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ISMAP (イスマップ) とは?政府クラウドサービス制度のメリットと取得手順

ISMAP (イスマップ) とは?政府クラウドサービス制度のメリットと取得手順

2026 5/27
クラウドサービスの活用がビジネスの標準となった現代において、その安全性を客観的に示す指標の重要性は年々高まっています。そうした中で注目されているのが、政府が情報システムのセキュリティ基準として定めた「ISMAP」です。ISMAPは、政府調達向けの制度というイメージを持たれがちですが、現在ではサプライチェーン全体でのセキュリティ確保が求められ、民間企業にとっても無視できない存在となっています。自社が利用・提供するクラウドサービスがISMAPの基準を満たしているかどうかは、ビジネスの信頼性にも直結する重要な要素です。本記事では、ISMAP制度の基本的な仕組みから、導入・取得によるメリット、具体的な取得手順までをわかりやすく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.ISMAPとはどのような制度か

ISMAP (Information System Security Management and Assessment Program) とは、政府が求めるセキュリティ基準を満たしているクラウドサービス評価登録する制度です。「イスマップ」と読み、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度と訳されます。

政府機関クラウドサービス調達する際は、原則としてこの「ISMAPクラウドサービスリスト (※ 外部サイトへ遷移します。)」に登録されたサービスの中から選定することになります。これにより、政府一定セキュリティ水準担保されたサービス迅速かつ効率的導入できます。

1-1. ISMAPが制定された背景と現在の位置づけ

ISMAPが制定された直接のきっかけは、2018年に政府が打ち出した「クラウド・バイ・デフォルト原則」です。これにより、各府省庁クラウドサービス利用第一候補となりましたが、同時サービスごとに異なるセキュリティレベル統一された基準評価する必要性が生じました。

この課題解決するため、政府安全性確認する共通仕組みとして整備されたのがISMAPです。当初政府調達のための制度としてスタートしましたが、現在ではその信頼性が広く認知され、民間企業サービス選定する際の客観的指標としても活用されるなど、その位置づけは大きく変化しています。

  • ※ 外部サイトへ遷移します。

1-2. なぜISMAPが必要なのか


政府調達から始まったISMAPが今や民間企業にとっても必要とされているのは、ビジネスサプライチェーン全体で、セキュリティレベル担保が求められるようになったからです。自社利用するクラウドサービス脆弱性があれば、それは自社経営リスク直結します。また、自社提供するサービス安全性客観的証明できなければ、取引先からの信頼を得ることは困難です。

なぜISMAPが必要なのかのイメージ画像

このようにISMAPは単なる政府向けの基準ではなく、企業リスク管理し、ビジネス信頼性内外に示すための実践的判断材料として不可欠存在となっているのです。

1-3. ISMAPとISMAP-LIUの違い

ISMAPには、通常版の「ISMAP」のほかに「ISMAP-LIU (イスマップ・エルアイユー) 」という制度があります。ISMAP-LIUは「Low-Impact Use」の略で、セキュリティ上のリスク比較的低業務や、取り扱う情報機密性の低いものに限定されるSaaSサービス対象としています。

ISMAPがIaaSやPaaS、SaaSなど幅広サービス対象とするのに対し、ISMAP-LIUはリスクの低いSaaSに特化しており、審査基準一部簡略化されています。これにより、小規模なSaaS事業者でもISMAP制度登録しやすくなっています。

項目 ISMAP ISMAP-LIU
対象サービス IaaS、PaaS、SaaSなど リスクの低い業務・情報のみを取り扱うSaaS
対象リスク 高、中、低
管理策の数 約1,200項目 同一の管理基準を前提に、主に外部監査対象となる重要な管理策に絞って評価
外部監査 必須 原則不要 (自己宣言)
※ ただし、ISMAP運用支援機関が事業者より提出された言明書等の内容をレビューし、その妥当性を確認します。

関連サービス: クラウド (SaaS)

1-4. ISMAPとISMS認証との違い

ISMAPとよく比較される制度に「ISMS (情報セキュリティマネジメントシステム) 認証」がありますが、両者はその目的評価対象根本的に異なります。

ISMS認証目的は、企業部署といった「組織」が情報セキュリティ適切管理運用するための「体制」を整えていることを証明することです。一方、ISMAPの目的は、IaaSやPaaS、SaaSといった「クラウドサービス」そのものが、政府の求める厳しいセキュリティ基準を満たしていることを証明することにあります。

つまり、ISMSが「会社 (組織) の仕組み」を評価するのに対し、ISMAPは「提供されているサービス」そのものを、より専門的かつ具体的評価する制度なのです。ISMAPの基準はISMSを基礎としていますが、クラウド特化した、より厳格要件追加されていると理解してください。

2.ISMAPの取得・活用によるメリット

ISMAP認定は、クラウドサービス提供する事業者側と、それを利用する政府機関企業側双方に大きなメリットをもたらします。ここではそれぞれの立場から具体的利点を見ていきましょう。

2-1. 【事業者側】信頼性の証明となり、ビジネスチャンスが拡大する

【事業者側】信頼性の証明となり、ビジネスチャンスが拡大するのイメージ画像

クラウドサービス提供する事業者にとっての大きなメリットは、ISMAP認定取得することで、国が定めるセキュリティ基準を満たしていることを客観的に示せる点です。これにより、政府調達への参加可能になるだけでなく、セキュリティ重視する民間企業地方公共団体に対しても、自社サービス信頼性明確アピールできます。その結果提案時説明負担軽減されるとともに、競合サービスとの差別化にもつながり、ビジネスチャンス拡大期待できます。

