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データセンターとは?クラウドとの違い・導入メリット・料金体系を徹底解説

データセンターとは?
クラウドとの違い・導入メリット・料金体系を徹底解説

2026 3/10
企業によるITの活用は年々加速しており、データ管理の重要性が高まっています。データ管理を適切に行うには、保管するサーバーを効率よく運用する必要があり、災害時に事業を安定して継続するための対策も欠かせません。こうした課題に対処するため、データセンターの利用が注目を集めています。本記事では、データセンターの種類やサービス内容、メリット、デメリットなどについて解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.データセンターとは

データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置し、それらを効率よく運営するために作られた専用施設で、データの保存、処理、管理、バックアップを行うための環境を提供します。施設の内部には、サーバーなどの機器を収納するためのラックの配列とともに、外部とのデータ通信を行うための高速回線が整備されているのが特徴です。機器を適温に保つために冷却装置や空調設備も整えられており、安定して作動させるために必要な大容量の電源も設置されています。

1-1. データセンターの種類

データセンターには大きく分けて2つのサービス形態があります。ひとつは、自社サーバーをデータセンターに置く「コロケーション」です(「ハウジング」「ケージング」ともいいます)。もうひとつはサービス提供者のサーバーを借りる「ホスティング」で、「レンタルサーバー」と呼ばれるケースが多く見られます。それぞれの特徴をみていきましょう。

1-2. データセンターが提供するサービス

データセンターが提供する主なサービスは以下のとおりです。

1-3. データセンターとクラウドの違い

クラウドとデータセンターはよく比較されます。クラウドはインターネットを通じて利用可能な仮想的な環境やリソースを提供するもので、物理的な場所や設備を提供するデータセンターとは性質が異なるのです。

主な違いを表にまとめると、以下のとおりです。

データセンター
(コロケーション)
データセンター
(ホスティング)
クラウド
提供内容 ネットワーク機器やその設置場所など サーバー機器と設置場所 機器一式を含めた環境すべて
機器提供者 自社 サービス提供者 サービス提供者
運用・保守 自社 (委託も可能) サービス提供者 サービス提供者
構築方法 自由に設計可能 選択肢から選ぶ 選択肢から選ぶ

クラウドは、プロバイダーが提供する機器やサービスを利用できるため、導入が容易です。
ただし、サービスの種類によって、ユーザー側の責任が及ぶ範囲と構築の自由度に違いがあります。

2.自社サーバールームと比べたデータセンターのメリット

データセンターは自社のサーバールームと比べて、以下のようなメリットがあります。

2-1. 建物や設備などの、物理的なセキュリティ対策の向上

データセンターでは関係者以外は立ち入れないよう、入退室の厳重な管理が基本です。入室には専用のセキュリティカードや生体認証が必要で、誰がいつ入退室したかを管理しています。
また、データセンターには常駐しているスタッフがおり、常に監視しているのが特徴です。自社内のサーバールームと比較して、人がいないタイミングを狙って侵入される危険性は低いといえます。

ドアの前に立つ人物が、手に持ったカードをカードリーダーにかざしている様子。カードリーダーは青い光で反応しており、ドアは閉じられている。背景にはぼやけた室内の様子が見える。

2-2. 地震への対策

データセンターの多くは、地震が起きるリスクが低い土地を選んで建設されています。加えて地震が発生した場合に備え、免震・耐震構造を採用しているケースも多いです。建物内のラックなどの設備は固定され、揺れが起きてもサーバーへの被害を抑える工夫がされています。地震のリスクは完全には排除できませんが、自社管理と比べると、データセンターはより高い耐震性を有する点が強みです。

2-3. 安定した電源確保や通信環境の提供

サーバーなどの機器を作動させるために、大容量の電源を利用することができます。非常時に備えて自家発電装置が備えられているなど、停電時に備えて万全の体制を整えています。
また、高速で大容量の通信環境が整備され、安定した通信が確保されています。一定以上の通信速度を保証する契約を結ぶことも可能です。

