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新型コロナウイルスの脅威だけでなく、地震や台風などの災害が多い日本では、BCP (Business Continuity Plan:事業継続計画) が大きな課題となっています。第一部では、このコロナ禍、BCPの観点から、「環境に左右されない働き方」の実践例について、広島県 総務局 総括官(情報戦略)の桑原 義幸 様に講演いただきました。
桑原様は、2011年4月に広島県CIOとして着任。前年に広島県知事が打ち出した行政経営刷新計画の1つ、ICTを駆使した「ワークスタイル変革」の実行指揮役を担ってきました。「目指せ! 自治体のベストプラクティス」を目標として、「2013年には幹部全員にiPadを配布しペーパーレス化を推進し、Web会議システムも導入しました。2018年には広島県議会でも関係者全員にiPadを配布してペーパーレス会議を進めた」といいます。
これに加え、希望する職員には貸出用パソコンを用意し、在宅勤務や出先での業務を推進するなど、多様な働き方に対応。セキュリティを考え、閉域網で庁内ネットワークに接続し、どこでも働ける環境を整えました。
自治体の中でも先陣を切って始まった広島県のワークスタイル変革ですが、その限界を見せたのが、2018年7月に発生した西日本豪雨でした。人的被害はもちろん、道路の遮断や停電・断水など生活インフラも甚大な被害を受け、登庁できない職員が半数に上ったといいます。当時、テレワークは可能だったものの、事前に申請し端末を借りてテレワークする形式で、オフィスで使う端末はすべてデスクトップ。地方事務所やダム現場なども被害に遭い、数十台しかない貸出用パソコンは底を尽き、桑原様の元には「県内の被害状況をいま確認したい」「何でもいいから端末が必要だ」という声が次々に寄せられました。
これを受け、桑原様は「とにかくいまある技術でできることを」と考え、クラウドストレージ「Box」による被災状況の写真のリアルタイム共有や、Mac OS / Windowsまたはパソコン / タブレット問わず、どんな端末からでもセキュアにアクセスを可能とするDaaSの仮想環境構築などの施策を突貫で整えていきます。「当時、行政機関ではクラウドストレージの使用やパブリッククラウドなどは禁止されていましたが、この災害時において私たちは『これらの技術を使おう』という意思決定をしたのです」と桑原様は振り返りました。
「BCP対策と働き方改革それぞれが独立して機能していたことが問題で、平時でも非常時でも慣れ親しんだユーザーインターフェース・ユーザーエクスペリエンスで同じ働き方ができること、これに尽きる」と桑原様。現在でもその環境を維持して業務遂行しているといいます。
これを機に、それまでのワークスタイル変革を「ANYTIME, ANYWHERE FOR EVERYONE(すべての人に対し、いつでもどこでも働ける環境を)」というコンセプトで強化していきます。まず全端末7,200台をすべてノートパソコンに変更し、本庁内は全館を無線LAN化。また外出時にはSIMカードによるアクセスを可能とし、KDDIの協力の下、SIM※内蔵PC(LTE対応パソコン)を導入しました。「このパソコン1台があれば、いつでもどこでも業務が遂行できるという状態を整えました」と桑原様。
これにより、貸出用パソコンは廃止。在庫管理も不要となり、これも大きな働き方改革の成果として評価されています。
これらの対策は2019年末に完了しました。
明けて2020年1月、新型コロナウイルスの脅威が日本にも迫ってきました。同年4月には初の緊急事態宣言が発令され、街からは人の姿が消えました。この時にまさに出番となったのが、7,200台のLTE対応パソコンです。
「前年末にこれらの環境を整備していたため、極論をいえば庁内職員全員がその日からでも在宅勤務可能な状態でした。私たち情報グループもコロナ対策の一環として、状況打破に向けたテクノロジーの活用について模索。
その結果、開発者、パッケージベンダー、我々職員の3者が一度もリアルで顔を合わせることなく、リモートでコロナ対策アプリを開発しました」 (桑原様) 職員の「体調管理観察アプリ」、「行動記録票アプリ」、感染時の搬送先を的確に判断するための
「搬送先トリアージアプリ」の3つは1カ月半でアジャイル開発し、リリース。「LTE対応パソコンがあってこそで、従前のデスクトップ環境だったらできなかった」と桑原様は振り返ります。
さらに、人流が増える夏休み時期には、同様のリモート開発で「広島コロナお知らせQR」をリリースしました。店舗にあるQRコードにスマートフォンをかざしてメール登録すると、万が一感染者と接触した可能性がある場合には通知が届き、PCR検査の申し込みが案内されるサービスです。利用者の不安を解消するために、次の行動まで促す仕組みを設けたといいます。また、店舗ごとにポスターと店頭POPを発行する仕掛けの裏側は、電子申請で受付、メールでお店に送付するところまでをRPAを活用して無人で対応しています。
Web会議システムも、従来から使用していたシステムに加え、かねてより2020年4月にZoomを導入することが決まっていました。このためリモート会議増加にも余裕を持って対応でき、徐々に登庁勤務が解禁された現在でも、密を避けるためにWeb会議を積極的に活用しているといいます。
同県庁の在宅勤務体系である「家でもワーク」の利用者数、延べ利用日数の推移をコロナ禍前後で比較すると、どちらも2020年 (令和2年) から急増していることがわかります。利用者数でいうと、4,500人の県職員のうち、93%の約4,200人が在宅勤務を利用し、日数は前年比約23倍強となる6万6,000日以上となりました。SIM利用件数に占める在宅勤務も、2020年4月から約18倍となっています。
桑原様はこうした実例を踏まえ、DX化成功のポイントは「人間が行うことを前提にした業務プロセスから、100%機械が行うことを前提に最適化したビジネスプロセスを再構築すること」と断言し、「一度その便利さを体験すれば、不便な環境に戻りたいとは思いません。これを実現するものが、ユーザーインターフェースであり、ユーザーエクスペリエンスです」と説明します。
最後に、「DXを進める上では常識を大転換し、ゼロベースで考えることが重要です」とメッセージを送り、講演を締め括りました。
コロナ禍という危機を経て、今後はリモート、そしてオフィスを併用する新しい働き方がますます浸透すると予想されます。
では、そうしたハイブリッドな働き方において、快適で働きやすいユーザーエクスペリエンスを実現するモバイルパソコンは、どのような要件を備えるべきなのでしょうか。
第2部では、モバイルパソコンメーカーとして多くのビジネスパーソンから支持されている、日本マイクロソフト株式会社、株式会社日本HP、パナソニック株式会社によるパネルディスカッションが行われました。各社が実践しているテレワーク術のほか、用途に合わせたモバイルパソコンの選択基準、今後の新しいワークスタイルの推進に向けて、押さえておくべきモバイルパソコンの機能要件について活発な議論が交わされました。
~リーディングカンパニーが語るモバイルPCのスタンダード~
セミナー視聴者から大変好評だった本セミナーの模様は、オンデマンドでもご覧いただけます。
第1部の桑原様の講演、および第2部のディスカッションをぜひご視聴ください。