※ 記事制作時の情報です。
ファイルストレージとは、文書や画像、動画などのファイルを保管し、必要に応じて取り出せる仕組みのことです。社内サーバーやクラウド上に保存場所を用意し、従業員が同じファイルを安全に共有できます。複数の人が同時にアクセスしても管理しやすく、バックアップにも活用できます。企業ではプロジェクト資料の管理や部署間の情報共有に役立ち、個人では写真の保存やPCデータの整理にも使えます。手元の端末だけに保存する場合と比べ、紛失や故障のリスクを避けられる点も特徴です。
関連サービス: KDDI ファイルストレージ
ファイルストレージとオンラインストレージは、目的や使い方に違いがあります。
| ファイルストレージ | オンラインストレージ | |
|---|---|---|
| 提供形態 | 社内サーバー(オンプレミス)またはクラウド | クラウド提供が中心 |
| 利用目的 | 企業内の情報共有・バックアップ | 個人の写真保存や簡易共有 |
| セキュリティ | 自社管理でセキュリティを細かく設定可能 | サービス側のセキュリティに依存 |
ファイルをどこに保存し、誰が管理するのかという点で、オンプレミス型とクラウド型では大きく異なります。オンプレミス型は、自社の社内サーバーに機器を設置して運用するため、設定やセキュリティを細かく調整できる柔軟性があります。その反面、サーバーの購入や保守にコストがかかり、専任担当者の確保も必要です。これに対してクラウド型は、インターネット経由でサービス提供者のサーバーを利用する方式で、導入が素早く、初期費用を抑えやすい点が魅力です。管理は提供会社が担うため、運用の負担が軽く、必要なときに容量を追加できる拡張性も特徴です。求める管理レベルや運用体制に応じて、どちらが適しているか判断する必要があります。
利用される場面を比較すると、オンラインストレージとファイルストレージでは用途が大きく異なります。オンラインストレージは、写真や動画の保存、個人的な文書の管理など、家庭内での使用を想定したサービスが中心です。必要となる容量はそれほど多くなく、共有する相手も家族や友人といった身近な人に限られます。一方でファイルストレージは、企業が複数のメンバーで資料を編集したり、部署単位でデータを管理したりする場面で使われることがほとんどです。数百GBから数TBといった大容量を扱うケースが多く、共有する範囲も社内全体に広がります。扱う情報量や業務の性質に応じて、適切なサービスを選ぶことが欠かせません。
セキュリティ面で両者には明確な違いがあります。ファイルストレージは自社で管理するケースが多いため、アクセス権限や暗号化、監査ログなどを細かく設定できます。社内ネットワーク内で利用する構成であれば、外部からの攻撃リスクを抑えることも可能です。一方、オンラインストレージはサービス提供者側の仕組みに依存します。利用者自身で細かい設定ができない場合もあるため、企業で利用する際は注意が必要です。拡張性については、クラウド型サービスのプラン変更で容易に容量を増やせる点がメリットです。オンプレミス型の場合はサーバー増強が必要になり、費用と手間が増えることがあります。用途に合わせて適切な方式を選ぶことが大切です。
ファイルストレージは個人利用と法人利用で活用シーンが異なります。
それぞれの事例を詳しく解説します。
ファイルストレージは、日常のデータ管理をシンプルにしてくれる心強いツールです。特に活躍するのが、写真や動画の保存です。スマートフォンは容量がすぐにいっぱいになりがちですが、データをクラウドに移せば容量を気にせず撮影を続けられます。家族旅行の写真をオンラインで共有したり、思い出の動画を好きなタイミングで見返したりできる点も便利です。また、保険関係の書類や契約書など、失くしたくない資料をPDF化して保管しておけば、必要なときにすぐ取り出せます。PCのバックアップとして活用すれば、故障時のデータ消失も防げます。無料プランでも十分使えますが、動画や高画質写真を多く保存する場合は有料プランに切り替えると安心です。用途に合わせて柔軟に選べるところも、個人利用で支持される理由です。
