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サテライトオフィスとは? 企業戦略における意味とメリットを徹底解説

サテライトオフィスとは? 企業戦略における意味とメリットを徹底解説

2025 9/12
サテライトオフィスとは、本社や支社とは異なる場所に設けられた業務拠点を指します。働き方改革やテレワークの普及を背景に注目が集まり、通勤負担の軽減、生産性向上、災害時のBCP (Business Continuity Planning・事業継続計画) 対策など多くの利点が挙げられます。
サテライトオフィスには、都市型・地方型・郊外型など多様な形態があり、企業規模や目的に応じた柔軟な設計が重要です。本記事では、サテライトオフィスの基礎知識から導入メリット・課題、支援制度、成功事例までを総合的に解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.サテライトオフィスとは

サテライトオフィスとはのイメージ画像

サテライトオフィスとは、本社支社営業所とは別の場所に設けられた小規模業務拠点のことです。テレワーク (リモートワーク) が普及する中で、従業員通勤負担軽減し、柔軟な働き方を実現する手段として注目されています。

サテライトオフィスは、自宅本社中間地点地方郊外設置されることが多く、IT環境を整えることで、本社同様業務可能になります。完全在宅勤務が難しいケースにおいて、集中できる作業環境確保できる点も大きなメリットです。

また、生産性向上ワークライフバランス改善人材定着採用活動強化にもつながることから、経営戦略一環としても期待が高まっています。今後テレワーク推進において、サテライトオフィス重要インフラとなるでしょう。

1-1. 支社との違い

支社営業所設置する場合は、法人登記税務署への届け出、社会保険手続きなど、法的行政的手続きが必要です。支社営業活動人員管理などの明確業務機能を持ち、組織としての役割人員配置検討も求められるため、一定規模を持つ恒常的拠点として運用されます。

サテライトオフィスは、業務一部を行うための作業拠点として設置されます。原則として法的手続きは不要で、経理上本社支社に含めて処理されることが多く、独立した管理は行われません。少人数での運用可能なため、通勤負担軽減業務効率化など、特定目的に応じて柔軟導入できます。開設撤去比較的容易に行えるため、最小限投資設置可能なことも需要が高まっている背景の一つといえるでしょう。

このように、規模設置目的運用柔軟性という観点から見ると、恒常的組織拠点である支社と、課題解決型機動的拠点であるサテライトオフィスとでは、大きな違いがあります。

1-2. 今サテライトオフィスが注目される背景

コロナ禍によりテレワーク急速普及し、従来の働き方が大きく変化しました。感染リスク回避通勤負担軽減自宅での業務集中できないといった課題への対応として、サテライトオフィス柔軟な働き方を支える場として注目されています。また、育児介護との両立短時間勤務非正規雇用など多様就労ニーズに応える場としても有効です。従業員無理なく働ける環境提供することで、企業にとっては離職防止人材定着率向上にもつながります。

サテライトオフィス地方設置することで、地域活性化企業社会的責任 (CSR) の遂行、さらには地方創生施策への貢献といった観点からも意義があります。加えて、BCP対策としても有効で、災害時にも分散勤務体制確保する手段として注目を集めています。

オフィス賃料交通費といった固定費削減にもつながるため、経営効率改善という実利的側面からも導入が進んでいます。サテライトオフィスは単なる業務拠点にとどまらず、企業柔軟性持続可能性を支える重要インフラとして、その存在感を増しています。

2.サテライトオフィスのタイプと活用方法

サテライトオフィスには、自社のみで利用する「自社専用型」と、複数企業共用する「共有型」があります。自社専用型は高いセキュリティ確保できるうえ、自社の働き方に合わせて、環境自由に整えられるのが大きな魅力です。導入維持コストはかかりますが、その分、安定性独自性重視する企業に適しています。共有型初期投資を抑えつつ短期利用にも対応でき、柔軟運用可能です。セキュリティ配慮必要ですが、スピーディー拠点拡充できる点が強みです。

