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CSIRT (シーサート) とは?役割やSOCとの違い、構築の流れを解説

CSIRT (シーサート) とは?役割やSOCとの違い、構築の流れを解説

2026 3/5
サイバー攻撃が高度化・常態化している現在、インシデント発生を前提とした組織的な対応体制が求められています。その中核を担うのがCSIRTです。企業規模や業種を問わず導入が進むなか、効果的な運用には仕組みづくりと明確な役割分担が欠かせません。本記事では、CSIRTの定義や必要性をはじめ、SOCとの違い、具体的な役割、構築手順までを体系的に解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.CSIRTとは何か

CSIRTとは、Computer Security Incident Response Teamの略称であり「シーサート」と読みます。CSIRTは企業組織内発生するサイバー攻撃情報漏えいなどのセキュリティインシデントに対し、専門的かつ組織横断対応するための体制組織です。単なる技術部門ではなく、IT、法務広報経営層といった多様部署連携しながら、被害最小化早期収束目的活動します。

CSIRTとは何かのイメージ画像

1-1. インシデント対応専門チーム

CSIRTは、標準化されたワークフローに沿って、インシデント対応段階的実行します。

  1. 窓口対応社内外からの通報一元的に受け付け、発生事実対象システム確認
  2. 初動対応影響範囲緊急度評価し、対応優先度決定
  3. 封じ込め:被害拡大を防ぐため、通信遮断アカウント停止などの措置実施
  4. 調査ログ解析端末調査により原因侵入経路特定
  5. 復旧システム復旧再発防止策実施し、業務正常化

このようにCSIRTは、窓口対応から復旧再発防止までを一貫したワークフロー管理します。対応手順標準化し、関係部門連携することで、属人化を防ぎつつ迅速かつ確実インシデント収束実現するのが特徴です。

2.CSIRTが必要とされる理由

サイバー攻撃高度化するなかで、迅速かつ組織的対応体制整備不可欠です。CSIRTは、被害拡大防止事業継続確保法規制対応同時実現するために活動します。

  • 高まるサイバー攻撃リスク
  • 被害最小化事業継続

2-1. 高まるサイバー攻撃のリスク

近年国内外報告されるサイバーインシデント件数増加傾向にあります。警察庁発表によると、令和7年上半期における「警察庁検知した不審アクセス件数」は9,085件と引き続き高水準であり、送信元大部分海外からのアクセスという状況です。

図表1: 警視庁が検知した不審なアクセス件数のグラフ
  • ※ 外部サイトへ遷移します。

特に昨今では、ランサムウェアによる二重脅迫標的型攻撃に加え、生成AIを悪用した攻撃が新たな脅威となっています。生成AIの普及により、自然日本語メール業務文書模倣したフィッシング容易になっており、従業員がそれらを見抜くことは困難です。

こうした環境では、単発的対応や個々人の判断に頼る方法には限界があります。そのため、専門組織として継続的判断対応できるCSIRTの重要性一層高まっています。

2-2. 被害の最小化と事業継続

CSIRTは、BCP (事業継続計画) やDR (災害復旧) との運用をつなぐ接続点として機能します。インシデント発生時、IT障害として切り分けるのか、あるいは事業停止リスクとしてBCPを発動するのかを判断し、経営層やIT部門担当者橋渡しを担います。

例えばランサムウェア感染時には、CSIRTが技術的な封じ込めと被害評価を行い、その結果に基づいてDR環境への切り替えや業務優先順位付けといった経営判断支援します。

こうした活動成果は、KPIによって可視化することが可能です。代表的指標として、インシデント検知するまでの平均時間であるMTTD (Mean Time To Detect) や、復旧までに要した平均時間を示すMTTR (Mean Time To Recover) が挙げられます。

CSIRTによりこれらの指標短縮することで、売上損失信用低下を抑え、BCP・DRと連携した安定的事業継続につながります。

3.CSIRTの役割について

CSIRTの役割は、インシデント発生を防ぐ事前対応 (プロアクティブ) と、発生後被害を抑える事後対応 (リアクティブ) に大別されます。

  • 事前対応手順整備訓練脆弱性管理脅威動向把握
  • 事後対応検知後判断、封じ込め、調査復旧再発防止

3-1. インシデントの検知と分析


インシデントの検知と分析のイメージ画像

SOC (Security Operation Center:ソック) が24時間365日の監視体制でEDRやSIEMなどから不審挙動検知し、その情報アラートとしてCSIRTへ連携します。