企業では、ファイルストレージが業務のスピードと正確性を高める仕組みとして欠かせません。複数人が関わる仕事では、資料を一つの場所で共有できるため、最新版をどこに保存したか迷うことがなくなります。メール添付による重複や誤送信のリスクも大きく減らせます。さらに、閲覧・編集権限を細かく設定できるため、プロジェクトごとに必要な情報だけを安全に共有できます。BCP(事業継続計画)の観点でも強みがあり、クラウド上にデータがあれば、オフィスが使えない状況でも業務を続けられます。
建設業では最新図面の共有、製造業では仕様書や設計データの管理など、業界ごとのニーズにも柔軟に対応可能です。ビジネスの現場で求められる「効率」「安全性」「継続性」を支える基盤として、法人利用は非常に相性のよい活用方法です。
ファイルストレージを選ぶ際は、次の5つの観点を基準に比較することが重要です。
自社のデータ量や共有範囲を整理し、どのポイントを優先するかを決めることで最適なサービスを選びやすくなります。
ファイルストレージを選ぶ際、最初に確認したいのが容量です。個人利用であれば数十GB程度でも十分なケースが多いですが、写真や動画を多く扱う場合は100GB以上が必要になることがあります。小規模事業者の場合は、部署内での共有を想定して数百GBを確保しておくと安心です。大企業では、プロジェクト数や保存するファイルの種類が増えるため、数TB規模の容量が一般的になります。さらに、将来的なデータ増加に備えて、あとから容量を柔軟に増やせる拡張性も欠かせません。成長に合わせて無理なく容量を拡大できるかどうかで、サービスの使い勝手は大きく変わります。長期的な運用を見据えて、余裕のある容量計画を立てることが重要です。
コストを検討する際は、月額料金だけでなく、追加容量やオプションの利用による料金も含めた総額で比較することが大切です。無料プランでも基本的な保存や共有は可能ですが、容量が不足したりセキュリティ機能が限定されたりする場合があります。企業利用では、ユーザー数が増えるほど費用も大きくなるため、価格体系が自社に合っているかを慎重に確認する必要があります。また、初期費用の有無や導入時のサポート料も見落とせないポイントです。クラウド型は月額制でスタートしやすい一方、オンプレミス型は設備投資が必要で、維持管理費も発生します。自社の予算や使用期間を踏まえて、長い目でみた運用コストを試算することが重要です。
ファイルストレージを選ぶうえで、情報を安全に守るセキュリティ機能は欠かせません。まず確認すべきは、データを読み取られないように守る「暗号化」です。保管時と通信時の両方で暗号化されていると安心です。また、閲覧や編集などの権限を細かく設定できる「アクセス制御」も必須です。さらに、誰がいつファイルにアクセスしたかを記録する「監査ログ」があれば、不正操作の早期発見につながります。また、ISMS(Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム)などの第三者認証を取得しているかどうかは、安全性の判断材料として有効です。クラウド型の場合は、事業者によるセキュリティ運用品質も確認しておくと安心です。自社で対策しきれない部分を補えるかどうかを見極めることで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
ストレージはデータを保存するだけでなく、日々の業務の中で使いやすいかどうかが重要です。まず、誰がどこまで操作できるかを細かく設定できる権限管理は必須といえます。部署ごとに閲覧・編集権限を分けられると、情報管理がぐっと楽になります。加えて、Teams や Slack、プロジェクト管理ツールなど、社内でよく使うアプリと連携できるかどうかも使い勝手を大きく左右します。連携がスムーズだと、資料更新の通知を受け取れたり、ストレージ内のファイルをそのまま会議で共有したりと、作業効率が大幅に向上します。さらに、外出が多い社員のために、スマートフォンアプリの使いやすさやオフライン閲覧の可否も確認しておきたいポイントです。自社のワークスタイルに自然に馴染む機能がそろっているかどうかを見極めることで、無理のない運用につながります。