サテライトオフィスのタイプと活用方法のイメージ画像

立地は「都市型」「地方型」「郊外型」に分かれ、都市型利便性地方型地域活性郊外型生活との両立役立ちます。企業自社目的に応じて最適な組み合わせを選び、生産性向上コスト最適化実現できます。

2-1. 都市型オフィス


都市型サテライトオフィスは、主要都市駅周辺などに立地する利便性の高いオフィスです。取引先本社とのアクセス良好で、打ち合わせや出張合間作業拠点としても有効活用されます。

都市部在住従業員にとっても通勤時間短縮できる利点があり、集中力が求められる業務に適しています。設置コスト比較的高めですが、その分、稼働率効率性重視する企業にとっては大きなメリットがあります。

選定の際は、最寄り駅からの距離通信環境セキュリティ体制共有スペース有無など、多角的検討することが重要です。短期間プロジェクト外部との共同作業を行う場としても柔軟活用できるため、幅広業種職種での導入が進んでいます。また、従業員モチベーション向上採用活動におけるアピールポイントとしても期待されています。

2-2. 地方型オフィス

地方型サテライトオフィスは、地方都市地域拠点設置されるオフィスで、地元人材活用地方移住者の受け入れにも適しています。働く場所選択肢を広げ、ワークライフバランス重視する人材にとって魅力的です。また、地方での営業活動現場作業合間に立ち寄れる作業拠点として移動効率向上期待できるほか、災害リスク分散やBCP対策にも貢献します。

サテライトオフィス企業ブランド地域貢献にもつながるため、地方自治体との連携有効です。選定の際は、交通手段生活インフラ支援制度有無確認しましょう。地域との接点を持つことで、新たなビジネスチャンス地場企業との協業可能性も広がります。

2-3. 郊外型オフィス

郊外型サテライトオフィスは、都市部から電車や車で1時間圏内郊外位置し、都市利便性自然環境バランスを兼ね備えた立地特徴です。通勤負担を減らしつつ、一定業務集中可能な落ち着いた環境提供できます。住宅地に近いため、家庭仕事両立を図りやすく、特に子育世代従業員にとっても通いやすく、働きやすい環境です。

設置コスト比較的抑えやすく、柔軟な働き方の中間拠点としての活用が進んでいます。選定時は、通勤手段周辺環境快適さ、生活利便性などを総合的確認大切です。

郊外型サテライトオフィスは、地域住民との共生や、災害時バックアップ拠点としても機能します。郊外ならではの広いスペース確保しやすいため、感染症対策としても安心感があります。企業イメージ向上従業員満足度向上にもつながり、長期的人材確保の面でも有効手段と言えるでしょう。

3.サテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスのメリットのイメージ画像

多面的利点の中でも、従業員の働きやすさ向上組織生産性直結する代表的メリットについて、以下具体的解説します。

3-1. 通勤負担の軽減と生産性向上


サテライトオフィス都市部郊外に設けることで、自宅職場中間拠点として活用でき、通勤時間体力的負担大幅軽減できます。これにより短時間勤務分散出社がしやすくなり、従業員安心して働き続けられる環境づくりに寄与します。

また、テレワークでは「在宅勤務では集中が難しく、カフェ利用では情報管理への不安が残る」といった課題存在しますが、サテライトオフィスはこうした問題解消し、安心感集中両立できる業務環境提供します。その結果効率的安定した働き方を支え、生産性サービス品質向上寄与します。

3-2. 退職を防ぎ人材を活かす柔軟な仕組み


育児介護など、家庭事情を抱える従業員にとって、フルタイム勤務が難しい時期一時的に訪れるものです。子育てや介護などで、一定期間フルタイム勤務が難しいケースであっても、柔軟勤務環境提供できれば、やむを得ない退職選択回避する助けとなるでしょう。

