本ホワイトペーパーでは、自然災害や感染症、情報セキュリティなどあらゆるリスクに対応するために必要なBCP対策の基本から、企業の対策実態や取り組み状況までご紹介します。
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※ 記事制作時の情報です。
まずは、義務化の内容です。厚生労働省は、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、迅速かつ適切に対処することで重篤化を防止することを目的に、事業者の義務として、主に以下の2つを『労働安全衛生規則』として定めました。
熱中症の自覚症状がある作業者や、熱中症のおそれがある作業者を発見した者が、すぐその旨を報告できるよう、事前に事業場ごとに報告先 (担当者や連絡先など) を定め、全作業者に周知すること。
熱中症もしくはその疑いがある作業者がいた場合に、迅速かつ的確な行動が取れるよう、以下の手順を定め、全作業者に周知すること。
(1) 緊急連絡網や緊急搬送先の連絡先や所在地を定め、関係者に周知。
(2) 重篤化防止のための手順の作成・周知
【対象となる作業】
「WBGTが28℃以上、または気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業
■ WBGT基準値とは
WBGT (湿球黒球温度) は、熱中症のリスクを評価するために用いられる指標です。気温だけでなく、湿度や太陽からの輻射熱などを総合的に考慮して算出されます。測定には熱中症計器 (WBGTモニター) を実際の作業場所に置き、アラームを設定することで、早期に熱中症の危険性を察知することができます。熱中症計器 (WBGTモニター) にはさまざまな種類がありますが、安いものだと1万円以下のものもあり、大手通販サイトなどでも購入可能です。
上記を踏まえ、建設現場や工場、倉庫など、屋外や高温環境での作業を伴う職場では、どのような対策を取るべきでしょうか。具体的なアクション内容を見ていきましょう。
まずは熱中症計器などを用いて、現場のWBGT値と気温を定期的に把握することが大事です。
熱中症リスクが高まるとされるWBGT28℃以上、または気温31℃以上の環境下では、日陰スペースの設置や休憩時間の頻UP、交代制の導入など、できる限りリスクを避ける体制づくりに努めましょう。
作業環境に合わせ、体を直接冷やす効果のある空調服や冷却ベストなどを支給、貸与できるとよいですが、難しい場合は、社内でおすすめグッズの情報を共有するなど、作業者が自発的に熱中症対策を取れるようなサポート体制を整えましょう。
大量の汗をかくと、水分だけでなく塩分やミネラルも失われます。塩飴やタブレット、スポーツドリンクなどを積極的に摂取するよう、作業者に周知徹底しましょう。
可能であれば熱中症の初期症状に備え、現場単位で経口補水液を常備しておくこともルール化できるとよいでしょう。
管理者が定期的に職場を巡視し、作業員への声かけを通じて体調不良のサインを早期に発見する取り組みや、作業者同士がお互いの体調を確認し合うバディシステムの導入など、早めに異変に気づける体制づくりに努めましょう。
作業者の担当者名・連絡先 (電話番号など) をリスト化し、万が一の際の緊急連絡網を整備しておきましょう。
熱中症の症状が見られた際の作業停止や適切な身体の冷却方法、医療機関への速やかな搬送手順などを具体的に定め、関係者に共有しておきましょう。
口頭だけでなく、万が一の際でも目で見てアクションが取れるよう、ポスターや配布資料などで共有しておくとより安心です。
緊急時の対応とあわせ、作業開始前には作業員に熱中症の兆候 (めまい・吐き気・意識混濁など) を具体的に説明しておきましょう。「体調がおかしい」と言いやすい雰囲気をつくり、心理的な安全性を高めておくことも大事です。
これらの対策を講じることで、企業は社員の安全と健康を守り、熱中症による労働災害リスクを低減することができます。
次は、屋内での対策です。上記の厚生労働省の「労働安全規則改正」では屋外中心の話でしたが、室内であっても適切な対策を怠ると「熱中症」や冷房による「冷え」など、健康被害のリスクが高まる可能性があります。
厚生労働省の「事務所衛生基準規則」(※ 外部サイトへ遷移します) では、室温は28℃以下に、湿度は40-70%に保つことが推奨されています。
エアコンの風が直接当たらない場所にも送風機を設置し、室内の空気を循環させることで、体感温度を下げることができます。また、定期的に窓を開けて換気を行い、新鮮な空気を取り入れましょう。
社員がいつでも水分補給できるよう、福利厚生の一環として自動販売機やウォーターサーバーを設置できるとよいですが、難しい場合は、各自がマイボトルを持参しやすい環境を整えたり、休憩中の水分補給を促す声がけを行ったりするなど、日常的に水分補給を意識できる仕組みづくりを心がけましょう。
冷房が効きすぎると、かえって体調を崩す社員もいることを理解し、カーディガンやブランケットを推奨するなど、各自で体温調節できるよう促しましょう。
頭痛などの体調不良のサインにも注意を払い、異変があればすぐに相談できる体制を整えることも大切です。
これらの対策を行ったとしても、熱中症などで社員が休業せざるを得なくなった場合は、業務が滞らないよう、事前に代替要員の確保や業務の振り分け方法を検討しておくことも大切です。
管理者としては、複数人で業務を共有する体制を構築したり、業務手順を明確に文書化しておくことで、急な欠員にも対応できる柔軟な体制を整えておきましょう。
このように熱中症対策はもちろんですが、ほかにも企業の安全管理としては、想定外に備えた事前準備が欠かせません。
従業員の健康と安全を守ることは、企業の社会的責任であると同時に、生産性を維持し、ひいては企業の持続的な成長を支える基盤となりますので、できる限り継続的な安全管理体制を構築することで、リスクに備えておきましょう。
KDDIでは、このような熱中症をはじめとした職場のリスクに備えるための総合的な「危機管理ガイド」を無料で提供しています。総務担当者や安全管理責任者の方に向けた、実践的な対策とソリューションをまとめた内容ですので、企業の基本対策や、万が一の備えの対応策としてぜひご活用ください。
厚生労働省の「労働安全衛生規則改正」について詳しくは以下を参照ください。