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NIS2指令とは?要件とサイバーレジリエンスの必要性を紹介

NIS2指令とは?
要件とサイバーレジリエンスの必要性を紹介

2026 1/19
世界中でサイバー攻撃のリスクが高まる中、海外拠点を持つグローバル企業にとって、包括的なサイバーセキュリティ対策の実施が急務となっています。EUが策定した「NIS2指令」は、サイバー攻撃の被害を最小限に抑える「サイバーレジリエンス」の強化を目的とし、セキュリティ強化のための具体的な指針を示しています。本記事ではNIS2指令の概要やサイバーレジリエンスの重要性を解説し、具体的な強化手法や事例についてご紹介します。

※ 2025年3月6日公開

1.NIS2指令とは

NIS2 (Network and Information Systems Directive 2) は、2022年にEU (欧州連合) が策定したセキュリティ規制です。ネットワーク情報システム利用する幅広業界に対し、サイバーセキュリティ強化情報保護義務づけています。特に社会的経済的重要役割を担うインフラ企業に対して、サイバー攻撃によるリスク軽減対応能力向上が求められています。

1-1.基準と適用範囲

NIS2指令では18の産業部門対象とされており、企業は「主要エンティティ」と「重要エンティティ」に分類されます。

基準と適用範囲

以下の、いずれかの条件を満たす企業は、NIS2指令要件遵守する義務があります。

  • 従業員が50人以上
  • 年間売上高が1000万ユーロ以上

    ※ デジタルサービスプロバイダーは例外適用

対象企業には具体的サイバーセキュリティ対策実施義務化され、遵守を怠った場合は、制裁金経営者刑事責任が問われるなど、厳しいペナルティが科されます。

1-2.NIS指令との違い

NIS2指令は2016年施行のNIS指令をもとに、より包括的かつ強力サイバーセキュリティ体制構築目指して設計されています。主な変更点以下のとおりです。

  • リスクマネジメント強化
  • 報告義務厳格化
  • 違反に対する制裁措置導入
  • 国際的連携強化
  • 監視基準標準化
  • 対象産業拡大

NIS2指令により、欧州全域でのセキュリティ基準統一各国間協力のさらなる推進期待されています。

2.海外拠点に重要なNIS2の要件

海外拠点に重要なNIS2の要件

グローバル企業にとって、NIS2指令要件戦略的対応が求められる重要課題です。本章では、海外拠点担当者が特に注目すべき3つの重要項目解説します。

2-1.リスクマネジメントの強化 (21条)

NIS2指令ではリスクアセスメント実施脅威管理インシデント対応フロー整備定期的セキュリティ監査などによるリスクマネジメント体制強化が求められています。サイバー攻撃災害発生時迅速検知対応復旧ができる仕組みを整備する必要があります。

2-2.報告義務の厳格化 (23条)

NIS2指令ではインシデント発生時報告に関して、厳格要件設定されています。この要件は、国や関係機関情報共有することによるサイバー攻撃拡大および再発防止目指しているため、各拠点迅速かつ透明性の高い情報共有実施する必要があります。

項目 報告の制限時間 報告内容
早期通知 24時間以内
  • ・不法行為または悪意のある行為の疑いの概要
  • ・国境を越えて影響を及ぼす可能性があるか
インシデント通知 72時間以内
  • ・初期評価情報 (重大度、影響範囲)
  • ・セキュリティ侵害インジケーター (IoC) の詳細
中間報告書 必要に応じて CSIRT (注1) から求められた場合に最新情報を提供
最終報告書 1カ月以内 インシデントの全体的な評価や対応状況
  • 注1) CSIRT (Computer Security Incident Response Team) =セキュリティ事故対応チーム

2-3.国際的な連携の強化 (10条)

海外拠点によるセキュリティ対応には限界があるため、NIS2指令各国にCSIRTを設置し、国境を超えた協力体制構築することを推奨しています。複雑化するサイバー攻撃によるインシデント拡大防止し、単一拠点企業、国では対応しきれない課題協調して取り組む枠組みの整備が求められています。

国際的な連携図

3.サイバーレジリエンスの必要性とメリット

近年サイバー攻撃業界規模を問わず、あらゆる企業攻撃対象となっています。ランサムウェア標的型攻撃サプライチェーン攻撃といった脅威は、業務停止情報漏えいといった深刻被害をもたらしますが、高度化する攻撃完全に防ぐことは難しいのが現状です。これらの攻撃への対策として、被害最小限に抑え迅速復旧可能にする「サイバーレジリエンス」の基盤構築不可欠です。

