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DX推進とは何か簡単に解説|企業の取組事例も紹介

DX推進とは何か簡単に解説|企業の取組事例も紹介

2025 10/21
DX推進とは、デジタル技術を用いて業務やサービスを抜本的に改善し、新しい価値を創出する取り組みです。近年はテクノロジーの進化や2025年の崖問題、労働力不足などを背景に、多くの企業が急速にDXの導入を進めています。
本記事では、DX推進の定義やIT化との違い、注目される理由、導入メリットを解説するとともに、実際に成果を上げた成功事例を紹介します。自社での取り組みを考えるうえでの具体的な指針を得られる内容です。

※ 記事制作時の情報です。

1.DX推進とは何か

DX推進とは、単なるIT導入業務効率化にとどまらず、企業経営事業そのものをデジタル技術変革し、新たな価値を生み出す取り組みです。企業を取り巻く環境は、人口減少労働力不足国際競争激化といった外部要因により急速変化しており、従来型業務改善だけでは対応できなくなっています。

こうした背景を受け、経済産業省が2024年9月に改訂した「デジタルガバナンス・コード3.0」では、副題を「DX経営による企業価値向上」とし、経営層に対してDXを経営課題中心に据えるよう強く促しました。

特に注目すべきは「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」で、以下のように整理されています。

視点 柱の内容 ポイント
戦略性 [1] 経営ビジョンとDX戦略 DXは経営ビジョン実現に直結する中長期投資
実行力 [2] 組織・人材戦略
[3] ITシステムとサイバーセキュリティ
人材育成と安全な基盤の整備が不可欠
成果と監督 [4] 成果指標 (KPI)
[5] ガバナンスと監督
成果を数値で測定し、継続的に改善する体制が必要

上記は、従来の「システム整備のための指針」から一歩進み、人的資本経営サイバーセキュリティへの対応も含めて、DXを経営戦略そのものと結びつける内容となっています。

このようにDX推進は、単なるIT導入効率化延長線ではなく、変化の激しい市場環境柔軟適応し、投資家消費者期待に応えるための中長期的経営戦略です。企業持続的成長し、将来にわたって企業価値を高めるために、DX推進は欠かせない取り組みといえます。

1-1. DXの定義


DXの定義のイメージ画像

経済産業省はDXを以下のように定義しています。

データデジタル技術活用して、顧客社会ニーズを基に、製品サービスビジネスモデル変革するとともに、業務そのものや、組織プロセス企業文化風土変革し、競争上優位性確立すること。」

この定義は、DXが「効率化」にとどまらず「経営事業のあり方そのものを変革し、競争優位確立する」ことを示しています。

具体的には、以下のような変革を伴います。

  • 新しいビジネスモデルの構築
  • 組織文化や人材育成の変革
  • 競争優位の確立を目的とした投資

これらを同時に進めることで初めて、DXは企業長期的成長を支える戦略となります。クラウドやIoTの導入自体はIT化に過ぎませんが、そこから需要予測や新サービス創出発展させることこそがDXの本質です。

1-2. DX推進とIT化の違い

DX推進とIT化の最大の違いは「取り組みの目的」です。

IT化は、既存業務プロセス前提としながら、その効率を高めるためにデジタル技術活用します。例えば、紙の請求書電子化して経費精算システム一本化することで、入力作業書類保管にかかる時間コスト削減できます。

このように、IT化の主な目的既存業務効率化コスト削減です。紙の請求書電子化して経費精算システム一本化するといった施策が挙げられます。これらは、入力作業書類保管にかかる時間コスト削減する目的があります。

一方、DX推進効率化にとどまらず、企業経営事業そのものを再設計する取り組みです。例えば、メーカー製品にIoTセンサーを組み込み、稼働状況遠隔監視して故障予兆分析し、「モノを売る」だけでなく保守サービスを組み合わせたビジネスモデルへと拡大する取り組みが挙げられます。

つまり、DX推進は新たな価値を生み出し、企業成長させるための戦略といえます。

2.DX推進が注目されている背景

DX推進注目される背景には、社会産業構造変化があります。主な要因以下の3点です。

  • AIなどテクノロジー進化
  • 2025年の崖問題
  • 労働力減少

2-1. AIなどテクノロジーの進化

AIやIoT、クラウド、5Gといったテクノロジー進化は、DX推進後押しする最大要因です。膨大データリアルタイム収集分析し、より精緻判断自動化可能となりました。

例えば、需要予測設備保全顧客行動分析など、従来人手時間を要した業務自動化されたことで、新しいビジネスモデル構築現実的となっています。こうした技術革新企業変革必要性を突き付けており、DXに注目が集まっています。

