このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、または対応ブラウザでご覧下さい。

閉じる
閉じる
ロジスティクスとは?意味や役割、物流との違いをわかりやすく解説【2025年最新版】

ロジスティクスとは?
意味や役割、物流との違いをわかりやすく解説【2025年最新版】

2025 3/18
現代ビジネスにおいて、企業の競争力を高めるために欠かせないのがロジスティクスです。単なる「モノの運搬」にとどまらず、調達から生産、販売、顧客への配送まで、サプライチェーン全体を最適化する戦略的な仕組みとして重要性が増しています。本記事では、ロジスティクスの定義や物流との違い、役割、さらに最新技術や将来性についてわかりやすく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.ロジスティクスとは

ロジスティクスとは、原材料調達から生産保管販売最終消費者への配送に至るまでの一連プロセス最適化し、効率的管理する戦略的な取り組みのことです。このプロセスには、使用済製品回収・リサイクルも含まれます。

ロジスティクス目的は、必要商品を、最適な量だけ、求められる場所に、理想的タイミングかつ、適正コスト提供することです。その結果需要供給バランス調整可能にし、顧客満足度向上につながります。

効果的ロジスティクス管理導入すれば、在庫適正化過剰生産抑制営業支援などに活用できます。


1-1. ロジスティクスの定義

ロジスティクスは、物流のさまざまな機能向上を図るとともに、原材料調達から生産販売回収までの一連プロセス統合して管理する経営手法です。

ロジスティクスを取り入れることで需要供給適正化顧客満足向上環境負荷低減従業員安全対策など、企業が抱える多くの課題解決に導く可能性があります。(注1)

ロジスティクス元来軍事用語であり、前線武器弾薬燃料食料医薬品などの物資計画的補給する活動のことでした。日本語では、これを「兵たん」といいます。有事の際に「必要な物を、必要なときに、必要場所へ」届けるという基本概念は、現在ロジスティクスにも通じるものです。


1-2. 物流との違い

ロジスティクス物流は、その役割範囲に違いがあります。

物流は、物資供給者から需要者移動させる活動を指し、運送保管包装荷役流通加工情報管理といった具体的機能意味します。物流という呼称のとおり、「モノの流れ」にフォーカスした言葉です。

一方ロジスティクスは、これらの物流活動包括的管理する経営戦略であり、商品生産から在庫管理配送までを効率化する仕組みを構築するための概念です。サプライチェーン全体に対し、コスト削減顧客満足度向上実現する計画を立て、各工程監視最適化目的としています。したがって、ロジスティクス物流を含んだ上位概念といえます。

2.ロジスティクスの役割

ロジスティクス重要経営管理手法のひとつであり、企業活動円滑化顧客満足度向上役立ちます。主な役割は、生産から配送までの管理を通じ、正確かつ迅速商品配送によって顧客利便性を図り、信頼獲得することにあります。これを実現するには、一連企業活動プロセス最適化と、無駄を省いた効率性追求重要です。

一方ロジスティクス適切機能しない場合には、生産ライン停止在庫過不足運送トラブル無駄経費増加といった問題発生するリスクがあります。これらの問題は、納期遅延顧客不満を招き、最終的には企業信頼失墜市場競争力低下を引き起こすでしょう。適切ロジスティクス運用は、在庫最適化物流全体コスト削減、さらには営業活動支援にも効果発揮します。営業担当者正確在庫納期情報活用して顧客対応の質を高められるほか、柔軟物流体制により急な要望にも対応可能となります。

以下ロジスティクス代表的役割について解説します。

自動化された倉庫内の風景。

2-1. 在庫の最適化

ロジスティクス代表的役割のひとつが在庫最適化です。在庫適正管理によって品切れや過剰生産を抑えられれば、企業利益率向上貢献できます。
在庫不足販売機会損失意味し、過剰在庫を抱えると保管コスト廃棄リスク増大するおそれがあります。

消費者ニーズ多様化している現代では、商品種類ごとに最適販売量見極めが欠かせません。ロジスティクスは、需要に応じた供給在庫管理徹底することで、効率的経営基盤となります。また、データ分析フェーズにおける市場需要予測精度向上は、生産プロセス効率化を促すことになるでしょう。


2-2. コスト削減に寄与

ロジスティクス物流全体プロセス一元化して管理することによって、コスト削減可能領域効率的に洗い出せます。コスト削減できる箇所明確になれば、ITシステム導入データ仕様標準化オートメーション技術 (注2) 採用物流拠点集約など、適切解決策検討することが可能です。ただし、コスト削減重視しすぎて物流サービスの質を損なわないよう、適切バランス維持不可欠です。


2-3. 営業活動を支援

ロジスティクス活用営業部門負荷軽減し、本来業務への集中可能環境整備できます。

例えば、営業在庫管理までも担当していると、本来営業活動に割く時間圧迫されるという事態を招きます。ロジスティクス専門部署設置し、営業部門在庫管理業務から解放すれば、本来業務集中して取り組めるようになるでしょう。また、ロジスティクス導入によって在庫管理正確性も高まるため、営業活動において精度の高い提案可能となります。

