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緊急事態発生に先駆けて、中小企業が考えるべき従業員や関係者の安全確保
中小企業の危機管理ガイド 第3回

緊急事態発生に先駆けて、中小企業が考えるべき従業員や関係者の安全確保

2020 4/20
他国と比較して、予期せぬ災害の多い日本。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの地震に加え、洪水や台風など、印象的な自然災害が数多くある国はそうありません。 その他大規模テロや感染症の拡大など、防ぐことが難しい災害などへの対策についても中小企業にとっては必要不可欠です。災害時は直接被害はもとよりサプライチェーンにも影響が出て業務に混乱が発生しやすい (注1) ため、スムーズに復旧できる体制作りが今求められています。このコラムでは、災害を始めとする緊急事態が発生した際の従業員や関係者を守る手立てについて考えます。

注1) 参考: 経済産業省 (1.6MB)

1. 緊急事態が発生した際に起こり得る人的な被害

緊急事態の発覚後、緊急事態ごとに初動対応 (二次災害の防止措置、従業員の参集、安否・被災状況の把握など)、顧客・協力会社への連絡、中核事業継続方針立案・体制確立。数日後からは災害復興に向けそれぞれ顧客・協力会社向け、従業員・事業資源、財務対策が行われる。

予期せぬ緊急事態が発生した際、ライフラインや交通機関などインフラでの障害が起きるほか、企業目線で考えても多数の影響があります。売上の低下、店舗やオフィスなどの倒壊、情報の破損、そして従業員やその家族が災害に巻き込まれているなどが一例です。上図は緊急時におけるBCP発動フローを示したもので、緊急時にまず大切なのが初動対応です。

特にまず考えるべきは従業員や関係者の安全の確保です。自然災害の場合であれば、設備や什器などの破損・倒壊によって怪我をしてしまったり、交通インフラが麻痺し帰宅や出社が難しかったり、沿岸部であれば津波に巻き込まれるなど、さまざまな事態が想定されます。

また新型ウィルスなど、感染症の蔓延の場合も、従業員やその家族への感染の可能性がありますし、最悪の場合のことも考えなくてはなりません。このように、緊急事態の際「人」に及ぼす影響は複数あるのです。

2. 緊急時の安否確認は『数多くのルート確保』が鉄則

緊急事態発生した際に、まず行うべきは従業員家族を含めた関係者安全確認です。会社では、いつでも全従業員社内にいるとは限りません。休日早朝夜間であればなおのことです。

ただ、2011年の東日本大震災などを例に考えてみると、安全確認非常に難しく時間のかかる作業でした。大規模災害発生直後は、安否確認のための電話急激増加し、電話回線アクセス集中。つながりにくくなったためです (注2)

上長から送信されたメールが正しく届かず安全確認ができないということや、事前安全確認フロー整備されていなかったため確認タイミング大幅にずれたこともあったようです。

現在ではSNSやチャットツール発達によって、情報発信を行うことで安否確認ができたり災害時情報素早確認できますが、それもフローがあるからこそ成り立つものなのです。

企業がまず整備するべきは、安否確認手段をしっかりと決めて、従業員定着させることです。フロー策定する場合には『安否確認手段複数持つこと』がとても大切です。

メールチャットツール社内SNS、災害掲示板集合場所を作るなどはどれも活用されてきた安否確認手段ですが、フローが一つのみだと、もしも通信回線使用できなかったり交通インフラ麻痺していたりすると完遂できません。

なるべく多くの安否確認手段を決め、それらの優先順位を付けておくことで迅速対応可能になると考えられます。既読マークの付くSNSの活用や、チャットツール、Wi-Fi環境下でも使用できるスマートフォンを用いた安否確認フローを組み込むことで、手詰まりなく確認できるフローを作ることができるのではないでしょうか。

3. 安否の確認で有効なのは、日頃から使い慣れているツール

前述したように、緊急事態の際の安否確認方法はさまざまです。何よりも大切なのは、あらゆるツール駆使しながら連絡を行うことです。今の時代に適しているツールは、おそらく各種SNSやチャットツールでしょう。スマートフォンとも親和性が高く、自分自身安否発信したり、ダイレクトメッセージ送信したりといった活用方法があります。日頃から使い慣れているツールを使うのが、緊急時安心です。設定ログイン不具合も起きにくく、平常心使用できるためです。家族間でSNSを取り入れたり、社内ビジネスチャットツール日頃から活用し、安否確認訓練などを実施して、緊急時連絡の取れるツールとなるようにしましょう。

次回のコラムでは「考えるべき情報漏えい対策」について、解説します。



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