この通知を受け、CSIRTはトリアージ (優先度判定) を行い、誤検知なのか即応すべきインシデントなのかを迅速判断します。対応必要判断した場合通信ログ認証ログ分析し、不審挙動侵入経路影響を受けた端末アカウント特定します。マルウェア関与が疑われる場合は、ファイルハッシュ値確認挙動解析を行い、感染拡大有無確認することが必要です。

このようにCSIRTは、高度分析結果に基づいて封じ込めや復旧判断を行う役割を担っています。

3-2. 脅威情報の収集と共有

CSIRTは国内外脅威動向把握するため、JPCERT/CC (日本のCSIRTで国内のサイバー攻撃情報の収集・分析を行う機関)業界ISAC、セキュリティベンダーから提供される脅威インテリジェンス活用します。

これらの情報から、攻撃元IPアドレス不正ドメインマルウェアハッシュ値などのIOC (Indicator of Compromise:侵害痕跡指標) を整理し、SOCやEDR (Endpoint Detection and Response:端末侵入した脅威サイバー攻撃検知対応するための対策)、ファイアウォール展開します。さらに、他社CSIRTとの情報共有を通じて、新たな攻撃手法被害事例早期把握することも欠かせません。

こうした継続的収集共有により、検知精度向上被害未然防止実現します。

  • ※ 外部サイトへ遷移します。

4.CSIRTとSOCの違いは何か

CSIRTとSOCは役割明確に分かれています。

  • SOC:24時間365日体制ログ監視脅威検知実施
  • CSIRT:検知後対応判断から封じ込め、収束までを統括

両組織連携することで、迅速インシデント対応可能です。

4-1. 目的と業務範囲の違い

SOCの主な目的は、不正アクセスマルウェア感染早期発見することです。SIEM (Security Information and Event Management) やEDRを用いて常時監視を行い、異常検知するとCSIRTへ通知します。

一方のCSIRTは検知後インシデント対応を担い、システム停止判断関係部門との調整対外対応統括します。

例えば、深夜不審通信検知するのはSOCですが、業務影響を踏まえて対応方針決定するのはCSIRTです。なお、最近ではJSOCのように、SOC機能外部委託するケースも増えています。この場合でも、最終的意思決定対応責任自社CSIRTが担い、外部SOCは検知分析専門的支援する立場となります。

4-2. 連携方法とポイント

SOCとCSIRTが効果的機能するためには、平時からの連携設計重要です。

まず、検知した事象をどの段階でCSIRTへ通知するかを、エスカレーション基準として明文化します。次に、初動対応調査開始までの時間をSLAとして定め、対応遅延を防ぎます。さらに、アラート内容影響範囲推奨対応記載する共有フォーマット統一することで、判断の遅れを抑制可能です。

加えて、月次レビュー定例会議を通じて検知状況対応結果共有し、連携プロセス継続的改善していく姿勢重要です。

5.CSIRT構築の手順

CSIRTの構築は、計画から運用改善までを段階的に進めるのが基本です。

  • 1.方針目的策定
  • 2.プロジェクト立ち上げ
  • 3.体制構築役割定義
  • 4.運用開始訓練
  • 5.定期的評価継続的改善

初期構築フェーズは特に失敗しやすく、プロジェクト全体成否直結します。そのため本章では、重要度の高い「プロジェクト立ち上げ」と「体制構築役割定義」について詳しく解説します。

5-1. プロジェクト立ち上げ


CSIRT構築でまず取り組むべきは、目的到達目標明確にすることです。「なぜCSIRTを作るのか」を明確にし、初動対応時間短縮被害抑制といった具体的目標設定しましょう。

次に、情報システム部門中心に、法務広報総務経営層などの関係部門からメンバー選定します。これは技術対応だけでなく、契約確認対外説明必要となるためです。プロジェクト全体スケジュールについては、体制設計手順書作成訓練実施段階的配置します。

