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GPUクラウドサービス (GPUaaS) とは? オンプレミスとの違いや導入メリットを解説

GPUクラウドサービス (GPUaaS) とは? オンプレミスとの違いや導入メリットを解説

2025 11/25
AIや機械学習、映像処理などの高度な計算を担うGPUは、企業の競争力を左右する重要なインフラです。しかし、オンプレミス環境では、高額な初期投資や運用負担に加え、柔軟性の不足という課題があります。そこで注目されているのが「GPUクラウドサービス」GPUaaS (GPU as a Service)」です。
GPUクラウドサービスは、GPUリソースをクラウド上で必要なときに必要な分だけ利用でき、スケーラビリティやコスト効率の向上が期待できます。本記事では、GPUクラウドサービスの仕組みやメリット、導入ポイントを解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.GPUクラウドサービス (GPU as a Service) とは

GPUクラウドサービス (GPU as a Service) とは、クラウド事業者保有するGPUリソース必要な分だけ利用できるサービスを指します。従来オンプレミス環境のように高価なGPUを自社購入管理する必要がなく、インターネット経由高性能なGPUを即座利用可能です。

このサービスは、AI開発ディープラーニング、3Dレンダリングビッグデータ解析など、GPUを必要とする幅広用途対応します。また、クラウドならではの高い拡張性により、急なプロジェクト需要変動にも柔軟対応できる点が大きな特徴です。

GPUクラウドサービスは、コスト最適化柔軟性即時性を兼ね備えたGPUの新しい利用形態であり、今後のAI・データ活用を支える重要インフラとなっています。

1-1. GPUクラウドサービスの仕組み


GPUクラウドサービスでは、ユーザーインターネット経由で、クラウド事業者が持つGPUサーバー利用します。

利用者クラウドサービスログインし、必要設定を行うだけで、仮想化技術によって物理GPUの一部または複数を割り当てられます。1台の物理サーバー複数ユーザー効率的共有でき、利用状況に応じた柔軟リソース配分可能です。

GPUクラウドサービスの仕組みのイメージ画像

また、各ユーザー処理領域分離されているためセキュリティ面も確保されており、他の利用者リソース干渉することはありません。これにより、AIモデル学習画像処理シミュレーションなど、高負荷計算安全かつ効率的実行できます。

GPUクラウドサービスは、仮想化技術クラウド柔軟性を組み合わせることで、「いつでも・どこでも・安全に」GPUを活用できる環境実現し、企業開発スピード運用効率を大きく向上させます。

関連サービス: KDDI GPU Cloud

2.クラウドとオンプレミスの違い

GPUを利用する主な方法は「クラウド (GPUクラウドサービス)」と「オンプレミス」の2つです。これらは初期費用運用管理拡張性の3つの観点で、明確利点が分かれます。

観点 クラウド (GPUクラウドサービス) オンプレミスGPU
初期費用 ・一部設定費用が発生する場合もあるが、基本的に初期投資は不要
・大規模投資なしで最新GPUを活用できる
・GPU購入費やサーバー構築費など、初期投資が高額
運用管理 クラウド事業者がハードウェア管理やセキュリティ対応を代行 ・自社でハードウェアの保守・セキュリティ対応が必要
・運用エンジニアが必要で、障害対応の負担も大きい
拡張性 ・利用状況に応じて即時にリソースを拡張・縮小可能
・短期案件や急な需要にも柔軟に対応できる。
・物理設備に依存し、拡張には時間とコストがかかる
・リソースの増設や変更が容易ではない

このように、クラウド (GPUクラウドサービス) は初期費用が抑えられ、運用負担軽減しつつ高い拡張性実現できるのが大きな特徴です。

一方オンプレミスは、自社要件に応じて細かくカスタマイズ制御ができる一方コスト面と柔軟性課題があります。

3.オンプレミスGPUが抱える3つの課題

オンプレミスGPUを導入運用する際には、主に以下の3つの課題注意必要です。

  • 高額初期投資維持コスト
  • 専門知識を要する運用保守負担
  • 柔軟性に欠けるスケーラビリティ

3-1. 高額な初期投資と維持コスト

オンプレミスでGPUを導入する際の最大課題は、高額初期投資維持コストです。

自社でGPU環境構築する場合高性能GPUやサーバー機器購入費だけでなく、冷却電源設置スペースなどインフラ全体整備必要です。さらに、機器老朽化に伴う交換保守セキュリティ対策といった運用面負担発生します。

