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中小企業が知っておくべき直近の「法改正」3選 影響や対応策を詳しく解説

中小企業が知っておくべき直近の「法改正」3選 影響や対応策を詳しく解説

2025 1/29
電子帳簿保存法、インボイス制度、残業規制の強化(働き方改革関連法)など、2024年に施行された法改正が、中小企業の各業界に与えた影響をご存じでしょうか。今後の対策方針を決めるためにも、法改正を正しく理解することが重要です。デジタルツール (SaaS) を活用した効率化も視野に入れ、早めの対策をおすすめします。
本記事では幅広い中小企業の皆さまに向けて、直近で施行された法改正の概要と、最新の業界別対応策を解説します。法対応のチェックや対応策の見直しに、ぜひご活用ください。

中小企業が知っておくべき直近の「法改正」3選

2024年の法改正で抑えておきたいのが、電子帳簿保存法・インボイス制度残業規制強化 (働き方改革関連法) の3点です。
これらの法改正中小企業に与えた影響について、法改正概要具体的影響の2つの視点から解説します。


1. 電子帳簿保存法改正のポイント

電子帳簿保存法改正の主なポイントとその影響は、以下のとおりです。

法改正のポイント

法改正に伴い、電子取引データ保存義務化されました。中小企業だけではなく、ほぼすべての事業者対象となります。
電子帳簿保存法には「電子帳簿保存」「スキャナー保存」「電子取引」の3つの区分があり、このうち「電子取引」についての義務化今回改正により義務づけられました。

電子取引データ保存には、以下の4つの要件を満たす対応必要になります。

  1. 真実性確保 (タイムスタンプ (注1) 付与)
  2. 関連書類の備え付け
  3. 見読性確保
  4. 検索機能確保

電子帳簿保存法のこれらの要件を満たすには、タイムスタンプ付与検索性確保ができるシステムなどの活用一般的です。これまでは電子保存の際には事前申請必要だったシステム導入ですが、今回法改正事前申請制度廃止され、選定自由度も大きく広がりました。

Faxで届く請求書

法改正に伴う影響

万が一義務違反があった場合は、青色申告 (注2) の取り消しや追徴課税 (注3) などの罰則を科せられることになります。またそれ以前に、法への対応を怠れば、事業運営支障をきたすおそれがあることも事実です。法改正によって帳簿保存紙中心で行ってきた企業においても、デジタル化への対応が求められました。

一方で、税務申告必要事務処理アナログに比べて容易になるため、申告負担大幅軽減可能です。取引データ電子化によって日常業務事務処理も行いやすくなり、事業全体効率化を図れるなど良い影響もあるでしょう。

  • 注1) デジタルデータ日時記録する技術のこと。
  • 注2) 税制優遇が受けられる申告方法のこと。
  • 注3) 税金の誤りや未納があった場合に課される追加税金のこと。

2. インボイス制度 (適格請求書等保存方式)

続いて、インボイス制度の概要と影響を見ていきましょう。

法改正のポイント

インボイス制度とは、複数税率計算による請求書作成の誤りや不正を防ぐことを目的とした、消費税申告を正しく行うための制度です。正式名称適格請求書等保存方式といい、インボイス対応には事前事業者申請と、適格請求書 (インボイス) の保存必要となります。事業者申請を行えば適格請求書 (インボイス) の発行ができ、そのうえで請求書保存義務などの要件を満たせば、控除を受けることが可能です。

一方インボイス登録をしない場合は、控除を受けとることができません。取引先インボイス登録状況によっては事業支障をきたす場合もあるため、今後取引見据えた対応必要となるでしょう。

レシートを見ながらパソコンに入力する女性

法改正に伴う影響

インボイス制度適格事業者になる場合の影響として、まずは法対応に伴う事務経理作業負荷増大があります。適格事業者には適格請求書保存義務づけられているため、適格請求書内容チェック分類手間がかかることが一般的です。通常業務への影響最小限にするためには、電子帳簿保存法と合わせて対応できる、請求書電子化システム導入良策でしょう。

