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新型コロナウィルスの影響は非常に大きく、テレワークの導入を余儀なくされた企業も少なくないでしょう。
しかし、新型コロナウィルスなど感染症だけが不測の事態なわけではありません。私達の身近には、テレワークが必要になるようなリスクが数多く存在し、それらに対して対策を講じておく必要があります。
それを表しているのが、東日本大震災を契機に関心が高まっているBCP (事業継続計画) という考え方です。
BCPとは震災や洪水などの自然災害、はたまたテロなどの緊急事態に遭遇した場合にも、事業を継続させ早期復旧をするための計画 (Business Continuity Plan) です。
日本は地震や台風、大雨による自然災害も頻発しますし、テロとも無縁とは言い切れません。不測の事態に備え、事業を継続するための対策をとっておくことは、全ての企業に課せられた課題とも言えるでしょう。
そして、日頃からテレワークの準備をすることは、重要なBCPの一環です。
もしも、出社が難しいような不測の事態が起きたとしても、テレワークの準備をしておけばさまざまなメリットがあります。出社をしなくても業務を続けられるため、事業への悪影響を最小限に抑えられます。テレワークの準備が入念に行われていれば、出社した時とさほど変わらないパフォーマンスを引き出すことも可能です。
また、不測の事態に限らず、社員の通勤にかかるコストや時間を削減できるメリットも見逃せません。
関東での通勤時間は平均で47分というデータもあり、テレワークを導入することで社員一人当たり1日約90分の節約ができます。
節約した時間は仕事だけでなく、家事やリフレッシュにも使えるためワークライフバランスの向上にも効果的です。
遠方に住む方や事情があって通勤できない方の採用も可能にするため、人材不足の解消にも大きく役立つでしょう。
多くの企業が導入、もしくは導入を検討しているテレワークですが、中途半端に導入してしまうと、メリットよりもデメリットの方が目立ってしまうこともあるのではないでしょうか。テレワークの効果を最大化するには、十分にツールや制度を用意しておく必要があります。ツールだけでも、最低限、次のようなシステムは揃えておく必要があるでしょう。
他にも企業規模や組織の特徴によってさまざまなツールが必要になりますが、ツールが増えればそれだけ社員の負担とコストも増えます。まずは社用スマートフォンなど必要なツールに絞って、最小限に抑えられるよう計画を立てましょう。
また、ツールだけでなく、テレワークに合わせた制度も見直しましょう。従来の労務管理や人事評価ではテレワークに対応できません。在宅勤務でもちゃんと働いているかチェックする方法や、社員の頑張りを評価する新たな仕組みを作り直さねばなりません。また、テレワークでも稟議や決裁が滞りなく行える制度も作り直しましょう。
テレワークには、さまざまなメリットがある一方でデメリットもあるため、あらかじめ対策をとっておく必要があります。
例えばテレワークはコミュニケーションが減るため、チームの足並みが乱れやすくなります。そのため、定期的に出社する日を設けたり、チャットだけでなくビデオ通話で顔を見せ合うなどの対策を考えなければなりません。
無計画にテレワークを導入した企業では、メンバーの集中力やモチベーションの低下によるパフォーマンスの低下や、離職率の上昇といった結果を招くケースも見られます。一例として、フルタイム雇用者の約25%がなんらかの形で在宅勤務していた米ヤフーは、「コミュニケーションとコラボレーションが大事」と2013年に、社員の在宅勤務を禁止し、オフィスへの出勤を義務付ける方針に転換していた (注) 時期もあります。
他にも、情報漏えいのリスクを下げるために、セキュリティを高めるだけでなく、社員の意識やリテラシー向上を目的としたセミナーなどを開くことも重要です。特に重要な情報を扱うメンバーには情報の取り扱いを徹底させなければ、小さなミスで訴訟問題を引き起こす事態にもなりかねません。
不測の事態が起きてから、テレワークの準備をしても遅いことがイメージしてもらえたかと思います。急ごしらえで導入ししまった場合、会社に大きな損害を出してしまう結果にもなりかねません。不測の事態に陥った場合にも、スムーズにテレワークを始められるよう、日頃からシミュレーションをして、社用スマートフォンの導入など最低限の準備を進めていくことが重要です。
次回のコラムでは「テレワークの導入には何が必要か?」について、解説します。