生成AIに関連する各種サービスでお客さまのビジネスをサポートします。
KDDI ビジネスデザイン本部は、さまざまな業界のお客さまの事業成長を支援できるプロフェッショナルなデジタル人財の育成に取り組んでいる。その一環として、ディジタルグロースアカデミア (以下、DGA) のサポートを受けながらお客さまと一緒にビジネスを発展させる「実践型DX (デジタルトランスフォーメーション) プロジェクト」を行っている。今回は、同部署がそうした新しい形の人財育成を推進する理由と、そのプロジェクトの導入効果について、社内人財育成に取り組む企画統括部の担当者と、実際にプロジェクトに参加した金融営業部のメンバーにインタビューを行った。
――ビジネスデザイン本部がデジタル人財育成に取り組む理由と、その一環としてDGAがサポートする「実践型DXプロジェクト」の概要についてお伺いしたいのですが、はじめに、企画統括部の平川エキスパートに、ビジネスデザイン本部のミッションと業務内容をお話しいただけますか。
平川 ビジネスデザイン本部は法人営業を担当する部門で、お客さま企業が抱える課題を深掘りし、信頼いただけるパートナーとして事業の成長をご支援することをミッションとしています。私が所属する企画統括部は本部の営業戦略の立案・推進を担っており、営業プロモーションの推進やコーポレート業務なども行っています。
――プロフェッショナルなデジタル人財育成に注力する背景や狙いは、どのようなものでしょうか。
平川 泰子
平川 まず、DXやAIなどの新しいテクノロジーが急速に発展する中で、法人営業に求められるスキルも変化してきたことが背景として挙げられます。
KDDIは従来の通信事業者の枠を超え、お客さまとともに成長し、社会や業界の課題解決に挑戦しています。そのため、サービスやソリューションの提供にとどまらず、お客さま企業が抱える本質的な課題をともに見極めることが重要です。また、DXやAI、データ活用のスキルを強化し、新たなアイデアやイノベーティブな価値を創出する人財を育成することも重視しています。
こうしたニーズに応えるため、2023年度からは従来の研修を「実践型DXプロジェクト」に進化させ、プロジェクトに取り組んできました。
――「“実践型”DXプロジェクト」とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。
平川 このプロジェクトは、一般的なインプット型の研修ではなく、実際のお客さまへのDX企画・提案を支援する、ビジネスに組み込まれた実践型のプロジェクトである点が大きな特徴です。お客さまのDXプロジェクトから厳選したいくつかに対して、DGAにはDXの企画をはじめ、データ活用やビジネスモデルの検討、提案活動の伴走など、多岐にわたりサポートいただいています。
営業担当者は定期的にDGAへ商談の進捗や検討状況を共有し、ディスカッションを重ねながら「お客さまの事業の成長」というゴールに向けて取り組みます。
また、DGAはIT・通信、金融業界をはじめとする幅広い業種・業界に関する深い知見を持っており、広い視座でご指導いただいています。
重要なタイミングでは商談に同行し、お客さまと直接対話することで、営業担当者が見落としていた課題の提起や新たなアイデアが生まれることもありました。主体は営業担当者ですが、一緒に実践し支援してくれる点が、一般的な研修と実践型プロジェクトの決定的な違いだと感じています。
私たちは「営業担当者の成長」と「お客さまの課題解決・事業成長」の双方に貢献できるスキームに魅力を感じ、この実践型プロジェクトを実施しています。
参加者には、プロジェクトを上手く活用して、お客さまとのさらなるエンゲージメント向上につなげてほしいと願っています。
――次に、プロジェクトに参加する金融営業部のお二方に、実践形式での学びについて感想をお聞きします。
粕谷 このプロジェクトは実際のビジネスに組み込まれているため、当然のことですが“学びの実践がずっと続いていく”という点が、座学の研修とは異なります。プロジェクトの宿題として次の商談に向けた具体的なアクションが求められるため、常に業務の中で実践研修を受けている感覚です。プレッシャーはありますが、逆に「だからこそ、案件を進めてこられた」とも感じています。DGAの講師は、金融業界をはじめ、さまざまな業種業界に精通しており、細やかなアドバイスをいただけるのが心強いです。
このプロジェクトをきっかけに、お客さまからは今までにはなかった通信関連以外のご相談も多くいただけるようになりました。KDDIへのイメージや期待値が変わってきていることを肌で感じ、嬉しく思っています。
粕谷 幸平
――プロジェクトに参加して、何か変化はありましたか。
藤井 新吾
藤井 私も、お客さまのKDDIに対する見方が変わってきたように感じています。このプロジェクトを通じてお客さまと密にコミュニケーションさせていただいた結果、お客さまの企業内でもKDDIが共創やDXを相談できる相手として認識が深まったように思います。例えば、DX関連の案件について、最近ではお客さまの方から「こういうことをしてみたいが、どう思いますか?」と相談される機会が増えました。これは私たちにとって喜ばしい大きな変化です。
