※ 記事内の部署名、役職は取材当時のものです。
※ 記事制作時の情報です。
不動産業界のビジネスプロセスは、物件情報の収集・掲載から顧客対応、契約締結、アフターフォローまで幅広く、多様な業務が絡み合っています。従来は対面や紙ベースの手続きが主流で、重要事項説明書や契約書などの書類は対面交付が義務付けられていました。
これにより、書類作成・管理・押印・郵送に膨大な時間を費やし、事務負担が重くのしかかっていました。また、物件情報や顧客情報が複数の台帳やシステムに分散し、データ転記の手間やミスが発生しやすい状況となっています。
こうした課題の解決に向け、近年はデジタル改革関連法の成立や宅地建物取引業法の改正により、重要事項説明書のオンライン説明・電子交付の解禁、電子契約の全面解禁など、不動産取引のデジタル化が加速しています。しかし、「令和6年度の導入・実施状況について、宅建業5団体の会員企業を対象としたWebアンケート (注1) 」では、オンラインでの重要事項説明の実績があるのは13%、書面電子化の実績があるのは9%でした。
こうしたIT化の遅れに対して、手軽に導入でき即効性のあるツールとして、スマートフォンの活用が注目されています。スマートフォンを業務に取り入れることで、具体的にどのような効率化が可能になるのでしょうか。不動産業務の代表的なシーン別に、その活用方法と効果を解説します。
スマートフォンを活用すれば、物件の現地から社内システムへ直接アクセスし、情報を参照・更新できます。内覧時にその場で物件データベースにアクセスし、最新の空室状況や価格改定情報を確認することが可能です。調査結果や写真も現地から即座にアップロードできるため、事務所に戻ってから報告書を作成する手間が省けます。
これにより情報共有のタイムラグが解消され、社内の関係部署や他の営業スタッフもリアルタイムで最新情報を入手できます。スマートフォン一つで図面や契約書類の電子データも参照できるため、紙の資料を持ち歩く必要もなくなり、書類紛失のリスク軽減にもつながります。
スマートフォンの導入で電話だけでなくメールやチャット、SNSアプリなど、複数の手段でコミュニケーションが可能になります。顧客がまとまった時間の確保が難しい平日の日中でも、チャットなどで回答や情報提供できる柔軟性は大きな強みです。
また、PBX (電話交換機) と連携しスマートフォンを内線電話として活用することで、オフィスにかかってきた代表電話を担当者のスマートフォンへシームレスに転送できます。これにより、従来は事務所の固定電話で受けてから担当者へ取り次いでいた手間が省け、どこにいても即時に顧客からの問い合わせに応答できるようになります。
スマートフォン対応のスケジュール共有アプリやタスク管理ツールを使うことで、チーム内の予定調整や業務管理が効率化できます。Google カレンダーや「Microsoft Teams」の予定表機能を活用すれば、社内メンバーの予定をリアルタイムに共有しながら商談日程の調整が可能です。スマートフォンのプッシュ通知によりアポイント日時をリマインドしたり、変更があれば即座に参加者全員に通知が届くため、ダブルブッキングの防止や抜け漏れの削減につながります。
タスク管理についても、Todoリストやプロジェクト管理アプリをスマートフォンで使えば、外出先でも自分やチームのタスクの進捗状況を確認し、必要に応じてコメントやファイルを追加できます。スマートフォンでスケジュール・タスクを一元管理することで、チーム全体の動きを可視化しながらスムーズな業務進行が可能です。さらに、上司の決裁待ち案件に即座に承認をもらう、現場スタッフがその日の業務報告をモバイルから提出するといった運用により、業務全体のリードタイム短縮とミスの減少が期待できます。
スマートフォンや関連ITツールの活用によって業務効率化を実現した不動産企業の事例を紹介します。
投資用不動産の開発販売からクラウドファンディング事業まで手がける同社は、不動産テックの先端をいくデジタル志向の企業です。KDDIグループでは、社用スマートフォン (auスマートフォン) の導入からクラウドサービス活用まで包括的な効率化ソリューションを提供しました。
その中核が、スマートフォンで営業電話の通話録音や発信番号規制を実現するモバイル通話環境です。従来、営業電話の録音や再勧誘防止の発信規制は固定電話でしか難しく、スマートフォン導入のネックになっていましたが、KDDIの提案によりスマートフォンのすべての発着信をPBX経由とする仕組みを構築し、これら機能を実現。その結果、営業担当者はデスクの固定電話に縛られずに外出先からでも安心して顧客対応が行えるようになりました。さらに「KDDI ビジネスコールダイレクト」とPBXの連携により、社内の電話取り次ぎも効率化され、フリーアドレスオフィスの実現にも成功しています。