さらに、在庫データ取引情報正確把握は、マーケティング営業戦略にも有効です。データ精度が高いほど営業戦略効果も上がりやすく、顧客満足度収益性向上へつながります。

  • 注2) オートメーション技術とは、人間の手を介さずに機械システム自動作業を行う技術のこと。

3.ロジスティクスを正しく機能させるために必要なこと

ノートパソコンで資料作成やデジタル管理の作業をしている様子。

ロジスティクス有効機能させるためには、以下の6つが必要です。

  1. ニーズ把握
  2. データ活用システム構築
  3. 人材育成体制整備
  4. 輸送最適化
  5. 現場作業効率化
  6. 物流システム導入

それぞれについて、詳しく解説します。


3-1. ニーズの把握

ロジスティクスにおいて、消費者ニーズを満たして収益拡大するためには、人気商品把握非常重要です。市場需要データに基づいて分析し、商品適切な量だけ市場投入する「マーケットイン」のアプローチが欠かせません。

消費者ニーズ正確把握できれば、どの商品優先的確保すべきか、どのような輸送手段効率的か、といった判断精度が高まるでしょう。さらに、戦略的供給体制構築することで在庫過不足を防ぎ、物流全体最適化も図れます。


3-2. データ活用とシステム構築

ロジスティクスを正しく機能させるには、リアルタイムデータ活用と、それを支えるシステム構築必要です。特に、需要予測在庫管理配送スケジュール最適化などで大きな効果発揮するでしょう。
また、データ活用したシステムソリューション導入により、各プロセス自動化可視化が進み、柔軟かつスピーディー対応力が高まります。


3-3. 人材育成と体制整備

ロジスティクス高度化には、専門性の高い人材育成不可欠です。物流基礎知識からサプライチェーンロジスティクス戦略物流機能、CSRまで、体系的かつ段階的知識スキル向上が求められます。

新任者には実務必要基礎知識習得させ、中堅層には戦略的思考マネジメント能力育成するなど、組織全体ロジスティクス体制強化を進めることが重要です。


3-4. 輸送の最適化と環境負荷の低減

輸送ルート輸送手段最適化も、ロジスティクス機能するために欠かせない要素です。輸送最適化で、配送コスト削減配送時間短縮期待できます。需要予測季節変動天候といったさまざまな要因考慮することで、より効率的輸送計画立案可能です。

また、エネルギー効率が高い輸送手段採用ロジスティクス目的にかなっています。持続可能社会への取り組みとしてコスト削減環境保全寄与し、企業価値向上につながるでしょう。


3-5. 現場作業の効率化

ロジスティクス効果を高めるには、作業プロセス見直して不要工程を省き、現場作業効率化必須となります。倉庫内レイアウト動線最適化により、作業効率向上事故ミス抑制期待できます。

無駄な動きがなくなれば現場作業者負担軽減され、全体生産性が高まります。さらに、安全健康面リスク要素も減るため、人材定着率改善にも効果的です。


3-6. 物流システムの導入

物流システムとは、輸送保管荷役包装流通加工情報処理といった物流工程管理するための仕組みです。在庫確認発注発送といった業務一元的管理し、需要に応じた生産輸送計画策定できます。生産データ在庫データトラック動態データなどをリアルタイム把握し、柔軟対応可能です。

物流業務専門事業者委託するのも、効果的選択です。専門事業者自動倉庫システムやRFID (注3) による在庫管理、AIによる配送ルート最適化など、先進的設備テクノロジー活用し、複数顧客物量集約して効率的運営実現しています。物流DXを迅速に進めたいのであれば、すでに確固たるシステムノウハウを持つ専門事業者アウトソーシングするのがおすすめです。

  • 注3)「Radio Frequency IDentification (無線周波数識別) 」の略で、電波を使って非接触データを読み書きする技術

4.ロジスティクスの課題と企業が備えるべき対応

近年物流業界人材不足輸送コスト高騰環境対応など多くの課題直面しています。こうした変化対応するため、企業効率化デジタル化を進めるだけでなく、持続可能体制を整えることが不可欠です。

以下で、主な課題企業が取るべき対応策を詳しく解説します。


4-1. 人材不足

物流業界では、トラックドライバー倉庫作業員不足深刻化しています。原因は、少子高齢化による労働人口減少過酷労働環境、さらにEC市場拡大による業務量増加です。

この人材不足輸送力低下納期遅延を招き、企業収益顧客満足度影響します。対応策として、DXの推進労働環境改善急務となっています。


4-2. 2024年問題

2024年問題とは、働き方改革関連法により自動車運転業務時間外労働年間960時間制限されたことを指します。目的労働環境改善ですが、輸送能力低下追加人員確保によるコスト増が懸念されています。企業モーダルシフト共同配送、AIによるルート最適化などで効率化を図るとともに、荷主との連携強化不可欠です。


