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※ 記事制作時の情報です。
RAG (Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成) は、LLM (Large Language Models=大規模言語モデル) と外部から検索した情報を統合することで、生成AIの精度を高める技術です。「Retrieval (検索) 」「Augmented (拡張) 」「Generation (生成) 」の頭文字から「RAG」と呼ばれています。RAGの活用により、生成AIは事前学習した知識だけでなく、未学習の情報からも新たな出力結果を導き出すことが可能になりました。
RAGの基本構造は、検索フェーズと生成フェーズの2段階のプロセスで構成されています。検索フェーズではデータベースや文書から、ユーザーが入力した質問 (プロンプト) に関連する情報を抽出し、生成フェーズでは検索で得た情報を基にLLMがテキスト回答を生成します。
検索フェーズにはベクトル検索とキーワード検索という2つの代表的な方式があります。ベクトル検索は単語に関連する情報を見つけ出す方式で、キーワード検索は、単語や文字列のパターンを照合して情報を特定する方式です。
RAGが重要視される理由は、LLMの主な課題であるハルシネーション (事実と異なる内容を生成する現象) を克服する手段として注目を集めているからです。生成AIの信頼性と正確性の向上が期待されています。
LLMは、与えられた質問に対し、事前学習したデータに基づいた回答を生成するため、学習データの量や質によって偏りが生じやすいのが課題です。一方、RAGは、信頼できるデータベースやソースから情報を検索した上で回答を生成します。こうした仕組みの違いから、LLMより正確な応答が期待できると考えられています。
生成AIの正確性と生産性を高めるRAGは、ビジネスでの実用化が進んでいます。顧客対応やデータ分析の効率化といった業務改善に貢献できるでしょう。ここでは、RAG活用のメリットを3つご紹介します。
RAGは外部データベースを活用した回答・生成によって、情報の正確性・信頼性を両立します。例えば、ユーザーからのお問い合わせ対応では、迅速な自動応答に加え、回答の根拠となる情報を明確に示せるため、対応の信頼性が向上します。大量のドキュメントやデータベースから適切な情報を抽出できるので、顧客の要望に応じた的確な情報を提供することも可能です。
RAGを活用すれば、過去の顧客データや問い合わせ内容を総合的に分析し、一人ひとりに合わせた応答を生成できます。取引履歴やサービス利用状況も含めた適切な情報を迅速に提供し、顧客の疑問や課題をより効率的に解決可能です。
加えて、蓄積されたデータから顧客の潜在的なニーズを把握し、先回りした提案も行えます。高品質なカスタマーサポートを継続的に提供することで、顧客満足度の向上が見込めるでしょう。
最新のAI技術を活用し、独自の価値提供を実現することにより、競争の激しい市場での優位性確保につながります。例えば、金融機関での投資分析や与信判断など、業界特有のニーズに合わせて技術を適用することで、同業他社との差別化を図れます。また、自社が保有する専門知識やノウハウをRAGのナレッジベースとしてシステム化して、法務分野での契約書分析など、他社が容易に模倣できないサービス基盤を構築できるでしょう。市場の変化への対応力が高まり、新たなビジネスモデルの創出や革新的なサービスの開発が期待できます。
RAGを社内向け生成AIに導入するステップは、以下の3つです。
RAGは検索した情報を回答のソースとして利用するため、機密情報が外部に漏えいしないよう、適切なセキュリティ設定が不可欠です。特に、データアクセス権限の管理や情報の分類・フィルタリングの徹底が求められます。
また、生成AIサービスの選択には慎重な判断が必要です。一部の生成AIサービスでは、入力情報を再学習に利用する規定が存在し、機密情報がほかのユーザーへの回答として漏えいするリスクがあります。利用規約を入念に確認し、企業のセキュリティポリシーに適合したサービスやプランを選択しましょう。
セキュリティ基盤を整えた上で、高精度な検索エンジンを導入し、使用する文書やデータベースの情報を厳密に精査します。定期的なファクトチェックによる出力結果の正確性の担保も欠かせません。不正確な情報は誤った回答につながるため、情報の品質管理を徹底し、古いデータが混入しないよう適宜見直す必要があります。
さらに、専門家による確認とフィードバックなどを行いながら、システムの信頼性を継続的に向上させましょう。検索結果が正しいかどうかの評価基準を明確にすることも、正確な回答を得るための重要な要素です。
システムの準備が完了したら、実際の運用フェーズに移行します。運用体制を整備し、回答品質や検索エンジンへの接続状況を定期的に確認しましょう。
問題発生時には速やかに原因を特定し、必要な調整を行います。また、サポート窓口を設置し、従業員が円滑に利用できる環境の整備も大切です。定期的にフィードバックを収集・分析し、組織のニーズに適したシステムを目指します。技術と運用、両面からの改善を通じて、より使いやすいシステムへの改善が求められます。
ここでは、RAGを用いたアプリケーションの例を3つ紹介します。
自社の製品やサービスに関する情報、FAQや過去の対応履歴をデータベース化し、顧客に一貫性のある正確な回答を提供します。これにより、顧客満足度の向上と応対時間の短縮が期待できます。
社内システムなどのヘルプデスク業務において、従来IT部門の担当者が対応していた、従業員からの操作に関する質問対応やトラブルシューティングなどの作業の一部を代行できます。担当者の業務負荷軽減につながり、本来の業務へ注力できるようになるでしょう。
社内規程、業務マニュアル、会議議事録、報告書など、社内のさまざまな文書を統合的に検索できる環境を実現します。複数のデータソースから必要な情報を素早く抽出し、関連情報も提供することで、情報収集の効率化と意思決定の迅速化が可能になります。部門間の知識共有や新人教育への活用も期待できます。
ファインチューニングは、既存の言語モデルを特定の目的や用途に合わせて追加学習させる方法です。特定の専門知識や文体を習得させたり、特定領域の回答精度を向上させたりする場面でよく利用されます。
RAGは外部のデータベースや文書を基に回答を作成する技術であり、既存の知識と外部情報を組み合わせることで、より信頼性の高い回答を生成できます。質疑応答システムなど、最新かつ信頼性の高い情報が求められるケースにおいて特に有効です。
一方、ファインチューニングは、事前に訓練されたモデルのパフォーマンスを最適化するために、特定のデータセットを使用してモデルのパラメータを調整するプロセスであり、専門的なニーズに応じたカスタマイズを可能にします。用途や目的に応じて適切な選択が大切です。
RAGの回答精度を向上させるには、検索方式の設計が重要です。従来のキーワード検索やベクトル検索に加えて、次のような検索方式も存在します。
RAGの精度は、使用する文書や検索クエリの種類によって異なります。そのため、自社で必要とする検索精度や速度を明確にした上で、どの方式が最適か検討しましょう。各検索方式の特性を理解し、自社のユースケースに合わせた方式を選択することで、より精度の高い回答を得られます。
RAGは、生成AIと外部情報の検索を組み合わせた技術です。信頼できるソースから情報を取得し、より正確な回答を実現します。社内に導入する際は、情報の正確性と機密性の管理がポイントです。
ビジネスにおいては、カスタマーサポートやヘルプデスク、社内情報の検索など、さまざまな用途で活用されています。
KDDIは、生成AI導入を以下の3つのステップで包括的にサポートします。
さらに、「KDDI Wide Area Virtual Switch」と「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」を活用することで、安全 な通信環境での生成AI活用が可能です。
生成AIの効果的な活用をご検討中の方は、ぜひKDDIにご相談ください。