特に、サテライトオフィス活用によって、在宅勤務に近い働き方や、短時間勤務などにも対応しやすくなります。正社員非正規といった雇用形態を問わず、さまざまな働き方を受け入れる体制が整えば、優秀人材確保しやすくなるのも大きな利点です。

結果として、離職防止人材定着につながり、経験を重ねた人材社内蓄積されることで、組織全体安定性競争力も高まっていくはずです。

3-3. BCP対策を通じた事業継続とリスク分散


サテライトオフィスは、異常気象災害による交通機関混乱時にも対応でき、安全出社環境確保できます。本社主要拠点一時的機能停止した場合でも、代替拠点として活用できるため、企業レジリエンス強化やBCP対策向上直結します。

さらに、機密情報重要機器一箇所集中していると、障害事故の際に大きなリスクとなります。業務拠点分散させることで、物理的情報的リスク集中を避けることができ、セキュリティ強化にもつながります。

近年増加する自然災害公共交通混乱を踏まえると、近隣サテライトオフィスがあることで、移動負担軽減しつつ、安全業務継続できます。特に地方型サテライトオフィスは、広域での拠点分散に適しており、有事の際の機能維持に大きく貢献するでしょう。

3-4. 経費を抑えた拠点拡大戦略


サテライトオフィスは、支社新設に比べて初期投資維持費大幅に抑えられます。特に、共有型地方型施設活用すれば、低コスト柔軟拠点展開実現可能です。

必要に応じて機動的拠点を設けられるため、地方進出新市場開拓の足がかりとしても有効です。現地クライアントを招き、本社とはオンライン連携すれば、全員移動する必要がなくなり、出張コスト移動負担軽減できます。

コスト効率事業拡張性を兼ね備えたこの拠点戦略は、変化の激しい経営環境において、持続可能成長を支える有力選択肢となるでしょう。

4.サテライトオフィスのデメリット

サテライトオフィス活用には多くの利点がありますが、一方見逃せない運用上課題存在します。以下では、導入時に特に注意すべきデメリット具体的解説します。

4-1. 情報伝達の遅れによる業務リスクの拡大

サテライトオフィス活用する働き方では、物理的に離れて業務を行うため、業務進捗報告やちょっとした情報共有が滞りやすくなります。対面での即時確認口頭ベース調整が難しくなり、伝達ミス報連相の遅れによって、意思決定作業の質に悪影響を及ぼすケースもあります。

また、課題早期発見ナレッジ共有が進みにくく、チーム全体パフォーマンスが下がる要因にもなります。業務効率維持するためには、進捗管理ツール業務ルール整備タスク透明化など、業務プロセスそのものに対する設計見直しが不可欠です。

4-2. チーム連携の低下とマネジメントの難易度上昇

サテライトオフィスでは、物理的距離によってチーム内の連携が弱まり、業務進捗共有や助け合いが減少しやすくなります。チャット通話可能でも、気軽な声かけや相談のきっかけが失われ、些細コミュニケーション途切れがちです。

特に、業務に慣れたベテラン他者との関わりを避ける傾向や、新人相談タイミングをつかめずに孤立するケースが見られます。こうした状況は、チーム全体一体感生産性を損なう要因となります。

物理的分断心理的断絶発展しないよう、定期的な1on1や情報共有の場を設けるなど、関係性の質を保つ仕組みづくりがマネジメントに求められます。

4-3. 社外勤務に伴うセキュリティリスクの増加

サテライトオフィスをはじめ、社外での勤務ではネットワーク情報管理においてセキュリティリスクが高まります。特に、マンション共用部カフェシェアオフィスなど、共有Wi-Fiを利用する環境では、第三者による不正アクセス情報漏えいの危険が常に存在します。

重要書類の持ち出しやUSBメモリなどの小型機器使用周囲に人がいる環境での機密性の高い会話などもリスク要因です。こうしたリスクは、テレワーク全体共通するものですが、サテライトオフィス利用に際しても例外ではありません。

