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効果的なオフィスレイアウトを実現するには、生産性向上とコミュニケーション促進の両立を目指すことが重要です。オフィスレイアウトの作り方と、変更時の注意点を解説します。
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オフィスレイアウト作成の基本的な流れは以下のとおりです。
オフィスレイアウトの作成は、現状のオフィス図面や使用状況の把握から始めます。この段階では、利用状況の偏りに注意しながら調査を進めることが大切です。
次に、業務動線やコミュニケーション動線を考慮したゾーニング計画を作成します。動線の重複に注意して計画し効率性と交流のバランスが取れたレイアウトの土台を作成します。
ゾーニング計画の作成後、デスク配置や会議室、休憩スペースなどの位置を詳細に設計し、CADで図面を作成します。設計段階で社員に仮レイアウトを提示し、意見を反映させて修正することが重要です。
最終的に家具配置や備品の搬入を行い、実装します。この際、安全性や搬入経路に注意しながら作業を進める必要があります。
オフィスレイアウトを変更する際は、業務への影響や社員の混乱を防ぐために、事前の説明が欠かせません。移転スケジュールを可視化し、座席変更や利用ルールに関する疑問に対応できるよう、事前に説明会や社内ポータルで周知しましょう。
さらに、移転後スムーズに業務を開始できるように、空調・照明の調整、IT機器の設置場所や配線計画、清掃計画をあらかじめ策定します。作業は段階的に進め、搬入や工事は休日や夜間に設定することで、業務への影響を最小限に抑えられます。
本章では、オフィスレイアウトにおける代表的なデスク配置の種類や座席運用について解説します。
オフィスのデスク配置は、コミュニケーションと集中度に大きく影響するため、目的に応じて選択する必要があります。
| 配置種類 | 特徴 | メリット | デメリット | コミュニケーションや 集中度への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 対向式 | デスクが向かい合う配置 | 意見交換や相談がしやすい | 視線が交差し、集中力が低下しやすい | ・対面で会話できるためコミュニケーションを取りやすい ・視線干渉で集中度が低下しやすい |
| 同向式 | デスクが同方向に並ぶ配置 | 秩序があり整理しやすい | コミュニケーションが限定的 | ・コミュニケーションを取りにくい ・視線が前方のみとなるため集中度は高い |
| 背面式 | デスクが背中合わせになる配置 | ・隣席と相談しやすい ・空間効率がよい |
他チームとの交流は制限される | ・隣席と会話しやすいため、比較的コミュニケーションが取れる ・背中合わせのため集中しやすい |
| クラスター型 | 小グループの島状に配置 | チーム単位で協働しやすい | 他チームとの交流が減少する場合がある | ・チーム内で活発にコミュニケーションができる ・チーム内での集中は可能だが、周囲の雑音により集中度が低下することも |
主な座席運用のスタイルは以下のとおりです。
固定席は、個人専用のデスクを確保できるため、資料管理や集中作業に適しています。しかし、社員の在席率が低い場合、空席が増えてスペース効率が低くなるのが難点です。
フリーアドレスは、社員が自由に座席を選べるため、交流を促進し、オフィス面積を有効活用できます。一方で、座席確保や個人の荷物管理が課題となりがちです。
ABW (Activity Based Working) は、業務内容に応じて最適な場所を選ぶ運用スタイルで、生産性向上と柔軟な働き方を両立できます。ただし、導入には事前の社員教育と、適切な管理ルールの策定・徹底が必要です。
自社に合う座席運用スタイルを選定するには、以下のポイントを意識することが重要です。
| 選定ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 業務特性 | 集中作業が多い部署: 固定席 外出・リモートが多い部署: フリーアドレスやABW |
| 出社率と社員構成 | 出社頻度が低ければ、共有席運用でコスト効率を高めやすい |
| 企業文化 | 自由度を重視するか、安定性を重視するかによって選ぶ |
オフィスレイアウトの計画は、効率的で働きやすい環境を構築するために欠かせない作業です。計画の全体像を把握することで、無駄を省き、業務効率を最大化できます。
主なステップは以下の6つです。
まずは現状のオフィス利用状況を把握します。
社員アンケートやヒアリングを通じて、オフィスの良い点 (グッドポイント) や悪い点 (バッドポイント) に加え、具体的な課題を確認します。主な課題例は以下のとおりです。
課題を明確化することで、後続の計画へ正確に反映できます。
次に、洗い出した課題を踏まえて目的を明確化し、それに沿ったコンセプトを設定します。目的設定と適切なコンセプト決めにより、デザイン性・機能性・運用効率を兼ね備えたオフィスレイアウトが実現します。
| 目的例 | 詳細 |
|---|---|
| 生産性向上 | 集中しやすい環境や効率的な動線を整備する |
| コミュニケーション促進 | 偶発的な会話が生まれるレイアウトや共用スペースを設置する |
| 柔軟な働き方への対応 | リモートワークやハイブリッド勤務に適応できる空間を構築する |
| コンセプト例 | 詳細 |
|---|---|
| フリーアドレス | 自由に席を選び、オフィス面積を有効活用する |
