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リファクタリングとは?目的やメリット・デメリットをわかりやすく解説

リファクタリングとは?目的やメリット・デメリットをわかりやすく解説

2025 9/11
近年、DX (デジタルトランスフォーメーション) の加速に伴い、既存システムの内部構造を見直し、技術的負債を解消する動きが広がっています。中でも「リファクタリング」は、外部仕様を維持したままコードの可読性や保守性を向上させる有効なアプローチとして注目されています。本記事では、リファクタリングの基本的な考え方から、代表的な手法、実施のステップ、メリット・デメリットまでを体系的に解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.リファクタリングとは

リファクタリングのイメージ画像

リファクタリング (Refactoring) とは、ソフトウェア外部動作を変えずに、内部構造改善する作業です。主にソフトウェア開発で使われる技術用語で、例えば、処理結果入出力を保ったまま、コード整理簡潔化することを指します。

これにより、コード可読性保守性向上し、チームでの共有レビュー効率化されます。処理内容を変えずに改善する点が特徴で、性能向上 (最適化) とは異なります。また、意図しない不具合が起きていないかを検証するために、ユニットテストでの動作確認不可欠です。リファクタリングは、コード技術的負債を減らし、長期的開発効率を高める重要手段といえます。

リファクタリングの具体的な目的

リファクタリング目的は、複雑化したコード構造整理改善し、開発効率ソフトウェア品質を高めることです。チームでの開発では、メンバーごとに記述スタイルが異なるうえ、仕様変更修正を繰り返すことで、コードが徐々に読みづらくなっていきます。

例えば、if文が何重にもネストしていたり、すでに使われていない処理がそのまま残っていたりする場合です。このようなコードリファクタリングによって整理し直すことで、修正調査手間大幅軽減できるほか、プロジェクトに新たに加わったメンバーコード意図把握しやすくなります。結果として、仕様変更障害対応スピードが上がり、チーム全体生産性柔軟対応力向上につながります。

2.リファクタリングのメリット

リファクタリングコード整理し、保守性可読性向上させるだけでなく、障害対応迅速化潜在バグ発見にも効果的で、品質改善開発効率向上直結します。

2-1. 保守性と開発効率を高める


if文の多重ネストや、同じ処理の繰り返し記述など、コード複雑になる原因はさまざまです。リファクタリングによって、冗長構造整理統一することで、コード可読性が大きく向上します。

その結果修正機能追加容易になり、開発スピード加速します。設計意図明確になれば、プロジェクト途中参加したメンバーでも、素早仕様把握できるため、チーム全体生産性向上につながります。

リファクタリングのメリットのイメージ画像

2-2. 障害対応が早く、正確になる

障害発生した際、原因特定修正にはスピード正確性が求められます。リファクタリングによって可読性が高まったコードは、処理の流れや依存関係明確になり、問題箇所的確把握できます。

結果として、初動対応迅速になり、二次障害リスク軽減されます。さらに、チーム間でコード共有しやすくなることで連携円滑化し、現場で求められる「即応力」を支える基盤となります。

2-3. 潜在的なバグを発見し、重大障害を予防できる

リファクタリング中には、他の開発者やユーザーの立場、コードの見やすさ・保守しやすさ、システムの目的を意識した見方など、書き手とは異なる視点でコードを見直す機会が生まれます。その過程で、通常の動作確認では見逃されがちなロジックミスや、複雑な条件分岐の矛盾、例外処理の抜け漏れに気づくことがあります。
一見すると些細なミスでも、放置すれば大きな障害に発展する可能性があるため、早期発見は極めて重要です。コードを整理し直すことで、品質管理の精度が高まり、リリース後のトラブル予防や対応コストの削減にもつながります。