例えば、最新ハイエンドGPUは1枚当たり数十万数百万円にもなり、大規模システム場合数千万円規模初期投資必要です。さらに、GPUは発熱量が大きいため、冷却設備空調コスト増加します。常時稼働に伴う莫大電力消費も、無視できない電気代として発生します。

これらのコスト企業にとって大きな負担となり、投資回収に長い期間を要するケースも少なくありません。

3-2. 専門知識を要する運用・保守の負担

オンプレミスGPU環境運用には、高度専門知識を持つ人材不可欠で、人材面運用面での負担が大きいことが大きな課題です。

GPUサーバー安定稼働させるには、ドライバ更新ファームウェア管理、OSやセキュリティパッチ適用など定期的メンテナンス作業必要です。また、障害発生時即時対応できる体制を整えるため、専門的エンジニア人件費がかかります。GPUに精通した人材確保は難しく、採用育成にも時間コストを要する点が、企業にとって大きな課題です。

結果として、インフラ管理リソースが割かれ、本来注力すべき業務効率低下するおそれがあります。

3-3. 柔軟性に欠けるスケーラビリティ

オンプレミス環境では、需要に合わせてGPUリソース増減する柔軟性課題があります。

例えば、繁忙期にGPUの需要急増しても、物理的なGPU増設には発注設置設定といった手間時間がかかります。一方閑散期には高額なGPU資源遊休状態となり、コスト効率が著しく低下します。また、ラックスペース電力容量冷却設備といった物理的制約がある点にも注意必要です。

このように、需要増減に応じてリソース最適化できない点は、事業スピードが求められる現代において大きな制約となります。

4.GPUクラウドサービスを導入する3つのメリット

GPUクラウドサービスを導入する3つのメリットのイメージ画像

GPUクラウドサービス導入する主なメリット以下の3点です。

  • 初期投資不要コスト最適化
  • 運用負荷軽減コア業務への集中
  • ビジネス変化即応する柔軟拡張性

4-1. 初期投資不要でコストを最適化

GPUクラウドサービスは、専用機材購入サーバールーム整備といった高額初期投資不要です。必要なときに必要な分だけ課金される従量課金制のため、稼働時間使用量に応じてコスト最適化できます。

例えば、AIモデル開発段階数十台のGPUを短期間だけ集中的利用し、稼働が落ち着いたら利用最小限に抑えるといった柔軟運用可能です。突発的プロジェクト短期間利用でも、設備投資リスクを負わずに導入できるため、予算効率的活用できます。

4-2. 運用負荷の軽減とコア業務への集中

GPUクラウドサービス導入により、自社運用保守にかかる負担大幅軽減できます。

GPUサーバーハードウェア管理保守障害対応はすべて事業者代行します。また、GPUドライバソフトウェア環境も常に最新状態維持されるため、セキュリティリスク低減パフォーマンス低下防止につながるでしょう。

結果として、社内エンジニアはAIアルゴリズム改良新規ビジネス企画など、より付加価値の高いコア業務注力できるようになります。これにより、人的リソース最適化が進み、組織全体生産性向上実現します。

4-3. ビジネスの変化に即応する柔軟な拡張性

GPUクラウドサービスは、ビジネス環境変化に合わせてリソース即座調整できる柔軟性を備えています。

オンプレミスでは新たなGPU導入数週間から数カ月を要するのに対し、クラウド環境なら数分から数時間追加リソース確保することが可能です。新規サービスの立ち上げや大型プロジェクト急激演算能力必要になった際でも、短期間大規模なGPUを確保し、開発スケジュール遅延を防げます。逆に需要が落ち込めばすぐに縮小できるため、遊休リソースによるコスト無駄抑制できます。