ファイルストレージを長く安定して利用するには、手厚いサポート体制が欠かせません。電話やメールでの問い合わせ対応に加え、導入時の初期設定支援やトラブル発生時の復旧サポートも重要です。特に企業向けでは、サポートが24時間対応か、平日の日中のみかで運用に大きな差が生まれます。また、日本語サポートの有無や担当者の技術レベルも確認したいポイントです。クラウド型の場合は、事業者によるアップデートや障害管理が迅速かどうかも評価材料になります。さらに、マニュアルの充実度やオンラインFAQの使いやすさが運用効率を左右するため、事前に確認しておくと安心です。導入後も安心して利用できるかどうかがサービス選定の鍵になります。
ファイルストレージは、利用目的によって選ぶべきサービスが大きく変わります。
| サービス名 | 対象 | 主な特徴 | コスト感 |
|---|---|---|---|
| Google Drive | 個人 | Gmailや写真管理と連携しやすく、操作も直感的で使いやすい | 無料枠あり/有料は月数百円から |
| Dropbox | 個人 | フォルダ同期が簡単で、複数端末で同じデータを利用しやすい | 無料枠あり/有料は月千円前後 |
| Box | 法人 | 権限管理や管理者機能が充実し、企業向けのセキュリティ対策が整っている | 月額制/利用人数により変動 |
| Fleekdrive | 法人 | 日本企業向け設計で、承認フローや操作画面が分かりやすい | 月額制/中小企業向けプランあり |
個人で利用する場合は、手軽に使えるオンラインストレージが選ばれています。代表的なものに Google Drive や Dropbox があります。Google Drive は Google アカウントがあればすぐ利用でき、写真や動画、文書ファイルをまとめて保存できる点が便利です。スマートフォンの自動バックアップ機能も充実しており、普段のデータ管理がスムーズです。Dropbox はシンプルでわかりやすい操作性が魅力で、複数デバイス間の同期が高速です。無料プランでも一定容量が使えるため、軽い用途であれば十分に活用できます。ファイル数が増えてきた場合や高解像度の写真・動画を扱うようになった場合は、有料プランに移行すると安心です。ストレージ容量やバックアップ頻度の増加に合わせて、必要なプランを検討すると日常のデータ管理がより快適になります。
法人利用では、セキュリティ対策や管理機能が充実したクラウド型ファイルストレージが求められます。代表例として Box や Fleekdrive が挙げられます。Box は企業向けに特化したサービスで、アクセス権限の細かな設定や監査ログの取得、外部共有の制御など、情報管理に必要な機能が揃っています。法務部門や管理部門からも支持されており、コンプライアンスの担保が必要な企業に向いています。Fleekdrive は日本企業の利用に合わせた設計が特徴で、承認フローや日本語サポートが充実しています。建設業では図面や写真の共有に使われ、製造業では生産関連資料のバージョン管理に活用されています。中小企業でも導入しやすい柔軟な料金設定があるため、規模を問わず導入しやすい点も魅力です。業務内容や共有ファイルの種類、求める管理レベルに応じて、最適なサービスを選ぶことが重要です。
ファイルストレージは、日常の写真保存から企業の情報基盤まで、幅広い場面で役立つ重要な仕組みです。個人向けのサービスは扱いやすさと価格の手ごろさが魅力で、スマートフォンやPCにたまったデータを無理なく整理できます。これに対して法人向けサービスは、セキュリティや権限管理が細かく設定できるため、組織全体で安全にファイルを共有・運用できる点が強みです。サービスを選ぶ際は、必要な容量、かけられるコスト、求める安全性、業務に合う機能、そしてサポート体制が十分かどうかを基準にするとジ自社や個人の利用スタイルに合った選択がしやすくなります。目的を明確にしたうえで比較することで、長く安心して使えるストレージ環境を整えられます。
安全性と使いやすさを両立したファイルストレージを導入するなら、KDDI の法人向けクラウドストレージサービス「KDDI ファイルストレージ」がおすすめです。高度なセキュリティと柔軟な権限管理、国内サポート体制により、業務に必要なファイルを安心して共有できます。大容量データの管理や、テレワーク環境におけるファイル利用にも適しており、さまざまな業種で活用されています。導入もスムーズで、運用に関する相談も専門チームがサポートします。