4-3. 環境負荷

物流業界では輸送によるCO2排出が大きな課題となっています。企業電動トラック水素燃料車導入再生可能エネルギー活用梱包材リサイクルなど、環境負荷を減らす取り組みが必要です。加えて、2050年カーボンニュートラル達成に向けたサプライチェーン全体見直しも欠かせません。

5.ロジスティクスの最新技術と将来性

物流業界ではデジタル技術導入が進み、効率化安全性情報可視化に向けた取り組みが広がっています。IoTやAI、ブロックチェーンなどの技術は、輸送管理在庫把握取引透明性向上活用されており、今後適用範囲拡大検討されています。


5-1. IoT

IoT(Internet of Things)は、物流現場センサー通信技術活用し、車両倉庫荷物状態リアルタイム監視する仕組みです。温度位置情報などのデータ収集することで、品質管理輸送状況把握役立っています。今後は5GやLPWAの普及により、より広範囲でのデータ取得予防保守への活用検討されており、物流運用改善寄与すると期待されています。


5-2. AI

AIは物流において需要予測配送ルート最適化倉庫内自動仕分けなどに活用されています。大量データ解析し、最短経路在庫管理高精度実現することで、コスト削減納期短縮貢献します。今後生成AIによる動的計画や、異常検知によるリスク回避進化し、完全自律型物流システム実現に近づくと見込まれています。


5-3. ブロックチェーン

ブロックチェーンは、取引履歴を改ざんできない形で記録する分散型台帳技術です。物流では、輸送経路温度管理履歴透明化し、偽造防止トレーサビリティ強化役立ちます。スマートコントラクトを用いた自動決済契約管理可能で、国際物流における信頼性向上期待されています。将来サプライチェーン全体データ連携基盤として普及が進む見込みです。

6.ロジスティクスを支えるSCMの重要性

サプライチェーンマネジメント (以下、SCM) は、企業活動における原材料調達から製品配送まで、サプライチェーン全体最適化するプロセスを指します。SCMの適切運用で、各プロセス間の連携強化され、業務効率化コスト削減顧客満足度向上寄与します。SCMはロジスティクス包括する上位概念であり、ロジスティクス効果的運用するためにはSCMの視点不可欠です。

近年では、市場競争激化急速グローバル化、ECサイト普及などにより、SCMの重要性がますます高まってきました。サプライチェーン複雑化に伴い、情報可視化迅速意思決定が求められる場面が増えています。中でも、需要変動物流遅延などの課題には、サプライチェーン全体見渡しながら臨機応変対応力が問われます。

SCM (サプライチェーンマネジメント) を示すアイコンと効率的な物流管理を表現した画像。

環境問題への対応もSCMの重要役割といえます。効率的物流在庫管理を通じて、企業はCO2排出量削減持続可能経営推進することができます。

以下、SCMをより深く理解するために、その定義注目される理由解説します。


6-1. SCMの定義

SCMの定義は、サプライチェーン全体の流れを管理し、効率化最適化を図る手法であり、日本語では「供給連鎖管理」です。経済産業省資料によると、「サプライチェーンとは、商品企画開発から、原材料部品などの調達生産在庫管理配送販売消費までのプロセス全体を指し、商品最終消費者に届くまでの『供給連鎖』である」とされています。(注4)

ロジスティクス企業単体サプライチェーン対象範囲にするのに対し、SCMは原材料調達生産在庫管理流通顧客への配送に関わるあらゆる企業対象にしています。


6-2. SCMが注目される理由

多くの企業複雑化した市場環境直面しており、対応力を高める手段としてSCMが注目されています。特にグローバル化の進展によってサプライチェーン広範囲にわたるようになり、需要変動物流遅延コスト増加といった課題発生しやすくなっているのが現状です。これらの課題対応するために、SCMに基づいて経営戦略見直し、物流も含めた業務効率化を図る企業増加しています。

また、環境問題への意識が高まる中で、企業持続可能社会実現に向けた社会的責任を果たすことが求められています。SCMの活用を通じて効率的物流計画在庫管理推進することで、CO2排出量削減廃棄物抑制実現可能です。さらに、SCMの導入非効率物流プロセスなどを企業間最適化でき、業界全体生産性向上にもつながります。

7.まとめ

ロジスティクスは、原材料調達から生産保管販売配送までの一連プロセス最適化し、管理する手法です。その役割理解し、正しく機能させるために必要ポイントを押さえれば、物流効率化コスト削減が進み、顧客満足度向上するでしょう。さらに、上位概念であるSCMの導入により、企業全体生産性も高まります。

ロジスティクス・サービスをご検討中の方はKDDIへ

KDDIは、AI×和の力を融合させたビジネスプラットフォーム「WAKONX (ワコンクロス) 」を提供し、企業のDX化をサポートしています。「WAKONX」は、ロジスティクス物流DXにおいて有効な3つの機能群構成されています。 

ロボット活用した倉庫自動化や、ドローン共同配送による配送効率化実現することで、ドライバー負担軽減貢献することを目指します。ロジスティクス・サービスについてはKDDIまでご相談ください。 


ピックアップ