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サステナビリティとは?SDGsとの違い、企業事例を交えて徹底解説

サステナビリティとは?
SDGsとの違い、企業事例を交えて徹底解説

2025 3/19
サステナビリティとは、「環境」「社会」「経済」の3つを軸に、持続可能な発展を目指す理念です。気候変動や自然資源の枯渇、貧困や差別の解消など、世界的な課題に対する解決策として注目されています。近年は投資家や消費者を中心に、環境負荷を軽減した持続可能な企業経営へのニーズが増しており、サステナビリティへの取り組みに悩む担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、サステナビリティの考え方や重要性、取り組むべき「サステナビリティ経営」の実践方法について解説します。

1.サステナビリティの3要素を理解しよう

サステナビリティ (Sustainability) とは、「持続可能性」を指す言葉です。
ここでは、その実現に欠かせない3つの要素をご紹介します。

企業活動においても、これらの3要素についてバランスよく考慮し、持続可能方法業務展開することが求められます。
すなわち、企業環境保護社会的責任を果たしつつ、長期的成長追求する姿勢期待されているのです。


1-1. サステナビリティとは

人口増加気候変動経済格差拡大といった世界的課題解消し、持続可能社会目指す取り組みが世界で広く求められています。限られた資源効率的かつ公平活用し、次世代安全で豊かな環境を引き継がなければなりません。

こうした課題解決するための考え方が「サステナビリティ」です。実現するには、再生可能エネルギー資源循環型仕組み、持続可能ビジネスモデル構築など、新しい技術システム活用し、具体的課題解決追求することが欠かせません。


1-2. サステナビリティが注目される理由

環境問題社会課題深刻化する現代において、企業個人環境保護社会貢献への取り組みは、持続可能社会実現必須とされています。

実際推進するには、理念だけでなく、革新的技術サービス導入不可欠です。こうした技術開発は、社会課題解決に加え、新たな市場開拓ブランド価値向上といった機会をもたらします。

さらに、世界各国環境保護に関する法規制を整え、サステナビリティ経済成長両立を図る動きが広がっています。企業活動において環境に優しい事業モデル構築は、長期的競争力強化にもつながるため、注目を集めているのです。

2.サステナビリティ経営とは

サステナビリティ経営とは、企業環境社会経済持続可能性意識しながら事業展開し、次世代社会貢献するための経営手法を指します。環境への配慮社会的課題への取り組みを事業戦略に取り入れ、短期的利益追求だけでなく、長期的事業安定社会発展重視するのが特徴です。

近年ではLGBTQを含む多様人材活躍推進再生可能エネルギー導入など、社会課題解決事業活動に取り入れる企業が増えており、こうした取り組みは投資家消費者から高く評価され、企業価値競争力強化する要因にもなり得ます。サステナビリティ経営は、企業社会とともに発展し、継続的成長していくために欠かせないアプローチといえるでしょう。

新しい芽が土の中から伸びており、その周囲には環境に関連するアイコン(風力発電、リサイクル、太陽光発電、水など)が浮かんでいる。手が芽に向かって伸びている。背景はぼかされた緑色の自然環境。

2-1. KDDIのサステナビリティ経営:6つの重要課題 (マテリアリティ)

サステナビリティ経営推進するには、まずは環境社会経済調和実現し、持続可能成長追求するという基本理念を踏まえながら、各企業自社独自方針明確化する必要があります。その際、企業優先的に取り組むべき重要課題を「マテリアリティ」と位置づけて経営戦略に組み込む手法一般的です。

ここでは、KDDIがサステナビリティ経営指針として設定している6つの重要課題 (マテリアリティ) を紹介します。

自社のサステナビリティ経営方針を決める際には、他企業の取り組みを参考にしながら、業界の特性や自社の強みを生かした独自の方針を策定しましょう。

KDDIの取り組みについて、詳しくはこちらをご覧ください。

  • ※ 外部サイトに遷移します。
  • 注1) 温室効果ガス排出量吸収量バランスを取り、実質的排出量ゼロにすること。

2-2. サステナビリティ経営を実践する方法

サステナビリティ経営実践方法について、以下の5つのステップ解説します。

1. 課題の特定

サステナビリティ関連情報を集め、自社業務との関連性把握することが大切です。法規制業界での取り組み、新たな技術消費者動向など、幅広視点情報収集し、自社課題特定します。

2.ビジョンの策定

サステナビリティ考慮した、長期的ビジョン策定します。企業理念との整合性を踏まえ、全社員共有できる明確ビジョンにしましょう。

3. 目標の設定と実行

ビジョン実現するために、具体的かつ実行可能目標設定します。短期中期長期期間を分け、それぞれの行動計画立案しましょう。数値目標明確にして定期的モニタリングすることで、進捗正確把握できます。

4. 情報開示

自社サイトなどを活用し、サステナビリティ経営に関する取り組みや目標成果ステークホルダーに向けて公開しましょう。企業としての姿勢を広く周知すれば、支持共感を得る土台を築くことができます。