――DGAの支援が、実際の業務で特に役立っているポイントは何ですか。
粕谷 広い視野でお客さまの課題について考える習慣がつきました。以前はお客さまとKDDIのダイレクトな関係に焦点を当てていましたが、昨今はお客さまの先にいるパートナーや、サービスご利用者など、さまざまな関係者の立場や期待を考慮した上で、お客さまに何を提案すべきかを模索するようになりました。「売り手よし、買い手よし、世間よし」という「三方よし」を実現するために、より多角的な提案を行えるようになったと感じています。
――それでは実際のプロジェクト内容についてお聞きする前に、金融機関を支援するにあたり、業界特有の課題や傾向があれば教えてください。
粕谷 金融機関共通の課題として、市場環境の変化に適応し、新たな収益の柱を作ることを目指しているという印象を受けます。最近、金利が上昇し始め、状況は少しずつ変わりつつありますが、長期的な視点で考えると、既存事業だけで成長し続けることは難しいと感じているようです。各社ともに新たなサービスの収益化を模索しており、その解決策の一つとしてデジタル技術やデータを活用した成長戦略が掲げられています。
――近年、金融業界の営業スタイルにも大きな変化が生じているようですね。
粕谷 銀行、証券、保険などのネット金融の成長が加速する中、特に若年層へのアプローチに課題を抱えていると聞きます。
例えば保険業界では、かつて営業担当者が企業の食堂などに訪問し、新入社員に保険の説明をするスタイルが一般的でした。しかし、コロナ禍の影響で企業オフィスへの訪問が制限されるなど、対面営業が難しくなっているようです。
現在DGAにサポートいただいている案件も、若年層を中心とした新規ご利用者との新たな接点創出を目指す、ある金融機関さまの課題解決をご支援する内容となっています。
――それでは、DGAが実際に支援している案件についてお話しいただけますか。
藤井 金融機関さまのシステムと、KDDIのAIなど最新テクノロジーを組み合わせた、新しいサービスを検討しています。
技術的には現時点でも実現可能ですが、サービス化にあたっては、金融業界ならではの規制や座組の整理などクリアすべき課題が多くあり、現在、その詳細を詰めているところです。
このプロジェクトを通じてお客さまと何度も対話を重ねる中で、私自身も多くの学びや気づきを得ました。
まず、世の中のトレンドを理解することが大切です。人々が何に関心を持ち、何にお金を使うのかを把握することが、サービス開発の大きなヒントとなります。また、サービス化に際しては、お客さま企業だけでなく、プロジェクトをともに進めるパートナーをはじめ、さまざまな関係者の立場を考慮することが重要です。良いサービスは、こうした多角的な視点なしには生まれないということを学びました。
サービスの実現にはテクノロジーが不可欠ですが、お客さま企業に活用いただいて初めて、その価値が生かされることを今さらながら痛感しています。KDDIの製品やサービスを単に販売するだけでは、お客さま企業の期待に応えることはできません。私たちは、お客さま企業にとって最善の選択肢を徹底的に考え、ともに実現を目指すプロフェッショナルになる必要があります。このプロジェクトでDGAに伴走いただく中で、根本的なマインドセットを学ぶ素晴らしい機会をいただきました。
――最後に、今後の展望や意気込みは。
平川 最も大切なのは、「お客さまに信頼され、価値を提供し続けられる存在になること」です。そのためには、「営業担当者の成長」と「お客さまの課題解決・事業成長」の双方につながる支援を進化させ、継続して行うことが重要です。2023年度から始まったプロジェクトですが、将来的には社会や業界の課題解決に貢献できる事業の創出を目指しています。また、業界を横断したさまざまな企業との連携や協業を実現するお手伝いができればと考えています。
粕谷 DGAの実案件での伴走により、知見やスキルがその場限りのものではなく、私自身の血肉となって定着したと実感しています。今後は通信、金融、DX推進がそれぞれ独立して存在するのではなく、DXが事業に自然に溶け込む、シームレスな状態を実現することを目標に取り組んでいきます。
藤井 これまでDX研修は何度か経験していますが、実案件の事業化を目指した支援スタイルは初めての経験でした。今はDGAの知見を活用しながら案件を進めていますが、最終的には自立し、周囲や企業を巻き込みながら、DXを推進できるようにならなければならないと考えています。DXのプロフェッショナル集団としての地位を早く確立できるよう、引き続き邁進していきます。
――KDDIビジネスデザイン本部は、お客さま企業が抱える課題の解決と、新たなビジネスモデルの確立を支援することで、日本のDX推進を加速させていく。
通信・データ・AIといった新しいテクノロジーを融合させることで新たな価値を生み出し、「DX・AI・データビジネスのプロフェッショナル集団」「お客さまの事業成長、社会課題解決に貢献するパートナー」を目指す。