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※ 記事制作時の情報です。
「SCM (Supply Chain Management) 」とは、原材料の調達から製品の製造、流通、販売、そして最終的に消費者の手に届くまでの一連のプロセスである「サプライチェーン」全体を効率的かつ最適に管理する経営手法を指します。SCMの目的は、各プロセス間の情報共有を促進し、在庫の最適化やリードタイムの短縮、コスト削減、品質向上などを実現し、企業全体の市場競争力を高めることにあります。
クラウド技術やAI、IoTなどのデジタル技術を活用することで、サプライチェーン全体の可視化やリアルタイムの情報共有が可能となります。近年はグローバル化や消費者ニーズの多様化により、SCMの重要性が一段と高まっており、より柔軟で効率的な運用が求められています。
SCMが世界で注目されている理由には、企業活動のグローバル化、ECサイトの普及、ビッグデータの活用が挙げられます。企業の国際展開が進む中、サプライチェーンは国境を越えて複雑化し、全体的な最適化の必要性が高まっています。また、ECの拡大により、消費者への迅速な配送や在庫管理の精度向上が求められ、SCMの重要性が一層増しています。さらに、ビッグデータの活用により、需要予測や供給計画の精度が向上し、効率的なサプライチェーンの運営が可能となっています。
SCMは、震災やパンデミックなどの非常事態におけるリスク回避の観点からも注目を集めています。2011年の東日本大震災では、被災地域の工場停止が部品供給に影響を及ぼし、国内外の製造業に連鎖的な打撃を与えました。また、2020年の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の拡大により、各国のロックダウンや渡航制限がサプライチェーンを寸断し、生産活動の停滞や物流の混乱を招きました。こうした経験から、企業はサプライチェーン全体の可視化や多元化、柔軟な調達体制の構築など、SCMを通じたリスク管理の強化が求められています。
SCMは、原材料の調達から製品の製造、物流、販売、顧客サービス、リスク管理、出荷に至るまでの一連のプロセスで構成されています。これらの各プロセスは相互に連携し、全体の最適化を目指すことで、コスト削減や顧客満足度の向上、リスク軽減などの効果が期待されます。以下で、サプライチェーンの主な7つのプロセスについて解説します。
購買は、製品の製造に必要な原材料や部品を調達するプロセスで、信頼性の高いサプライヤーの選定、価格交渉、納期管理、品質確認などが含まれます。適切な購買戦略は、コスト最適化や供給の安定性に直結し、SCM全体の効率化につながります。また、サプライヤーとの強固な関係構築やリスク管理も重要な要素です。
生産は、調達した原材料や部品を組み立て、製品に仕上げる工程です。生産計画の立案、工程管理、品質管理などが含まれ、需要予測に基づいた柔軟な生産体制の構築が求められます。効率的な生産プロセスは、リードタイムの短縮や在庫の最適化に寄与します。また、生産工程の可視化や自動化、品質の一貫性の確保も重要なポイントになっています。
物流管理は、製品の保管、梱包、輸送、配送など、物流全般を最適化するプロセスです。SCMにおいては、製品を適切なタイミングで顧客に届けるための重要な役割を担い、効率的な物流管理はコスト削減や顧客満足度の向上に直結します。近年では、IT技術の活用により、リアルタイムでの在庫管理や配送状況の把握が可能となり、さらなる効率化が進められています。
在庫リスク管理は、製品や原材料を適切な数量かつ適切なタイミングで確保・調整するプロセスです。SCMは、需要予測や販売計画と連動し、過剰在庫や欠品を防ぐことで、コスト削減と顧客満足度の向上を実現します。また、リアルタイムでの在庫情報の共有により、サプライチェーン全体の効率化が促されます。
販売・顧客サービスは、製品やサービスを顧客に提供し、満足度を高めるプロセスです。SCMでは、需要予測や販売計画と連動し、適切な在庫管理や迅速な配送を実現することで、顧客の期待に応えます。また、顧客からのフィードバックを収集・分析し、製品やサービスの改善に活かすことにより、継続的な関係構築が可能となります。
リスクマネジメントは、サプライチェーン全体に潜在するリスクを特定・評価し、適切な対策を講じるプロセスです。自然災害、パンデミック、地政学的リスクなど、さまざまな要因がサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。SCMにおいては、サプライヤーの多元化、在庫の適正化、代替輸送手段の確保など、柔軟な対応策を講じることで、リスクの影響を最小限に抑えることが求められます。
配送は、製品を顧客に届けるための最終段階であり、SCMにおいて重要な役割を担います。効率的な出荷計画や配送ルートの最適化により、リードタイムの短縮やコスト削減を実現します。また、配送状況のリアルタイム追跡や柔軟な配送オプションの提供により、顧客満足度の向上が期待されます。
SCM導入は、以下の5つのメリットをもたらします。
SCMの導入により、サプライチェーン全体の情報が一元化され、各工程の進捗や在庫状況をリアルタイムで把握できるようになります。これにより、業務プロセスの可視化と最適化が促進され、リードタイムの短縮や生産性向上が実現します。結果として、企業全体の業務効率化が進展し、市場への迅速な対応が可能となります。
サプライチェーンの最適化が進むと、在庫管理や調達計画の精度が高まり、過剰在庫や欠品の発生を抑えられるため、保管コストの削減につながります。また、物流ネットワークの最適化や輸送ルートの効率化が実現することで、輸送コストの削減も可能です。さらに、サプライヤーとの連携強化や価格交渉力の向上により、調達コストの削減にもつながります。
