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—2020年より続くコロナ禍で、オフィスワークではスマートワーク化が進みました。一方、工場や建設現場など、働き手がその場いることが求められる現場業務のスマートワーク化はどこまで進んでいるのでしょうか。
実はコロナ禍以前から、物流や工場、小売などの現場では、デジタル化すなわちスマート化に取り組んでいたんです。新型コロナウイルス感染が拡大した時期は一時的にプロジェクトや商談が中断したものの、現在はそうした企業の方々が「スマート化を推進することで、リモートでも可能な業務の幅が広がる」と考え、背中を押される形となってスマート化が進んでいる状況です。
—現場ではどのような課題、テーマでスマート化が進んでいるのでしょうか。
主要なテーマは2つあります。
第一に、「人手不足の解消」です。団塊の世代が後期高齢者の年齢に達する2025年以降、深刻な人手不足問題が発生するといわれていますが、コロナ前からこの課題解決に向けて多くの企業が準備を進めていました。主なアプローチ方法としては、「業務を効率化して人手の数を減らす」もしくは「熟練者の経験や技術をデジタルで可視化し、現場能力の底上げを図る、リモート支援を行う」といった手段が使われています。
第二に、「現場状況の理解/把握」です。例えば売業の店舗であれば、人の動線を把握し、どんな商品をどこに配置するべきか考えたり、流通であれば物資や人の配置を最適化したり、スムーズに業務を行うプロセスを整えます。デジタルによって現場の足元の状況を理解・把握することで、最適な打ち手を采配するわけです。
主にこの2つのテーマでスマート化が進んでいます。
—人手不足、そして現場状況の理解/把握に向けてスマート化が進んできたわけですね。それはどのように実現できるのでしょうか。
人やモノの動きを可視化するテクノロジーとして近年注目されてきたのがIoT(Internet of Things)です。昔は製造業の現場で機械同士がネットワークを介してデータをやり取りし、不具合などを検知する仕組みをM2M(Machine to Machine)と呼んでいましたが、通信環境やモバイル技術が進化し、さまざまなセンサーが大量生産されるようになって、モノのインターネット化が進みました。
IoTの特長は、インターネットを介してセンサーデータを取得・活用できることです。KDDIではこの特徴を踏まえ、IoTをさまざまな現場で活用できるように、3つのアーキテクチャ構成でソリューションを提供しています。まず用途に応じた多彩な「センサー・デバイス」があり、次にそのセンサーから取得したデータをクラウドにアップロードするための「通信・ネットワーク」層があり、最後にデータ活用を促す「クラウド」層があります。
クラウドに蓄積されたデータを現場で活用できるよう、モバイル端末やパソコン、その他デバイスで扱えるソリューションとして提供しているのが「KDDI IoTクラウドStandard」です。
—アーキテクチャ構成を聞くと難しそうで、現場に導入するハードルは高いように思います。
現場業務においては、用途や課題に応じて普段使っているスマートフォンやタブレット、パソコンなどいくつもの選択肢から最適なものを選べるようになっています。センサーの種類も多様化しており、IoTということを意識せず、スムーズに課題解決を支援する仕組みとしてご利用いただいています。
—現場のスマートワーク化について、各業種での先進事例を教えてください。
工場や建設現場などで利用される「作業員みまもり」というソリューションがあります。これは作業員の方に端末を身に付けていただき、管理者がバイタルデータをモバイルで確認して体調管理を行ったり、離れた場所にいる作業員の転倒を検知したりする仕組みで、作業員の安全管理を効率的に行えるものです。管理者は手元のモバイルで作業員の状況を一元的に把握できるので、広い構内の見回り人数を減らすなど、人手不足解消にもつながります。
また、GPSでトラッキングを行う「位置情報パッケージ『ここルート』」では、状況を可視化することで配送トラックのルート管理や災害・事故時の早急な駆け付け指示を出すなど、運送業務の効率化を支援します。ある鉄道会社では、保線業務への活用として、保安機器にGPSを装着し、機材の置き忘れ防止につなげるといった実証実験も行なっています。
ユニークなものでいえば、宿泊施設や製造業で使われる「マットセンサー」があります。マット上に資材を置いておくと、その重さをセンサーが検知してクラウド上にデータをアップする仕組みです。重さが減るとアラートを出して資材発注を担当者に促したり、自動発注したりすることで、リネン類や液体洗剤などを人が管理するのではなく、テクノロジーで効率化しようというニーズに応えるものです。
あとは、スマートフォンのカメラとOCR機能を組み合わせ、アナログメーターの写真を撮ると検針データを自動的にクラウド上にアップするといったものなど、本当に幅広くさまざまな現場でスマート化が進んでいます。
2021年6月9日から新たにサービス提供を開始した「エッジAIカメラパッケージ」も、カメラに映った人の性別、年代、人数などのデータの収集が可能となります。カメラにAIが搭載されているため、人が目で判断していたデータを定量的に集めることができるのが特徴ですね。
例えば小売業では購買データには残らない来店者の統計的なデータが取得できますし、シェアオフィス事業では実際に各拠点のオフィスの利用ピーク帯なども一括で収集できます。こちらも今後さまざまな業態でのニーズが期待できます。
—コロナ禍の現場を支援するツールもあるんですね。
はい、室内の二酸化炭素濃度を常時モニタリングし、適切なタイミングでの換気を促す「換気促進パッケージ」があります。換気タイミングを見える化し、二酸化炭素濃度が設定した閾値を超えたタイミングで換気アラートを通知し、換気忘れを防ぎます。小売店の店舗やオフィスに設置して、来店するお客さまや従業員への安心と安全を確保するツールとしてご活用いただいています。
他にも、「混雑可視化パッケージ」は、屋内に取り付けた専用デバイスカメラから画像を取得し、店舗や施設の混雑状況やオフィスの会議室などの稼働状況を把握できます。密な状態を作りにくくするという面でもお役立ていただけると思います。
このコロナ禍という状況では、こうした環境のモニタリング・可視化が、より安心して働ける環境作りにも貢献できると考えています。
—現場のスマートワーク化を推進するに当たり、まずどこから始めればよいでしょうか。
まずは現場の課題を明らかにすること、それを踏まえて、「どんなデータが見えたら、その課題を解決できるのか」を明確化することです。
「これを解決したい」という明確な課題を持つことがポイントです。実現手段はいくらでもあるので、課題が明確になっていれば、現場業務をさらに快適にし、生産性向上にもつながる手段をご提案できると思います。