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生成AIのビジネス活用において重要なRAG (検索拡張生成) とは

生成AIのビジネス活用において重要なRAG (検索拡張生成) とは

2025 4/14
生成AIは、テキストや画像、音声、動画などの多様な形式のコンテンツを短時間で生成できる技術です。近年、生成AIのビジネス活用が急速に進んでいますが、常に期待どおりの回答やコンテンツを生成できるわけではありません。そこで注目されているのが、生成AIの精度を高め、さまざまな課題を解決するための技術であるRAG (検索拡張生成) です。
本記事ではRAGの基本概念について、導入するメリットやアプリケーションの活用例などを交えながら詳しく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.RAGとは

RAG (Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成) は、LLM (Large Language Models=大規模言語モデル) と外部から検索した情報統合することで、生成AIの精度を高める技術です。「Retrieval (検索) 」「Augmented (拡張) 」「Generation (生成) 」の頭文字から「RAG」と呼ばれています。RAGの活用により、生成AIは事前学習した知識だけでなく、未学習情報からも新たな出力結果を導き出すことが可能になりました。

1-1. RAGの構造

RAGの基本構造は、検索フェーズ生成フェーズの2段階プロセス構成されています。検索フェーズではデータベース文書から、ユーザー入力した質問 (プロンプト) に関連する情報抽出し、生成フェーズでは検索で得た情報を基にLLMがテキスト回答生成します。

検索フェーズにはベクトル検索キーワード検索という2つの代表的方式があります。ベクトル検索単語関連する情報を見つけ出す方式で、キーワード検索は、単語文字列パターン照合して情報特定する方式です。

2.RAGが重要視される理由

RAGが重要視される理由は、LLMの主な課題であるハルシネーション (事実と異なる内容生成する現象) を克服する手段として注目を集めているからです。生成AIの信頼性正確性向上期待されています。

LLMは、与えられた質問に対し、事前学習したデータに基づいた回答生成するため、学習データの量や質によって偏りが生じやすいのが課題です。一方、RAGは、信頼できるデータベースソースから情報検索した上で回答生成します。こうした仕組みの違いから、LLMより正確応答期待できると考えられています。

3.RAG活用のメリット

生成AIの正確性生産性を高めるRAGは、ビジネスでの実用化が進んでいます。顧客対応データ分析効率化といった業務改善貢献できるでしょう。ここでは、RAG活用メリットを3つご紹介します。

データ分析とグラフ表示を行う手元の画像

3-1. 情報の正確性・信頼性の向上

RAGは外部データベース活用した回答生成によって、情報正確性信頼性両立します。例えば、ユーザーからのお問い合わせ対応では、迅速自動応答に加え、回答根拠となる情報明確に示せるため、対応信頼性向上します。大量ドキュメントデータベースから適切情報抽出できるので、顧客要望に応じた的確情報提供することも可能です。


3-2. データ分析の効率化と顧客満足度の向上

RAGを活用すれば、過去顧客データや問い合わせ内容総合的分析し、一人ひとりに合わせた応答生成できます。取引履歴サービス利用状況も含めた適切情報迅速提供し、顧客疑問課題をより効率的解決可能です。

加えて、蓄積されたデータから顧客潜在的ニーズ把握し、先回りした提案も行えます。高品質カスタマーサポート継続的提供することで、顧客満足度向上見込めるでしょう。


3-3. 市場競争力の強化

最新のAI技術活用し、独自価値提供実現することにより、競争の激しい市場での優位性確保につながります。例えば、金融機関での投資分析与信判断など、業界特有ニーズに合わせて技術適用することで、同業他社との差別化を図れます。また、自社保有する専門知識ノウハウをRAGのナレッジベースとしてシステム化して、法務分野での契約書分析など、他社容易模倣できないサービス基盤構築できるでしょう。市場変化への対応力が高まり、新たなビジネスモデル創出革新的サービス開発期待できます。