プロジェクト立ち上げのイメージ画像

また、緊急時に誰が判断し、誰が指示を出すのかといった意思決定フロー事前に決めておくことで、混乱のない対応可能になります。

5-2. 体制構築と役割定義

CSIRTの体制は、組織規模人員に応じて設計します。主な活動形態以下の3つです。

  • 集中型
  • 分散型
  • 統合型

集中型専任チーム対応一元管理し、判断スピード最大化を図る形態です。分散型各部門担当者配置することで、現場に近い情報迅速に集められる点が特長です。統合型集中型分散型両者を組み合わせ、平時集中管理有事部門連携強化します。

具体的役割としては、全体統括する責任者技術的調査を行う分析担当社内外調整を行う連携担当などを配置するのが通例です。こうした役割明確にしておけば、経験の浅い担当者が関わる場合でも、迷わず行動できる体制を整えられるでしょう。

6. CSIRT構築時の重要なポイント

CSIRTを機能させるためには、組織的土台づくりが欠かせません。特に重要ポイント以下のとおりです。

  • 経営層理解獲得 (サイバーリスク可視化および投資対効果明確化)
  • 権限設定 (システム遮断アカウント停止即時判断できる権限)
  • 外部連携 (他社CSIRTやベンダーとの連絡窓口整備およびルール明文化)

6-1. 経営層の理解と支援獲得

CSIRT構築において経営層理解支援を得るためには、サイバーリスク経営視点可視化することが重要です。

例えば、情報漏えいが発生した際の売上損失業務停止期間ブランド価値低下などを試算した資料準備します。さらに、CSIRT未整備時整備後想定損失額比較提示すれば、投資対効果客観的証明できるでしょう。

加えて、定期的リスク評価レポート共有し、CSIRT活動経営判断と結び付けることで、継続的支援を得やすくなります。

6-2. 外部組織との連携強化

CSIRTの活動は、自社内だけの対応完結するものではありません。他社CSIRTやセキュリティベンダー、JPCERT/CCなどの専門機関連携することで、より高度対応実現できます。

平時から連絡窓口を定め、緊急時連絡手段報告共有するタイミングルール化しておくことが重要です。情報共有にあたっては、開示情報範囲匿名化ルール (個人企業特定されないよう加工制御するための取り決め) をはじめ、情報取扱レベル事前定義しておきます。

日常的演習勉強会を通じて関係性構築しておけば、実際インシデント対応スムーズに進められます。

7. CSIRTの導入メリット

CSIRT導入メリットは、組織全体セキュリティ対応力向上する点です。

  • インシデント対応力向上 (初動対応迅速化および被害拡大抑制)
  • ビジネス継続性強化 (事業継続性を高め顧客信頼法令順守強化)

7-1. インシデント対応力の向上

CSIRTを導入すると、インシデント発生時初動対応が大きく改善されます。

対応手順判断基準事前整理されているため、検知から対応開始までの時間短縮できます。例えば、インシデント検知までの平均時間を示すMTTDや、復旧に要する平均時間であるMTTRの大幅短縮可能です。ある調査によれば、CSIRTに取り組んでいる企業未対応企業比較して、被害額復旧時間を80%~90%削減し、再発率も70%程度低下させたとのことです。

初動が早まることで、感染端末数情報漏えい範囲限定できるだけでなく、調査復旧にかかるコストも抑えられます。さらに、属人的対応から組織的対応移行できるため、より安定したセキュリティ運用実現可能です。

7-2. ビジネス継続性の強化

CSIRTをBCPやDRと連携させれば、インシデント発生時でも事業継続前提とした判断復旧可能になります。迅速かつ適切対応は、お客さまや取引先への影響軽減し、信頼関係維持にも貢献するでしょう。

さらに、法令ガイドラインに沿った対応組織的実施できるため、行政指導罰則リスク低減にもつながり、長期的企業価値維持を支えます。

8 まとめ

サイバーインシデント多発する現代企業活動において、CSIRTは不可欠組織です。SOCによる検知とCSIRTによる対応分担連携することで、被害最小化早期収束実現できます。

構築には、明確目的設定経営層理解に加えて、適切権限設計外部組織との連携が欠かせません。自社に適したCSIRT体制整備が、事業継続性向上顧客信頼維持につながります。

ただ、体制整備には専門的判断が求められる場面も多く、「これで十分だろうか」と不安を抱くケースもあります。こうした不明点解消し、より確実体制強化するためにも、専門家知見参考にすることは一つの有効手段です。

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