サイバーレジリエンス確立することで、サイバー攻撃を受けた場合でも事業中断最小限に抑えられます。これによって企業経済的損失信用低下を防ぐことで、競争力維持を図ることができます。

3-1.サイバーレジリエンスを実現する効果

サイバーレジリエンスを実現する効果

サイバーレジリエンス構築には多大労力を要しますが、企業が得られる効果は多くあります。


■ 迅速な対応で事業の被害を最小化

サイバーレジリエンスにより、インシデント発生時迅速対応可能となり、被害拡大を防いで事業への影響最小限に抑えられます。


■ 顧客からの信頼向上

NIS2指令への準拠レジリエンス強化は、取引先顧客からの信頼向上させ、企業価値を高めます。


■ 法的リスクの回避

各国法規制に則った体制構築することで、法令違反による罰金制裁回避できます。またサプライチェーンでは、取引先との契約セキュリティ要件を満たしていない場合ペナルティを受けるおそれがあります。サイバーレジリエンス確立すれば契約違反リスク最小化することができ、競争力維持につながります。

4.サイバーレジリエンス強化のポイント

サイバーレジリエンス強化のポイント

サイバーレジリエンス強化には、NIS2指令によるリスクマネジメント中心に「組織」と「技術」の双方アプローチする施策必要です。以下具体的強化ポイント解説します。

4-1.リスクアセスメントの実施と対策の優先順位の設定

まずリスクアセスメントによってIT資産棚卸しを実施し、すべてのシステムデータ把握した上で、それぞれの重要度評価します。その上で、リスクの高い領域から優先的対応を進め、企業事業継続性確保します。

4-2.組織部分の強化

海外拠点を含むすべての拠点浸透する包括的対策を行う際は、以下の4点が重要です。


■ レポート体制の整備

インシデント発生時統一フォーマット迅速かつ正確報告できる仕組みを整えます。連絡手段明確にし、報告手順標準化することで、情報共有スピード正確性向上させましょう。


■ インシデント対応フレームワークの構築

組織全体統一されたインシデント対応フロー策定し、対応迅速に行えるようにします。本社主導セキュリティポリシー行動規範策定し、「まず被害を受けたシステム隔離する」「次にデータ漏えいの範囲特定する」など、対応手順標準化します。


■ 従業員の教育とサプライチェーンを含めたセキュリティ管理

従業員一人ひとりのセキュリティ意識向上されるため、定期的セキュリティ研修教育実施インシデント対応フロー浸透させます。また、サプライチェーン全体での共同訓練により、パートナー企業連携してリスクに備える体制を整えます。


■ 業務継続計画 (BCP) の策定

インシデント発生後業務継続できる計画作成し、全社共有します。例えば、重要システム復旧の際、クラウド環境バックアップデータ活用するなど、復旧手順整理します。

4-3.システム面の強化

柔軟堅牢システム基盤構築するためには、以下実施します。


■ 定期診断の実施

脆弱性スキャン定期的に行って新たなリスク早期発見し、速やかに修正します。例えば、毎月決められたスケジュール脆弱性スキャンを行い、発見されたリスクに対して修正パッチ適用します。


■ ネットワーク分離

ネットワーク分離セグメンテーション実施し、重要資産へのアクセス制限して、システム可用性確保します。例えば、社内ネットワークを「業務用」「管理用」「来客用」に分離し、外部からの侵入を防ぎます。


■ ツール導入による自動化

SIEM (ログ分析基盤) やEDRなどのツール導入し、リアルタイムでの脅威検出対応実現します。AIなどを活用した監視システムで24時間監視体制構築人的負担軽減しつつ、セキュリティ体制効率化を図ります。

5.まとめ

EUのNIS2指令に基づいたサイバーレジリエンス強化は、単なるセキュリティ対策にとどまらず、グローバルレベル事業に対するリスク最小化と、競争力維持目指重要な取り組みです。NIS2指令準拠することで、企業法規制への対応とともに、顧客取引先からの信頼強化し、グローバル市場での優位性確立することが可能です。

サイバーレジリエンス基盤構築には、組織システム両面から包括的かつ継続的な取り組みを進め、迅速対応復旧力を備えた体制整備することが重要です。KDDIでは、おさまのNIS2指令への準拠や、サイバーレジリエンス構築サポートします。ぜひご相談ください。

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