情報の可視化が進むことで、各工程における品質管理体制が強化されます。例えば、不良品の発見や原因分析を迅速に行えるようになり、その結果、製品品質の向上をもたらします。また、サプライヤーとの連携を強化することで、品質基準の統一や改善活動が促進され、全体的な品質レベルの向上が期待されます。
需要予測の精度が高まることで、過不足のない在庫管理が実現し、顧客への迅速な対応が可能となります。さらに、返品や交換といったアフターサービスの流れも最適化されるため、顧客対応の品質も向上します。こうした仕組みにより、商品供給の安定性が増し、結果的に顧客満足度向上が期待できます。
全体の流れや各工程でのリスク要因が把握できるようになると、自然災害や市場変動などの外部リスクに対しても、迅速かつ柔軟な対応が可能です。また、BCP (事業継続計画) の策定やサプライヤーの多様化を通じて、万が一供給が途絶えた場合のリスクを分散し、事業継続性を確保できます。
一方、SCM導入には以下の5つのデメリットがあります。
SCMの導入には、システム構築や業務プロセスの見直し、従業員教育など、多大な時間とコストが必要です。特に、複数の拠点や関連会社を持つ企業では、全体の統合管理を実現するために、初期投資や運用コストが高額になる傾向があります。これらの負担は、導入効果が現れるまでの期間を長引かせ、企業のリソースに負荷をかける要因となり得ます。
SCMでは、サプライチェーン全体での情報共有が不可欠ですが、部門間や企業間でのシステムや業務プロセスの違いが障壁となることがあります。これにより、情報の伝達ミスや遅延が生じ、全体の効率性が低下する可能性が考えられます。特に、関係者間での信頼関係やコミュニケーション不足が顕著になると、情報共有の難しさが深刻化し、SCMの効果を十分に発揮できなくなるおそれもあります。
SCMは、計画に基づく最適化を重視するがゆえに、突発的な需要変動や市場の急激な変化に対する柔軟に対応することが難しいケースも見られます。特に、SNSなどによる消費トレンドの急変や予測困難な外部要因により、在庫過剰や欠品といった問題が発生するリスクには、注意が必要です。これらの不確実性に対処するには、迅速な意思決定と柔軟な対応策が不可欠です。
特定の供給源に依存すると、自然災害や政治的な問題などにより、供給が途絶えるリスクが高まります。特に、半導体などの高性能部品は、限られた供給源に依存していることが多く、供給の安定性が脅かされる可能性が少なくありません。供給源の多様化や代替サプライヤーの確保が重要ですが、それには追加のコストや時間が必要となる場合があります。
SCMの導入により、サプライチェーン全体のプロセスが複雑化し、各部門や関係者間の調整が困難になるケースが見受けられます。特に、評価基準やシステムの違いが統合管理を妨げ、重複作業や責任の所在が不明確になるリスクも存在します。こうした状況は、意思決定の遅れやデータの抜け漏れを引き起こし、全体の効率性を損なうリスクが高まる可能性があり、留意すべきです。
SCMがもたらす効果としては、在庫管理の最適化が実現し、過剰在庫や欠品のリスクを軽減できる点が第一に挙げられます。これにより、保管コストの削減や廃棄ロスの最小化が可能となります。また、需要予測の精度向上により、生産・調達計画の精緻化が進み、リードタイムの短縮が実現します。さらに、サプライチェーン全体の情報が可視化されることで、業務プロセスの効率化が促進され、人的リソースの最適な配置や設備稼働率の向上が期待されます。こうした取り組みを通じて、企業はリソースを有効活用し、競争力強化や収益性向上に役立てられます。
SCMの最適化には、クラウド技術は不可欠な要素です。クラウド技術は、サプライチェーン全体の情報をリアルタイムで共有・管理する基盤として重要な役割を果たしています。これにより、調達から製造、物流、販売に至る各プロセスでの情報連携が強化され、迅速な意思決定と業務効率の向上を促進します。また、クラウド上でのデータの一元管理は、在庫の最適化や需要予測の精度向上にもつながり、SCMの最適化を推進します。
KDDIは、「KDDI クラウドプラットフォームサービス」をはじめ、多様なクラウドサービスを提供しています。お客さまの環境や要望に合わせた提案要が可能なため、SCMはもちろん、さまざまなシステムに対応可能です。
SCMの高度化において、ブロックチェーン技術は重要な意味を持っています。この技術は、効率化と透明性向上に大きく寄与します。具体的には、取引情報を分散型台帳に記録し、改ざんを防止することで、製品のトレーサビリティを確保し、サプライチェーン全体の可視化を実現します。また、スマートコントラクトを活用することで、契約条件の自動履行や商品の支払いを自動化するシステムの構築が可能となり、業務効率化や信頼性の向上が見込めます。
SCMは、企業の競争力を高めるうえで欠かせない取り組みであり、業務効率化やコスト削減、リスク軽減など、さまざまなメリットをもたらします。近年では、クラウドやブロックチェーンの活用によって情報の可視化が進み、迅速な意思決定が可能になっています。市場環境の変化やリスクに柔軟に対応するには、こうした先進技術の導入が不可欠です。
KDDIは、企業のSCMを支援する多様なソリューションをご提供しています。クラウドサービスに加え、「IoTサービスプラットフォーム」により、IoTデバイスから収集したデータを管理・分析・可視化することで、SCMの最適化を支援します。
業務ニーズに応じた柔軟かつ最適なシステム構築により、SCMにおける柔軟性と効率性の向上を実現します。SCMの導入や見直しをご検討中の企業さまは、ぜひKDDIにご相談ください。