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アウトソーシングとは、 一言でいうと「自社業務の一部を外部に委託すること」です。必要な労働力やサービスを社外から調達し、専門業者に業務プロセスごと任せる経営手法です。派遣サービスとの違いは、派遣社員が自社の指示で働くのに対し、アウトソーシングでは業務そのものを委託し成果物に対して対価を支払う点です。業務遂行の指示もアウトソーシング先企業が行うため、人材派遣とは契約形態やマネジメント方法が異なります。
アウトソーシングにはさまざまなメリットがあります。社内の限られた人材をコア業務に専念させられるため競争力強化につながり、専門業者に任せれば業務効率の向上や品質向上も期待できます。また、自社で人員を正社員採用する場合に比べ、人件費や採用・教育コストを削減しつつ業務量に応じて柔軟に対応できるため、コスト削減にも有効です。
一方でデメリットとしては、業務ノウハウが社内に蓄積されない、外部委託ゆえの情報漏えいリスクやガバナンス低下の可能性、委託範囲の明確化や信頼できる業者選定に手間がかかる等が考えられます。したがってアウトソーシング導入時には、自社でノウハウが失われても問題ない業務か十分に見極め、契約後も丸投げにせず密なコミュニケーションを通じて品質を管理することが重要です。
企業がアウトソーシングできる業務範囲は多岐にわたりますが、ここでは代表的なサービス領域を紹介します。
従来の電話対応中心のコールセンターを進化させ、チャット・メール・SNSなど、さまざまな方法で顧客対応を行う次世代型コンタクトセンターです。クラウド基盤上で幅広いチャネルを統合し、AIチャットボットやボイスボットによる自動応答、ビジュアルIVR (音声自動応答の視覚版) や充実したFAQで顧客の自己解決を促進します。
問い合わせ対応プロセスをデジタル化し、業務効率化と24時間対応を実現するとともに、蓄積された顧客データを分析してサービス改善に活かすデータドリブンな機能も備えています。これによりコンタクトセンター自体が顧客体験 (CX) の向上や新たな価値創出に貢献する戦略拠点へと変革しつつあります。
見込み顧客に対し電話やメール、オンライン会議ツール等で非対面接触し、ニーズ喚起や商談設定を行うインサイドセールス業務を代行するサービスです。専門のインサイドセールスチームが貴社に代わってリード (見込み客) の育成やアポイント獲得を行うため、営業担当者が高精度案件に集中できます。自社リソースを増やすことなく効率的にターゲット企業へアプローチでき、大量の見込み顧客リストに対して短期間で接点創出することも可能になります。営業の生産性向上やマーケティング効率化につながるサービスとして需要が高まっています。
BPO (Business Process Outsourcing) は業務プロセスの一部を丸ごと外部委託するアウトソーシング形態ですが、その中でも特定の業界に特化したサービスがあります。例えば金融業界向けの事務センター、医療業界向けの専門オペレーション、製造業向けの受発注・物流管理代行など、業界固有の業務知識や法規制に精通した人材とプロセスで対応するのが特長です。業界特化型BPOを活用すれば、各業界の課題や繁忙期のニーズに即した柔軟なサポートが受けられ、品質とコンプライアンスを担保しつつ効率化を図ることができます。企業は自社の属する業界に強みを持つアウトソーシングパートナーと連携することで、業界課題の解決とサービスレベル向上を実現できます。
システム開発・運用やインフラ構築などIT分野の業務を専門企業に委託するサービスです。近年はDX推進でITエンジニア需要が高まる一方、人材不足からITO (Information Technology Outsourcing) の重要性が増しています。高度なITスキルが必要な業務を外部に任せれば、自社で人材を一から育成するより迅速かつ効率的です。例えば、企業内システムの保守運用、ヘルプデスク、サイバーセキュリティ対策、クラウド環境の構築管理などをアウトソーシングすることで、最新テクノロジーへの対応力を強化しつつ、社内のIT部門は企画や戦略立案など本来の業務に集中できます。
KDDIグループのBPOプロフェッショナル企業であるアルティウスリンク株式会社 (外部サイトへ遷移します) (以下、アルティウスリンク) が実現した、アウトソーシングの事例を3つご紹介します。