2-2. 2025年の崖問題

「2025年の崖」とは、DXの取り組みが進まなければ企業国際競争力大幅低下するリスクのことです。老朽化システム維持し続けると、セキュリティ脆弱性増大し、古い技術精通した人材減少することで、保守運用人材不足深刻化します。

その結果、2025年以降年間最大12兆円経済損失が生じる注2) と試算されています。こうした背景から、システム刷新とDX推進企業にとって喫緊課題です。

2025年の崖については以下記事をご覧ください。

2-3. 労働力の減少

日本では少子高齢化影響労働人口が年々減少しており、多くの企業人材不足深刻化しています。特に中小企業では採用難が続き、限られた人員生産性維持する仕組みづくりが急務です。

この課題に対し、例えば製造業では、IoTを活用して生産ライン自律制御し、従来複数人担当していた監視操作業務最小限人員で行えるようにします。そのうえで、空いた人材生産データ分析再配置する例があります。

こうした取り組みが、一人当たりの生産性向上や、企業全体競争力強化につながるでしょう。

3.DX推進に取り組むメリット

DXを推進することで、企業はさまざまな恩恵を得られます。主なメリット以下の3点です。

  • 人手不足解消のうち手となる
  • 生産性劇的向上する
  • 最新テクノロジー使用によって競争力を高められる
DX推進に取り組むメリットの特徴のイメージ画像

3-1. 人手不足解消のうち手となる

DXは、人手不足を補うための有効手段です。少子高齢化による労働人口減少採用難によって、多くの企業必要人材十分確保できない状況直面しています。こうした課題に対してDXを活用することで、限られた人材業務を回せるようになり、持続的成長につながります。

例えば、RPA (ロボティック・プロセス・オートメーション) を導入すれば、請求書処理データ入力といった定型業務自動化可能です。これにより、従業員単純作業から解放され、付加価値の高い業務注力できるでしょう。実際導入企業では、経理人事部門業務量大幅削減され、残業時間短縮人材不足解消につながった事例報告されています。

3-2. 生産性が劇的に向上する

DXを推進する大きな目的の一つが、生産性向上です。AIやIoTを活用すれば、従来は勘や経験に頼っていた判断データに基づいて行えるようになり、業務精度スピード飛躍的向上します。

例えば製造業では、IoTセンサー設備稼働状況可視化し、AIで異常検知することで、突発的故障生産停止未然に防げます。結果として稼働率が高まり、無駄コスト削減しながら効率的運営実現可能です。

また、サービス業においても、顧客データをAIで分析することで需要予測最適人員配置可能となり、顧客満足度維持しつつ少人数で高い成果を上げられる体制を築けます。

3-3. 最新のテクノロジーの使用によって競争力を高められる

DX推進は、新しいテクノロジー積極的に取り入れることで企業競争力を大きく高める取り組みです。AIやクラウド、5G、ビッグデータ解析などを活用すれば、従来把握しきれなかった市場動向顧客ニーズリアルタイムで捉え、迅速事業戦略反映できます。

例えば小売業では、購買履歴位置情報分析してパーソナライズした提案を行うことで、顧客満足度を高められます。製造業では、5GとIoTを組み合わせて「つながる工場」を実現し、生産性品質両立可能です。こうした取り組みは単なる効率化にとどまらず、競合との差別化や新たなビジネスモデル創出につながり、持続的成長後押しします。

4.DX推進に取り組むステップとポイント

DX推進に取り組むステップとポイントのイメージ画像

DXを成功させるには、段階的に進めることが欠かせません。具体的ステップ以下の3つです。

  • 解決したい課題明確にする
  • DX推進体制を整える
  • 試行錯誤を繰り返しながら進める

4-1. 解決したい課題を明確にする

DX推進第一歩は、技術導入ありきではなく、自社が抱える課題を洗い出すことです。顧客体験改善業務効率化なのか、目的曖昧なままでは成果につながりません。経済産業省も、経営ビジョン課題を結びつける重要性指摘しており、課題優先順位づけが成功の鍵となります。

