ】漁業の課題を通信のチカラで解決したい!IoTを活用したサバ養殖への挑戦
福井県小浜市は、かつて大量のサバが採れた地域でしたが、近年は漁獲量が大幅に低下していました。そこで、地域活性化を目指し地元名産のサバを復活させるプロジェクトが始動。これまで漁師の経験と勘に頼っていた養殖技術を、データを蓄積することによって効率化。養殖いけすの中に、水温や酸素濃度、塩分濃度を計測する装置を設置し、1時間に1回の頻度でKDDIのモバイル回線でデータを伝送。水中の環境をタブレット端末で随時把握できるようなシステムを構築しました。
手書きでデータを記録するよりも正確で早く、明確なデータを根拠にえさの量やタイミングが分かるため、安心して作業できるようになりました。
経験や勘に頼っていたノウハウをデータ化して蓄積し、鯖養殖技術の確立につなげたい
福井県小浜市 様
【心をつなぐ】スマホでつなぐ新しい音楽鑑賞体験!新日本フィルと東京混声合唱団がバーチャルコンサート
新日本フィルハーモニー交響楽団と東京混声合唱団の総勢119名が「音のVR バーチャルコンサート」を行い、その様子がKDDI総合研究所が開発した「音のVR」アプリのコンテンツとして公開されました。
新型コロナウイルスの影響によってイベントやコンサートの開催が困難な状況の中、リモートの環境下でも間近で音楽を楽しんでいるかのような臨場感が味わえるのが「音のVR」の特徴。アプリ上には弦楽器や管楽器、合唱など個別のパートが表示されており、それぞれのパートを拡大すると音が間近に聞こえてくる仕組みです。
「音のVR」によって自粛生活の中においてもリモートで音楽を楽しめるほか、通常のコンサートでは分からないような楽員の表情もうかがい知ることができ、リモート環境ならではの新たな魅力を再発見することもできます。
スマホでつなぐ新しい音楽鑑賞体験! 新日本フィルと東京混声合唱団がバーチャルコンサート
【心をつなぐ】『MaaS (マース) 』を沖縄観光で体験!移動や支払がスマホで完結する次世代サービスとは
2020年2月から3月まで、期間限定で「沖縄CLIP トリップ」というMaaS体験アプリが提供されました。MaaSとは電車やタクシー、バスなどの交通手段を統合的に利用できる次世代交通サービスの概念です。単に移動手段の手配だけではなく、観光地の案内やルート検索の機能も搭載されており、まさに沖縄観光は「沖縄CLIP トリップ」で完結できるほど魅力的なサービス。たとえばバスや電車の時刻表を確認したり、タクシーの配車、決済までも対応できるほか、飲食店の予約も「沖縄CLIP トリップ」で完了します。
将来的にMaaSが普及してくると、5Gを含めた次世代通信技術を活用して自動運転による移動ソリューションも実現できると期待されます。
『MaaS (マース) 』を沖縄観光で体験! 移動や支払がスマホで完結する次世代サービスとは
SDGsで掲げられている目標は、これまでと同じ取り組みを行っているだけでは達成するのは難しいものです。日本ではSociety5.0が提唱されていますが、IoTや5G、AIといった次世代技術の活用なくしてSDGsの目標達成は現実的ではないといえるでしょう。
KDDIはすでに多くの企業や自治体とパートナーシップを組み、革新的な取り組みや実証実験を行ってきました。今後もSDGsの目標達成に向け、命、暮らし、心をつなぐための取り組みを継続していきます。
(文:西村広光)