2-4. サーバーの適切な温度管理


サーバーの内部温度の上昇は、機器の動作不良を引き起こす可能性があります。そうした事態を防ぐため、データセンターでは温度管理を徹底しているのが特徴です。さらに、建物の構造や空調設備は、サーバーの温度上昇を抑えるために効率よく排熱が行われるように、設計されているケースが多く見受けられます。自社で管理する場合と比べ、適切な運用と、省エネ効果がメリットです。

ネットワーク機器のラックの前で、手に持った赤外線カメラを使っている人物の手元が映っている。カメラのディスプレイにはカラフルな温度分布の画像が表示されており、ラック内の機器や配線が見える。背景には複数のケーブルが整理されており、データセンターの内部を示している。

2-5. 障害対応の代行

データセンターには専門の技術者が常駐しており、システム障害が起きた際の対応を代行してもらえます。自社のサーバールームで管理する場合と比べて、技術者が自社まで移動する時間も不要です。これにより迅速な対応ができ、影響を軽減することができます。また、自社の技術者に深夜や休日の対応を強いる必要がなくなり、管理負担を減らす効果も大きいでしょう。

2-6. サーバーの管理費削減

サーバーを自社で管理する場合、前述したデータセンターの機能をすべて自前で用意しなければなりません。あらかじめ環境が整備されたデータセンターを利用すれば、サーバーの管理費を相対的に抑えやすくなります。設備コストの軽減に加え、管理業務を外部に委託できるため、人的リソースを節約できる点も大きなメリットです。

3.クラウドと比べたデータセンターのメリット

自社のサーバールームを廃止する場合、データセンターのほかにクラウドも選択肢となるでしょう。クラウドは手軽に利用できる反面、運用の大部分をサービス提供者に任せるため、自由度が低い部分があります。クラウドと比べると、データセンターのメリットは以下のとおりです。

3-1. 大容量かつ高品質な通信が可能


クラウドの場合、クラウド事業者の接続回線メニューに依存します。ほかの契約者と回線を共有するベストエフォート型 (注1) の回線だと、一時的に通信速度が低下するおそれがあります。
一方、データセンターの場合は専用回線が用意されており、大容量かつ高品質な通信が一般的です。高速通信をアピールしているデータセンターも多数存在します。

サーバーのパネルに接続された複数の青いネットワークケーブルが並んでおり、いくつかのポートからはオレンジ色の光が点灯している。背景はぼやけており、サーバーの内部構造がわずかに見える。全体的にテクノロジー感が強い印象を与える画像
  • 注1) 回線業者が公表している最大通信速度を上限として、可能な限りの速さでインターネットに接続すること。

3-2. 設置場所の選択が可能

データセンターでは、自社の要件に応じて設置場所の選択が可能です。例えば、社内のネットワークへのアクセス遅延を考慮して近隣のデータセンターを活用したり、災害対策として遠隔地のデータセンターを選択したりできます。
一方、クラウドサービスでは提供者が用意した場所にデータが保管され、場所の指定はできません。データの保管場所を柔軟に決めたい場合は、データセンターを利用するとよいでしょう。

3-3. クラウドでは困難な物理的管理が可能

クラウドサービスも高度なセキュリティを提供していますが、データセンターは物理的なセキュリティレベルを自社の要件に合わせて指定・監査できるという大きなメリットがあります。例えば、特定の認証を取得した施設を選んだり、自社専用のケージ (区画) を設けて厳格な入退室管理を適用したりすることが可能です。 

特にFISC (金融情報システムセンター) が定める安全対策基準のように、物理的な設備要件を含む厳格なレギュレーションが求められる金融業界や、マイナンバーなどの機微な個人情報を取り扱う官公庁、あるいは国際的な認証 (例:PCI DSS) の取得が必須となる事業では、データセンターの利用が強力な選択肢となるでしょう。 