また、適格事業者免税事業者から仕入れを行う場合法対応しなければ仕入税額控除適応が受けられず、消費税分負担がかかることになります。そのため、各取引先インボイス登録状況を整理したうえ、サプライチェーン全体に対する取引条件見直しの打診必要です。一方適格事業者にならない免税事業者である場合は、法対応への負担軽減されるものの、適格事業者との取引が減る影響がみられました。適格事業者にならない場合法改正後取引に向けた調整実施など、法対応経営方針の擦り合わせが求められることとなりました。


3. 残業規制の強化 (働き方改革関連法)

残業規制強化 (働き方改革関連法)の概要影響は、以下のとおりです。

法改正のポイント

中小企業に対しては、2020年4月より時間外労働上限規制が設けられましたが、2024年4月の改正では該当対象事業業務適用範囲が広げられました (注4)
新たに対象となるのは、これまで5年間猶予期間が与えられていた、以下事業業務です。

  • 工作物建設事業
  • 自動車運転業務
  • 医業従事する医師
  • 鹿児島県および沖縄県における砂糖製造する事業

時間外労働上限規制とは、時間外労働上限を、原則月45時間・年360時間までとする法律規定です。これまでは大臣指導による上限のみ設けられていましたが、今後法律厳格規制されることになります。2024年4月の改正によって適用範囲が広がり、ほぼすべての事業業務において法に基づいた労働者管理実施必要となりました。

時計を確認しながら残業中のサラリーマン

法改正に伴う影響

残業規制強化に伴い、AIやIT活用が進んでいない労働集約型現場においては、シフト管理方法見直しや勤務時間調整などが必要になります。また、時間外労働上限厳格に決められているため、新たな労働力不足露呈することも少なくありません。複雑化する労働者管理上手調整できるよう、効率のよい運営体制確立が求められます。

業界別 注目の法改正

ここからは、上記に併せて知っておくとよい法改正の主なポイントと、影響について、一部業界ピックアップして解説します。


1. 製造業

製造業に関連する法改正の主なポイント

製造業関連する主な法改正としては、脱炭素化への対応を促す環境規制 (注5) があります。環境規制とは、環境汚染防止保全目的として、環境配慮した事業活動を行うための法律基準を定めたものです。今回法改正に伴い、工場などに対して省エネ設備設置義務づけられました。

また、前章でも解説した残業規制強化 (働き方改革関連法) も、製造業に関わる法改正のひとつです。時間外労働上限法律に基づいて決められたため、製造シフト人員配置見直しなどが必要となります。

機械の前で話をする営業マンと工場員

製造業で想定される影響と対策例

工場への省エネ設備設置導入コストがかかることが、法改正による顕著影響です。すでに設備設置をしている場合も、環境規制対応しているものであるかを含めた、事前確認必要になります。これから省エネ設備導入する場合は、設備選定にかかる人的コスト設備コスト考慮しておくことが大切です。

また、残業規制強化(働き方改革関連法) によって労働力不足が明らかになった場合は、新たな採用人手不足を補うITサービス導入など、法改正に向けた対策必要になります。対策とともに製造効率化を図れるよう、体制見直しを検討することも良策でしょう。


2. 小売業

小売業に関連する法改正の主なポイント

小売業関連した主な法改正としては、景品表示法改正 (注6) があります。消費者保護観点から2024年10月より施行され、不当表示誤解を招く販売手法規制強化が行われました。今回法改正により、より一層在庫管理表示への注意必要となります。

また、売上データデジタル保存義務化となった電子帳簿保存法や、時間外勤務上限規定された残業規制強化 (働き方改革関連法) も小売業には大きく影響する法改正です。売上データ作成保存必要システム導入勤怠管理方法見直しなど、各法への速やかな対応が求められます。

スーパーで買い物中の女性

小売業で想定される影響と対策例

景品表示法改正に伴い、販売在庫データ管理をより正確的確に行う必要があるため、これまでに比べて管理体制見直しの負担増加することが予想されます。景品表示法への理解組織全体で深めるとともに、効率の良い運用体制構築が求められるでしょう。あわせて、法改正による顧客対応時トラブル防止対策重要課題です。新たな対応マニュアル作成体制整備にも、時間を割くことをおすすめします。

