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まずは、IPv4とIPv6について簡単に説明していきましょう。IPv4とIPv6の「IP」とは、インターネット上の「住所」にあたるものです。WEBサイトにアクセスしたり、メールを送受信したりする際に、どの機器と通信しているのかを識別するために使われます。
そのIPアドレスで広く使用されているのが「IPv4」という規格です。IPv4では「0.12.123.255」のように4つに区切った0から255までの数字で表すため、256×256×256×256と、約43億個のIPアドレスを割り当てることができますが、近年のように世界中でスマホやIoTが普及し、インターネットに接続する機器が爆発的に増えた結果、IPアドレスが枯渇するという問題が出てきました。
そこでその問題を解決すべく開発されたのが、「IPv6」という規格です。IPv6では、IPv4の約43億個に比べて約340澗 (かん) 個 (1澗は1兆×1兆×1兆) と、IPv4に比べ膨大な数のIPアドレスを作成できるため、今後さらに増え続けるIoT機器などのインターネット接続機器にも枯渇の心配なく対応できるようになりました。
では、そんなIPv6のビジネスにおけるメリットは、どんなところにあるのでしょうか。IPv6のメリットとしてまず挙げられるのは、通信速度の向上と安定化です。IPv4ではIPアドレスが不足する懸念から、複数のデバイスで1つのグローバルIPアドレスを共有するNAT (ネットワークアドレス変換) という仕組みが広く利用されていました。このNAT処理がルーターなどのネットワーク機器に負荷をかけることがあるため、NAT処理がいらないIPv6ではルーターへの負担が軽減され、通信速度の向上と安定化が期待できるというわけです。
そしてもうひとつのメリットが、セキュリティの強化です。IPv6にはIPsec (IP Security) というセキュリティプロトコルが標準で搭載されているため、データの暗号化や認証を行うことで、通信の盗聴や改ざんを防ぎ、セキュリティも強化できるというメリットがあります。
さらに、IPv4の課題として見過ごせないのが、インターネットサービス発展への影響です。IPv4では、前述のNATによって複数の機器がIPアドレスを共有していました。このIPアドレス共有環境では、社内の機器からインターネットへアクセスすることは可能ですが、インターネット側から共有されている特定の機器に対して直接アクセスすることはできません。その状態では、デバイス同士が相互に通信し合うP2P型 (注1) のアプリケーションや、モノとモノとをつなぐIoT機器では、NATを介することでうまく機能しない、あるいは設定が非常に複雑になるという課題がありました。
この課題もIPv6を導入すれば、すべてのデバイスが固有のIPアドレスを持つことで制約がなくなり、より自由で多種多様なインターネットサービスの開発・普及を促すことができるようになります。
この観点からも、通信を管理する総務省でもガイドラインを設け、IPv6への移行を促しているのです。
では、実際にオフィスでIPv6を導入する際には、どのような点に気をつければよいでしょうか。IPv6のみで通信するには、通信機器やアプリケーションなどですべてのIPv6対応が必要です。以下が対応できているかどうかを事前に確認しておきましょう。
IPv6での通信には、ルーター機器やファイアウォール側の対応も必要です。そのため、まずは自社のネットワーク資産がIPv6に対応しているかどうかを確認し、非対応の場合は、ファイアウォールやセキュリティソフトの更新、ルーターを買い替えましょう。
また、勤怠管理システムや会計ソフト、VPNなどを利用している場合は、それらの社内システムがIPv6で正常動作するかも確認しておく必要があります。ほとんどの法人では「IPv4とIPv6を併用するデュアルスタック構成」を採用しているため問題ないケースが多いのですが、念のため自社の構成を確認しておくとよいでしょう。
利用中のインターネットサービスプロバイダ (ISP) やクラウドサービスがIPv6に対応しているかどうかも注意が必要です。IPv6通信時には、トラフィック制御やセキュリティ挙動が変わる場合もあるため、管理者が事前に対応状況を確認しておく必要があります。
それらを踏まえて、IPv6を導入するタイミングはいつがよいでしょうか。現時点では先ほどの確認ポイントをクリアしていなくとも、今後のネットワーク環境の見直し時期にあわせ、ひとつずつ更新していくことが現実的な切り替えタイミングといえるでしょう。
このように現在IPv4で問題が起きていない間は現状のIPv4を維持しつつも、中長期的なインフラ更新計画に際してはIPv6への段階的な移行を計画することが、結果的にコストと手間の最適化にもつながるでしょう。
インターネット回線の利用に際して、そもそもの光回線工事を避け、ホームルーター (5G対応) を社内Wi-Fiとして使用するケースもあります。確かに近年のホームルーターは速度も上がっており、工事不要、コンセントに差すだけで利用できる手軽さは魅力です。一部の法人用途に応える性能を持っていますので、以下の点が問題ないのであれば、有効な選択肢となります。
光回線と比較すると、ホームルーターは無線通信であるため、電波状況や周囲の環境によって、速度や安定性が左右されやすい傾向があります。業務で大容量のデータ通信を行う場合や、安定した通信が求められるオンライン会議が多い場合などには、速度不足や通信の不安定さが課題となる場面が出てくる可能性があります。
オフィス利用に特化したルーターと比較して、ファイアウォールやVPNなどのセキュリティ機能が限定的である場合があります。また、取引先のネットワークにアクセスするには固定IPが必要な場合もあるため、法人として利用する際には、セキュリティ対策についても確認しておくとよいでしょう。
比較項目 | 光回線 | ホームルーター |
---|---|---|
通信の安定性 | 高い | 無線のため 影響を受ける可能性がある |
導入までの手間 | 開通工事が必要 (1カ月〜) |
工事不要 すぐに使える |
月額料金 | 5,000〜7,000円程度 | 4,000〜6,000円程度 |
IPv6対応 | 多くのプロバイダで対応可能 | 提供事業者によって 対応状況が異なる |
法人利用の適性 | 高い (VPN・固定IPなどに対応) |
要確認 (固定IPなどには非対応) |
そして、やはり継続的に安定した高速通信が必要とする場合や、法人利用としての要件を満たしていない場合は、ホームルーターはあくまで補助的な利用や、限られた状況での暫定的な利用とし、光回線の導入を検討するほうが現実的です。
現状、IPv4で業務に支障がなければ無理に切り替える必要はありませんが、今後の新しいサービスに対応できるオフィス環境を整えるためにも、新しい機器の導入やシステムの見直しタイミングで、ひとつずつでもIPv6へ切り替えていくことが重要です。
とはいえ、社内に詳しい人材がおらず、どの段階で何をしたらよいのか迷う場合は、通信のプロであるKDDIにぜひご相談ください。オフィスのインターネット環境の見直しやIPv6への切り替えに関するご相談など、貴社の業務内容や規模に合わせた最適なネットワーク環境をご提案させていただきます。