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コロケーション (co-location) とは、「共同設置」「同じ場所に配置すること」を意味する英語です。IT分野では、自社のサーバーやネットワーク機器などのIT機器を外部施設に設置し、設備や回線などのインフラを共同利用する形態を指します。
自社ですべての設備を保有・管理するのではなく、データセンター事業者が提供する安全で安定した環境を活用できる点が特徴です。
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IT分野におけるコロケーションは、データセンター内のラックや区画を借りて自社のサーバーやネットワーク機器を設置し、建物や電源、空調、回線の引き込み、入退室管理などの基盤はデータセンター側の設備を利用します。
例えば、社内のサーバールームが手狭で増設できない場合、機器だけをデータセンターへ移して運用します。自社ビル内のサーバールームと比較して、耐震性・耐火性・冗長電源構成などが強化されているため、回線や電源を整えやすく、可用性や災害対策も含めた一元管理がしやすい点がメリットです。
コロケーションを利用する際は、全体の流れと確認すべきポイントを押さえておくと検討しやすくなります。全体像は以下のとおりです。
コロケーションサービスを利用する際のおおまかな流れを紹介します。
①要件整理
機器、ラック数、電源容量、回線要件、保守範囲を決定
②契約
利用ラック/区画、電源、回線、作業申請ルールを確定
③機器搬入
日時を申請し、作業者情報を登録して搬入
④設置・接続
指定場所に設置し、回線接続と疎通確認を行う
⑤運用
24時間監視システムにより、温度・電源・ネットワーク状況を常時監視。障害時は手順に沿って連絡し、必要に応じて現地作業を申請
入退室は許可制で、ICカードや生体認証による本人確認と入退室ログ、施錠や監視カメラ、警備員の常駐などにより不正アクセスやセキュリティリスクを抑えます。
| 設備項目 | 内容の例 | 目的 |
|---|---|---|
| 電源 | 二重化電源、UPS、分電盤、非常用発電機 | 停電や故障の影響を減らす |
| 空調 | 冷却設備、温湿度管理 | 過熱を防ぎ故障を減らす |
| 監視システム | 監視カメラ、設備監視 | 異常を早く把握する |
| セキュリティ | ICカード、生体認証、監視カメラ | 不正侵入を防ぐ |
| 通信回線 | マルチキャリア対応 | 通信の冗長化 |
UPS (無停電電源装置) は瞬間的な停電でも機器が停止しないよう電力を供給し、発電機へ切り替わるまでの時間をカバーします。非常用発電機は、停電が長引く場面で稼働を継続させるために不可欠な設備です。
コロケーションは、さまざまな業種・規模の企業で活用されています。通信事業者は、全国の拠点にネットワーク機器を分散配置し、安定した通信環境を整備するために、回線設備に近い場所へ多数のネットワーク機器を構築します。
中小企業では、自社でサーバールームを構築するコストや管理負担を削減する目的で利用されます。初期投資を抑えながら、電源・空調などの整った基盤を借りられるため、設備面の負担を見直す目的でも選ばれます。
また、BCP (事業継続計画) 対策としても有効です。オンラインサービス企業では、東京に加えて大阪のデータセンターも用意し、拠点分散でBCPに備えることで、災害時に業務を止めないためのインフラ基盤として活用しています。
コロケーションとハウジングは、どちらもデータセンターに機器を置く点は同じです。「自社機器をデータセンターに設置するサービス」を広くコロケーションと呼び、その提供形態の一つがハウジングとして整理されます。
コロケーションとハウジングの主な違いは、提供スペースの規模や設計・構成の自由度です。借りる単位や運用の自由度が異なるため、自社で管理したい範囲を基準に選ぶと判断しやすくなります。
| 比較項目 | コロケーション | ハウジング |
|---|---|---|
| 目的 | 冗長化・高可用性・拠点分散 | 安全な設置環境の確保 |
| 借りる単位 | ラック/区画/部屋など | 1台~少数のサーバー向けスペースが中心 |
| 想定規模 | 中〜大規模構成にも向く | 小規模から始めやすい |
| 構成の自由度 | 電源容量・回線構成など自由度が高め | 事業者側の枠内で設置・運用が多い |
| 運用の前提 | 自社で機器を用意し運用する | 設置環境提供が中心、保守支援はオプション |
コロケーションは、借りるスペースの単位に応じて大きく3つに分かれます。機器の台数やセキュリティ要件、将来の増設計画に合わせて選びましょう。
コロケーションの利用により、自社内で抱えていた設備面の不安や運用の手間を、外部施設の環境を活用して軽減しやすくなります。主なメリットは以下の3点です。
コロケーションは、耐震構造や免震設計を備えたデータセンターで運用できるため、災害による拠点被災でサーバーが停止するリスクを低減できます。電源もUPSで瞬断を吸収し、非常用発電機で停電が長引く場面に備えられます。
また、入退室管理や監視カメラ、警備体制などにより、機器への不正接触を抑えやすい点も特徴です。オンプレミスで同等の設備を整備するよりも、設備面の負担を抑えつつ、安全性を高められます。
自社でサーバールームを新設・増設せずに済み、空調・電源工事などの設備投資を抑えられます。ラック単位で段階的に拡張できるため、コストを最適化しやすい点が強みです。
また、オフィス内の設置スペースや専用空調の維持費も不要となり、電気代や保守費用の見直しにつながります。
一例として、データセンターへ集約した企業が移行前と比較して総コストを約50%削減した事例があります。専任要員の工数が削減され、設備費や人件費の適正化が可能です。
