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海外拠点や工場に重視されるOTセキュリティとは?リスクと具体的な対策を紹介

海外拠点や工場に重視されるOTセキュリティとは?
リスクと具体的な対策を紹介

2026 1/20
OT (Operational Technology) セキュリティは、デジタル化が進み、サイバー攻撃リスクが高まっている製造業やインフラ分野において不可欠です。OTセキュリティの実現には、本社と海外拠点の役割分担の明確化や、迅速な連携が重要です。本社は全体的なセキュリティ基準の作成やガバナンスを担い、海外拠点は現地特有のリスクを考慮しながらサプライチェーン全体の連携を強化する必要があります。本記事では、OTセキュリティにおけるリスクと具体的な対策をガイドラインに基づいて解説し、グローバル規模でのセキュリティ体制の構築方法と具体的なOTセキュリティの要点について、詳しく解説します。

※ 2025年3月13日公開

1.なぜOTセキュリティが重要視されるのか

OT (Operational Technology) セキュリティとは、OTシステムと呼ばれる産業用制御システム保護するためのセキュリティ対策意味します。OTセキュリティ重要視される背景には、急速に進むデジタル化やスマートファクトリー化が影響しています。従来のOTシステムは、工場設立当時設計思想をもとに構築運用されており、セキュリティ最優先にした設計ではありません。そのため多くの工場では、10年以上前設計されたレガシーシステムがそのまま運用されており、セキュリティ面の脆弱性問題視されています。

また、生産性向上させるためには、近年デジタル化やスマートファクトリー化に伴い、ITシステムとOTシステム統合必要です。さらに、クラウドがこれまで完全隔離されていた工場システム接続されることで、攻撃対象が広がり、サイバーリスク増加します。この点は、自社だけでなく、サプライチェーン全体での注意が求められます。

OTセキュリティ対策は、システムやOSの脆弱性を狙うような攻撃から企業生産設備を守るというリスクマネジメント観点から不可欠なものだといえます。

海外拠点や工場におけるOTセキュリティの全体図

2.海外拠点や工場におけるOTセキュリティのリスク

海外拠点や工場におけるOTセキュリティのリスク

OTセキュリティ実現には、海外拠点やOT環境特有リスク要因理解することが必要です。

2-1.サイバー攻撃への迅速な対処が難しい

OT環境下 (工場) では生産システム可用性が最も重視されるため、IT環境とは違って万が一サイバー攻撃を受けても迅速対処が難しく、システム停止による対処などでコスト増を引き起こすリスクがあります。

可用性重要視されている環境下では古いOSやシステムなどを利用し続けていることも珍しくないため、最新セキュリティパッチ適用が難しく、結果として脆弱性放置されてセキュリティリスク把握しきれない状況に陥る可能性があります。

2-2.古いシステムと新しいセキュリティ技術のアンマッチ

長年使用されているレガシーシステムの多くは、最新サイバーセキュリティ基準対応していません。脆弱性解消されないまま運用され続けるとサイバー攻撃標的となりやすく、本社標的としたサイバー攻撃の入り口として使用されるなど、深刻被害につながる可能性があります。

また、OTシステムネットワーク接続前提としていないものも多く、現在のITセキュリティツールをそのまま活用できない場合があります。例えば、仮想パッチなどの間接的手法を用いて脆弱性対応する必要があります。

2-3.生産性や安全性のバランス

OTシステムリアルタイム制御監視を行うため、システム遅延障害生産ライン全体のみならず安全性にも深刻影響を与えます。例えば、サイバー攻撃によるシステム遅延場合、特に電力網交通インフラ制御システム攻撃を受けると、人々の安全直接的影響を及ぼすおそれがあります。

2-4.拠点ごとに異なる法規制やシステムの影響

各国法規制に基づいて独自設計されたシステムは、OTセキュリティにおける一貫性を損なう要因になります。
本社側各拠点で求められるセキュリティ対策基準考慮しつつ、グローバル基準各拠点状況とのギャップを埋めていく必要があります。

2-5.サプライチェーンのリスク

拠点ごとのOTシステムに対するサイバー攻撃は、サプライチェーン全体波及する可能性があります。特に取引先とのやり取りが主となるサプライチェーンでは、自社以外にも多大影響を及ぼすリスクがあります。
例えば、某自動車会社インシデントケースでは、主要サプライヤーサイバー攻撃被害対象となり、サプライチェーンシステムでつながっていたことで、全工場生産ストップする被害を被りました。