4.データセンターを選ぶポイント

さまざまなデータセンターサービスが提供されている中、自社にとって最適なものを選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

データセンターの通路の中で、青い光が放たれ、周囲にはさまざまなデジタルアイコンやグラフが浮かんでいる。アイコンには、心拍数、地球、ロック、Wi-Fi、音声波形などが含まれており、データの分析や通信を示唆している。背景にはサーバーラックが並び、青いディスプレイが点灯している。

4-1. データセンターの立地

自社で保守管理を行う場合、アクセスのよいデータセンターを選定することは、重要なポイントです。災害時のリスクを分散するために遠方のデータセンターを選ぶ際は、空港や新幹線の駅から近いかなど、交通アクセスの良し悪しも考慮しましょう。地方に建設されたデータセンターの中には、交通手段が限られる場合もあります。データセンターを見学する際には、交通経路を含めた移動の便を確認しておくとよいでしょう。

4-2. 必要な電源容量を満たしているか

安定したサーバー運用を続けるには、十分な電源確保が不可欠です。ラックごとに設定された電源容量が決まっている場合が多いため、必要な容量を満たしているか確認しましょう。容量が足りない場合、新たなラックを契約する必要がありコストが増加する可能性があります。必要な電源容量に対応するデータセンターを選ぶことをおすすめします。

4-3. ネットワークの質

使用できるネットワークは、利用するデータセンターによってある程度定まっているケースが多いです。低品質なネットワークの場合、接続が不安定になることや、通信に遅延が起きてしまう可能性があります。求める品質に見合った通信ができるか、事前に確認しておきましょう。リアルタイム処理を要するサービスを運用する場合は、高品質なネットワークの利用が必須となります。

4-4. 障害対応の体制について

システム障害の際に、迅速な対応を受けられるかも事前にチェックしておきましょう。保守点検を任せる契約の場合、常駐する技術者の専門性にも注意が必要です。特に自社のサーバーなどの機器が特殊である場合、常駐する技術者では、いざというときに対応できない可能性があります。また、停電が起きた際には、自家発電などによる電源供給が行われるかも確認しておくとよいでしょう。

4-5. セキュリティ体制

十分なセキュリティ体制が整えられているかについては、契約前に確認が必要です。具体的にシミュレーションを行い、物理的なセキュリティが整っているかも重要です。関係者以外が建物に立ち入れないような対策が講じられているか確認しましょう。データセンターを見学する際には、セキュリティ面で万全な対策がとられているかを確認しておきましょう。

4-6. データセンターの信頼性 (Tier)

データセンターの信頼性を客観的に評価する国際的な指標として「Tier (ティア)」があります。これは米国情報化工業会 (Uptime Institute) が定めたもので、Tier1からTier4までの4段階で格付けされています。

Tierレベル 目標可用性 特徴
Tier 4 99.995% 完全に冗長化され、メンテナンスや障害時もサービスを継続できるレベル。
Tier 3 99.982% 冗長な電源・冷却経路を持ち、計画メンテナンス中もサービス提供が可能。
Tier 2 99.741% 電源・冷却設備に一部の冗長コンポーネントを持つ。
Tier 1 99.671% 冗長化なし。単一障害でサービス停止の可能性あり。

Tierレベルが高いほど可用性も高まりますが、その分コストも上昇します。自社の事業継続計画 (BCP) において、システム停止がどの程度許容されるかを考慮し、最適なTierレベルのデータセンターを選定することが重要です。

4-7. 環境への配慮

近年、SDGsやGX (グリーン・トランスフォーメーション) への関心の高まりから、データセンターの環境性能も重要な選定ポイントとなっています。特に注目すべき指標が「PUE (Power Usage Effectiveness:電力使用効率)」です。

PUEとは、データセンター全体の消費電力を、サーバーなどのIT機器の消費電力で割った数値です。この値が1.0に近いほど、冷却などに使われる電力が少なく、エネルギー効率が高いことを意味します。