5. PDCAサイクルを回す

サステナビリティ経営組織内根付かせるためには、目標施策定期的見直し、改善を重ねることが重要です。現実に即した目標設定を行い、継続的にPDCAサイクルを回していきましょう。

3.サステナビリティとSDGs (持続可能な開発目標) との違いとは

サステナビリティとSDGs (Sustainable Development Goals) は、いずれも持続可能社会実現に向けた取り組みにおいて多く目にする言葉ですが、異なる意味役割を持ちます。


3-1. SDGsの17の目標

SDGsとは、2015年に国連サミット加盟国全会一致採択された持続可能開発目標です。17の目標と169のターゲット (注2)構成されています。

この画像は持続可能な開発目標(SDGs)を示しており、17の目標が列挙されています。これらの目標には、貧困の撲滅、健康と福祉の向上、教育の普及、ジェンダー平等の実現、安全な水とトイレの提供、経済成長の促進、気候変動対策などが含まれています。各目標は、持続可能な社会の実現に向けた重要なテーマを表しています。
目標 内容
1 貧困 あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる
2 飢餓 飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する
3 保健 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
4 教育 すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
5 ジェンダー ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
6 水・衛生 すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
7 エネルギー すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
8 経済成長と雇用 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用 (ディーセント・ワーク) を促進する
9 インフラ、産業化、イノベーション 強靱 (レジリエント) なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進 及びイノベーションの推進を図る
10 不平等 国内及び各国家間の不平等を是正する
11 持続可能な都市 包摂的で安全かつ強靱 (レジリエント) で持続可能な都市及び人間居住を実現する
12 持続可能な消費と生産 持続可能な消費生産形態を確保する
13 気候変動 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
14 海洋資源 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
15 陸上資源 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
16 平和 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
17 実施手段 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

これらの目標は、国や企業持続可能社会に向けて取り組むべき具体的指針にもなっています。


3-2. サステナビリティとSDGs、ESG、CSRの違い

サステナビリティ関連する言葉には、SDGsのほかに、ESG (環境社会・ガバナンス)、CSR (企業社会的責任) があります。
それぞれの違いは以下のとおりです。

4. サステナビリティ経営のメリット

サステナビリティ経営に取り組むメリットは次の4つです。


4-1. 企業のブランド価値向上

環境社会問題への意識が高まる中、持続可能社会実現貢献する企業姿勢は、投資家消費者にとって魅力的要素のひとつです。また、サステナビリティ経営を通じて企業持続可能性強化されるため、顧客取引先からの信頼感が得られるだけでなく、企業イメージアップにもつながります。結果として、企業ブランド価値向上寄与します。


4-2. 優秀な人材の確保

サステナビリティ経営重要要素のひとつに、「従業員長期的に働ける職場環境整備」が含まれます。環境社会配慮した企業姿勢は、従業員満足度を高め、業績向上を促します。加えて、従業員健康ワークライフバランス重視し、社会的価値提供する企業は、優秀人材確保や、組織力を高めることが見込めます。


4-3. 事業拡大の可能性

環境配慮した商品サービス開発は、社会課題解決とともに新たな事業機会創出に結びつきます。また、発展途上国地域社会インフラ整備貢献した場合現地生活向上寄与するとともに新たな市場開拓につながる可能性があります。


4-4. リスク管理と事業の持続性の強化

政府国際社会がSDGs達成に向けた規制強化する中、企業としての対応不可欠です。規制強化に先んじてサステナビリティ経営導入し、持続可能事業モデル環境配慮した製品開発積極的に進めれば、中長期的成長競争力向上見込めます。

今後企業経営では、気候変動資源枯渇といったサステナビリティリスク (環境社会・ガバナンスなどで顕在化し得るリスク) の管理が、より一層重要テーマとなります。そうした状況下で、サプライチェーン安定人権問題への配慮といった取り組みを行うことにより、投資家などのステークホルダー市場からの評価を高め、新たな企業価値創出につながるでしょう。

デジタルデバイスの上に手が置かれ、タブレットの画面には環境関連のグラフやアイコンが表示されている。矢印が上向きに伸び、2050年や2025年などの年号とともにCO2削減や持続可能な成長を示唆する緑色のシンボルが描かれている。背景はぼやけた室内の風景。

5.サステナビリティのガイドライン「GRIスタンダード」とは

「GRIスタンダード」は、国際的非営利団体GRI (Global Reporting Initiative)が作成した、サステナビリティ報告書作成するためのガイドラインです。抽象的概念具体的指標として可視化したもので、持続可能性重視する企業組織の間で国際的に広く活用されています。

「GRIスタンダード」の目的は、次の4つです。

  1. 透明性の高いサステナビリティ報告書作成支援
  2. 持続可能性報告国際基準策定と、情報グローバル比較可能性向上
  3. 組織サステナビリティへの取り組みの信頼性向上
  4. ステークホルダーに対して、サステナビリティの取り組みを効果的に伝える手段提供