リスク最小限に抑えるためには、迅速対応体制構築だけでなく、サプライチェーン接続している機器システムを常に最新状態アップデートすることが求められます。

3.OTセキュリティに関するガイドライン

OTセキュリティに関しては、OT環境特有リスク解消することを目的とした国際的ガイドラインフレームワーク存在します。特にEUが策定した「NIS2指令」は、重要基準を示しています。

OTセキュリティに関するガイドライン

第21条ではリスク分析インシデント対応体制整備バックアップ脆弱性管理サプライチェーンセキュリティ強化多要素認証 (MFA) など、10項目基本方針が定められています。
中でも「リスク分析定期的リスクアセスメント」に基づいて各拠点特性に応じたリスク評価実施すれば、脆弱性セキュリティ上のギャップ可視化や、優先順位をつけた対策可能です。

また「インシデント対応標準化迅速行動体制整備」に沿って、本社側グローバル対応基準設定し、海外拠点では現地即応可能体制構築すると、時差距離による対応の遅れを防ぐことができます。

上記のようなガイドラインに沿った取り組みにより、OT環境におけるシステム停止生産遅延サプライチェーンへの波及リスクを抑え、企業全体の「サイバーレジリエンス」を強化できます。また、拠点間連携ガバナンス向上させれば、グローバルセキュリティ体制一貫性確保する基盤として機能します。詳細関連記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

4.OTセキュリティ対策を実施する具体的なポイント

OTセキュリティ強化には、ガイドラインに基づいた具体的対策複数組み合わせて実施することが重要です。以下に、取り組むべき主要ポイント解説します。

OTセキュリティ対策の4つの柱

4-1.ネットワークの分離

OTシステムとITシステム明確分離して、サイバー攻撃影響限定的なものにします。例えば、製造ライン管理部門ネットワークファイアウォールセキュリティゲートウェイ利用して分離し、アクセス制御すれば、セキュリティレベル向上させることが可能です。

4-2.アクセス権の管理

リモートアクセスができるユーザー数を必要最小限に抑え、許可されたリモートアクセスは、多要素認証 (MFA) を導入するなどして、不正アクセスリスク軽減します。

4-3.脆弱性管理とパッチ適用

レガシーシステムを含むOTシステムでは、定期的脆弱性スキャン実施し、パッチ適用必須判断された場合に限って実施することが重要です。更新が難しいレガシーシステム場合仮想パッチネットワークセグメント分離活用し、脆弱性補完する代替的対策実施推奨されます。

またサプライチェーン接続している機器システムについても、常に最新状態アップデートし、ネットワーク経由サイバー攻撃拡大するリスクを防ぐことが求められます。

4-4.セキュリティモニタリングとインシデント対応体制

サイバー攻撃被害最小限に抑えるためには、ネットワーク監視し、異常な振る舞いを早期検知する仕組みの整備重要です。例えば、XDR (Extended Detection and Response) を導入して、リアルタイムトラフィック監視し、異常兆候検知する仕組みなどが挙げられます。

さらに、全社共通インシデント対応フロー策定し、本社統括する形で一貫した対応方針を示します。同時に、各拠点法規制業務プロセスに合わせたインシデント対応マニュアル準備し、迅速初動対応復旧作業を行える体制整備しましょう。

4-5.ゼロトラストネットワークの理解

信頼しない」ことを前提に、ネットワーク内外を問わずすべてのアクセス検証する「ゼロトラストモデル導入します。ネットワーク内外ユーザーデバイスに対して常に認証検証実施するモデルであり、OT環境下では、重要システム保護活用します。

ゼロトラスト環境構築はOTセキュリティ向上させ、内部からの攻撃にも強いセキュリティ構築寄与します。

4-6.導入や改善に向けたステップ

OTセキュリティ強化対策多岐にわたり、全てを一度実現することは難しいでしょう。まずはリスク分析を行い現状把握し、拠点生産設備ごとの状況確認した上で、重要度の高い箇所エリアから優先的かつ段階的対策を講じることが重要です。

ステップ概要図

自社での対応が難しい場合は、外部ベンダーへの依頼有効手段といえます。

5.まとめ

OTセキュリティ強化は、企業競争力維持し、グローバル市場信頼を築くための重要な取り組みです。拠点ごとのOT環境に合わせた適切セキュリティ対策を講じれば、外部脅威からシステム生産設備を守ることができます。

さらに、IoTの普及やITとOTの統合が進む現代において、セキュリティリスクへの対応はますます複雑化しています。現状課題対応するためには、グローバル基準拠点ごとのローカル要件を組み合わせ、脆弱性管理モニタリングインシデント対応体制一体的構築するセキュリティ戦略不可欠です。変化の激しい現代において、企業スピード感を持った柔軟対応をしつつ、システム設備を守る体制継続的見直し、強化していく必要があります。

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