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自動運転とは?日本ではどこまで進んでいる?自動運転に関する基礎知識や、メリット・デメリットを解説

自動運転とは?日本ではどこまで進んでいる?
自動運転に関する基礎知識や、メリット・デメリットを解説

2025 4/7
Google が無人自動運転車の開発を発表した2010年以降、自動運転の技術進展は目覚ましく、現在では特定条件下で自動運転が可能な自家用車も販売されています。最終的には人間の操作が不要になる時代が来るともいわれていますが、日本での自動運転実現に向けた取り組みはどこまで進んでいるのでしょうか。本記事では自動運転の基礎知識を踏まえ、自動運転の国内外での実用化の現状と、メリット・デメリットの解説、KDDIの自動運転への取り組みについて紹介します。

※ 記事制作時の情報です。

1.自動運転とは

自動運転とは、ドライバー操作に頼らず、システムによって認知判断運転操作自動的に行う技術です。英語では「Autonomous」や「Self-driving」と呼ばれます。GPSやセンサーカメラなどの先端技術活用し、周囲環境認識しながら車両セキュア制御します。従来自動運転は主に鉄道航空機利用されてきた技術ですが、近年自家用車タクシーシャトルバス配送ロボットといった幅広分野への応用が進められており、作業効率性安全性向上、新たな交通サービス創出期待され、官民一体となった実証実験法整備が進められている段階です。


1-1. 自動運転のレベル

自動運転レベルはSAE (Society of Automotive Engineers:米国自動車技術会) の基準参考に、0〜5までの6段階に分けられています (注1)

運転自動化レベル 概要 運転操作の主体
運転者が一部またはすべての運転操作を実行
レベル0 運転者がすべての運転操作を実行 運転者
レベル1 システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを条件下で部分的に実行 運転者
レベル2 システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を条件下で部分的に実行 運転者
自動運転システムが (作動時は) すべての運転操作を実行
レベル3 システムがすべての運転操作および動作機能が困難な場合の対応を実行
作業継続が困難な場合は、システムの介入要求などに運転者が適切に対応
システム
(作業継続が困難な場合は
運転者)
レベル4 システムがすべての運転操作および作動継続が困難な場合への対応を一定の条件下で実行 システム
レベル5 システムがすべての運転操作および作動継続が困難な場合への対応を条件なしで実行 システム

1-2. 自動運転とADASの違い

自動運転とADAS (先進運転支援システム) は、どちらも車両制御支援する仕組みですが、人間システム関与度に違いがあります。

「ADAS」は、衝突被害軽減ブレーキ前方衝突警告など、ドライバー運転補助する技術です。一方自動運転ドライバー操作必要とせず、システム主体となって車両制御全般を担う技術です。


1-3. 自動運転の歴史

自動運転技術歴史は20世紀半ばから始まります (注2)。その後は急速進展しており、現在活発開発競争が続いています。

内容
1939~40年 ニューヨーク万国博覧会で自動運転のコンセプトが展示される
1950年代 アメリカ、イギリス、ドイツ、日本などで誘導ケーブルを用いた操舵制御の研究が進められる
1977年 機械技術研究所 (現産業技術総合研究所) がマシンビジョンを利用した、知能自動車と呼ばれる自動運転システムを開発
1980年代 アメリカで陸軍の無人偵察用の自動運転車ALVを開発
1996年 日本の建設省 (現国土交通省) が設立したAHS (走行支援道路システム) 研究として、上信越高速道路の未開通部分での自動運転走行実験を実施
2004年 無人自律走行車のレース、DARPA Grand Challenge 2004 が開催
2010年 Googleがビデオカメラやレーダーセンサーを搭載した自動運転車の開発を発表
2020年 日本では道路交通法改正によりレベル3の自動車の公道利用が解禁
2024年 アメリカ・カリフォルニア州で、Googleから分社化した「Waymo (ウェイモ)」による自動運転のタクシーサービスが開始

