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VPNとは?仕組みや導入のメリット・デメリット、必要性を解説

VPNとは?
仕組みや導入のメリット・デメリット、必要性を解説

2024 4/10
VPNとは、安全なインターネット環境でデータ通信を可能にする技術です。VPNは通信経路を暗号化し、データ通信中の情報漏えいや不正アクセス、データの改ざんなどのセキュリティ脆弱性を軽減するのに役立ちます。この記事では、VPNの仕組みや種類、メリットや注意点をご紹介します。また、ルーターを使ったVPN導入方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。

※ 記事制作時の情報です。

VPNとは

「VPN (Virtual Private Network)」とは、日本語で「仮想専用線」のことで、「VPN接続」とは、仮想専用ネットワークを介してインターネット接続することを指します。VPNは物理的専用回線使用せずに仮想専用回線を通じてインターネットアクセスするため、セキュリティ対策として有効です。

VPNを利用すると、データ暗号化されるため安全データ送受信できるだけでなく、物理的専用回線比較してコストが低く、利便性も高いことから企業での導入増加しています。

1.VPNの仕組み

VPNの仕組みは主に「トンネリング」「カプセル化」・「認証」・「暗号化」の4つです。
以下でそれぞれ詳しく解説します。

1-1. トンネリング

トンネリングとは、VPNの仮想的専用回線を用いて通信経路確立する技術です。
トンネリングにより、送信者受信者の間に暗号化された仮想トンネルが作られ、外部からはその中身が見えないようになっています。

具体的には、送信側暗号化されたデータトンネルを通り、受信側復号化されます。専用仮想トンネルを通じてやり取りが行われるため、悪意のある第三者データを盗めなくなるわけです。

1-2. カプセル化

カプセル化とはデータ暗号化して外部から見えなくする技術のことで、通信セキュリティを高める効果があります。

データ仮想トンネル内を行き来する際にデータ自体カプセル化されるため、外部からはデータ中身を見ることができず、たとえ仮想トンネル侵入されても機密情報を守ることができます。

1-3. 認証

認証とは、通信を行うトンネルへの不正アクセスを防ぐためのシステムです。
VPNによっては、従来のようなログインIDとパスワードといった認証に加えて、セキュリティ対策として端末認証ワンタイムパスワードなどによる二段階認証多要素認証推奨している場合もあります。

多要素認証については、こちらの記事解説していますのでぜひご覧ください。

1-4. 暗号化

VPNのセキュリティは高いですが、認証突破データの盗み見などのリスク完全排除することはできません。暗号化によって、万が一認証突破された場合でもデータ解読されないようにする必要があります。

VPNの暗号化には、主にSSL-VPNとIPsec-VPNの2種類があります。それぞれの特徴以下のとおりです。

2.VPNの種類

VPNには複数接続方式があり、それぞれ特徴や適した利用環境が異なります。
以下に4種類のVPNを比較表整理しましたので、自社に合った方式を選ぶ参考にしてください。

VPN種類 特徴 料金目安 (月額) 推奨企業規模
インターネットVPN インターネット利用で低コスト、導入が容易 数千円~1万円程度 小規模
IP-VPN 専用閉域網で高セキュリティ、通信品質安定 数千円~5万円程度 中〜大規模
広域イーサネット 閉域網を利用した拠点間LAN接続で高速通信、柔軟なカスタマイズ 100万~200万円程度 大規模
エントリーVPN ADSLや光回線を利用した閉域網接続で低コスト、セキュリティも確保 1万~2万円程度 小〜中規模

2-1. インターネットVPN

インターネットVPNとは、一般的インターネット回線利用した方法です。既存インターネット回線をそのまま利用できるため、コストをかけずにVPN環境構築できます。インターネットVPNは離れた拠点間でも同一サーバーアクセスしたり、ファイル共有したりすることが可能です。

ただし、通信品質インターネット回線依存するため、「ベストエフォート型」と呼ばれる回線場合利用状況によって通信速度通信品質変化が生じます。また、インターネット性質上第三者の改ざんや攻撃リスクがあるため、重要機密情報を扱わずコスト利便性優先したい方におすすめです。