2-2. 【利用者側】セキュリティ評価済みサービスを選べる

利用者側メリットは、クラウドサービス選定時セキュリティ評価にかかる負担軽減できる点にあります。通常クラウドサービス選定する際には各サービスセキュリティ対策個別調査評価する必要があり、多大時間コストがかかります。しかし、ISMAPに登録されたサービス前提とすることで、この評価プロセス大幅削減することが可能です。組織内での承認手続きも円滑に進み、導入判断スムーズに行えるようになります。

3.ISMAPの3つの管理基準

ISMAPの管理基準は、経営から現場まで一貫した体制を築くための3階層ピラミッド構造になっています。頂点経営陣主導する「ガバナンス基準」、中間管理者実践する「マネジメント基準」、そして土台として現場遵守すべき具体的な「管理策基準」が位置します。

3-1. ガバナンス基準

ガバナンス基準は、経営陣情報セキュリティに対してどのように関与すべきかを定めたものです。具体的には、情報セキュリティに関する方針策定体制構築リスク管理への指示、そして活動全体監督責任などが含まれます。

これは、情報セキュリティを単なる技術的問題としてではなく、経営課題として捉え、トップダウン推進することを要求するものです。経営陣の強いリーダーシップコミットメントが、組織全体セキュリティレベルを支える基盤となります。

3-2. マネジメント基準

マネジメント基準は、ガバナンス基準で示された方針に基づき、情報セキュリティマネジメント確立実施維持するための具体的要件を定めています。これは、情報システム管理する責任者中心となって実践するものです。

リスクアセスメント実施セキュリティ計画策定従業員への教育訓練インシデント発生時対応手順整備など、PDCAサイクルを通じて継続的セキュリティレベル向上させていく活動が求められます。

3-3. 管理策基準

管理策基準は、情報システム保護するために実施すべき具体的セキュリティ対策をまとめたものです。約1,200項目詳細要求事項からなり、技術的対策から物理的対策組織的対策まで、幅広領域カバーしています。

国際的情報セキュリティ規格であるISO/IEC 27017などを基に作成されており、14のカテゴリ分類されています。

カテゴリ 主な内容
組織のセキュリティ 組織体制、役割と責任の明確化
人的資源のセキュリティ 従業員の雇用・異動・離職時の管理
資産の管理 情報資産の分類、媒体の取り扱い
アクセス制御 ユーザーID管理、パスワードポリシー、特権管理
暗号 暗号技術の利用方針、鍵管理
物理的および環境的セキュリティ データセンターへの入退室管理、機器の保護
運用のセキュリティ 変更管理、マルウェア対策、バックアップ
通信のセキュリティ ネットワーク管理、情報転送の保護
システム取得、開発および保守 開発環境と本番環境の分離、脆弱性管理
供給者関係 委託先の管理、サービスレベル合意 (SLA)
インシデント管理 インシデントの報告、対応、学習
事業継続管理 事業継続計画の策定、テスト
適合性 法的・契約的要件の遵守、監査
クラウド固有の要件 仮想環境の分離、管理者アクセスの監視

4.ISMAP取得までの4つの手順

ISMAPリストへの登録は、厳格審査プロセスを経て行われます。多くの企業取得までに1年以上を要しており、その道のりは決して容易ではありません。ここでは、クラウドサービス事業者がISMAPへの登録完了するまでに必要となる、4つのステップについて解説します。

STEP1. 要件を満たすか自己評価する

まず、自社クラウドサービスがISMAPの管理基準を満たしているか、自己評価を行います。ISMAPが公表している管理基準各項目に対し、自社セキュリティ対策適合しているかを一つひとつ確認し、文書化していく地道作業です。この段階で、基準を満たしていない項目があれば、対策を講じる必要があります。

参考:「ISMAP管理基準」(総務省) (PDF)

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STEP2. 言明書を作成する

自己評価結果に基づき、ISMAPの管理基準のうち、どの統制目標管理策を、どのような方法実施しているのかを具体的記述した「言明書 (SOA: Statement of Applicability)」を作成します。これは、自社セキュリティ対策がISMAPの要求事項適合していることを公式宣言する文書であり、後の外部監査基礎資料となります。

言明書を作成するのイメージ画像

STEP3. 監査機関に依頼する

言明書作成後、ISMAPが認定した監査機関外部監査依頼します。監査機関は、事業者から提出された言明書関連文書レビューし、実際セキュリティ対策有効機能しているかを客観的評価します。

監査結果、ISMAPの基準を満たしていない不適合な点が発見された場合は、改善計画書作成し、是正措置を講じる必要があります。すべての不適合解消された後、監査機関から評価結果報告書発行されます。

STEP4. 登録申請を行う

監査機関による適合評価を受けた後、いよいよISMAP運用支援機関への登録申請です。申請には、言明書外部監査評価結果報告書をはじめとする多数書類必要です。ISMAPポータルサイト公開されている「提出書類チェックリスト」を活用し、不備のないように準備を進めましょう。

提出された書類はISMAP運用支援機関によって審査され、最終的にISMAP運営委員会審議されます。審議結果問題がなければ「登録」、追加説明対応必要場合は「留保」、基準を満たさないと判断されれば「却下」となります。

5.まとめ

本記事では、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度「ISMAP」について、その概要からメリット管理基準取得手順までを解説しました。ISMAPは、政府安全クラウドサービス調達するための重要仕組みであり、事業者にとっては政府市場への参入信頼性向上に、利用者にとっては安全サービス選定効率化につながる制度です。登録には厳格基準プロセスが求められますが、そのメリットは大きいといえるでしょう。クラウド活用不可欠となった現代において、セキュリティ対策重要経営課題の一つです。信頼できるクラウド環境構築や、自社サービスセキュリティ強化についてお悩みの際は、専門家への相談有効選択肢です。

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