Starlinkを活用した真鯛の遠隔養殖実証調査を「長崎県五島市の島山島」で開始 ～国土交通省のスマートアイランド推進実証調査に採択～

KDDIは、ICTなどの新技術を活用し離島の課題解決を図るための国土交通省の実証調査「スマートアイランド推進実証調査 (注1)」に採択され、長崎県五島市の島山島における通信不感エリアでの遠隔養殖の実証調査 (以下 本調査) を、2024年11月29日から開始しました。本調査では、StarlinkキットとWi-Fiルーターを洋上の生け簀に設置しており、Starlinkを活用した海面養殖場での実証事例は、国内初 (注2) となります。

ウミトロン株式会社 (所在地: 東京都品川区、代表取締役: 藤原謙、以下ウミトロン) が設置したスマート給餌機で真鯛に給餌し、スマート給餌機のカメラを通して陸上のスマートフォンやパソコンなどから遠隔で生け簀の様子を確認、給餌設定やAIによる食欲の判定を行います。

KDDIは2024年5月から、お客さまの事業成長・社会課題解決へ貢献するため、AI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX (ワコンクロス)」を始動しました。WAKONXを通じて、日本の水産業が抱える養殖事業者の高齢化や人手不足などの社会課題解決に貢献します。

離島では、養殖に必要な飼料の運送費が高額になり、また、生け簀が遠方の場合には、船の燃料代も大きな負担です。若者の島外流出や高齢化による労働力不足により、養殖事業者の経営体数は減少し続けています。これらの課題を解決するには、スマートデバイスの活用が有効ですが、通信インフラは島ごとに異なり、環境に適した個別システムを構築すると採算性が低くなるという課題があります。

KDDIは、通信不感エリアとなる海面養殖場において、データ通信を可能とし、遠隔操作による給餌などを実現します。場所にかかわらずに管理可能な環境を構築し、離島における持続可能な産業モデルの構築を目指します。

StarlinkキットとWi-Fiルーターを太陽光発電により駆動させて通信網を構築、AI・IoT搭載のスマート給餌機「UMITRON CELL (ウミトロンセル) (注3)」を活用して真鯛養殖事業を支援することで、給餌量最適化、燃料費削減、労働負荷軽減などの経営改善効果を調査します。調査から得た改善効果を共有し、持続可能な産業モデルの構築を目指します。
 

日本の社会課題である人口減は、日本の水産業にも大きな影響を及ぼしています。あらゆるモノに通信が溶け込むIoT技術により、水産養殖現場のデータ化を図り、将来的には水産養殖現場にAIが溶け込むことで、さらなる燃料費削減や省力化が期待できます。

ウミトロンが提供する「UMITRON CELL (ウミトロンセル)」は、スマートフォンやクラウドを活用して生け簀の遠隔での給餌管理が可能な水産養殖向けスマート給餌機です。水産養殖現場で課題となっている労働環境の改善、環境保全、食の安定供給を目指して開発されています。計測結果は、スマートフォンやパソコンなどで確認することが可能です。