3.リファクタリングのデメリット

リファクタリング有効改善策ですが、コスト検証負荷仕様理解リスクといった落とし穴もあります。成功には、計画性チーム設計思想共有不可欠です。

3-1. 時間とコストを消費するため、投資判断が必要

リファクタリングは、将来的な保守性や品質改善に貢献しますが、実施には相応の工数と時間がかかるため、開発リソースに対するコスト負担が生じます。そのため、全体ではなく、技術的負債が蓄積しやすい箇所や、頻繁に変更が発生する領域から着手するなど、優先順位を明確にすることが重要です。
必要最小限の範囲で実行し、効果を見ながら段階的に進めることで、費用対効果の最大化が可能になります。

3-2. 動作を変えないからこそ、テスト工程が煩雑になる

リファクタリングでは、システム動作を変えないことが前提です。修正後意図しない挙動がないかを確認するため、ユニットテストだけでなく、結合テストシステム全体動作確認必要です。
また、テストでは、パターン設計から実行結果検証まで多くの工程必要になるため、一般的動作確認に比べて手間時間がかかる傾向があります。経験豊富メンバーとの連携が、スムーズ検証作業につながるでしょう。テスト設計レビュー体制整備も、品質確保には欠かせません。

3-3. 仕様の理解不足が、機能不全や不具合を招く

コード構造集中しすぎると、システム全体仕様設計意図見落とすリスクがあります。特に複雑要件をもつシステムでは、前提条件を誤って解釈すると、意図しない動作変更デグレード (品質劣化) を引き起こしかねません。仕様変更履歴設計資料事前確認し、チーム内で認識共有した上で取り組むことが大切です。
また、影響範囲見極めるためには、ベテラン視点を取り入れるなど、複数目線でのレビュー体制効果的です。

4.リファクタリング手法の基本

4-1. 小さな単位で行う


変更範囲を小さく区切って進めるリファクタリングのイメージ画像

リファクタリングは、変更範囲を小さく区切って進めることが基本です。一度大規模修正を行うと、万一不具合発生した際に原因特定困難になり、復旧時間を要します。

小さな単位修正テストを繰り返すことで、影響範囲局所化し、トラブル発生時早期対応可能になります。

4-2. システムの動作を変更しない

リファクタリング基本は、システム外部的動作を変えないことです。たとえ、設計上改善点が見つかったとしても、それは機能追加設計変更として扱い、リファクタリング範囲外とするべきです。既存動作維持することで、既存ユーザーへの影響最小限に抑え、安心して品質改善を進められます。

4-3. バックアップと変更履歴の管理


段階的変更を行う過程では、こまめなバックアップ変更内容記録不可欠です。

万が一問題発生しても迅速に元の状態へ戻すことができ、継続的かつ安全品質改善実現します。

バックアップと変更履歴の管理のイメージ画像

5.リファクタリングの実施ステップ

ステップ① 命名の見直し

変数名関数名が、使い方に即した命名となっているかを確認します。命名適切であれば、コード全体可読性が大きく向上し、保守改修時理解コスト削減できます。

ステップ② 関数の整理と分割

未使用重複関数有無確認し、処理の長い関数適切分割します。単一責任原則に沿って関数構成することで、再利用性テスト効率が高まります。

ステップ③ ロジックの簡素化

多重なif文や複雑処理がないかをチェックし、過度に入り組んだ構造平易に書き換えます。冗長処理不適切コメントも併せて見直し、属人化障害リスク低減を図ります。

ステップ④ ログ・エラーメッセージの整備

障害対応見据え、出力されるログエラーメッセージ原因特定有効かを検証します。障害対応を含めた適切情報設計により、運用保守フェーズでの対応速度向上させることが可能です。

6.まとめ

リファクタリングとは、ソフトウェア外部仕様を保ちながら、内部構造継続的改善する手法です。可読性保守性向上障害対応迅速化技術的負債解消などを通じて、品質生産性両立を図る有効アプローチといえます。ただし、実施にはコストリスクが伴うため、目的影響範囲明確にし、段階的かつ計画的に進めることが重要です。

加えて、リファクタリング一度きりの作業ではなく、開発持続性を支える戦略的アプローチです。中長期的視点継続的に取り組むことが、将来システム健全性確保につながります。

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