繁忙期閑散期といった需要変動への対応はもちろん、予期せぬ市場変化や新しい事業機会にも柔軟かつ即座追随できるため、企業俊敏経営判断実現可能です。

5.自社に最適なGPUクラウドサービスの選び方

自社最適なGPUクラウドサービスを選ぶためには、次の3点を意識することが重要です。

  • 利用目的用途で選ぶ
  • 性能で選ぶ
  • 料金体系で選ぶ
自社に最適なGPUクラウドサービスの選び方のイメージ画像

5-1. 利用目的・用途で選ぶ

GPUクラウドサービス導入する際は、まず自社利用目的明確にすることが欠かせません。

AIモデル学習推論ビッグデータ解析映像・3Dレンダリングシミュレーションなど、用途ごとに必要とされるGPUの性能メモリー容量は異なります。例えば、AIモデル学習には大規模並列演算性能メモリー容量の大きいGPUが求められます。一方で、映像・3Dレンダリングのようなグラフィック処理では、GPUコア演算性能やVRAM容量重視されます。

利用目的整理することで、過剰性能への投資を避け、必要十分なGPUの選択可能です。

5-2. 性能で選ぶ

GPUクラウドサービスは、多種多様なGPUモデルラインアップしており、それぞれ得意分野が異なります。

例えば、NVIDIA H100 (外部サイトへ遷移します) のようなハイエンドGPUはAIの大規模学習高度科学計算に、NVIDIA T4 (外部サイトへ遷移します) などのGPUは推論処理軽量ワークロードに向いています。GPUの特徴を踏まえ、選定時には演算能力 (TFLOPS)、メモリー容量対応するソフトウェアとの互換性などを基準検討することが重要です。

自社業務見合った性能を選ぶことで、コスト効率バランス最適化できます。

  • ※ 外部サイトへ遷移します。

5-3. 料金体系で選ぶ

GPUクラウドサービス料金体系は大きく「従量課金制」と「長期契約 (予約)」に分かれます。

従量課金制は、必要なときだけ利用し、その分だけを支払うため、短期プロジェクト利用頻度変動する場合に適しています。一方長期契約は、一定期間利用前提割引適用され、安定的にGPUを利用する企業に適しています。ただし、料金比較の際には、データ転送費ストレージ利用料などの隠れコストにも注意必要です。

それぞれの総費用試算した上で、自社利用パターンに適した料金体系を選ぶことが、コスト最適化の鍵となります。

6.主要GPUクラウドサービスプロバイダー比較

主要なGPUクラウドサービスプロバイダーはAWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど大手クラウドベンダーが挙げられます。各サービス特徴が異なるため、自社目的予算に応じて、どの要素重視するかを整理した上で比較検討することが重要です。

サービス 特徴
Amazon Web Services ・最新GPUを搭載したインスタンスを提供
EC2 UltraClusters (外部サイトへ遷移します) など大規模仮想クラスターに対応
・大規模AIモデルなどに対応できる高い演算性能
Google Cloud Platform ・多種多様なGPUを利用可能
・課金が秒単位のため無駄なコストを削減できる
・AI/ML開発、科学計算、3Dレンダリングなど幅広いワークロードを効率的に処理可能
Microsoft Azure ・エンタープライズ向けや既存Microsoftソフトウェアとの親和性が高い
・企業システムとの統合、ID管理・アクセス制御、契約・サポート体制などに強み
・信頼性や安定稼働を重視する用途に適している

7.まとめ

GPUクラウドサービスは、高額初期投資運用負担拡張性不足といったオンプレミスGPUの課題解決する有効選択肢です。クラウド活用により、コスト最適化業務効率化柔軟リソース活用可能となり、AIやデータ分析といった成長分野での競争力を高められます。

自社最適なGPUクラウドサービスを選び、ビジネススピード柔軟性両立実現しましょう。

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