2-2. IP-VPN

IP-VPNとは、通信事業者提供する独自閉域網利用する方法です。閉域網 (クローズネットワーク) とは、一般的インターネット接続特定利用者だけがアクセスできるインターネット接続分離することで、セキュリティを高めるネットワークをいいます。通常インターネット回線とは異なり、閉域網通信事業者契約を結んだ人のみが利用できる専用回線です。

IP-VPNは通信事業者によって監視されているため、通信品質通信速度安定しているのが特長です。
また、ネットワーク利用影響を与えるDDoS攻撃 (対象のWebページサービス一度大量アクセスを行いサーバー負荷をかけること) などのリスク回避して接続できます。
DDoS攻撃については、こちらの記事解説していますのでぜひご覧ください。

IP-VPNはセキュリティ面で優れている一方で、ほかの接続方法と比べて運用コストが高くなることがあります。
そのため、多少費用がかかってもセキュリティ通信速度担保したい方におすすめです。

2-3. 広域イーサネット

広域イーサネット (イーサネットVPN) とは、物理的に離れた拠点のLAN (ローカルエリアネットワーク) をつなげて、一つのLANのようにするためのネットワーク技術です。

IP-VPNと同様に、広域イーサネットも異なる拠点間安全通信ができますが、使用するプロトコルが異なります。
広域イーサネットレイヤー3以上プロトコル制限がないため、より柔軟性がありカスタマイズ性が高いのが特長です。

ただし、広域イーサネット導入設定には専門的スキルが求められます。また拠点数が多いと、その分LANの維持費用が高くなり、設定にも多くの工数がかかるため、拠点数が多くなく、安全ネットワーク必要な方におすすめです。

2-4. エントリーVPN

エントリーVPNとは、ADSLや光回線などの通信事業者提供するサービス利用して、閉域網接続する方法です。
ADSLとは、Asymmetric Digital Subscriber Line (非対称ディジタル加入者線) の略で一般的電話回線使用して高速データ通信を行う技術です。

エントリーVPNの仕組みにより、インターネット回線を介してコストをかけずにVPN接続ができます。同時通信事業者閉域網利用しているため、セキュリティ強化可能です。

エントリーVPNは、同じベストエフォート型の回線を使うインターネットVPNよりもセキュリティ性が高く、専用線よりも低コスト利用できるため、多くの企業採用されています。ただし、インターネット回線使用するため、通信のひっ迫や遅延による影響を受ける場合があります。そのため、コストを抑えながらも専用ネットワーク必要な方におすすめです。

3.VPNのメリット

VPNを導入するにあたって、どのようなメリットがあるのかをあらかじめ確認しましょう。

3-1. 安全性が高い

 VPNを使用すると、インターネット上でのデータ通信暗号化されるため、たとえ第三者データ傍受しても、内容解読するのは困難でしょう。

また、VPNではデータ送受信者正規アクセス権を持っているかを確認する認証システム適用されているため、不正アクセスセキュリティ事故を防げます。

加えて、VPNの使用で、利用者のIPアドレスが隠され匿名性が保たれるのもメリットの一つです。
プライバシー保護されているため、オンライン上での追跡監視回避し、安全利用することができます。

3-2. 低コスト・短期間で導入できる

VPN接続必要機器特別なものではなく、通常インターネット接続使用する機器使用できます。

基本的には、既存パソコンモバイルデバイスインターネット接続されたルーターなどを使用してVPN接続構築可能なため、すぐに導入することができ比較的コストをかけずに利用できます。特にエントリーVPNを利用すれば導入コスト安価に済ませることができるため、費用面重視している人にもおすすめです。

3-3. 複数拠点からでも接続できる

インターネット利用できる場所であれば、離れた拠点間でも社内ネットワークアクセスできるため、テレワークに適しています。海外からでも安全社内ネットワークアクセスできるため、海外出張者国外リモートチームメンバー業務必要情報アクセスできます。