2. 自動運転関連の法律・ガイドライン

日本では自動運転に関する法整備が進められ、安全性確保しつつ、自動運転技術実用化を図っています。

国土交通省は2018年に「自動運転車安全技術ガイドライン」を策定し、レベル3およびレベル4における自動運転車安全要件を定めました (注3) 。また、2020年に改正法施行された道路運送車両法において、自動運行装置保安基準型式指定制度整備されています(注4)。2020年4月施行改正道路交通法ではレベル3の自動運転解禁となり、さらに2023年4月の同法改正施行時からレベル4の自動運転 (特定自動運行) が可能です (注5)

日本自動運転国際基準策定において主導的役割を果たしており、国連自動車基準調和世界フォーラム (WP29) で共同議長を務めるなどで議論リードしています。

3.自動運転実用化の現状

2025年現在レベル2やレベル3の自動運転技術はすでに実用化されており、国内外において特定条件下でのレベル4の実証実験が行われている段階です。現時点自動運転完全実用化 (レベル5) の時期明確化されていませんが、各国政府開発事業者の多くは2030年代実現目標に掲げています。以下日本海外現状について紹介します。

自動運転車両が走行する高速道路の風景。各車両の周囲には通信を示すアイコンが描かれ、都市の景観が背景に広がっている。

3-1. 日本の場合

日本政府は2025年度をめどに、国内50箇所程度無人自動運転移動サービス開始目指しています。
このサービス早期実現に向け、事業者自治体および関係省庁間情報共有促進するため、「レベルモビリティ・アクセラレーション・コミッティ (注6)」が設置されました。

自動車メーカー各社積極的開発を進めており、2025年から2030年にかけて段階的自動運転サービス導入目指しています。現段階では、自動運転タクシーサービス海外企業先行しており、日本での展開には今しばらく時間がかかる見込みです。


3-2. 海外 (欧州・米国) の場合


■ 欧州

BMWは、2023年11月に、翌春からレベル3の自動運転システム搭載モデルリリースすることを発表しました (注7)ダイムラーは、すでにレベル3の自動運転システム導入されたメルセデスベンツをさらにアップデートして、2025年初頭から提供開始する予定です (注8)。また、フォルクスワーゲンADMTはMobileyeと提携し、2026年から商業用途向けにレベル4自動運転車両展開予定です (注9)

■ 米国

ロボタクシーサービス展開するWaymoは、2024年にサンフランシスコロサンゼルスフェニックスサービスエリア拡大し、週間有料乗車数大幅増加させました (注10,11)。さらに、2025年初頭からは、オースティンアトランタでもサービス開始する予定です (注12)一方ゼネラル・モーターズ自動運転車子会社Cruiseを自社統合し、商業用ロボタクシー事業から撤退、個人向自動運転車両開発注力する方針です(注13)

4. 自動運転のメリット

自動運転は、現代社会が抱えるさまざまな問題解決手段として期待されています。交通事故防止移動効率性快適性の向上、ドライバー不足への対応環境負荷抑制など、多くのメリットをもたらします。

自動運転車内で本を読む男性。大きなディスプレイにはニュース番組が映し出されており、背景には都市の風景が流れている。

4-1. 交通事故の防止

自動運転車は、AIやセンサー技術活用して周囲状況正確把握し、適切判断操作可能です。信号標識歩行者見落としなどのヒューマンエラー原因とした交通事故防止効果見込めます。ドライバー疲労注意散漫など人為的ミスによる事故防止はもちろんのこと、車間距離速度調整自動制御を行い、追突速度超過などを原因とする交通事故リスク軽減にも有用です。

将来的には、成熟した自動運転技術安全性の高い道路交通実現に大きな期待が寄せられています。


4-2. 移動の効率性と快適性の向上

自動運転技術は、最適ルート選択交通状況リアルタイム分析による効率的かつスムーズ移動可能です。自動運転車適切ルート走行することで、渋滞緩和移動時間短縮実現します。

また、ドライバー運転操作から解放され、車内における時間有効活用できます。例えば、車内食事休息読書などに充てることが可能です。そうしたことが実現すれば、旅行レジャー帰省などの車を使った長距離移動快適になり、高齢者や障がい者の方にとっても安全性利便性の高い移動手段となることが期待されています。