BCPでは、災害発生時にも基幹システムや顧客対応業務 (受注処理) 、社内連絡を続けられる体制が求められます。コロケーションなら、耐震性に優れた施設や二重化電源、空調、24時間監視体制を前提にシステムを構築することが可能です。
さらに、東京と大阪など遠隔地へ機器やデータを分散配置し、平常時からバックアップやレプリケーションを行えば、同時被災リスクを低減できます。万が一、片方の拠点に障害が出ても、切り替えによって業務を継続しやすくなり、復旧作業も計画に沿ってスムーズに進められます。
コロケーションは設置後の移設が容易ではないため、選定段階で運用のしやすさを見極めることが重要です。以下の観点ごとに、確認すべきポイントを解説します。
立地は「アクセス性」と「BCP対策」のバランスで検討します。機器の搬入や交換、配線変更などで現地作業が発生する場合、オフィスからの移動時間や入館手続きの負担が少ない立地だと運用がスムーズです。障害時も現地対応に入るまでの時間を短縮でき、復旧の見通しを立てやすくなります。
一方で、BCPを重視する場合は、本社や主要拠点と離れた地域を選ぶことが有効です。現地作業の頻度と遠隔地分散の効果を比較し、自社の体制に合う場所を決定しましょう。
物理セキュリティとしては、ICカードや生体認証による入退室管理、監視カメラの常時録画、警備員常駐の有無を確認します。ラック単位での施錠やログ管理が可能かどうかも重要なポイントです。
ネットワーク面では、ファイアウォールやIDS/IPS (注1) の導入状況、通信の暗号化対応などを確認します。特に生体認証はなりすまし防止に有効であり、暗号化技術はデータ漏えいリスクを抑える基本対策です。物理・論理の両面で多層防御が構成されているかを見極めます。
24時間365日の監視体制があると、夜間や休日でも異常検知から連絡までが滞りなく行われ、初動の遅れを防げます。あわせて、電源の再投入や機器の再起動、ケーブル差し替えなどの一次対応を代行できるかによって、現地へ赴く回数が変わります。
緊急時は、連絡手段と受付時間、駆け付けまでの目安、部品交換まで対応できるかを事前に把握しておくと安心です。
また、リモート操作で対応できる範囲と、現地作業が必要なケースを整理し、迅速なエスカレーション体制が整っているかを確認します。夜間・休日対応の可否は、可用性確保の観点から特に重視すべき項目です。
将来的なサーバー増設やストレージ追加に備え、機器を追加できる余地があることを確認します。ラックの追加が可能か、同一フロアで拡張できるか、増設時に作業手順や制約が増えないかがポイントです。
電源は、現在の消費電力だけでなく、増設後の電源容量を確保できるかを確認してください。1ラック当たりの供給上限や回路の追加可否が分かると、構成変更の見通しが立てやすくなります。
また、空きスペースを確保できても、発熱が増えると冷却が追いつかない場合があります。空調の方式やラックの配置ルール、ホット/コールドアイル (サーバーの熱い排気と冷たい吸気を分離する手法) など冷却効率を考慮した運用が可能かを確認し、増設後も安定稼働できる条件を見極めましょう。
コロケーションの導入前に、契約条件、運用責任の分担、トラブル時の対応方法を確認しておくと、想定外の手戻りを減らせます。
料金はラック/ユニットの月額だけでなく、電源容量や回線、保守の含まれ方によって総額が変わります。初期費用、工事費、増設時の追加料金まで前提をそろえ、同じ条件で見積もりを取ると、各社の差が明確になるでしょう。
また、最低利用期間と違約金、更新単位、解約申請の締切は移設計画に直結します。障害時の一次対応 (再起動、配線作業など) をどこまで依頼できるかも重要なポイントです。追加オプションの範囲は、契約条項の文言まで詳細に確認します。
コロケーションでは、建物・電源・空調・物理セキュリティは事業者側の責任範囲です。一方、サーバー機器やネットワーク機器の管理、OS設定、データ保全は利用企業側の責任となります。
例えば、サーバー故障時のハードウェア交換は原則として利用企業が対応しますが、電源投入やケーブル差し替えを代行してもらえる場合があります。責任範囲については、図解などで整理して共有しておくとわかりやすくなります。
障害発生時は、まず利用企業が監視システムで異常を検知し、事業者へ連絡します。原因の切り分けは回線→電源→機器の順に進めると判断に迷いが生じにくく、効率的です。回線や電源といった施設側に関わるトラブルは事業者が、サーバーなどの自社機器については利用企業が対応にあたります。
疎通確認の手順、判断基準、切り戻し条件を事前に整備し、連絡先や夜間対応方法も明確にしましょう。また、リモートでの操作だけでは解決できない物理故障やケーブル断線などの事態に備え、入館申請の手順や報告フローを定め、現地派遣の体制を整えておく必要があります。特に遠隔地のデータセンターを利用している場合、スタッフの移動時間が復旧の大きな妨げとなりかねません。
こうした課題に対し、24時間365日の体制を持つ運用代行サービスを活用することで、属人化を防ぎながらシステムのダウンタイムを抑えられます。
コロケーションはデータセンターの堅牢な設備を使い、自社機器を設置して運用する方法です。導入後の行き違いを減らすには、費用条件や責任分担、障害時の対応手順を事前にすり合わせておくことが欠かせません。
見積もりは電源・回線・保守範囲まで同条件で比較し、契約では最低利用期間や違約金、一次対応の範囲を詳細に確認します。運用手順を文書化して残しておけば、担当変更があってもスムーズに運用を継続できます。将来的に増設の予定がある場合は、電源容量とスペースの上限も把握しておきましょう。
コロケーションの導入やデータセンター選びでは、BCP対策、運用負荷、将来の拡張性など、考えるべき要件が多岐にわたります。
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