「GRI共通スタンダード」「GRIセクタースタンダード」「GRI項目別スタンダード」の3シリーズ (注3)構成されています。

6.企業のサステナビリティに関する事例

ここでは、3社の事例を通じて、サステナビリティ経営具体的な取り組みと成功ポイント紹介します。

電力コスト削減でカーボンニュートラルを加速

中国政府は「3060ダブルカーボン政策」によって、2030年のカーボンピークアウト (注4) と2060年のカーボニューラル目指し、CO₂排出量削減環境規制加速しています。この影響中国進出している日系企業にも及び、対応急務となりました。

こうした中、モーションコントロール機器メーカーナブテスコ株式会社様は、カーボンニュートラル業績向上チャンスと捉え、積極的施策導入し、現地法人上海納博特斯克液圧有限公司 (英語表記: Shanghai Nabtesco Hydraulic Co.Ld、以下SNHC)」では、電力削減中心とした環境対策を進め、コスト削減環境負荷低減に取り組んでいます。

その取り組みのひとつとして、KDDI 上海の「エネルギー見える化ソリューション」を導入して、工場内電力使用状況リアルタイム可視化しました。その結果深夜帯コンプレッサーやVOC処理装置無駄稼働特定し、年間数百万円規模電力削減見込むことができました。今後はCO2排出量可視化を含む、より高度施策展開する方針です。

事例の詳細はこちら

  • 注4) カーボンピークアウトとは、温室効果ガス排出量拡大頂点に達し、徐々に減少するとみられる局面のこと。

再生可能エネルギーが導く脱炭素社会

電力事業を手がける株式会社エナリス (KDDIグループ会社以下エナリス)は、再生可能エネルギー社会主力電源にするため、「仮想発電所 (Virtual Power Plant  (以下、VPP))」の普及に取り組んでいます。VPPは太陽光発電蓄電池などの分散型電源一括制御し、安定した電力供給実現する仕組みで、再生可能エネルギー拡大不可欠技術です。

エナリスはKDDIと連携し、au 5GとAmazon Web Services (以下、AWS) の MEC (Multi-access Edge Computing (注5)) サービス「AWS Wavelength (注6)」を活用した新たなVPPの実証実験を行い、分散型電源リアルタイム制御成功しました。同一エリア内の複数分散型電源 (家庭用蓄電池) を群制御する「エリア協調制御」の周期従来の60秒から1秒に大幅短縮し、安定供給可能にしたほか、コスト削減効果確認されています。

2022年には日本初 (注7)公認アグリゲーター (注8) となり、分散型電源活用したエネルギー供給のさらなる推進に取り組んでいる状況です。エナリス再生可能エネルギー主力電源化目指し、革新的挑戦を続けており、今後動向にも目が離せません。

事例の詳細はこちら

  • 注5) 5Gネットワーク利用して、データエッジ分散処理する技術。これにより低遅延で高い帯域幅提供し、IoTデバイスアプリケーションリアルタイムデータ処理を行うことが可能になります。
  • 注6) 通信事業者モバイルネットワーク設備内にあるAWSを指す。
  • 注7) 2022年4月1日、経済産業省による特定卸供給事業 (アグリゲーター) 制度スタートを切り、エナリス即座申請し、受理された。これにより同社日本第1号の公認アグリゲーターになった。
  • 注8) アグリゲーターと呼ばれる事業者が、発電事業者を除く電気供給能力に対し、発電または放電指示し、そこから集約した電気小売電気事業一般配電事業特定拝承電事業などに供給する制度

液浸技術が切り開く省エネデータセンター

KDDIは、三菱重工業株式会社様、NECネッツエスアイ株式会社様共同で、絶縁性オイルでICT機器直接冷却する液浸技術活用した「液浸スモールデータセンター」の実証実験を進めています。液浸技術で「PUE (注9)  1.07」という高い電力使用効率達成し、省エネ化への大きな一歩となりました。

液浸技術従来空冷に比べて冷却効率が高く、サーバー集積率向上冷却電力削減につながります。また、液浸装置を含むコンテナデータセンターは、小型設計設置場所柔軟性に優れており、自治体イベント会場工場などの幅広場面活用できるのが強みです。

液浸技術データセンター電力問題解決とCO2排出量削減貢献するだけでなく、急増するデータセンター需要対応する省エネモデルとしても注目を浴びるようになりました。将来的には、省エネ化に加え、設置場所柔軟性静音性を活かした地域分散型データセンター普及目指しています。

事例の詳細はこちら 

  • 注9) データセンター消費電力をICT機器消費電力で割った数値。「1.0」に近いほどセンター電力使用効率が高い。

7.まとめ

サステナビリティ経営は、企業持続的成長を続けるうえで欠かせない取り組みです。これは、企業ブランド価値向上人材確保など、多方面での成果をもたらすことが期待できます。次世代環境資源を引き継ぎつつ、現在労働環境整備することは、企業持続可能成長にとって重要です。また、顧客取引先投資家からの信頼獲得し、企業長期的安定発展を支える基盤となります。

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