4-3. ドライバー不足への対応

物流業界公共交通機関では、ドライバー高齢化人手不足深刻問題となり、運送コスト上昇サービス品質低下危惧されています。このような状況において、自動運転技術は、業界ドライバー不足解決する切り札として不可欠存在になっています。

今後長距離トラック自動運転実用化されれば、ドライバー負担軽減され、労働時間短縮過労による事故防止につながります。また、バスあるいはタクシー自動運転実現した場合地方過疎地交通手段確保することも可能になります。


4-4. 環境負荷の抑制

自動運転は、運転最適化することでエネルギー効率燃費向上させられるうえ、最適ルート選択渋滞回避などによりCO2排出量削減見込めます。また、車両シェアリング配車サービスなどと組み合わせることにより、車両台数削減による道路有効活用大気汚染改善期待できる点も大きなメリットです。このように、自動運転普及環境負荷低減につながり、持続可能社会実現貢献すると考えられています。

5.自動運転のデメリット

日本では2021年に一般乗用車向けとして自動運転レベル3の実用化成功しましたが、いまだ発展途上段階です。技術だけでなく、法律社会情勢など多くの課題が残されています。


5-1. システムの信頼性

自動運転車高度センサーソフトウェア使用しているからこそ、システム故障誤作動などの不具合が生じる可能性があります。特に悪天候などの複雑状況下では、センサー精度低下し、適切動作しないリスクがあるため、特殊環境下でも正常機能するセンサー技術開発が求められています。また、サイバー攻撃によるハッキング対策課題のひとつで、システム脆弱性排除する効果的対策必要です。


5-2. 事故発生時の責任問題

自動運転中事故発生した場合責任所在不明確になることが考えられます。自動運転レベル2までは運転主体ドライバーであり、事故責任所在ドライバーにあります。しかし、レベル3以降運転主体自動運転システムとなるため、ドライバー車両メーカーシステム開発者の間で責任所在曖昧になることが懸念されているのです。レベル4およびレベル5の自動運転車実用化に向けて、この法的基準明確化することが求められています。


5-3. ドライバー職の雇用への影響

自動運転技術普及により、タクシーバスなど、運転業務職業とする人々の雇用影響を及ぼすおそれがあります。自動運転車普及は、労働力不足解消されるというメリットがある反面ドライバー職の雇用不要になることを意味しています。一方で、自動運転システム監視業務など、ドライバー職に代わる新しい仕事も生まれてくるでしょう。企業は、人材再教育や新たな業務における雇用機会創出など、総合的検討していくことが重要です。

6.KDDIの自動運転の取り組み

KDDIは、アイサンテクノロジー株式会社様株式会社ティアフォー様、KDDIスマートドローン株式会社株式会社KDDI総合研究所共同で、国内初 (注14) となる自動配送ロボット自動運転車ドローン協調配送実証に取り組みました。この実証では、各モビリティ位置情報統合して最適合流地点計算する技術が活かされています。自動配送ロボットから荷物を受け取った自動運転車を、ドローン離陸するのに最適場所まで自立的移動させることにより、ドローン活用して目的地までの配送成功しました。労働力不足顕在化する2030年をめどに、建物内から都心ビルへの配送自動配送ロボット都市部からの大規模配送自動運転車陸上からの輸送困難地域ではドローン配送を行うなど、地域に適したモビリティを組み合わせた全自動荷物配送サービス社会実装目指します。

KDDIでは、この実証を通じて培った技術をAI時代ビジネスプラットフォーム「WAKONX (ワコンクロス) 」に組み込み、ロボット自動運転車ドローン協調制御支援します。また、業務自動化省人化促進し、特に物流効率化災害時迅速物資供給対応高齢者移動支援といった社会課題解決寄与していきます。

事例の詳細はこちら

  • ※外部サイトへ遷移します。
  • 注14) 2024年12月6日時点 (KDDI、KDDIスマートドローンアイサンテクノロジー調べ)

7.まとめ

自動運転技術は、交通事故防止移動効率化ドライバー不足への対応など、社会課題解決手段として期待されています。世界各国実用化が進み、特に米国では、Waymoによる自動運転タクシーサービス実用段階に入り、着実進展が見られます。しかし、システム信頼性事故発生時責任所在雇用への影響といった課題依然として残されています。

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