ドキュメントスキャナーなどを手掛ける株式会社PFU様では、新規顧客開拓という課題に対し、営業の一部をアウトソーシングするインサイドセールス支援サービスを活用しました。自社のAI-OCR製品の見込み客に専門チームが電話やオンラインでアプローチし、アポイントの獲得や一次商談を代行した結果、導入から1年で投資対効果 (ROI) が3倍に向上しました。
具体的には、開始後3カ月で90件のアポイントを獲得し、目標比180%を達成。加えて一次商談対応まで委託範囲を広げたことで、営業の効率が向上しました。
大手建設会社である大和ハウス工業株式会社様では、全国約50拠点で個別に行っていた経理業務の集約・効率化を目的に、バックオフィス業務のアウトソーシングに踏み切りました。アルティウスリンクが経理業務の一部 (請求書処理や経費精算) を受託し、業務設計開始から約2ヵ月という短期間で約50拠点分の経理処理を担う集中センターを立ち上げ、運用を開始しています。
この取り組みにより、各拠点でバラバラだった事務処理が標準化・効率化され、社員は煩雑な経理事務から解放されて本来の業務に集中できる環境が整いました。短期間でのセンター構築や未経験者を育成する教育体制、委託先との密な連携による業務フロー改善など、アウトソーシングパートナーのノウハウを生かすことで大きな効果を上げた事例です。
保険会社のSBI損害保険株式会社様は、顧客対応の品質向上と業務効率化を両立すべく、AIを活用したコンタクトセンター改革に取り組んでいます。具体的には、自動車事故受付センターにアルティウスリンクが提供するデータ活用プラットフォーム「Altius ONE for Support」を導入し、生成AIを用いた実証実験を開始しました。
このシステムでは通話内容をAIがテキスト化して自動要約し、オペレーターの後処理時間を約35%短縮することを目指しています。また蓄積される膨大な顧客の声 (VoC:Voice of Customer) のデータを分析し、顧客満足度に真に影響する要因を特定してサービス改善に活かすなど、CX向上に直結する試みも行われています。金融業界における先進的な試みであり、検証結果を踏まえた本格導入により、さらなるCX向上と業務の高度化が期待されています。
近年、アウトソーシングサービスはAI (人工知能) 技術の活用により大きな進化を遂げています。例えばバックオフィスの定型業務にはRPA (Robotic Process Automation) を導入して反復作業を自動化し、人手不足を補いつつ処理スピードと正確性を向上させています。コンタクトセンター分野ではAIチャットボットが一次問い合わせ対応を担い、24時間対応や応対品質の均一化に貢献しています。加えて音声認識技術とAIを組み合わせ、通話内容を自動テキスト化・要約してオペレーターの後処理作業 (応対記録入力) を省力化するといったソリューションも登場しています。
このようにアウトソーシングは単なるコスト削減策から一歩進んで、顧客体験 (CX) の向上や新たな価値創出につながるものへと進化しつつあります。さらに将来を見据え、アウトソーシング提供各社は最新テクノロジーと人間の専門的スキルを組み合わせたサービス高度化を図っています。例えば、有人チャット対応とAIチャットボットのハイブリッド運用、熟練オペレーターの判断とAIのデータ分析を融合したサービスの提供など、人とAIの協調によって相乗効果を生み出す取り組みが進んでいます。今後もAI活用の幅は広がり、アウトソーシングは各企業の課題解決を強力に後押しする存在となるでしょう。
人手不足の時代において、アウトソーシングは業務効率化と課題解決の有効な手段となっています。適切に活用すれば、自社の貴重な人材を本業に集中させ競争力を高めつつ、専門外の業務をプロに任せて品質と生産性を両立させることができます。ただし、委託範囲を慎重に見極め、信頼できるパートナーを選ぶことに加え、契約後の継続的なフォローも欠かせません。昨今はAIやデータドリブン技術の導入によって、アウトソーシングサービス自体も進化し、単なるコスト削減策ではなくCX向上や新たな価値創出の源となりつつあります。
KDDIグループのアルティウスリンクは、コンタクトセンターやBPO、ITソリューションなど、高品質かつ先進的なサービスをワンストップで提供し、企業のカスタマーサクセスの実現、企業課題の解決を支援しています。アウトソーシングの導入を検討する際は、業務をトータルに支援できるアルティウスリンクにぜひご相談ください。詳しくは、以下のサービス紹介ページをご覧ください。