このほか、電子帳簿保存法残業規制強化 (働き方改革関連法) への対応調整必要となるため、法対応を助ける SaaSシステムなどを上手活用したいところです。法対応を行うべき範囲非常に広くなるため、業務フロー人員見直しなどを含む、組織全体効率化を図るのにもよい機会となります。


3. 物流業

物流業に関連する法改正の主なポイント

物流業関連する主な法改正としては、トラックドライバーなどにも適応される残業規制強化 (働き方改革関連法) (注4) が挙げられます。ドライバー対象とした年間時間外労働時間上限を960時間とする上限規制は、物流業界が抱える大きな課題です。2024年4月より本格施行となったこの法改正は、業界中心に2024年問題とも呼ばれ注目されてきました。

このほか、2024年10月1日より道路運送法見直(注7)実施され、自動車運送事業者に対する行政処分基準改正や、酒気帯運転に対しての処罰厳格化されました。このほか、電子帳簿保存法への対応として、運送契約書請求書デジタル管理が求められています。

引っ越し業者

物流業で想定される影響と対策例

ネットショッピングなどの増加により物流量が増える一方で、2024年問題道路運送法などの法改正によって労働時間適正化が進み、さらに人手不足が進んでいます。ドライバー不足への対応策として、運行効率化必須事項となるでしょう。

また、電子帳簿保存法への対応策として、運送契約書請求書デジタル管理可能な SaaSシステムなど、事務作業支援するツール導入検討したいところです。より効率的事務処理運行管理体制確立や、業務効率化見直しにもよい時期だといえるでしょう。


4. 建設業

建設業に関連する法改正の主なポイント

建設業関連する主な法改正としては、建築基準法改正が挙げられます。具体的改正内容は、大規模建築物における木造化促進や省エネ基準強化などが中心です。2025年には耐震基準の引き上げも予定されており、継続的法改正内容確認するようにしましょう。

また、建設業においても残業規制強化 (働き方改革関連法) (注8)対象となるため、残業上限内での勤務義務づけられることも大きなポイントです。施工スケジュールによっては勤怠管理が難しい一方で、今後は法に基づいた勤務ができる環境づくりが求められます。

建築現場

建設業で想定される影響と対策例

法改正に伴い、より環境安全性配慮した施工が求められるため、新たな建材確保方針策定必要となる場合があります。2025年には耐震基準変更もあるため、今後法改正見越した各法規定再確認工事進行スケジュール調整など、早期対応良策です。工法変更するなどの対応必要となるため、柔軟施工できる体制づくりにも注力する必要があるでしょう。

また、法改正対応しつつ施工を進めるためには、人材確保安全管理強化必須事項です。勤怠管理事務処理などはITサービスなどを活用し、業務負荷を減らし、現場採用注力することも人材不足解消一手となります。今後法改正見据えたうえで、IT技術活用した業務効率化にも着手し始めたいところです。

まとめ:今後の法改正を見越したデジタル戦略で、さらなる事業成長を。

直近法改正概要対応策をご紹介しましたが、対応漏れや見直しが必要ポイントは見つかったでしょうか。特にほぼすべての中小企業対応必要な「電子帳簿保存法」と「インボイス制度」、「残業規制強化」については、未着手場合はできるだけ早期対応必須です。請求書などのデジタル化や、残業時間管理サポートするSaaSの導入を行えば、法対応負担軽減されます。あわせて業務効率化を図ることもできるため、法対応後体制見直しとしても良策です。

また、直近法改正を振り返りつつ、今後法改正への対応見越して、SaaSシステムなどを活用した、中長期的デジタル戦略事前計画しておくことをおすすめします。AIやIT技術によって働き方も大きく変わりつつある昨今デジタル効果的活用を含めた法改正への対応が、事業後押しする原動力となります。

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  • ※ 2024年1月現在情報です。

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