4.RAGによる社内生成AI導入の3ステップ

ビジネス成長を象徴するグラフの上に立つ男性

RAGを社内向生成AIに導入するステップは、以下の3つです。

  1. セキュリティ対策実装
  2. 外部情報ファクトチェック徹底品質担保
  3. 運用体制確立継続的改善

4-1. セキュリティ対策の実装

RAGは検索した情報回答ソースとして利用するため、機密情報外部に漏えいしないよう、適切セキュリティ設定不可欠です。特に、データアクセス権限管理情報分類・フィルタリング徹底が求められます。

また、生成AIサービス選択には慎重判断必要です。一部生成AIサービスでは、入力情報再学習利用する規定存在し、機密情報がほかのユーザーへの回答として漏えいするリスクがあります。利用規約入念確認し、企業セキュリティポリシー適合したサービスプラン選択しましょう。

4-2. 外部情報のファクトチェックの徹底と品質担保

セキュリティ基盤を整えた上で、高精度検索エンジン導入し、使用する文書データベース情報厳密精査します。定期的ファクトチェックによる出力結果正確性担保も欠かせません。不正確情報は誤った回答につながるため、情報品質管理徹底し、古いデータ混入しないよう適宜見直必要があります。

さらに、専門家による確認フィードバックなどを行いながら、システム信頼性継続的向上させましょう。検索結果が正しいかどうかの評価基準明確にすることも、正確回答を得るための重要要素です。

4-3. 運用体制の確立と継続的改善

システム準備完了したら、実際運用フェーズ移行します。運用体制整備し、回答品質検索エンジンへの接続状況定期的確認しましょう。

問題発生時には速やかに原因特定し、必要調整を行います。また、サポート窓口設置し、従業員円滑利用できる環境整備大切です。定期的フィードバック収集分析し、組織ニーズに適したシステム目指します。技術運用両面からの改善を通じて、より使いやすいシステムへの改善が求められます。

5.RAGを用いたアプリケーションの例

ここでは、RAGを用いたアプリケーションの例を3つ紹介します。


5-1. カスタマーサポート

自社製品サービスに関する情報、FAQや過去対応履歴データベース化し、顧客一貫性のある正確回答提供します。これにより、顧客満足度向上応対時間短縮期待できます。

5-2. ヘルプデスク

社内システムなどのヘルプデスク業務において、従来IT部門担当者対応していた、従業員からの操作に関する質問対応トラブルシューティングなどの作業一部代行できます。担当者業務負荷軽減につながり、本来業務注力できるようになるでしょう。

5-3. 社内情報の検索


社内規程業務マニュアル会議議事録報告書など、社内のさまざまな文書統合的検索できる環境実現します。複数データソースから必要情報素早抽出し、関連情報提供することで、情報収集効率化意思決定迅速化可能になります。部門間知識共有新人教育への活用期待できます。

デジタルデータ分析を行う手元の画像

6.RAGとファインチューニングの違い

ファインチューニングは、既存言語モデル特定目的用途に合わせて追加学習させる方法です。特定専門知識文体習得させたり、特定領域回答精度向上させたりする場面でよく利用されます。

RAGは外部データベース文書を基に回答作成する技術であり、既存知識外部情報を組み合わせることで、より信頼性の高い回答生成できます。質疑応答システムなど、最新かつ信頼性の高い情報が求められるケースにおいて特に有効です。

一方ファインチューニングは、事前訓練されたモデルパフォーマンス最適化するために、特定データセット使用してモデルパラメータ調整するプロセスであり、専門的ニーズに応じたカスタマイズ可能にします。用途目的に応じて適切選択大切です。

7.RAGの精度を高めるには

RAGの回答精度向上させるには、検索方式設計重要です。従来キーワード検索ベクトル検索に加えて、次のような検索方式存在します。

RAGの精度は、使用する文書検索クエリ種類によって異なります。そのため、自社必要とする検索精度速度明確にした上で、どの方式最適検討しましょう。各検索方式特性理解し、自社ユースケースに合わせた方式選択することで、より精度の高い回答を得られます。

8.まとめ

RAGは、生成AIと外部情報検索を組み合わせた技術です。信頼できるソースから情報取得し、より正確回答実現します。社内導入する際は、情報正確性機密性管理ポイントです。

ビジネスにおいては、カスタマーサポートヘルプデスク社内情報検索など、さまざまな用途活用されています。


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