| ABW | 業務内容に応じて最適な場所 (集中ブース、ラウンジ、会議スペースなど) を選び、多様な働き方を支援する |
執務、会議室、休憩などのエリアを用途別に分けるゾーニングを行います。例えば、執務エリアは集中できる静かな場所にまとめ、会議室は出入りしやすい位置、休憩スペースは自然に人が集まる場所に配置することで、業務効率と交流を両立できます。
床材の色分けやパーテーションによる緩やかな区画分けは、視覚的な領域認識を助けます。
社員が快適に移動できる動線設計は、生産性と安全性を高める重要な要素です。
執務エリア、会議室、休憩スペースを最短距離で結ぶ主動線を確保しつつ、コピー機やカフェスペースを経由するコミュニケーション動線を設けることで、偶発的な会話や情報交換を促せます。
通路幅は、想定する通行人数に応じて適切に確保すると、滞留や衝突を防止できます。
寸法・面積計画は、オフィスの快適性と将来の拡張性を左右します。
建築基準法や消防法に基づき、主要通路幅は最低1.2m以上の確保が必須です。また、一人当たりの執務スペースは約3坪 (約10m2) を目安に設計することにより、快適で作業効率のよいオフィス環境を実現できます。
法令順守と安全確保を徹底します。建築基準法・消防法・労働安全衛生法に基づき、避難経路や非常口の確保、通路幅や天井高などの基準を満たす必要があります。
特に、火災などの災害時に安全に避難できる避難通路の明示や、消火器・非常灯の設置位置は計画段階で確認し、施工後も定期的に点検することが重要です。
おしゃれで働きやすいオフィスを実現するには、デザイン性と機能性を両立させることが重要です。本章では、オフィスレイアウトをおしゃれにする6つのポイントを解説します。
オフィスの雰囲気を左右する空間デザインは、企業理念やブランドイメージを的確に表現することが重要です。コーポレートカラーをアクセントとして活用したり、企業の特性に合わせて素材を選んだりすると、一貫性を醸成できます。
例えば、木材や柔らかい色調を基調としたナチュラルテイストは温もりと安心感を演出し、金属やガラスを取り入れたモダンテイストはスタイリッシュで洗練された印象を与えます。
エントランスは、企業のファーストインプレッションを決定づける空間です。
コーポレートカラーを壁面や家具に取り入れ、ロゴを視認しやすい位置に配置することで、ブランドイメージを明確に示せます。さらに、アート作品や観葉植物を取り入れると、温かみや独自性を演出可能です。
受付カウンターやサイン計画も、デザイン性と機能性を両立させることで、来訪者に洗練された印象を与え、社員にも誇りを持たせる効果が期待できます。
オフィス家具はデザイン性だけではなく、作業効率や快適性を高める機能性が欠かせません。
高さ調整が可能な昇降デスクを取り入れると、座り仕事と立ち仕事を切り替えながら健康的に働けます。また、人体工学に基づいたチェアは、長時間作業による身体への負担を軽減します。さらに、モジュール式収納や可動式パーテーションを選べば、レイアウト変更にも柔軟に対応でき、機能性と美しさを両立したオフィス空間を実現可能です。
社員が集中しつつリフレッシュできる環境の整備は、生産性と満足度の向上に直結します。
集中ブースを設置して静かに作業できるスペースを確保する一方、休憩や交流のためのリフレッシュスペースを用意すれば、心身の切り替えがスムーズになります。また、整理整頓しやすい収納計画や、書類・備品管理のルールを明確にすることで、快適かつ効率的な職場環境を維持できます。
照明と採光は社員の集中力や健康に大きく影響します。窓からの自然光を最大限に取り入れつつ、時間帯や作業内容に応じて明るさを調整できる調光照明を導入すると、快適性が向上するでしょう。
また、間接照明を活用して柔らかい光を演出すれば、リラックス空間も実現できます。モニターへの映り込みを防ぐためにブラインドや家具配置を工夫し、視認性と作業効率を高めることも重要です。
観葉植物は、視覚的な癒やしと空気清浄効果をもたらし、オフィスに自然な安らぎを与えます。手入れがしやすく丈夫なパキラやサンスベリアなどは、日常的なメンテナンスが容易です。
執務エリアのデスク脇やエントランス、リフレッシュスペースにバランスよく配置することで、空間全体に潤いと活気を与えられます。
最後に、オフィスの規模別にレイアウト事例を紹介します。
10~30坪のオフィスでは、造作家具や多機能スペースを活用し、空間を広く見せています。また、ガラスパーテーションの設置で光を通し、開放感を演出しました。さらに、収納を壁面に集約して通路を確保することで、少ない面積でも効率的に働ける環境を構築しています。
30~100坪のオフィスでは、ABWの考え方を取り入れたゾーニングを実施しています。集中エリア、コミュニケーションエリア、Web会議ブースをバランスよく配置することで、業務効率と交流促進の両立に成功しました。また、可動式家具やフリーアドレス導入により、柔軟な働き方を実現しています。
100坪以上の大規模オフィスでは、部門間連携を促すためにオープンスペースを設置し、社員間の情報共有を活性化しました。ブランドイメージを反映したデザインやカラーを採用し、社員食堂やカフェを設置することで、交流の場とリフレッシュ環境を両立させています。
オフィスレイアウトは、生産性向上とコミュニケーション促進の両立が重要です。デスク配置や座席運用はもちろん、動線やゾーニング計画を適切に設計することで、働きやすく効率的な環境を実現できます。さらに、デザイン性や快適性を考慮した工夫を取り入れれば、社員満足度向上と企業ブランド強化を同時に達成可能です。
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