『5G』とは第5世代移動通信システムの略称で、携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のひとつです。Gとは『Generation』の頭文字をとったものであり、5世代目であることを表しています。
2015年9月に国際電気通信連合 (ITU-R) が発行した小冊子に初めて5Gの性能要求が記載され、その後PCG (Project Co-ordination Group) の配下にある3GPP (注) という組織によって5Gは定義されました。ちなみに、2017年2月には5Gのロゴも3GPPから発表されています。
また、コミュニケーションの世界においてあらゆるもの同士がつながり、リアルな世界とサイバー空間が融合するSociety 5.0という考え方があります。これまでの社会は、インターネット空間にある情報やデータを人が入手し、人の手によってさまざまな処理が行われてきました。しかし、Society 5.0が実現すると、インターネット上にある膨大なデータをロボットやAIなどが自動的に処理を行い、人の手を必要とする作業が大幅に低減されることになります。
ビッグデータとAI、IoTなどを活用してSociety 5.0を実現することによって、自動車や自操する機械などの自動運転技術の実現や少子高齢化の問題解決、経済的格差の是正など多くの社会問題を解決できると期待されています。5GはまさにこのSociety 5.0を実現する上で必要不可欠なテクノロジーです。
注) 3GPP: 3rd Generation Partnership Projectの略称。通信方式の仕様を標準化するプロジェクトのこと
あらためて5G以前の携帯電話ネットワークの歴史を見ていきましょう。1980年代に登場した第1世代のネットワークはアナログ回線で、自動車電話やショルダーフォンなどがビジネス向けに発売されました。この頃の携帯電話は通話のみに使用され、現在のようにメールやインターネットに接続することはできませんでした。
その後1990年代に入るとデジタル回線の2Gが登場し、2.4kbps~28.8kbpsのデータ通信が可能な時代が到来。2000年代に登場した3Gではさらにスピードが高速化し、384kbps~14Mbpsの通信が可能になりました。3Gの登場によってメールはもちろんネットサーフィンも可能な速度となり、携帯電話だけではなくデータ通信サービスも続々と登場してきました。
そして、スマートフォンの台頭とともに2010年代初頭に登場した4Gは、50Mbps~1Gbpsの通信速度を実現し、ゲームやチャット、動画などのリッチコンテンツもスマートフォン1台で楽しめるようになりました。
そして、大手通信各社では5Gのサービスを次々と導入しています。このように、携帯電話の歴史をひも解いていくと10年程度のスパンで新世代の通信規格が登場していることが分かります。
5Gの特徴は以下の3点が挙げられます。
これらを現在普及している4Gと比較してみると、以下のような違いがあります。
上記のイラストからも分かる通り、5Gは4Gに比べて通信速度は20倍、遅延は10分の1、同時接続数は10倍となっています。
これらの特長から、実際にどのようなメリットがあるのか、いくつか身近な事例について分かりやすくまとめてみました。
4Gに比べて大容量の通信が可能になり、高精細な画像や動画の利用が可能になる
分野 | 既存技術 | 5Gの世界 |
---|---|---|
セキュリティ | 人の存在 |
人物の認識・特定 |
自動運転 | 前方自動車の存在 |
環境・標識の認識 |
コンテンツ | HD画像・動画配信 | 4K/8Kの画像・動画配信 |
医療 |
患者の大まかな症状 |
高度な診断 |
多くの端末を同時に接続でき、機器監視やスマートシティなどIoT分野での活用が可能になる
分野 | 既存技術 | 5Gの世界 |
---|---|---|
状態解析 |
少ないセンサー数 複数のセンサーを接続する |
センサーを必要な箇所に適宜配置 多くのセンサーによる精度向上 |
スマートシティ |
通信において遅延が短縮され、リアルタイムに近い通信が可能になる
素早いフィードバックが求められる自動運転の制御やVR/ARの活用が可能になる
分野 | 既存技術 | 5Gの世界 |
---|---|---|
自動運転 | 自律的判断・制御 (自動車内で判断・制御) |
周辺自動車・環境も含めた判断・制御 (交通状況・他自動車情報も加味した制御) |
自動制御 | 自律制御 |
協調動作 環境連動動作 |
VR/AR |
端末固有のコンテンツ 人体へのフィードバック遅延による没入感毀損 |
ネットワークを介した仮想空間の広がり リアルフィードバックの実現 |
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