また、事業者によっては、再生可能エネルギーを100%利用している「グリーンデータセンター」を運営している場合もあります。PUE値の低さや再生可能エネルギーの利用状況を確認することは、ITインフラのコスト削減だけでなく、企業の社会的責任を果たす上でも有効な選択といえるでしょう。

5.データセンターの料金体系

データセンターの料金体系は提供会社によって異なりますが、主に以下の要素によって構成されています。

5-1. 初期費用

データセンターを利用する際に最初に発生する費用です。契約手数料や設置作業費などが含まれ、無料〜20万円程度と幅があります。事業者によってはキャンペーンで無料になることもあります。

5-2. ラック利用料

サーバーを設置するためのラック (棚) のレンタル費用です。1ラック、1/2ラック、1/4ラックなどサイズによって料金が異なり、電力容量や冷却性能によっても価格が変動します。これがデータセンター利用の中心的なコストとなります。

5-3. 電力費用

サーバーを稼働させるための電力にかかる費用です。月額料金に含まれる定額制と、使用量に応じて課金される従量課金制があり、冗長電源構成では追加費用が発生します。

5-4. 回線利用料

インターネット回線の利用料です。安価なベストエフォート型と、通信速度を保証するギャランティ型があり、後者は高品質ですが料金が高めです。

5-5. 追加サービス費用 (オプション)

障害発生時の緊急対応やサーバー運用代行、セキュリティ強化などの追加サービスにかかる費用です。必要に応じて選択でき、利用分だけ課金されます。

6.データセンター利用までの手順

データセンターの利用開始までの一般的な手順は、以下のとおりです。

見学 多くのデータセンターでは、契約前に内部を見学できます。見学時には設備やセキュリティ体制を確認することが重要です。
↓
契約 契約前の確認事項として、予算、通信量の上限、供給電力などの条件に問題がないか精査します。サーバーなどの機器を設置するスペース、ラックの大きさや耐荷重は十分かといった点の確認は必須です。
↓
通信回線の手続き データセンターが提供するものとは違う回線を利用する場合、別途手続きが必要です。
↓
機器の設置 サーバーなどの機器を搬入し、契約したスペースに設置します。
↓
利用開始 機器が正常に動作するかをテストして、利用を開始します。

7.データセンター利用時の注意点

データセンターの利用には多くのメリットがありますが、導入や運用にあたって注意すべき点も存在します。主な注意点は以下の通りです。

7-1. レンタルサーバーと比較するとコストが高い

データセンターの費用はレンタルサーバーよりコストが高いケースがあります。これは自社で機器調達とメンテナンスが必要なうえ、データセンターの利用料金も発生するためです。通信量や使用電力が多いと、追加料金が必要になる場合もあります。契約する前に、どれだけの費用がかかるかを慎重に見積もっておきましょう。

7-2. メンテナンスなど現場での作業が必要な場合も


データセンターの保守点検サービスを利用しない場合は、自社の社員が作業を行います。災害時のリスク分散を考えて遠方のデータセンターを選択すると、現地への移動負担が発生し、出張による技術者の開発業務への影響も避けられません。

サーバーラックの前に立つ男性が、ノートパソコンを操作している様子。彼は眼鏡をかけ、青いシャツを着ており、ラックには多数のサーバーが並んでいる。背景は明るく整然としたデータセンターの内部で、配線や機器が見える。

8.まとめ

データセンターを利用することで、自社のサーバールームよりも安定したサーバーの運用が可能になります。高度なセキュリティ対策や温度管理が徹底され、専門の技術者が常駐する信頼性の高い環境でデータ管理を行えます。クラウドと比較すると、多様な専用回線を使用することで通信の安定性が高く、サーバーの設置場所も自社の要件に合わせて柔軟に選択できます。

データセンターの導入を成功させるための第一歩は、導入によって解決したい自社の課題 (コスト、セキュリティ、BCP、運用負荷など) を整理し、それに合ったサービス形態や立地を検討することです。

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