4-2. DX推進の体制を整える

DX推進成功させるには、経営層関与する推進体制を整えることが重要です。

経営戦略現場を結びつけ、迅速意思決定を行うために、CDO (最高デジタル責任者) や専任部署を設けて、IT部門現場部門をつなぐ橋渡し役を明確にします。

また、外部パートナー連携して、セキュリティ人材育成も含めた総合的仕組みを整えます。

4-3. 試行錯誤を繰り返しながら進める

一度完成形目指すのではなく、小さな取り組みを実行し、改善を重ねることがDX成功近道です。社会市場環境は常に変化しているため、最初から完璧設計困難であり、柔軟対応が求められます。

例えば、新しい顧客向アプリ試験導入し、利用データ分析して機能改善するなど、アジャイル的な進め方が有効です。現場反応素早く取り入れ、失敗から学び施策を磨くことで、変化に強い仕組みを構築できます。

5.DX推進の成功事例

5-1.【金融】Starlink Businessで非常時の通信を確保

大規模災害時でも取引を止めないために「Starlink Business」を導入し、拠点間通信強化しました。平時からWeb会議チャット活用し、有事には即時切り替え可能体制を整えたことで、BCPの実効性を高めています。

課題
社会インフラを担う取引所として、大規模災害発生時でも業務継続する必要がありました。また、従来衛星携帯電話は1対1の通話に限られており、天候環境左右されず屋内でも安定して使える通信基盤が求められていました。

解決策効果
「Starlink Business」を導入することで、東京大阪拠点をつなぎ、大規模災害時スムーズコミュニケーション確保高速大容量低遅延通信性能により平時から活用し、緊急時スムーズに切り替えられる体制を整えています。通話以外にWeb会議チャット機能といった連絡手段追加利用可能人数増加にもつながりました。

関連記事: お客さま導入事例 株式会社日本取引所グループ様

5-2.【鉄道】KDDI IoTクラウド Data Marketで商圏分析を高度化

メッシュでのきめ細かな人流分析可能な「KDDI IoTクラウド Data Market」を導入し、携帯端末匿名位置情報活用して人流データ精緻可視化しました。商圏分析出店計画精度が高まり、地域活性化につながっています。

課題
事業環境変化即応するため需要変化正確把握する必要がありました。特に、コインパーキング新規開業料金見直しの判断精度向上が求められていました。

解決策効果
「KDDI IoTクラウド Data Market~Location Analyzer~」を導入し、10mメッシュ詳細人流データ活用需要変化を見える化しました。曜日時間帯別滞在人口属性把握により開業判断料金見直しを高精度に行い、売り上げアップにつなげています。

関連記事: お客さま導入事例 名古屋鉄道株式会社様

5-3.【地方自治体】KDDI IoTクラウド Standardで農業負担を軽減し復興を支援

災地復興地域産業再生に向け、AI・IoTを活用した「幸満つる 野蒜農園プロジェクト推進しました。圃場データクラウド一元管理できる「KDDI IoTクラウド Standard」により、高齢者や障がい者も従事しやすい農業環境を整え、品質収穫量安定化地域雇用創出につなげています。

課題
東日本大震災により津波被害を受けた跡地利活用課題となっていました。また、農業施設運営にはスタッフ作業負担軽減安定経営に向けた品質向上が求められていました。

解決策効果
KDDI IoTクラウド Standard」を導入し、ネットワークカメラやAI潅水施肥システム活用することで、圃場管理や水やりの作業自動化スタッフ負担大幅軽減しました。さらに、栽培データクラウド蓄積して分析することで、適切管理可能となり収穫量最大2.4倍、糖度平均0.9向上につながりました。

関連記事: お客さま導入事例 宮城県東松島市様

そのほかの事例については以下をご覧ください。

6.まとめ

DX推進は単なるシステム導入ではなく、企業全体構造文化変革する大きな取り組みです。AIやIoTといった先端技術進化、2025年の崖問題労働力減少などの社会的背景を踏まえると、もはや待ったなしの課題といえます。

実際成功事例が示すように、人手不足解消生産性向上、新しい価値創造可能とするDXは、中小企業にとっても競争力維持カギとなります。

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