そのため、施設選定ネットワーク設定見直しに加え、従業員一人ひとりに対するセキュリティ教育徹底不可欠です。改めてリスク認識を深め、実効性のある対策を講じる必要があります。

4-4. 初期費用と運用負担の見落としに注意

サテライトオフィスは、中長期的には本社オフィス費用削減通勤負担軽減につながる可能性があります。ただし、導入初期には物件契約費用に加え、家具機器設置など、一定初期投資必要です。業務に適した環境を整えるには、Wi-Fiや複合機会議システムといったインフラ整備も欠かせません。

さらに、拠点維持するためには、清掃備品管理などの継続的業務負担発生します。こうしたコスト手間見落とされがちですが、日々の運用において確実に積み重なります。

そのため、業種業務内容に応じて導入効果慎重検討することが重要です。事前コスト運用負担具体的試算し、導入後運用体制まで含めて設計することが成功の鍵となります。

5.サテライトオフィス導入の成功事例: KDDI虎ノ門オフィス

KDDIは虎ノ門オフィスで働く場の位置づけを再定義し、「ハブオフィス (本社)」「サテライトオフィス」「ホーム (自宅)」の3つのカテゴリ設定することにより、本社集中から分散型への転換推進しました。従来比座席数を約4割削減し、効率的活用できる体制整備。さらにリモート勤務在宅勤務と組み合わせることで、働く場所柔軟に選べる、時代に即した働き方を実現しています。ネットワーク基盤クラウド環境統合し、オンライン会議コラボレーション円滑化した点も特徴です。

加えて「マネージドゼロトラスト」を導入し、端末・ネットワーク・IDを一元管理し、オフィス・自宅出先のいずれでも社内同様堅牢セキュリティ確保しています。サテライトオフィス制度設計融合させたこの取り組みは、柔軟性安全性両立する先進事例として注目されています。

6.支援制度

サテライトオフィス導入検討する企業にとって、環境整備システム導入にかかるコスト軽減できる支援制度活用有効です。目的に応じて活用できる制度が異なるのでここでは3つ紹介します。

IT導入補助金2025

クラウド型のビジネスツールや業務効率化システムなど、サテライトオフィスのIT環境整備にも活用可能なサービスが多数あります。補助対象や条件には細かな規定があるため、詳細は「IT導入補助金2025 (中小企業庁)」公式サイトを確認ください。

東京都「令和7年度サテライトオフィス勤務導入奨励金」

条件の一つに「常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等であること」があります。

そのほかの条件については、公益財団法人東京しごと財団による「令和7年度サテライトオフィス勤務導入奨励金」の公式サイトをご確認ください。

その他の地方自治体の補助制度

東京都以外にも、全国各地でサテライトオフィスや地方拠点の設置を後押しする補助制度があります。

青森県青森市、福島県白河市、埼玉県、静岡県、長野県松本市、新潟県長岡市、岡山県新見市、福岡県北九州市、長崎県長崎市などでは、サテライトオフィス設置やテレワーク支援に関する独自の補助制度を実施しています。

具体的なITツール運用目的がある場合逆引きで対応可能補助制度調査するのも有効です。また、IT導入補助金自治体制度を組み合わせて適用することで、より経済的導入可能になるケースもあります。申請には事前準備スケジュール管理が欠かせないため、早期情報収集計画的対応重要です。

7.まとめ

サテライトオフィスは、コロナ禍で急速普及したテレワーク背景注目を集め、柔軟な働き方を支える拠点として定着しつつあります。従来の「勤務場所選択肢」にとどまらず、人材確保地方創生、BCP対応従業員ライフワークバランス支援など、経営課題解決する多面的価値期待されています。

その一方で、コスト運用管理といった課題も伴うため、導入効果最大化するにはメリットデメリットを正しく理解し、成功事例支援制度活用することが重要です。さらにICTと空間設計統合した拠点を作るには、課題整理から構築まで一気通貫支援可能パートナー存在成功を支えてくれるでしょう。

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