クラウド活用で社内のペーパーレス化と顧客との情報共有円滑化も進み、業務効率化や顧客満足度向上といった明確な成果が得られました。同社の事例は、スマートフォンとクラウドを融合した包括的なDX施策により不動産業務の質とスピードを高めた好事例と言えます。
▶︎プロパティエージェント株式会社様における事例の詳細はこちら (※ KDDIまとめてオフィス株式会社のページへ遷移します。)
熊本県で賃貸物件管理戸数トップクラスの同社は、さらなる事業成長を目指しオフィスの移転・リニューアルを実施しました。同時に通信環境の刷新に着手し、電話システムをクラウドPBXの「Webex Calling」に移行。社員に貸与するスマートフォンを社内の内線電話として活用する仕組みを構築しました。これにより固定電話機をほぼ撤廃し、電話設備の維持管理負担を大幅に軽減するとともに、オフィスに縛られない柔軟な音声通話環境を実現。実際、スマートフォンの内線化によって移設コストの削減に成功し、BCP対策も強化されました。
クラウドPBX化により万一オフィスが被災・停電しても社外からスマートフォンで発着信が可能になり、2016年の熊本地震時に課題となった「災害時に電話がつながらず入居者対応が滞る」事態への備えができました。これらの取り組みが評価され、商談スペース拡充による業務効率化や社員間コミュニケーション活性化など、ハード・ソフト両面で職場環境の改善と業績向上につなげています。
▶︎株式会社コスギ不動産ホールディングス様における事例の詳細はこちら (※ KDDIまとめてオフィス株式会社のページへ遷移します。)
不動産データサービス大手の同社では、新型コロナ禍以降の働き方変革とデジタル化の波に合わせて業務改革を推進。セキュリティを確保しつつモバイル活用を図る必要から、社用スマートフォンとして Google Pixel と企業向け管理基盤の Android Enterprise を導入しました。
社用スマートフォンで課題となる端末の初期設定では、Android Enterprise のゼロタッチ登録など管理機能により作業工数を大幅に削減。Google Pixel 導入後には現場調査ではスマートフォンから社内システムにアクセスできるようになり、「作業のために事務所に戻る手間が減った」との声が挙がるなど、スマートフォンのみで現地対応が完結するようになりました。
これらの施策により業務効率化とセキュリティ向上、管理コスト削減を実現するだけでなく、現在では新たに独自アプリ開発の動きも生まれるなどビジネス拡大にもつながっています。
▶︎株式会社東京カンテイ様における事例の詳細はこちら (※ KDDIまとめてオフィス株式会社のページへ遷移します。)
スマートフォン活用は不動産業務の効率化のカギです。しかし導入にあたっては、最適な端末やアプリの選定、セキュリティ対策、コスト面の検討など考慮すべきポイントも多くあります。
業務用スマートフォンの導入・運用について不安がある場合は、ぜひKDDIにご相談ください。KDDIは法人向け携帯のサービス提供で豊富な実績があり、複数回線契約によるコスト削減や管理効率化、法人専用サポートなど手厚いメリットを享受できます。加えて、モバイル端末管理 (MDM) やセキュリティ対策にも対応しており、「KDDI Smart Mobile Safety Manager」を活用すれば端末の一元管理や遠隔ロックなど高度なセキュリティ対策も容易に実現できます。
また、不動産業務の現場では、通信の安定性と信頼性が業務効率化やDX推進の鍵を握ります。KDDIは、Opensignal社のグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・レポートにおいて、「信頼性エクスペリエンス」など複数の指標で世界最高評価を獲得し、「つながる体感世界評価No.1」として高い評価を受けています。
▶︎「つながる体感世界評価No.1」における詳細はこちら (※ auホームページへ遷移します。)
KDDIでは業界や企業規模に応じた最適なソリューション提案から導入後のサポートまで一貫して提供しています。スマートフォンの導入による業務効率化や生産性向上を検討されている不動産業の皆さまは、ぜひKDDIへお気軽にご相談ください。
料金プランや端末をお悩みの方へ、専門オペレーターが親身に対応いたします。
ご希望の時間帯をフォームよりご予約ください。