パソコンだけでなく、スマートフォンタブレットなど、さまざまなモバイル端末からもVPNを利用して社内ネットワークアクセスできるのも特長です。

4.VPNのデメリット

VPNは利用環境や選び方によっては、思わぬ問題発生することもあります。ここでは、VPNを利用する際に注意すべき3つのデメリットをご紹介します。

4-1. コストがかかる場合がある

VPNは専用回線設置するよりも低コスト利用できますが、ルーター設置費用サービス契約代など、少なからず費用発生します。コスト重視するあまり、通信品質の低いものを選定してしまわないように注意必要です。

特に重要顧客情報機密情報を扱う場合安価という理由だけでVPNサービス選択してしまうのは危険です。
コスト品質安全性バランス考慮し、最適なVPNサービスを選ぶことが重要です。

4-2. 通信速度が低下する可能性がある

VPNの種類によっては通信品質が低く、混雑時速度低下する可能性があります。通信事業者提供するIP-VPNや広域イーサネットなどの専用回線利用するVPNは、通常高速セキュリティ面でも信頼性が高い傾向にあります。

一方
でほかの利用者インターネット回線共有するタイプ場合突発的アクセス増加により通信速度低下することがあります。業務効率を損なわないように、使用する回線通信速度や、自社平均的データ通信容量考慮して選ぶようにしましょう。

4-3. セキュリティリスクを避ける対策が必要

VPNは暗号化認証によって安全性を高めますが、VPNサービス自体脆弱性設定不備無料VPNの利用情報漏えいの原因となることがあります。対策として、信頼できるプロバイダーを選び、最新暗号化方式採用することが重要です。
また、OSやアプリアップデートを怠らず、二要素認証導入することで、セキュリティリスク大幅低減できます。

5.VPNの導入方法

以下ではVPNの導入方法を、インターネットVPNとIP-VPNに焦点を当ててご紹介します。

5-1. インターネットVPNの導入方法

インターネットVPN導入までの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. VPNルーターを用意する
  2. 拠点にVPNルーターを設置する
  3. 端末でVPN設定を行う

まずVPNルーター用意します。もし既存ルーターがなければ、購入またはレンタル利用しましょう。
次に各拠点にVPNルーター設置します。設置方法製品によって異なるため、マニュアルレンタル業者確認しながら設定を行います。

最後にVPNに接続する端末でVPNの設定を行います。設定には専用ソフトウェアアプリインストール必要になるケースもありますが、ノウハウがない状態作業すると、かえってセキュリティリスクが高まるおそれがあるため、通信事業者導入作業支援依頼するのがおすすめです。

5-2. IP-VPNの導入方法

IP-VPN導入までの大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 通信事業者と契約する
  2. CEルーターを設置する

IP-VPNを導入する際には、まず通信事業者契約する必要があります。通信会社によってVPN通信運用内容サポートなどのサービスが異なるため、自社に合った業者選定することが重要です。

次に、通信事業者から専用の「CEルーター」が送られてくるので、各拠点設置します。その後、CEルーター設定を行えば、拠点間のIP-VPN接続可能になります。複雑設定不要で、基本的には企業のIPアドレスをCEルーター設定するだけで利用できます。

6.無料VPNの危険性

無料VPNはコスト面で魅力的に見えますが、法人利用には注意必要です。運営元不明確ケースが多く、通信データ第三者収集販売されるおそれがあります。また、暗号化方式が古い、セキュリティ更新がないなど、脆弱性放置されやすく、攻撃標的になりやすい点も危険です。

加えて、無料VPNはサポート体制不十分で、障害時対応コンプライアンス面での保証がありません。法人安全性確保するには、信頼できる有料VPNを選び、最新暗号化技術認証方式導入しましょう。

7.まとめ

VPNの導入により、ネットワーク利便性向上し、高いセキュリティのもとで拠点間アクセス可能になります。自社予算ニーズに合わせて適切なVPNを導入するようにしましょう。

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